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よーし、終わったー!
リリーの様子を見ながらちまちまと薬草を薬にしていたせいか、体がバキバキだ。伸びをしたいけどまさか陛下の前でそんなことできない。
リリーも最後の方にはだいぶ作れるようになってたみたいだし、次からはもう少しスピードを上げて一気にしてしまおう。
作った錠剤をケースごと水属性の魔法で流す。錠剤を私の手で触ってしまったので、しっかりバイ菌はながしておかないといけない。衛生管理は大事だ。それにしても錠剤をとかさずに水で綺麗にできるって魔法ってほんと便利。
全てが終わり窓の外へ視線を向けると、もうすっかり真っ暗になってしまっていた。私が薬を作っている間、クリスは退屈そうに誰彼構わず話しかけていた。……来なければよかったのに。
学校が終わってから来たとはいえ、あれから四時間も経っていたなんてびっくり。時計を見ながらそんなことを考えていると、陛下が「ごほん」と咳払いをした。
おっと、ボーっとしていた。
「ご苦労。エレナだけを残して下がってくれ」
はいい!? いや、いいよ、私別に残らなくて。こうやって私一人残されるときはろくな話ではない。皆と一緒に部屋から出ようとすると、「エレナは残ってくれ」と重ねて言われてしまった。
二回目は聞こえなかったふりなんてできない。足を止めると、クリスは「外で待ってるよ」と手を振ってさっさと皆と一緒に出て行ってしまった。
部屋に残されたのは陛下と私だけ。私はすっかり冷めてしまったお茶を一口すすり、陛下を見た。
「どのようなご用件でしょうか?」
もう面倒な話はいいよ。私は話すことないよ。そう思っていると、陛下は顔色一つ変えずに言った。
「そなたにはカイの婚約者になってもらいたい」
ゲッ! カイの婚約者!? それって未来の皇后陛下ってことでしょ? 絶対嫌なんだけど!
笑顔を浮かべてみるが、頬が引きつっているのが分かる。あ、やばい、嫌そうな顔してしまう。
「そのようなことをしなくてもわたくしは陛下を裏切りませんわ」
別にカイの婚約者にならなくても私は敵対する気もないし、できれば今まで通り協力するつもりだ。だから必要ないよ。
私がそう言うと、陛下は「う、うむ……」と歯切れの悪い返事をする。あれ、違ったか。
「光属性の使い手を婚約者に、とおっしゃるのでしたら、リリー様をおすすめしますわ。優しくてとても可愛い子ですもの。殿下にぴったりですわ」
光属性の使い手を国の象徴としたいのなら私よりもリリーだ。顔は可愛いし、根っからのいい子だし。というかそもそもリリーの役目だし。
「……いや、エレナの言う両方とも確かに間違ってはいない。だが、そなたを婚約者に、と言っているのは違うのだ」
違う? 他に理由あるかな? んー、考えたら何個かは思いつくけど、やっぱりそれって私じゃなくてもいいよね。やっぱり平民の出よりも貴族の出の方がいいのかな。私とリリーの違いなんてそのくらいだし。
どうやって断ろうかと考えていると、陛下は決心したように顔を上げて言った。
「カイがそなたを望んでいるのだ」
うん? 今なんて言った?
「……殿下が、私を望んでいる」
頭の中が真っ白になって、おうむ返しをする私に陛下は頷いた。
「うむ、カイがそなたがいいと言っている」
……はい? どういう状況? つまり、カイは私のことが好きだと? いやいやいや、そんなの片鱗も見せなかったじゃん! そんんわけないよ。陛下の勘違いだって。
「えっと、人違いでは?」
「間違っていない。エレナ、そなただ」
マジか。リリーとカイをくっつけようと思い立った矢先にこれ? いや、マジか。
確かにカイはかっこいいし、愛玲奈の時はカイと付き合えたらどんなに幸せだろうと思っていた。が、実際にこの世界に来て、カイと会ったら何かが違うのだ。確かにかっこいいけど、でも違う。
だって最初に会った時まだ子供だったし。なんならまだ子供だし。
うーん、推す対象ではあるけど恋愛対象ではない。しかももれなく皇后陛下の位付き。論外だ。
「そなたの婚約者については色々聞いている。互いに望まぬ婚約なのだろう?」
それは確かにそうだけど……いや、でもカイと婚約するくらいならラルフの方がマシかもしれない。例え婚約が破棄されなかったとしても。つまり、ラルフの奥さんになって、あの馬鹿さ加減に苛つきながらストレスのある生活を送るか、カイの奥さんになって、国を支えるプレッシャーに耐えながらストレスのある生活を送るか。
そんなの選ぶとしたら絶対に前者だ。だってそっちの方が人に迷惑かからないし。私責任感なんて持てないし!
「命令、なのでしょうか?」
「命令ではない。カイがそなたを望んでいるので、親としてどうにかしたいと思っただけだ。別にそなたが断ったからと言って何か罰があるわけではない」
「では申し訳ありませんが、聞かなかったことにさせてくださいませ」
命令じゃないならきっぱりと断るまで。曖昧なままではこの先いいようにはならない。私はやっぱりリリーとカイをくっるけることに専念する!
「なぜだ? 皇子がそなたがいいと言っているのだ。何か不満があるのか?」
「不満はございません。ですが、それは殿下の望むことであって、わたくしの望むことではないのです」
不満と言うか、ただ嫌なだけ。私は偉くなんてなりたくない。ラルフとの婚約破棄の機会を逃してしまったことは少し悔やまれるけど。
陛下は私の言葉を聞いて少し考え、「そうか」と頷いた。
よしよし、納得してくれたかな。じゃあ私ももう帰っていいのかな?
「はっきりと言ってくれて助かった。このことはカイは知らぬ。いずれそれとなく伝えておくのでそなたも知らぬふりをしておいて欲しい」
「はい、かしこまりました」
まあカイは知らないよね。知っていたら絶対止めると思うもん。自分の気持ちを他の人から伝えられるなんて、耐えられる人ではない。
「また御用があったらいつでもお呼びくださいませ。本日はこれで失礼いたします」
失礼だとは思ったが、陛下の返事も待たずに部屋を出ると、向こうの方でクリスが待っているのが見えた。それで気が抜けたのか、思わず深いため息がこぼれた。
リリーの様子を見ながらちまちまと薬草を薬にしていたせいか、体がバキバキだ。伸びをしたいけどまさか陛下の前でそんなことできない。
リリーも最後の方にはだいぶ作れるようになってたみたいだし、次からはもう少しスピードを上げて一気にしてしまおう。
作った錠剤をケースごと水属性の魔法で流す。錠剤を私の手で触ってしまったので、しっかりバイ菌はながしておかないといけない。衛生管理は大事だ。それにしても錠剤をとかさずに水で綺麗にできるって魔法ってほんと便利。
全てが終わり窓の外へ視線を向けると、もうすっかり真っ暗になってしまっていた。私が薬を作っている間、クリスは退屈そうに誰彼構わず話しかけていた。……来なければよかったのに。
学校が終わってから来たとはいえ、あれから四時間も経っていたなんてびっくり。時計を見ながらそんなことを考えていると、陛下が「ごほん」と咳払いをした。
おっと、ボーっとしていた。
「ご苦労。エレナだけを残して下がってくれ」
はいい!? いや、いいよ、私別に残らなくて。こうやって私一人残されるときはろくな話ではない。皆と一緒に部屋から出ようとすると、「エレナは残ってくれ」と重ねて言われてしまった。
二回目は聞こえなかったふりなんてできない。足を止めると、クリスは「外で待ってるよ」と手を振ってさっさと皆と一緒に出て行ってしまった。
部屋に残されたのは陛下と私だけ。私はすっかり冷めてしまったお茶を一口すすり、陛下を見た。
「どのようなご用件でしょうか?」
もう面倒な話はいいよ。私は話すことないよ。そう思っていると、陛下は顔色一つ変えずに言った。
「そなたにはカイの婚約者になってもらいたい」
ゲッ! カイの婚約者!? それって未来の皇后陛下ってことでしょ? 絶対嫌なんだけど!
笑顔を浮かべてみるが、頬が引きつっているのが分かる。あ、やばい、嫌そうな顔してしまう。
「そのようなことをしなくてもわたくしは陛下を裏切りませんわ」
別にカイの婚約者にならなくても私は敵対する気もないし、できれば今まで通り協力するつもりだ。だから必要ないよ。
私がそう言うと、陛下は「う、うむ……」と歯切れの悪い返事をする。あれ、違ったか。
「光属性の使い手を婚約者に、とおっしゃるのでしたら、リリー様をおすすめしますわ。優しくてとても可愛い子ですもの。殿下にぴったりですわ」
光属性の使い手を国の象徴としたいのなら私よりもリリーだ。顔は可愛いし、根っからのいい子だし。というかそもそもリリーの役目だし。
「……いや、エレナの言う両方とも確かに間違ってはいない。だが、そなたを婚約者に、と言っているのは違うのだ」
違う? 他に理由あるかな? んー、考えたら何個かは思いつくけど、やっぱりそれって私じゃなくてもいいよね。やっぱり平民の出よりも貴族の出の方がいいのかな。私とリリーの違いなんてそのくらいだし。
どうやって断ろうかと考えていると、陛下は決心したように顔を上げて言った。
「カイがそなたを望んでいるのだ」
うん? 今なんて言った?
「……殿下が、私を望んでいる」
頭の中が真っ白になって、おうむ返しをする私に陛下は頷いた。
「うむ、カイがそなたがいいと言っている」
……はい? どういう状況? つまり、カイは私のことが好きだと? いやいやいや、そんなの片鱗も見せなかったじゃん! そんんわけないよ。陛下の勘違いだって。
「えっと、人違いでは?」
「間違っていない。エレナ、そなただ」
マジか。リリーとカイをくっつけようと思い立った矢先にこれ? いや、マジか。
確かにカイはかっこいいし、愛玲奈の時はカイと付き合えたらどんなに幸せだろうと思っていた。が、実際にこの世界に来て、カイと会ったら何かが違うのだ。確かにかっこいいけど、でも違う。
だって最初に会った時まだ子供だったし。なんならまだ子供だし。
うーん、推す対象ではあるけど恋愛対象ではない。しかももれなく皇后陛下の位付き。論外だ。
「そなたの婚約者については色々聞いている。互いに望まぬ婚約なのだろう?」
それは確かにそうだけど……いや、でもカイと婚約するくらいならラルフの方がマシかもしれない。例え婚約が破棄されなかったとしても。つまり、ラルフの奥さんになって、あの馬鹿さ加減に苛つきながらストレスのある生活を送るか、カイの奥さんになって、国を支えるプレッシャーに耐えながらストレスのある生活を送るか。
そんなの選ぶとしたら絶対に前者だ。だってそっちの方が人に迷惑かからないし。私責任感なんて持てないし!
「命令、なのでしょうか?」
「命令ではない。カイがそなたを望んでいるので、親としてどうにかしたいと思っただけだ。別にそなたが断ったからと言って何か罰があるわけではない」
「では申し訳ありませんが、聞かなかったことにさせてくださいませ」
命令じゃないならきっぱりと断るまで。曖昧なままではこの先いいようにはならない。私はやっぱりリリーとカイをくっるけることに専念する!
「なぜだ? 皇子がそなたがいいと言っているのだ。何か不満があるのか?」
「不満はございません。ですが、それは殿下の望むことであって、わたくしの望むことではないのです」
不満と言うか、ただ嫌なだけ。私は偉くなんてなりたくない。ラルフとの婚約破棄の機会を逃してしまったことは少し悔やまれるけど。
陛下は私の言葉を聞いて少し考え、「そうか」と頷いた。
よしよし、納得してくれたかな。じゃあ私ももう帰っていいのかな?
「はっきりと言ってくれて助かった。このことはカイは知らぬ。いずれそれとなく伝えておくのでそなたも知らぬふりをしておいて欲しい」
「はい、かしこまりました」
まあカイは知らないよね。知っていたら絶対止めると思うもん。自分の気持ちを他の人から伝えられるなんて、耐えられる人ではない。
「また御用があったらいつでもお呼びくださいませ。本日はこれで失礼いたします」
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