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高校生編side晴人 守ってくれるのは大切だからだって思いたい
53.側に
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「マジで驚きしかないわ…。」
黒崎君の言葉に、啓太が猛烈に頷く。
うん、分かるよ。
蓮母に会った人って大体こうなるから。
「若い頃フランスで女優やってて、蓮のお父さんと出会って日本に帰国したんだって。
今はアパレルのデザイナー兼社長さん。」
蓮母と別れた後、俺達は駅へと向かった。
後ろ髪引かれる思いはあったけど、ここは蓮母に任せるしかないと思ったから。
黒崎君が買って来てくれたカフェラテを飲みながら歩くと、身体が暖まってホッと息を吐いた。
暗く沈んでた思考が少し浮上する。
「黒崎君て本当優しいね。」
俺が言うと、彼は笑った。
「いや、寒空の下ならあったかい物がセオリーじゃん?何かの真似しただけだよ。」
その言葉には何処か自嘲するような響きがある。
「それを行動に移せるのが凄いんだって。
真似しようと思ったのも黒崎君の意志でしょ。」
「……。」
急に黙ってしまった黒崎君の方を見ると、何とも言えない顔をしてた。
「え、俺何か変な事言っちゃった?」
「ううん。全然。」
彼はヘラリと笑った。
地雷でも踏んだかと思ったけど、どことなく嬉しそうだから大丈夫かな?
「それにしても蓮の奴、こんなスゲェ事黙ってるんだもんなぁ。」
話しを戻した黒崎君に、啓太が頷く。
「あの人が家にいるとか…現実感の無さがヤバイよな。飯作ってるのとか想像できねぇよ。」
実は、蓮母はあんまり料理しない。
家政婦さんが作ってくれるからなんだけど、薄味の和食ばっかで蓮には物足りないらしい。
一緒にいた頃はしょっちゅう俺の父さんのご飯食べに来てたもんなぁ。
そんな事を考えてたら、俺の家の最寄駅に着いてた。
ナチュラルに一緒に降りて来た二人にビックリする。啓太はもっと先だし、黒崎君に至ってはどこ住みかすら知らない。
そのまま家まで送ってくれそうな雰囲気に、ここで大丈夫だからと説得しようとした時だった。
「晴?おかえり。」
買い物袋を持った父さんが現れた。
「あ、ただいま。」
「啓太君、久しぶり。そちらのイケメンは初めましてだね。」
ニコニコする父さんに、啓太と黒崎君が挨拶を返してくれる。
「これから何処か行くの?丁度アップルパイ焼いた所だけど、良かったら家に来てもらったら?」
「…って言ってるんだけどどう?ここまで送ってもらったし、予定が無ければだけど…。」
最後の言葉は特に黒崎君に向けて。
デートの約束とか大丈夫かな?
「え、いいのか?」
「お邪魔しまーす!」
乗り気な二人に父さんは嬉しそうだ。
駐車場まで歩いて、そこからは車で家に向かう。
「マジか!童話の家じゃん!」
黒崎君が我が家を見て驚いてる。
「母さんが父さんの作品のファンだから、その家に住みたかったんだって。」
「作品?」
「うん、僕は絵本作家なんだよ。ランベール憲人で検索して見てね!」
CMみたいな事を言う父さんに、啓太と黒崎君が笑う。
「ランベールってフランスの苗字だよね?
今日凄ぇフランスに触れてる気がすんだけど!」
ケラケラ笑う黒崎君と同意する啓太。
「あ、うん、そうだね。蓮母とうちの母さんが仲良くなったのフランスきっかけだから…。」
俺がクウォーターって話しにならなくてホッとする。
黒崎君はいい人だけどさ、なるべく誰にも知られたくなかったりして。
「お邪魔しまーす!」
家に入ってリビングにお茶の支度をすると、父さんは書斎に籠ると言って出て行った。
「うわ!アップルパイ!店のクオリティーじゃん!」
おやつも二人の口に合ったようで何よりだ。
こうやって過ごしてると、学校での出来事が悪い夢みたいに感じる。
でも、実際には蓮は今も不当に拘束されてて…。
「…と……ると!…晴人!」
「えっ?」
名前を呼ぶ声にハッとして顔を上げると、啓太が心配そうにこっちを見てる。
「あ、ごめん…。何だっけ?」
慌てて言う俺に、啓太は一瞬何か言いたげな表情になったけど直ぐに笑顔を見せた。
「アルバムとかないの?子供の頃のやつ。」
「チビ蓮も写ってるっしょ⁉︎見たい!」
アルバムなら俺の部屋だ。
「OK!取ってくるね!」
俺はリビングを出て二階に向かう。
二人がいてくれて良かったーー。
そうじゃなかったら、罪悪感の渦に飲み込まれてたと思う。
啓太も黒崎君も、それが分かってて一緒にいてくれるんだよな。
啓太は元々だけど、ここ数日で黒崎君の事も好きになった。
友達って有難い。
そして、それとは全く違う「好き」の存在。
また守ってもらった。いつもそうだ。
俺は、蓮に何もしてあげられないのにーー。
蓮に相応しくない自分が嫌で、嫌われるのが怖くて離れる事を選んだ。
それなのに、性懲りも無く願ってしまう。
顔が見たい。
声が聞きたい。
話したい。
遠くから想うんじゃなくて、側にいたい。
なぁ、ダメかな。
蓮ーーー。
●●●
晴人が落ち込むのを見越して「晴を頼む」のアイコンタクト。
それを理解して遂行する啓太(と黒崎)。
良いコンビネーション。
晴人は「蓮に何も返せない」けど、それでも側にいたいと思うようになりました。成長!
黒崎君の言葉に、啓太が猛烈に頷く。
うん、分かるよ。
蓮母に会った人って大体こうなるから。
「若い頃フランスで女優やってて、蓮のお父さんと出会って日本に帰国したんだって。
今はアパレルのデザイナー兼社長さん。」
蓮母と別れた後、俺達は駅へと向かった。
後ろ髪引かれる思いはあったけど、ここは蓮母に任せるしかないと思ったから。
黒崎君が買って来てくれたカフェラテを飲みながら歩くと、身体が暖まってホッと息を吐いた。
暗く沈んでた思考が少し浮上する。
「黒崎君て本当優しいね。」
俺が言うと、彼は笑った。
「いや、寒空の下ならあったかい物がセオリーじゃん?何かの真似しただけだよ。」
その言葉には何処か自嘲するような響きがある。
「それを行動に移せるのが凄いんだって。
真似しようと思ったのも黒崎君の意志でしょ。」
「……。」
急に黙ってしまった黒崎君の方を見ると、何とも言えない顔をしてた。
「え、俺何か変な事言っちゃった?」
「ううん。全然。」
彼はヘラリと笑った。
地雷でも踏んだかと思ったけど、どことなく嬉しそうだから大丈夫かな?
「それにしても蓮の奴、こんなスゲェ事黙ってるんだもんなぁ。」
話しを戻した黒崎君に、啓太が頷く。
「あの人が家にいるとか…現実感の無さがヤバイよな。飯作ってるのとか想像できねぇよ。」
実は、蓮母はあんまり料理しない。
家政婦さんが作ってくれるからなんだけど、薄味の和食ばっかで蓮には物足りないらしい。
一緒にいた頃はしょっちゅう俺の父さんのご飯食べに来てたもんなぁ。
そんな事を考えてたら、俺の家の最寄駅に着いてた。
ナチュラルに一緒に降りて来た二人にビックリする。啓太はもっと先だし、黒崎君に至ってはどこ住みかすら知らない。
そのまま家まで送ってくれそうな雰囲気に、ここで大丈夫だからと説得しようとした時だった。
「晴?おかえり。」
買い物袋を持った父さんが現れた。
「あ、ただいま。」
「啓太君、久しぶり。そちらのイケメンは初めましてだね。」
ニコニコする父さんに、啓太と黒崎君が挨拶を返してくれる。
「これから何処か行くの?丁度アップルパイ焼いた所だけど、良かったら家に来てもらったら?」
「…って言ってるんだけどどう?ここまで送ってもらったし、予定が無ければだけど…。」
最後の言葉は特に黒崎君に向けて。
デートの約束とか大丈夫かな?
「え、いいのか?」
「お邪魔しまーす!」
乗り気な二人に父さんは嬉しそうだ。
駐車場まで歩いて、そこからは車で家に向かう。
「マジか!童話の家じゃん!」
黒崎君が我が家を見て驚いてる。
「母さんが父さんの作品のファンだから、その家に住みたかったんだって。」
「作品?」
「うん、僕は絵本作家なんだよ。ランベール憲人で検索して見てね!」
CMみたいな事を言う父さんに、啓太と黒崎君が笑う。
「ランベールってフランスの苗字だよね?
今日凄ぇフランスに触れてる気がすんだけど!」
ケラケラ笑う黒崎君と同意する啓太。
「あ、うん、そうだね。蓮母とうちの母さんが仲良くなったのフランスきっかけだから…。」
俺がクウォーターって話しにならなくてホッとする。
黒崎君はいい人だけどさ、なるべく誰にも知られたくなかったりして。
「お邪魔しまーす!」
家に入ってリビングにお茶の支度をすると、父さんは書斎に籠ると言って出て行った。
「うわ!アップルパイ!店のクオリティーじゃん!」
おやつも二人の口に合ったようで何よりだ。
こうやって過ごしてると、学校での出来事が悪い夢みたいに感じる。
でも、実際には蓮は今も不当に拘束されてて…。
「…と……ると!…晴人!」
「えっ?」
名前を呼ぶ声にハッとして顔を上げると、啓太が心配そうにこっちを見てる。
「あ、ごめん…。何だっけ?」
慌てて言う俺に、啓太は一瞬何か言いたげな表情になったけど直ぐに笑顔を見せた。
「アルバムとかないの?子供の頃のやつ。」
「チビ蓮も写ってるっしょ⁉︎見たい!」
アルバムなら俺の部屋だ。
「OK!取ってくるね!」
俺はリビングを出て二階に向かう。
二人がいてくれて良かったーー。
そうじゃなかったら、罪悪感の渦に飲み込まれてたと思う。
啓太も黒崎君も、それが分かってて一緒にいてくれるんだよな。
啓太は元々だけど、ここ数日で黒崎君の事も好きになった。
友達って有難い。
そして、それとは全く違う「好き」の存在。
また守ってもらった。いつもそうだ。
俺は、蓮に何もしてあげられないのにーー。
蓮に相応しくない自分が嫌で、嫌われるのが怖くて離れる事を選んだ。
それなのに、性懲りも無く願ってしまう。
顔が見たい。
声が聞きたい。
話したい。
遠くから想うんじゃなくて、側にいたい。
なぁ、ダメかな。
蓮ーーー。
●●●
晴人が落ち込むのを見越して「晴を頼む」のアイコンタクト。
それを理解して遂行する啓太(と黒崎)。
良いコンビネーション。
晴人は「蓮に何も返せない」けど、それでも側にいたいと思うようになりました。成長!
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