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魔法省
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いつものように馬車に乗ってお城へと行くと、馬車を降りた時点でカイがいた。
あれ、なんでこんなところにいるの? え、何、私もしかして皇子にお出迎えさせた!?
クリスを顔を見合わせて首を傾げていると、カイは爽やかな笑顔を浮かべた。
うおぉ、朝から眩しすぎる!
「おはよう、エレナ、クリス」
「おはようございます」
負けじと笑顔で挨拶をする。が、挨拶なんてどうでもいいから要件を先に話して欲しい。じゃないと気になって仕方がない。
私また何かした? それとも昨日のこと?
「父上から伝言だよ。『エレナの魔力を金で買い、それを今回の被害の弁償へと充てる。よって、エレナは積極的に魔力の提供と手伝いをするように。それから今日からは魔法の勉強もしてもらう』だそうだよ」
私の魔力を買うの? でもそれは今回の事件の罰であり、二度とあんなことが起きないようにという足かせだ。それにお金を出してもらうというのは私に得がありすぎる。
借金は自力で返さないといけないよ。
「はい、勉強は致します。ですがお金を出してもらうわけにはいきません」
私がそう言うと、カイはふふっと笑った。
何で笑うのよ。
「エレナがそう言った時はこう言えって言われているよ。『そなたのおかげで足りなかった魔力が補充でき、そなたの魔法で今まで不可能だったことが実現する可能性がある。そなたは歴史を変えるかもしれない。本来ならばもっと特別な褒章を用意するべきなのだ』と」
いやいやいや、確かにこの世界の魔法はあんまり便利じゃないけど、歴史を変えるようなことはないでしょ。陛下は私に期待しすぎだよ!
「特別な褒章ってなんだろう」
クリスが横で首を傾げた。私も一緒に傾げる。
「とりあえず役職じゃない? 今回の例だとそれなりの権力がある役職だと思うよ。そしでもしそれによって何かが実現したら、爵位をもらえるだろう」
はいぃ!? 魔力の提供だけで役職!? 爵位!? そんなのいらないよ!
おもわず首をぶんぶん振ると、カイは可笑しそうに笑った。
「エレナがしたのはそれだけのことなんだよ。伝言は以上だ。ほら、皆の所に行こう」
「あ、あの、魔力の提供ってどうやってするのでしょうか? 皆の所へ行く前にしておきたいのですけれど」
じゃないとまた昨日みたいなことが起こるかもしれない。昨日だって気を付けていたのにあれなのだから、もし自分を信じることなんてできない。
自分で使える魔力をできるだけ減らしておきたい。
「そっか、じゃあ先に案内するよ」
カイの後をついて行くと、どんどんとお城の奥の方へ来た。
どこまで行くの? っていうかお城広すぎだよ。もう十五分は歩いたんじゃない?
クリスもこの辺りまで来るのは初めてなのか、先ほどから歩きながらきょろきょろしている。
もうどうやって戻るのかも分からないくらいだ。こんな広くてどこも同じ景色のお城の中を迷わずスタスタ歩けるカイがすごい。心の底から尊敬する。
私はここを一人で歩いたら迷子になる自信がある。頼むから何か目印をつけて欲しい。壁や柱の装飾から何か特徴を見つけ出そうと必死になって歩いていると、カイが突然足を止めた。
「ここだよ」
ここって言われても他の部屋のドアと違うところなんてみつからない。今後一人で来るなんて不可能だ。
カイはさっさとノックをすると、部屋の中へと入って行った。私も慌てて後に続く。
うわ……理科室みたい。あれ試験管だよね。あ、ビーカーみたいなのもあるし。というか、汚いな。
そこは実験室のような場所だった。あちこちに物が置いてあって、紙が散乱している。だけど人の姿は見えない。
「マルゴット! マルゴットはどこだ」
カイの声にばさっと数か所で紙が散らばった。
ああ、人がいなかったんじゃなくて、隠れて見えなかっただけか。
明らかに寝ていたであろうその人たちは目をこすり、カイの姿を見ると、姿勢を正した。そして一人が慌てて奥の方へと向かった。
あっちにもう一個部屋があるのか。
少しすると、すらっとした女の人が出てきた。うわ、やっぱり綺麗な人だな。この世界には美形しかいないのか。
「殿下、お待たせしました」
「マルゴット、この部屋はもう少しどうにかならないものだろうか。これからエレナが来ることを考えると少しだけでも片付けて欲しいいんだが」
マルゴット様は部屋の中を一瞥すると首を傾げて笑った。
「不思議ですね。数日前に片付けたと思うのですが」
数日でここまで散らかしたのか、そもそも『片付けた』の基準が違うのか。だけど忙しいんだろうなというのは分かるので、私は何も言わない。
「ところでそちらのお嬢さんが?」
「ああ、エレナだ」
「フィオーレ家長女、エレナと申します。本日の出会いに祝福があらんことを。わたくしにできる限りお手伝いしたいと思いますわ。どうぞよろしくお願い致します」
笑って頭を下げると、「あら」と感心したような声が聞こえた。
よっし! 掴みはばっちり!
「礼儀正しいお嬢さんですわね。わたくしはマルゴットです。分からないことはなんでも聞いてくださいませ」
「マルゴットは魔法省の長官みたいなものだから、何かあったら頼るといいよ」
「長官みたいなもの、ですか」
長官ではないんだ、と思っていると、マルゴット様が「長官はいないものだと思ってください」と言った。それっているにはいるってことだよね? どんな人なんだろう。
なんてことを考えていると、クリスが足元に落ちていた紙を一枚拾い上げた。
うん? 魔法陣だ! やば、めっちゃファンタジー!! だけど意味は全然分からない。クリスも分からなかったようで、興味なさげに机の上に置いた。
「とりあえず奥へと行きましょう。用件はそこで伺いますわ」
マルゴット様を先頭に、私たちは床に落ちている色々を踏まないように細心の注意を払って奥の部屋へと向かった。新しい修行かと思うくらいきつくて、クリスなんか途中で諦めかけていた。
せめて床の上くらいは片付けて欲しい。これからこんなところを毎日歩くなんて冗談じゃないよ!!
あれ、なんでこんなところにいるの? え、何、私もしかして皇子にお出迎えさせた!?
クリスを顔を見合わせて首を傾げていると、カイは爽やかな笑顔を浮かべた。
うおぉ、朝から眩しすぎる!
「おはよう、エレナ、クリス」
「おはようございます」
負けじと笑顔で挨拶をする。が、挨拶なんてどうでもいいから要件を先に話して欲しい。じゃないと気になって仕方がない。
私また何かした? それとも昨日のこと?
「父上から伝言だよ。『エレナの魔力を金で買い、それを今回の被害の弁償へと充てる。よって、エレナは積極的に魔力の提供と手伝いをするように。それから今日からは魔法の勉強もしてもらう』だそうだよ」
私の魔力を買うの? でもそれは今回の事件の罰であり、二度とあんなことが起きないようにという足かせだ。それにお金を出してもらうというのは私に得がありすぎる。
借金は自力で返さないといけないよ。
「はい、勉強は致します。ですがお金を出してもらうわけにはいきません」
私がそう言うと、カイはふふっと笑った。
何で笑うのよ。
「エレナがそう言った時はこう言えって言われているよ。『そなたのおかげで足りなかった魔力が補充でき、そなたの魔法で今まで不可能だったことが実現する可能性がある。そなたは歴史を変えるかもしれない。本来ならばもっと特別な褒章を用意するべきなのだ』と」
いやいやいや、確かにこの世界の魔法はあんまり便利じゃないけど、歴史を変えるようなことはないでしょ。陛下は私に期待しすぎだよ!
「特別な褒章ってなんだろう」
クリスが横で首を傾げた。私も一緒に傾げる。
「とりあえず役職じゃない? 今回の例だとそれなりの権力がある役職だと思うよ。そしでもしそれによって何かが実現したら、爵位をもらえるだろう」
はいぃ!? 魔力の提供だけで役職!? 爵位!? そんなのいらないよ!
おもわず首をぶんぶん振ると、カイは可笑しそうに笑った。
「エレナがしたのはそれだけのことなんだよ。伝言は以上だ。ほら、皆の所に行こう」
「あ、あの、魔力の提供ってどうやってするのでしょうか? 皆の所へ行く前にしておきたいのですけれど」
じゃないとまた昨日みたいなことが起こるかもしれない。昨日だって気を付けていたのにあれなのだから、もし自分を信じることなんてできない。
自分で使える魔力をできるだけ減らしておきたい。
「そっか、じゃあ先に案内するよ」
カイの後をついて行くと、どんどんとお城の奥の方へ来た。
どこまで行くの? っていうかお城広すぎだよ。もう十五分は歩いたんじゃない?
クリスもこの辺りまで来るのは初めてなのか、先ほどから歩きながらきょろきょろしている。
もうどうやって戻るのかも分からないくらいだ。こんな広くてどこも同じ景色のお城の中を迷わずスタスタ歩けるカイがすごい。心の底から尊敬する。
私はここを一人で歩いたら迷子になる自信がある。頼むから何か目印をつけて欲しい。壁や柱の装飾から何か特徴を見つけ出そうと必死になって歩いていると、カイが突然足を止めた。
「ここだよ」
ここって言われても他の部屋のドアと違うところなんてみつからない。今後一人で来るなんて不可能だ。
カイはさっさとノックをすると、部屋の中へと入って行った。私も慌てて後に続く。
うわ……理科室みたい。あれ試験管だよね。あ、ビーカーみたいなのもあるし。というか、汚いな。
そこは実験室のような場所だった。あちこちに物が置いてあって、紙が散乱している。だけど人の姿は見えない。
「マルゴット! マルゴットはどこだ」
カイの声にばさっと数か所で紙が散らばった。
ああ、人がいなかったんじゃなくて、隠れて見えなかっただけか。
明らかに寝ていたであろうその人たちは目をこすり、カイの姿を見ると、姿勢を正した。そして一人が慌てて奥の方へと向かった。
あっちにもう一個部屋があるのか。
少しすると、すらっとした女の人が出てきた。うわ、やっぱり綺麗な人だな。この世界には美形しかいないのか。
「殿下、お待たせしました」
「マルゴット、この部屋はもう少しどうにかならないものだろうか。これからエレナが来ることを考えると少しだけでも片付けて欲しいいんだが」
マルゴット様は部屋の中を一瞥すると首を傾げて笑った。
「不思議ですね。数日前に片付けたと思うのですが」
数日でここまで散らかしたのか、そもそも『片付けた』の基準が違うのか。だけど忙しいんだろうなというのは分かるので、私は何も言わない。
「ところでそちらのお嬢さんが?」
「ああ、エレナだ」
「フィオーレ家長女、エレナと申します。本日の出会いに祝福があらんことを。わたくしにできる限りお手伝いしたいと思いますわ。どうぞよろしくお願い致します」
笑って頭を下げると、「あら」と感心したような声が聞こえた。
よっし! 掴みはばっちり!
「礼儀正しいお嬢さんですわね。わたくしはマルゴットです。分からないことはなんでも聞いてくださいませ」
「マルゴットは魔法省の長官みたいなものだから、何かあったら頼るといいよ」
「長官みたいなもの、ですか」
長官ではないんだ、と思っていると、マルゴット様が「長官はいないものだと思ってください」と言った。それっているにはいるってことだよね? どんな人なんだろう。
なんてことを考えていると、クリスが足元に落ちていた紙を一枚拾い上げた。
うん? 魔法陣だ! やば、めっちゃファンタジー!! だけど意味は全然分からない。クリスも分からなかったようで、興味なさげに机の上に置いた。
「とりあえず奥へと行きましょう。用件はそこで伺いますわ」
マルゴット様を先頭に、私たちは床に落ちている色々を踏まないように細心の注意を払って奥の部屋へと向かった。新しい修行かと思うくらいきつくて、クリスなんか途中で諦めかけていた。
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