【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

文字の大きさ
7 / 262
中学生編 side晴人

6.桜雫

しおりを挟む
じゃあ、どうして俺にキスしたんだろう…。
やっぱり、出来心だったんだろうか。
そう考えて、ふとその前にした会話に思い至る。

そうだ、俺が遥に外人の彼氏ができるかもって言ったんだ。
それに対して蓮は、

『聞きたくない。』

そう言って、そこから様子がおかしくなった。

あの日、蓮は遥と離れ離れになることが分かってショックだっただろう。
それなのに俺は、彼氏がどうのと不安を煽るような事を言ってしまった。

蓮はそれを聞きたくなくて、俺を黙らせた。
俺に対して腹が立ってたから、キスと言う方法で…。
気持ち的には殴りたかったのかもしれない。
けど、幼馴染の俺に暴力は振るえない。
だから、ちょっとした嫌がらせのつもりだったんじゃないだろうか。

それとも、遥にキスするための練習台だったとか?


……何だよ、もう。
やっぱり、話し聞かなかった俺が悪いんじゃん。
ちょっとでも蓮が俺の事好きなんじゃないかと思ったりして恥ずかしい。
とんだ自意識過剰野郎だ。

蓮も遥が好きならそう言ってくれれば良かったのに。
そしたら、協力だって応援だってできたのに。

でも、さっきの光景を見るに、蓮は遥に気持ちを伝えて上手くいったんだろう。
二人は晴れて恋人同士、になったんだな。

それを俺に報告してくる幸せそうな二人を想像して、胸がキリリと痛んだ。
パタパタと制服に雫が落ちる。

大好きな幼馴染の幸せを祝うべきなのに、どうして俺は泣いてるんだろう。
そう思うのに涙は後から溢れてきて、俺の頬と制服を濡らしていく。

蓮、ごめんなーーー。
勘違いしてごめん。酷い態度をとってごめん。
それからーーーー。

俺は一人嗚咽を堪えながら、知らぬ間に芽生えていた気持ちに気が付かないふりをして、深く心の奥にしまいこんだ。

絶対に出てこないように、厳重に鍵をかけてーー。


泣き疲れて家に帰ると、都合のいいことに父さんも母さんもいなかった。
あ、そうか。夫婦で食事って今日だったな。
ぼんやり思いながら保冷剤で目をアイシングする。

そのまま暫く眠ってたみたいだ。
時刻は19時。
こんな時でもグーグー鳴るお腹に笑ってしまう。
目の腫れも引いてきたしコンビニでもいくかな。

家を出た時だった。

「晴?」

背後からの声にハッとして振り返ると、そこには。

蓮……じゃなくて翔君が立っていた。
翔君は蓮の年の離れた兄貴で、大学の医学部を来年卒業予定だ。
てか蓮と声似すぎててビビったわ。

「翔君!帰ってきてたの?」

翔君は都内で一人暮らしをしている。
実家には年始に帰ってくる程度だから、こんな季節に会うのは珍しい。

「おー!友達の結婚式あるから、サプライズムービーの写真探しに来たんだわ。」

「そっか、アルバムとか実家だもんね。」

「そそ。どこ行くん?」

「コンビニ。今日父さんも母さんもいないから。」

俺がそう言うと、翔君は俺の肩をガシッと掴んだ。

「そんならピザ取ってやるから家来いよ!」

そして有無を言わせず俺を連行する。

「え!ちょっ、翔くん⁉︎」

「家も今日は俺と蓮だけだから!楽しくパーティーしよーぜ!」

それが気まずいんだよぉぉぉ!!
他に誰か居てくれた方がまだ気が楽だわ!!

そんな心の叫びも虚しく、俺は切藤家のデカイ門をくぐったのだった。

しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ

MITARASI_
BL
I 彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。 「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。 揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。 不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。 すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。 切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。 Ⅱ 高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。  別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。  未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。  恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。  そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。  過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。  不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。  それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。  高校編のその先を描く大学生活編。  選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。 続編執筆中

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

処理中です...