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久しぶりの我が家で私は一人、携帯とにらめっこをしていた。こうしてもう結構な時間が経っている。
ああ、今日ではなかったか。そう思ってもう寝てしまおうとベッドに横になろうとした時だった。携帯が震えた。
私は何も考えずに飛びつき、そして耳にあてた。
「久しぶりね、元気かしら?」
『本当にね。去年は無視されたからね』
そのエレナの言葉で去年は携帯を置いて旅行に行っていたことを思い出した。すっかり忘れていた。
「えっと……ごめんなさいね?」
『別にいいけど。それで、そっちの生活はどう?』
どう? どうと聞かれても何と答えればいいか……。とりあえず私が言えるのはこれだ。
「エレナが送った人生とは百八十度違う生活になったみたいだわ。すっかり有名人よ」
携帯の向こうから笑い声が聞こえた。
『今は三年生? 勉強はついていけてる?』
「そこは平気よ。難しいけど、コツさえ掴めばそんなに大変ではないわ。エレナこそ、大学生活はどうなの?」
『それはもう充実しまくりだよ。すごく楽しい』
声からそれが本心から出た言葉だと分かる。羨ましいとか、妬ましいとか、そんなことはこれっぽっちも思わなかった。心の底から安堵した。
「それはよかったわ。わたくしの人生をとられた上に全然楽しくないなんて言われたらムカつくもの」
『え……?』
困惑した声。
半分ははったりだった。というかそれしか考えられないから。
『知っていたの? 入れ替わった原因が私だって』
やっぱりそうなんだ、と思った。それだけ。
『ごめん……』
何も言わずにいたら力のない声が聞こえた。
「ちなみに聞くけど、戻ることはできるの?」
『……多分できる。私が使った魔法を打ち消す魔法陣で。だけど悪いけどその魔法陣は覚えてない。私も本で見ただけなの』
本で見た? 異世界の人間と入れ替わる魔法陣を? そんな魔法陣がこの世界に存在していると? それはあまりにおかしすぎる。そもそもはゲームのこの世界。しかし実際に暮らしてみて全く綻びのないことは知っている。唯一私の、エレナの存在意外。
それが世界観を壊すような魔法が存在してるってかなり不自然じゃない?
『愛玲奈が戻りたいなら好きにして。この数年をもらっただけで私は満足だから』
「いいえ、今のところ戻るつもりはないわ。そんな話は別にいいわ。私が知りたいのは別のこと。第一皇子のことは知ってる?」
与えられた時間は少ない。つい関係のない話をしてしまったけど、そんなのは今はどうでもいい。ユリウス殿下のことだ。何か情報はないだろうか。何か弱みを握ることができれば嬉しい。
『第一皇子って言ったらユリウスだよね。会ったことはあるよ』
会ったことがある!? 何で!? いつ!?
「どういうこと!?」
『どういうことも何も、入れ替わる前に時間を戻してもらったんだよ。だから入れ替わった当時はまだ八歳だったでしょ?』
え? 時間を戻してもらった? ユリウス殿下に? それはなんと……
「よく生きていられたわね」
光属性を持つエレナはきっとユリウス殿下には分かる。それまでは見つからなかったとしても目の前に立って分からないわけがないだろう。ユリウス殿下がリリーを見つけたように。
『機嫌がよかったんじゃないかな。後はもう全部が片付いた後だったから、今更国をかき回されたくなかったら……って半分脅しで』
……まじか。エレナ強すぎ。いやそれで本当によく殺されなかったな。
『後は一緒に戻られて何か不都合があったら嫌だから、魔法にちょちょっと割り込んで、私だけ戻ったの』
魔法に割り込む? 何それ……聞いたことないんだけど。え、待って、エレナすごくない!? というかそれができたらユリウス殿下だって怖くないんじゃない?
「魔法に割り込むって、そんなことできるの!?」
『練習したからね』
練習! 練習したら私もできるようになる!? だって体は同じだもんね。え、待って、できたら最強じゃない? これはやるしかない。
なんてそんなことを考えているうちにノイズが入り始めた。もう時間はないようだ。今回は今までで一番有益な情報が手に入った気がする。
「ありがとう、エレナ!」
『どうい……て』
自分が呼ばれている名前で他の人を呼ぶのはすごくくすぐったいが、それも気にならないくらい気分が高揚していた。そしてプツっと音がして、無機質な音が聞こえた。
……切れた。それにしてもエレナってそんなにすごいんだ。携帯をベッドへと投げ置き、横になる。同じ体を使っているというのに私はそんなことできるどころか考えたことすらなかった。
明日から早速練習だな。朝には寮に戻ってクリスに手伝ってもらおうか。いやでもクリスも今日家に帰ったばっかりだもんね。せっかくの帰省の邪魔をするのは良くないな。
まあいいか。寮に戻ったら誰かいるでしょ。ベアトリクスもいたはずだし。うん、暇そうな誰かに手伝ってもらおう。
……でもユリウス殿下のことはもう探さなくていいって言われたよね。
ずんと心が重くなる。ヘンドリックお兄様の言葉はずっと頭から離れない。
いやいや、でもユリウス殿下関係なくても使えたら便利かもしれないし! とりあえず頑張ってみよう!
半分自分に言い聞かせるようにそう思うと少し気持ちが楽になったような気がした。
ああ、今日ではなかったか。そう思ってもう寝てしまおうとベッドに横になろうとした時だった。携帯が震えた。
私は何も考えずに飛びつき、そして耳にあてた。
「久しぶりね、元気かしら?」
『本当にね。去年は無視されたからね』
そのエレナの言葉で去年は携帯を置いて旅行に行っていたことを思い出した。すっかり忘れていた。
「えっと……ごめんなさいね?」
『別にいいけど。それで、そっちの生活はどう?』
どう? どうと聞かれても何と答えればいいか……。とりあえず私が言えるのはこれだ。
「エレナが送った人生とは百八十度違う生活になったみたいだわ。すっかり有名人よ」
携帯の向こうから笑い声が聞こえた。
『今は三年生? 勉強はついていけてる?』
「そこは平気よ。難しいけど、コツさえ掴めばそんなに大変ではないわ。エレナこそ、大学生活はどうなの?」
『それはもう充実しまくりだよ。すごく楽しい』
声からそれが本心から出た言葉だと分かる。羨ましいとか、妬ましいとか、そんなことはこれっぽっちも思わなかった。心の底から安堵した。
「それはよかったわ。わたくしの人生をとられた上に全然楽しくないなんて言われたらムカつくもの」
『え……?』
困惑した声。
半分ははったりだった。というかそれしか考えられないから。
『知っていたの? 入れ替わった原因が私だって』
やっぱりそうなんだ、と思った。それだけ。
『ごめん……』
何も言わずにいたら力のない声が聞こえた。
「ちなみに聞くけど、戻ることはできるの?」
『……多分できる。私が使った魔法を打ち消す魔法陣で。だけど悪いけどその魔法陣は覚えてない。私も本で見ただけなの』
本で見た? 異世界の人間と入れ替わる魔法陣を? そんな魔法陣がこの世界に存在していると? それはあまりにおかしすぎる。そもそもはゲームのこの世界。しかし実際に暮らしてみて全く綻びのないことは知っている。唯一私の、エレナの存在意外。
それが世界観を壊すような魔法が存在してるってかなり不自然じゃない?
『愛玲奈が戻りたいなら好きにして。この数年をもらっただけで私は満足だから』
「いいえ、今のところ戻るつもりはないわ。そんな話は別にいいわ。私が知りたいのは別のこと。第一皇子のことは知ってる?」
与えられた時間は少ない。つい関係のない話をしてしまったけど、そんなのは今はどうでもいい。ユリウス殿下のことだ。何か情報はないだろうか。何か弱みを握ることができれば嬉しい。
『第一皇子って言ったらユリウスだよね。会ったことはあるよ』
会ったことがある!? 何で!? いつ!?
「どういうこと!?」
『どういうことも何も、入れ替わる前に時間を戻してもらったんだよ。だから入れ替わった当時はまだ八歳だったでしょ?』
え? 時間を戻してもらった? ユリウス殿下に? それはなんと……
「よく生きていられたわね」
光属性を持つエレナはきっとユリウス殿下には分かる。それまでは見つからなかったとしても目の前に立って分からないわけがないだろう。ユリウス殿下がリリーを見つけたように。
『機嫌がよかったんじゃないかな。後はもう全部が片付いた後だったから、今更国をかき回されたくなかったら……って半分脅しで』
……まじか。エレナ強すぎ。いやそれで本当によく殺されなかったな。
『後は一緒に戻られて何か不都合があったら嫌だから、魔法にちょちょっと割り込んで、私だけ戻ったの』
魔法に割り込む? 何それ……聞いたことないんだけど。え、待って、エレナすごくない!? というかそれができたらユリウス殿下だって怖くないんじゃない?
「魔法に割り込むって、そんなことできるの!?」
『練習したからね』
練習! 練習したら私もできるようになる!? だって体は同じだもんね。え、待って、できたら最強じゃない? これはやるしかない。
なんてそんなことを考えているうちにノイズが入り始めた。もう時間はないようだ。今回は今までで一番有益な情報が手に入った気がする。
「ありがとう、エレナ!」
『どうい……て』
自分が呼ばれている名前で他の人を呼ぶのはすごくくすぐったいが、それも気にならないくらい気分が高揚していた。そしてプツっと音がして、無機質な音が聞こえた。
……切れた。それにしてもエレナってそんなにすごいんだ。携帯をベッドへと投げ置き、横になる。同じ体を使っているというのに私はそんなことできるどころか考えたことすらなかった。
明日から早速練習だな。朝には寮に戻ってクリスに手伝ってもらおうか。いやでもクリスも今日家に帰ったばっかりだもんね。せっかくの帰省の邪魔をするのは良くないな。
まあいいか。寮に戻ったら誰かいるでしょ。ベアトリクスもいたはずだし。うん、暇そうな誰かに手伝ってもらおう。
……でもユリウス殿下のことはもう探さなくていいって言われたよね。
ずんと心が重くなる。ヘンドリックお兄様の言葉はずっと頭から離れない。
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