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進路決定
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「あ、あの、皆様? わたくし何かおかしいことを言ったのでしょうか?」
じとっとした視線を受けて、助けを求めるようにクリスを見ると、クリスだけはいつも通りに笑ってくれた。そして私の肩をポン、と叩く。
「エレナ、人生はそう甘くないんだよ」
どういう意味よ!
「大丈夫、エレナなら就職先も嫁入り先もいくらでも見つかるから、周りの言う通りにしておきな」
だからどういう意味よ! 大体就職先はともかく嫁入り先はいくらでも見つかったらおかしいでしょ。
なんて思っていると、反対側からため息が聞こえた。
「エレナは本気で文官科に行けると思っているのかい?」
……え? 文官科行けないの? なんで?
「まああれだけ魔法を使えるなら普通に魔法科だろうな」
「騎士団長は絶対に騎士科に入れるようにブレッカー先生に頼んでたよ」
レオンとマクシミリアンがそんなことを言う。私それ初耳なんだけど。なんで、魔法使えたら魔法科に入らなきゃなの!? ヴェルナー様はずるいし!
せっかく文官科に進もうって決めたのに……。呆然としていると、カイが苦笑しながら言った。
「文官科ってね、好きで行く子もいるんだけど、剣も苦手で魔法も使えないっていう子が行くんだよ」
それは私も聞いたことがあった。まるで文官科の生徒を下に見ているような感じがする噂。カイはそういうつもりはないんだろうけど。だけど、少し、ほんの少しだけ苛ついた。
「だから何だというのです? 剣も魔法も使えるわたくしが行っては駄目だと? それは違うのではないですか?」
きつい言い方になってしまったかもしれない。だけど本当に違う。そんな言い方はしてはいけない。特に、将来は国のトップに立つカイは。
「剣も魔法も使えない子の為に文官科があるわけではないでしょう? 将来就きたい職に就けるように勉強する。それは魔法科で騎士科でも文官科でも同じなはずですわ。そこに上位も下位もありませんわ。それに魔法科って主に魔法陣を学ぶのですよね? それって魔法学校に入学できるほどの魔力を持っていたら誰でもできることでは?」
魔法陣なしで魔法を使うなんて初めから論外だ。魔法学校ではそんなことは学ばない。魔力さえあれば魔法陣は使うことができる。魔法陣なしでの魔法が使えないから魔法科に言ってはいけないという含みのある噂があることがいけないのだ。
「わたくしは文官科に行きますわよ。誰が何と言っても。魔法も剣も使えるけど、わたくしは自分の意志で文官科に行きます」
同じく魔法も剣もある程度使えるクリスが「私も」と頷く。するとマクシミリアンが恐る恐る手を上げ、「僕も文官科」と小さく言った。ああ、そっか、マクシミリアンは攻略対象の中で唯一の文官科だった。それでカイは魔法科で、レオンは騎士科だったっけ? ヒロインのリリーは魔法科だよね。
こんな文官科を貶すような噂がある中で「文官科に行く」と言うのはどんなに勇気がいるのだろうか。それがコンプレックスになってもいけない。
「まあ、マクシミリアン様も! 一緒に頑張りましょうね」
マクシミリアンに笑顔を向けると、カイが言った。
「どうやら私は噂に踊らされすぎたようだね。エレナの言う通りだ。自分が恥ずかしいよ」
本当に恥ずかしそうに口をおさえるカイ。その表情を見て、カイはもう大丈夫だと分かった。間違った方向へ行きそうだったのをどうにか修正できたようだ。とても小さなことかもしれないけど。でもカイには良い皇帝陛下になってもらわないといけないから。
にっこりとカイへと笑顔を向ける。これで一件落着。だけど、文官科に行くと宣言したのはいいけど、そう簡単にいくかはまた別の話だ。ヴェルナー様と、多分ヘンドリックお兄様。クルトお兄様もかもしれない。それからお父様も? 私の科の選択に口を出しそうな人たちを思い浮かべると、ちょっと心が折れそうだった。
「私も文官科に行くよ」
「え!?」
カイの言葉にクリスの驚く声が聞こえた。そして我に返った。……うん? 今なんて言った? カイも文官科に行く? はい!?
クリスが驚かなかったら私が驚きで叫んでいたかもしれない。クリスナイス!
「あの、理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
カイの向こうでレオンの驚く顔が見えた。おそらく魔法科に行くことはもう決めていたのだろう。
「今のエレナの言葉で目が覚めたんだよ。文官科に行くのは魔法科にも騎士科にも進めない子だって言う噂はいけない。私が自ら文官科に入ることでその噂を少しでも薄められたらと思ったんだ」
……うん、まともな理由だ。カイの発言がちゃんと考えられて発されているのが分かる。が、それはそれとして、カイに文官科に来られるとちょっと困る。だってヒロインのリリーが編入するのは魔法科なのだ。科が違うことで攻略が難しくなってしまったら可哀そうだ。ゲームの進行も変わるかもしれないし。
だけど私が文官科に行くと宣言した以上、カイを止める理由が見当たらない。ああ、ここにヘンドリックお兄様がいたらうまく丸め込んでくれただろうに……!
なんとか理由を付けようと考えてみたが無理だ。……うん、まあなんとかなるよね。頑張れ、リリー! 私は早々に考えるのを止め、皆の会話に参加した。
じとっとした視線を受けて、助けを求めるようにクリスを見ると、クリスだけはいつも通りに笑ってくれた。そして私の肩をポン、と叩く。
「エレナ、人生はそう甘くないんだよ」
どういう意味よ!
「大丈夫、エレナなら就職先も嫁入り先もいくらでも見つかるから、周りの言う通りにしておきな」
だからどういう意味よ! 大体就職先はともかく嫁入り先はいくらでも見つかったらおかしいでしょ。
なんて思っていると、反対側からため息が聞こえた。
「エレナは本気で文官科に行けると思っているのかい?」
……え? 文官科行けないの? なんで?
「まああれだけ魔法を使えるなら普通に魔法科だろうな」
「騎士団長は絶対に騎士科に入れるようにブレッカー先生に頼んでたよ」
レオンとマクシミリアンがそんなことを言う。私それ初耳なんだけど。なんで、魔法使えたら魔法科に入らなきゃなの!? ヴェルナー様はずるいし!
せっかく文官科に進もうって決めたのに……。呆然としていると、カイが苦笑しながら言った。
「文官科ってね、好きで行く子もいるんだけど、剣も苦手で魔法も使えないっていう子が行くんだよ」
それは私も聞いたことがあった。まるで文官科の生徒を下に見ているような感じがする噂。カイはそういうつもりはないんだろうけど。だけど、少し、ほんの少しだけ苛ついた。
「だから何だというのです? 剣も魔法も使えるわたくしが行っては駄目だと? それは違うのではないですか?」
きつい言い方になってしまったかもしれない。だけど本当に違う。そんな言い方はしてはいけない。特に、将来は国のトップに立つカイは。
「剣も魔法も使えない子の為に文官科があるわけではないでしょう? 将来就きたい職に就けるように勉強する。それは魔法科で騎士科でも文官科でも同じなはずですわ。そこに上位も下位もありませんわ。それに魔法科って主に魔法陣を学ぶのですよね? それって魔法学校に入学できるほどの魔力を持っていたら誰でもできることでは?」
魔法陣なしで魔法を使うなんて初めから論外だ。魔法学校ではそんなことは学ばない。魔力さえあれば魔法陣は使うことができる。魔法陣なしでの魔法が使えないから魔法科に言ってはいけないという含みのある噂があることがいけないのだ。
「わたくしは文官科に行きますわよ。誰が何と言っても。魔法も剣も使えるけど、わたくしは自分の意志で文官科に行きます」
同じく魔法も剣もある程度使えるクリスが「私も」と頷く。するとマクシミリアンが恐る恐る手を上げ、「僕も文官科」と小さく言った。ああ、そっか、マクシミリアンは攻略対象の中で唯一の文官科だった。それでカイは魔法科で、レオンは騎士科だったっけ? ヒロインのリリーは魔法科だよね。
こんな文官科を貶すような噂がある中で「文官科に行く」と言うのはどんなに勇気がいるのだろうか。それがコンプレックスになってもいけない。
「まあ、マクシミリアン様も! 一緒に頑張りましょうね」
マクシミリアンに笑顔を向けると、カイが言った。
「どうやら私は噂に踊らされすぎたようだね。エレナの言う通りだ。自分が恥ずかしいよ」
本当に恥ずかしそうに口をおさえるカイ。その表情を見て、カイはもう大丈夫だと分かった。間違った方向へ行きそうだったのをどうにか修正できたようだ。とても小さなことかもしれないけど。でもカイには良い皇帝陛下になってもらわないといけないから。
にっこりとカイへと笑顔を向ける。これで一件落着。だけど、文官科に行くと宣言したのはいいけど、そう簡単にいくかはまた別の話だ。ヴェルナー様と、多分ヘンドリックお兄様。クルトお兄様もかもしれない。それからお父様も? 私の科の選択に口を出しそうな人たちを思い浮かべると、ちょっと心が折れそうだった。
「私も文官科に行くよ」
「え!?」
カイの言葉にクリスの驚く声が聞こえた。そして我に返った。……うん? 今なんて言った? カイも文官科に行く? はい!?
クリスが驚かなかったら私が驚きで叫んでいたかもしれない。クリスナイス!
「あの、理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
カイの向こうでレオンの驚く顔が見えた。おそらく魔法科に行くことはもう決めていたのだろう。
「今のエレナの言葉で目が覚めたんだよ。文官科に行くのは魔法科にも騎士科にも進めない子だって言う噂はいけない。私が自ら文官科に入ることでその噂を少しでも薄められたらと思ったんだ」
……うん、まともな理由だ。カイの発言がちゃんと考えられて発されているのが分かる。が、それはそれとして、カイに文官科に来られるとちょっと困る。だってヒロインのリリーが編入するのは魔法科なのだ。科が違うことで攻略が難しくなってしまったら可哀そうだ。ゲームの進行も変わるかもしれないし。
だけど私が文官科に行くと宣言した以上、カイを止める理由が見当たらない。ああ、ここにヘンドリックお兄様がいたらうまく丸め込んでくれただろうに……!
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