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想像もしていなかった言葉に、私は何も言えなかった。陛下に殺される? うん? つまり、どういうことだ?
首を傾げる私の方は見ず、お兄様は下を向いたまま続ける。
「お前が使えるのは光属性だけではない。全属性だ」
「全属性……!?」
お兄様の言葉に反応したのはヨハンだった。さっきタクトを出した時も思ったけど、全属性のことはクリスに聞いてなかったんだ。ヨハンが知っていたのは私が魔法を使えて、それが水と風だということだけだったのか。
驚いているヨハンへ小さく頷いて、私はお兄様を見た。
「おまけに信じられない程の魔法のセンスに魔力量。魔力回復のスピード。お前は脅威にしかならぬ」
……なるほど。そんなつもりは全くないけど、悪いことにも使うことができるってことか。
あれ? でもそれって別に光属性関係なくない? 光って結局怪我とか病気を治せるだけでしょ? 別に私が光属性を使えることを陛下に言ったところで、全属性使えることがばれなかったら大丈夫じゃないの?
私が首を傾げると、お兄様はため息をついて首を横に振った。
うわ、諦められた気がする。
代わりにヨハンが少し笑って話してくれた。
「光属性はね、魅了を使えるんじゃないかっていう考えがあがってきているんだ」
「魅了、ですか」
何それ、聞いたことないけど。まさかヒロインそんなことしてたの? それで攻略対象達を攻略したとか?
え、何、私にも使えるの? 無意識に使ったりしてないよね? なんか不安になってきたんだけど。
「もちろん、これはほんの一部の人しか知らないし、ただの予想でしかない。だけど君が現れたことで光属性が注目を浴び、その考えは陛下の耳にも届くだろう」
全属性を便利に使うことができ、魔力は多いうえにすぐ回復する。さらに光属性の魅了。
……これは確かに怖い。だってその気になったら国だって好きに操れるじゃん。そんなこと絶対にしないけど!!
「一緒に茶を飲んだり普通に話をしたりして忘れているかもしれんが、皇帝陛下だ。国のために必要だと思えばどんなことでもする。国に害を与えるか与えないかではない。与えるかもしれない。与えることができる。それだけで十分で、そこに情など挟まぬ」
ぞっとして嫌な汗が出てきた。陛下が相手なんて勝てるわけがない。そうなった場合、私は為す術なく死んでしまうだろう。
するかしないかではなく、できるかできないか。さらにできるかもしれない。それだけで私を殺す理由になる。
そんなこと一ミリも考えたことがなかった。私はただ人の為に役に立てたらいいな、と呑気に思っていただけだ。今まで勉強してきて色々なことを知っているつもりだった。それなりに自信もあった。
だけど今回私は何もできなかったし、何も知らなかった。何も考えていなかった。お兄様がいなかったら私はそう遠くない内に死んでいたかもしれない。
恐怖を感じた。だけどそれ以上にショックだった。エレナになって一年以上。努力はいまだに実っていない。
「わたくし、もっと勉強します。ですので、お兄様、わたくしに色々なことを教えてくださいませ」
「お前には国のトップレベルの教師がついているだろう」
お兄様が面倒くさそうに手をヒラリ、と振った。
それではダメなのだ。先生たちは皆すごい。分かりやすく教えてくれるし、何を質問しても答えてくれる。だけど、優しすぎる。厳しくしてくれる人が私には必要なのだ。そして教科書の知識ではない、実用的な知識が必要だ。
ぐっと黙り込むと、少しして聞こえた。
「……魔法に関しては教えてやる。剣はクルトに聞け。あいつは小柄だが、小さいなりの戦い方を知っている。お前には必要なはずだ」
「はい……!」
魔法はヘンドリックお兄様。剣はクルトお兄様。私の二人のお兄様はかっこいいだけじゃなくてすごいんだ。そう思うととても嬉しくなってきた。
思わず鼻歌を歌ってしまい、お兄様に睨まれる。
「話は終わっていない」
ええ、今の完全に終わった感じだったじゃん。もういいよ。とは言えず、私は口を閉じてお兄様を見た。
「お前はなぜ光属性を知っている」
……うん?
「もしかしてこれは一般に知られていないようなことなのでしょうか?」
首を傾げて聞いた私を見て、二人は目を見合わせた。お兄様は呆れたようなため息をつき、説明するのも面倒だといった様子で言った。
「光属性は伝説だ」
「はい、それは存じております」
だから伝説として皆知っているんでしょう?
「怪我を治す魔法があったら便利だな。その程度の認識なんだよ。怪我を治す魔法なんて存在しているわけがなくて、それを口に出すと子供の夢物語だと馬鹿にされる。そんな魔法が光属性だよ。まさかそれが存在して、光という属性を持っているなんて一部の人しか知らないんだ」
ヨハンが微笑んでそう言った。流石、魔法の先生になるくらいだもん。詳しいんだね。
なるほど、さっきの陛下を馬鹿にするような言い方はまさにそれか。
でもじゃあヒロインが光属性だってことはどうやって知られたんだっけ? 確か、ヒロインが自分で言ったのか? 誰かに言われたんだって言っていたような気がする。それでカイが必死になって調べたんだっけ?
ふむ、つまり、ゲームの中では光属性を知っている誰かがヒロインにそれを伝え、ヒロインがきっかけで世間に知られるようになったってこと?
「二度言わせるな。お前はなぜ知っている」
首を傾げる私の方は見ず、お兄様は下を向いたまま続ける。
「お前が使えるのは光属性だけではない。全属性だ」
「全属性……!?」
お兄様の言葉に反応したのはヨハンだった。さっきタクトを出した時も思ったけど、全属性のことはクリスに聞いてなかったんだ。ヨハンが知っていたのは私が魔法を使えて、それが水と風だということだけだったのか。
驚いているヨハンへ小さく頷いて、私はお兄様を見た。
「おまけに信じられない程の魔法のセンスに魔力量。魔力回復のスピード。お前は脅威にしかならぬ」
……なるほど。そんなつもりは全くないけど、悪いことにも使うことができるってことか。
あれ? でもそれって別に光属性関係なくない? 光って結局怪我とか病気を治せるだけでしょ? 別に私が光属性を使えることを陛下に言ったところで、全属性使えることがばれなかったら大丈夫じゃないの?
私が首を傾げると、お兄様はため息をついて首を横に振った。
うわ、諦められた気がする。
代わりにヨハンが少し笑って話してくれた。
「光属性はね、魅了を使えるんじゃないかっていう考えがあがってきているんだ」
「魅了、ですか」
何それ、聞いたことないけど。まさかヒロインそんなことしてたの? それで攻略対象達を攻略したとか?
え、何、私にも使えるの? 無意識に使ったりしてないよね? なんか不安になってきたんだけど。
「もちろん、これはほんの一部の人しか知らないし、ただの予想でしかない。だけど君が現れたことで光属性が注目を浴び、その考えは陛下の耳にも届くだろう」
全属性を便利に使うことができ、魔力は多いうえにすぐ回復する。さらに光属性の魅了。
……これは確かに怖い。だってその気になったら国だって好きに操れるじゃん。そんなこと絶対にしないけど!!
「一緒に茶を飲んだり普通に話をしたりして忘れているかもしれんが、皇帝陛下だ。国のために必要だと思えばどんなことでもする。国に害を与えるか与えないかではない。与えるかもしれない。与えることができる。それだけで十分で、そこに情など挟まぬ」
ぞっとして嫌な汗が出てきた。陛下が相手なんて勝てるわけがない。そうなった場合、私は為す術なく死んでしまうだろう。
するかしないかではなく、できるかできないか。さらにできるかもしれない。それだけで私を殺す理由になる。
そんなこと一ミリも考えたことがなかった。私はただ人の為に役に立てたらいいな、と呑気に思っていただけだ。今まで勉強してきて色々なことを知っているつもりだった。それなりに自信もあった。
だけど今回私は何もできなかったし、何も知らなかった。何も考えていなかった。お兄様がいなかったら私はそう遠くない内に死んでいたかもしれない。
恐怖を感じた。だけどそれ以上にショックだった。エレナになって一年以上。努力はいまだに実っていない。
「わたくし、もっと勉強します。ですので、お兄様、わたくしに色々なことを教えてくださいませ」
「お前には国のトップレベルの教師がついているだろう」
お兄様が面倒くさそうに手をヒラリ、と振った。
それではダメなのだ。先生たちは皆すごい。分かりやすく教えてくれるし、何を質問しても答えてくれる。だけど、優しすぎる。厳しくしてくれる人が私には必要なのだ。そして教科書の知識ではない、実用的な知識が必要だ。
ぐっと黙り込むと、少しして聞こえた。
「……魔法に関しては教えてやる。剣はクルトに聞け。あいつは小柄だが、小さいなりの戦い方を知っている。お前には必要なはずだ」
「はい……!」
魔法はヘンドリックお兄様。剣はクルトお兄様。私の二人のお兄様はかっこいいだけじゃなくてすごいんだ。そう思うととても嬉しくなってきた。
思わず鼻歌を歌ってしまい、お兄様に睨まれる。
「話は終わっていない」
ええ、今の完全に終わった感じだったじゃん。もういいよ。とは言えず、私は口を閉じてお兄様を見た。
「お前はなぜ光属性を知っている」
……うん?
「もしかしてこれは一般に知られていないようなことなのでしょうか?」
首を傾げて聞いた私を見て、二人は目を見合わせた。お兄様は呆れたようなため息をつき、説明するのも面倒だといった様子で言った。
「光属性は伝説だ」
「はい、それは存じております」
だから伝説として皆知っているんでしょう?
「怪我を治す魔法があったら便利だな。その程度の認識なんだよ。怪我を治す魔法なんて存在しているわけがなくて、それを口に出すと子供の夢物語だと馬鹿にされる。そんな魔法が光属性だよ。まさかそれが存在して、光という属性を持っているなんて一部の人しか知らないんだ」
ヨハンが微笑んでそう言った。流石、魔法の先生になるくらいだもん。詳しいんだね。
なるほど、さっきの陛下を馬鹿にするような言い方はまさにそれか。
でもじゃあヒロインが光属性だってことはどうやって知られたんだっけ? 確か、ヒロインが自分で言ったのか? 誰かに言われたんだって言っていたような気がする。それでカイが必死になって調べたんだっけ?
ふむ、つまり、ゲームの中では光属性を知っている誰かがヒロインにそれを伝え、ヒロインがきっかけで世間に知られるようになったってこと?
「二度言わせるな。お前はなぜ知っている」
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