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エルフ王国
練習の成果
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――国王とイヤン達が話し合っている頃、ナオは遂に指弾の熟練度を限界値の「5」にまで上昇させ、更に練習を続けているうちに新しい「技術スキル」を覚えていた。
「よし……もう一度やるか」
机の上の花瓶に視線を向け、彼は狙いを定めながら右手に構えた硬貨を弾き、花瓶にではなく反対側の壁に向けて放つ。弾かれた硬貨が壁に衝突した瞬間、跳ね返って後ろから花瓶に衝突する。それを確認したナオは満足げに頷き、ステータス画面に表示された「跳弾」の戦技を確認する。
『跳弾(技術スキル)――標的物以外の物体に指弾を当てて跳弾させる』
「これは便利なスキルだな。相手に外したと思わせて別角度から攻撃できるかも知れない」
偶然にも的を外した硬貨が跳ね返って花瓶に衝突したときに覚えたスキルであり、こちらの方は的を外しても自動的に標的に向けて跳ね返るため、殆ど硬貨を外すことはなくなった。しかも熟練度が上昇した事で最初の頃と比べると打ち出す速度も速くなり、飛距離も伸びていた。
「だけどこれだけ当てても壊れる様子もないな……どんだけひ弱なんだよ」
陶器製の花瓶に何百回も硬貨を当てたはずだが、花瓶が壊れる処から掠り傷さえも付けることが出来ず、熟練度を5に上昇させた事で攻撃の威力も上昇しているはずだが壊せる様子はない。仕方なくナオはベッドの上に移動して両手に握りしめた硬貨に視線を向けると、不意に部屋の中で奇妙な音が聞こえてきた。
「なんだ?」
何処からか聞こえてくる音にナオは疑問を抱き、ちょうど自分の横たわっているベッドの下から聞こえてくる事に気付いた瞬間、ベッドの下から小さな物体が飛び出す。
「チュイッ!!」
「うわ、何だっ!?」
飛び出してきたのは紫色の体毛の鼠であり、それを見たナオは驚きの声を上げるが、鼠は床を駆け巡ると机の上に跳躍する。普通のネズミと比べてもかなり大きく、少なくとも体長は50センチは存在した。恐らくはこの世界の固有の魔物と思われるが、ナオは唐突に部屋の中に現れた鼠に驚きを隠せない。
「何だこいつ……うわ、こっち見た!?」
「チュルルッ……!!」
奇怪な鳴き声をあげながら鼠がナオに視線を向け、観察するように瞳を向ける。その様子にナオは背筋が凍り、まるで鼠が人間のように知性があるように彼には感じられた。
「くそっ……あっち行け!!」
「ヂュウッ!?」
その不気味な視線に耐えられずにナオは右手を向け、覚えたばかりの指弾を打ち込む。見事に弾かれた硬貨は鼠の身体に衝突したが、相手は少し怯んだ様子で机の上に四つん這いになり、怒りの表情を浮かべながらナオに飛び掛かる。
「チュイイッ!!」
「うわっ!?」
鼠が牙を向けてベッドの上に飛び掛かり、ナオは咄嗟にその場を離れると、鼠は枕に噛みついて簡単に布を引き裂き、羽毛が舞い上がる。その光景にナオは恐怖を抱き、この鼠が明らかに普通ではない事に気付いて指を構える。
「このっ!!」
「ヂュイッ!?」
技能スキルの「速射」と戦技の「連射」を利用してレナは両手の硬貨を続けざまに鼠に衝突させ、鼠は痛がるようにベッドから移動する。その一方で反対側の壁にまで避難したナオは冷や汗を流しながら硬貨以外に武器になるような物を探し、そして花瓶に活けられている薔薇に気付く。
「これだ!!」
ナオは花瓶から薔薇を一本取り出し、棘の部分に気を付けながら持ち上げると、鼠に視線を向ける。相手は流石に警戒したようにナオに視線を向け、いつでも回避できる体勢を整えるが、ナオは左手で薔薇を掴みながら右手を天井に向けて指弾を打ち込む。
「ここっ!!」
「チュイッ!?」
見当違いの方向に硬貨を打ち込んだナオに鼠は驚くが、弾かれた硬貨が天井に衝突した瞬間、跳ね返って床に存在する鼠に向けて接近する。その光景を確認した鼠は咄嗟に空中に跳躍して回避するが、その隙を逃さずにナオは空間魔法の黒渦を発生させ、薔薇を半ば差し込む。
「喰らえっ!!」
「ヂュイイイッ!?」
薔薇の花びらの部分を黒渦に飲み込ませた状態でナオは「狙撃」の技能スキルを生かし、指を離して空間魔法を解除させる。次の瞬間、黒渦が消失したのと同時に弾かれるように加速した薔薇の茎が弾丸のように撃ち込まれ、鼠の肉体を貫通した。
「ヂュウウッ……!?」
「……死んだ?」
鼠は悲鳴を上げながらしばらくは転げまわっていたが、やがて完全に動かなくなり、その光景を確認したナオは安堵の息を吐く。それと同時に只の鼠に命の危機を感じてしまった自分を情けなく思うが、結果的に空間魔法を利用して攻撃法が成功した事に自信を抱く。
「上手く成功して良かった……あれ、何でレベルが上がってるんだ?」
鼠を倒して安堵したナオはステータス画面を開くと、何故かレベルの項目が「2」に変化しており、能力値も上昇していた。
「よし……もう一度やるか」
机の上の花瓶に視線を向け、彼は狙いを定めながら右手に構えた硬貨を弾き、花瓶にではなく反対側の壁に向けて放つ。弾かれた硬貨が壁に衝突した瞬間、跳ね返って後ろから花瓶に衝突する。それを確認したナオは満足げに頷き、ステータス画面に表示された「跳弾」の戦技を確認する。
『跳弾(技術スキル)――標的物以外の物体に指弾を当てて跳弾させる』
「これは便利なスキルだな。相手に外したと思わせて別角度から攻撃できるかも知れない」
偶然にも的を外した硬貨が跳ね返って花瓶に衝突したときに覚えたスキルであり、こちらの方は的を外しても自動的に標的に向けて跳ね返るため、殆ど硬貨を外すことはなくなった。しかも熟練度が上昇した事で最初の頃と比べると打ち出す速度も速くなり、飛距離も伸びていた。
「だけどこれだけ当てても壊れる様子もないな……どんだけひ弱なんだよ」
陶器製の花瓶に何百回も硬貨を当てたはずだが、花瓶が壊れる処から掠り傷さえも付けることが出来ず、熟練度を5に上昇させた事で攻撃の威力も上昇しているはずだが壊せる様子はない。仕方なくナオはベッドの上に移動して両手に握りしめた硬貨に視線を向けると、不意に部屋の中で奇妙な音が聞こえてきた。
「なんだ?」
何処からか聞こえてくる音にナオは疑問を抱き、ちょうど自分の横たわっているベッドの下から聞こえてくる事に気付いた瞬間、ベッドの下から小さな物体が飛び出す。
「チュイッ!!」
「うわ、何だっ!?」
飛び出してきたのは紫色の体毛の鼠であり、それを見たナオは驚きの声を上げるが、鼠は床を駆け巡ると机の上に跳躍する。普通のネズミと比べてもかなり大きく、少なくとも体長は50センチは存在した。恐らくはこの世界の固有の魔物と思われるが、ナオは唐突に部屋の中に現れた鼠に驚きを隠せない。
「何だこいつ……うわ、こっち見た!?」
「チュルルッ……!!」
奇怪な鳴き声をあげながら鼠がナオに視線を向け、観察するように瞳を向ける。その様子にナオは背筋が凍り、まるで鼠が人間のように知性があるように彼には感じられた。
「くそっ……あっち行け!!」
「ヂュウッ!?」
その不気味な視線に耐えられずにナオは右手を向け、覚えたばかりの指弾を打ち込む。見事に弾かれた硬貨は鼠の身体に衝突したが、相手は少し怯んだ様子で机の上に四つん這いになり、怒りの表情を浮かべながらナオに飛び掛かる。
「チュイイッ!!」
「うわっ!?」
鼠が牙を向けてベッドの上に飛び掛かり、ナオは咄嗟にその場を離れると、鼠は枕に噛みついて簡単に布を引き裂き、羽毛が舞い上がる。その光景にナオは恐怖を抱き、この鼠が明らかに普通ではない事に気付いて指を構える。
「このっ!!」
「ヂュイッ!?」
技能スキルの「速射」と戦技の「連射」を利用してレナは両手の硬貨を続けざまに鼠に衝突させ、鼠は痛がるようにベッドから移動する。その一方で反対側の壁にまで避難したナオは冷や汗を流しながら硬貨以外に武器になるような物を探し、そして花瓶に活けられている薔薇に気付く。
「これだ!!」
ナオは花瓶から薔薇を一本取り出し、棘の部分に気を付けながら持ち上げると、鼠に視線を向ける。相手は流石に警戒したようにナオに視線を向け、いつでも回避できる体勢を整えるが、ナオは左手で薔薇を掴みながら右手を天井に向けて指弾を打ち込む。
「ここっ!!」
「チュイッ!?」
見当違いの方向に硬貨を打ち込んだナオに鼠は驚くが、弾かれた硬貨が天井に衝突した瞬間、跳ね返って床に存在する鼠に向けて接近する。その光景を確認した鼠は咄嗟に空中に跳躍して回避するが、その隙を逃さずにナオは空間魔法の黒渦を発生させ、薔薇を半ば差し込む。
「喰らえっ!!」
「ヂュイイイッ!?」
薔薇の花びらの部分を黒渦に飲み込ませた状態でナオは「狙撃」の技能スキルを生かし、指を離して空間魔法を解除させる。次の瞬間、黒渦が消失したのと同時に弾かれるように加速した薔薇の茎が弾丸のように撃ち込まれ、鼠の肉体を貫通した。
「ヂュウウッ……!?」
「……死んだ?」
鼠は悲鳴を上げながらしばらくは転げまわっていたが、やがて完全に動かなくなり、その光景を確認したナオは安堵の息を吐く。それと同時に只の鼠に命の危機を感じてしまった自分を情けなく思うが、結果的に空間魔法を利用して攻撃法が成功した事に自信を抱く。
「上手く成功して良かった……あれ、何でレベルが上がってるんだ?」
鼠を倒して安堵したナオはステータス画面を開くと、何故かレベルの項目が「2」に変化しており、能力値も上昇していた。
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