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中学生編 side晴人
6.桜雫
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じゃあ、どうして俺にキスしたんだろう…。
やっぱり、出来心だったんだろうか。
そう考えて、ふとその前にした会話に思い至る。
そうだ、俺が遥に外人の彼氏ができるかもって言ったんだ。
それに対して蓮は、
『聞きたくない。』
そう言って、そこから様子がおかしくなった。
あの日、蓮は遥と離れ離れになることが分かってショックだっただろう。
それなのに俺は、彼氏がどうのと不安を煽るような事を言ってしまった。
蓮はそれを聞きたくなくて、俺を黙らせた。
俺に対して腹が立ってたから、キスと言う方法で…。
気持ち的には殴りたかったのかもしれない。
けど、幼馴染の俺に暴力は振るえない。
だから、ちょっとした嫌がらせのつもりだったんじゃないだろうか。
それとも、遥にキスするための練習台だったとか?
……何だよ、もう。
やっぱり、話し聞かなかった俺が悪いんじゃん。
ちょっとでも蓮が俺の事好きなんじゃないかと思ったりして恥ずかしい。
とんだ自意識過剰野郎だ。
蓮も遥が好きならそう言ってくれれば良かったのに。
そしたら、協力だって応援だってできたのに。
でも、さっきの光景を見るに、蓮は遥に気持ちを伝えて上手くいったんだろう。
二人は晴れて恋人同士、になったんだな。
それを俺に報告してくる幸せそうな二人を想像して、胸がキリリと痛んだ。
パタパタと制服に雫が落ちる。
大好きな幼馴染の幸せを祝うべきなのに、どうして俺は泣いてるんだろう。
そう思うのに涙は後から溢れてきて、俺の頬と制服を濡らしていく。
蓮、ごめんなーーー。
勘違いしてごめん。酷い態度をとってごめん。
それからーーーー。
俺は一人嗚咽を堪えながら、知らぬ間に芽生えていた気持ちに気が付かないふりをして、深く心の奥にしまいこんだ。
絶対に出てこないように、厳重に鍵をかけてーー。
泣き疲れて家に帰ると、都合のいいことに父さんも母さんもいなかった。
あ、そうか。夫婦で食事って今日だったな。
ぼんやり思いながら保冷剤で目をアイシングする。
そのまま暫く眠ってたみたいだ。
時刻は19時。
こんな時でもグーグー鳴るお腹に笑ってしまう。
目の腫れも引いてきたしコンビニでもいくかな。
家を出た時だった。
「晴?」
背後からの声にハッとして振り返ると、そこには。
蓮……じゃなくて翔君が立っていた。
翔君は蓮の年の離れた兄貴で、大学の医学部を来年卒業予定だ。
てか蓮と声似すぎててビビったわ。
「翔君!帰ってきてたの?」
翔君は都内で一人暮らしをしている。
実家には年始に帰ってくる程度だから、こんな季節に会うのは珍しい。
「おー!友達の結婚式あるから、サプライズムービーの写真探しに来たんだわ。」
「そっか、アルバムとか実家だもんね。」
「そそ。どこ行くん?」
「コンビニ。今日父さんも母さんもいないから。」
俺がそう言うと、翔君は俺の肩をガシッと掴んだ。
「そんならピザ取ってやるから家来いよ!」
そして有無を言わせず俺を連行する。
「え!ちょっ、翔くん⁉︎」
「家も今日は俺と蓮だけだから!楽しくパーティーしよーぜ!」
それが気まずいんだよぉぉぉ!!
他に誰か居てくれた方がまだ気が楽だわ!!
そんな心の叫びも虚しく、俺は切藤家のデカイ門をくぐったのだった。
やっぱり、出来心だったんだろうか。
そう考えて、ふとその前にした会話に思い至る。
そうだ、俺が遥に外人の彼氏ができるかもって言ったんだ。
それに対して蓮は、
『聞きたくない。』
そう言って、そこから様子がおかしくなった。
あの日、蓮は遥と離れ離れになることが分かってショックだっただろう。
それなのに俺は、彼氏がどうのと不安を煽るような事を言ってしまった。
蓮はそれを聞きたくなくて、俺を黙らせた。
俺に対して腹が立ってたから、キスと言う方法で…。
気持ち的には殴りたかったのかもしれない。
けど、幼馴染の俺に暴力は振るえない。
だから、ちょっとした嫌がらせのつもりだったんじゃないだろうか。
それとも、遥にキスするための練習台だったとか?
……何だよ、もう。
やっぱり、話し聞かなかった俺が悪いんじゃん。
ちょっとでも蓮が俺の事好きなんじゃないかと思ったりして恥ずかしい。
とんだ自意識過剰野郎だ。
蓮も遥が好きならそう言ってくれれば良かったのに。
そしたら、協力だって応援だってできたのに。
でも、さっきの光景を見るに、蓮は遥に気持ちを伝えて上手くいったんだろう。
二人は晴れて恋人同士、になったんだな。
それを俺に報告してくる幸せそうな二人を想像して、胸がキリリと痛んだ。
パタパタと制服に雫が落ちる。
大好きな幼馴染の幸せを祝うべきなのに、どうして俺は泣いてるんだろう。
そう思うのに涙は後から溢れてきて、俺の頬と制服を濡らしていく。
蓮、ごめんなーーー。
勘違いしてごめん。酷い態度をとってごめん。
それからーーーー。
俺は一人嗚咽を堪えながら、知らぬ間に芽生えていた気持ちに気が付かないふりをして、深く心の奥にしまいこんだ。
絶対に出てこないように、厳重に鍵をかけてーー。
泣き疲れて家に帰ると、都合のいいことに父さんも母さんもいなかった。
あ、そうか。夫婦で食事って今日だったな。
ぼんやり思いながら保冷剤で目をアイシングする。
そのまま暫く眠ってたみたいだ。
時刻は19時。
こんな時でもグーグー鳴るお腹に笑ってしまう。
目の腫れも引いてきたしコンビニでもいくかな。
家を出た時だった。
「晴?」
背後からの声にハッとして振り返ると、そこには。
蓮……じゃなくて翔君が立っていた。
翔君は蓮の年の離れた兄貴で、大学の医学部を来年卒業予定だ。
てか蓮と声似すぎててビビったわ。
「翔君!帰ってきてたの?」
翔君は都内で一人暮らしをしている。
実家には年始に帰ってくる程度だから、こんな季節に会うのは珍しい。
「おー!友達の結婚式あるから、サプライズムービーの写真探しに来たんだわ。」
「そっか、アルバムとか実家だもんね。」
「そそ。どこ行くん?」
「コンビニ。今日父さんも母さんもいないから。」
俺がそう言うと、翔君は俺の肩をガシッと掴んだ。
「そんならピザ取ってやるから家来いよ!」
そして有無を言わせず俺を連行する。
「え!ちょっ、翔くん⁉︎」
「家も今日は俺と蓮だけだから!楽しくパーティーしよーぜ!」
それが気まずいんだよぉぉぉ!!
他に誰か居てくれた方がまだ気が楽だわ!!
そんな心の叫びも虚しく、俺は切藤家のデカイ門をくぐったのだった。
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