不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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2巻

2-2

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   ◆ ◆ ◆


 アイリスの助言を聞き終えたレイトは、ウルと共に冒険者ギルドの建物に向かう。
 この冒険都市には三つの冒険者ギルドが存在しているが、彼が来たのはその中でも一番規模が小さく、登録している冒険者の数も最も少ないギルド「黒虎くろとら」だった。ナオにここが良いと薦められていたのだ。

「ここか……うわ、ちょっと傾いてない?」
「クゥンッ……」

 建物は木造で随分と年季ねんきを感じさせた。
 レイトは縄で簀巻すまきにしたミラをウルの背から降ろすと、肩に担ぎ上げて建物の中に入る。
 屋内には数十人もの人がいた。彼らは机に座って談笑したり、食事や酒を楽しんだりしている。受付嬢と話をしている者や、掲示板に貼られた紙を熱心に読んでいる者もいた。
 レイトはミラを担いだまま、ギルド内を進む。

「ん、なんだあのガキ? 女を背負って入ってきやがって」
「おいおい、ここは人身売買はしてねえぞ」
「賞金首か? いやちょっと待て!! あの女……」

 冒険者達は、人を担いで歩くレイトにいぶかしげな視線を向けていた。だが、そんな視線の中には、担がれている女の正体に気づき、激しく動揺する者もいた。
 レイトは平静を装い、アイリスの助言を頭の中で繰り返しながら受付に向かっていく。そして受付嬢に話し掛ける。

「すみません。賞金首を捕まえたので、換金してほしいんですけど」
「え? しょ、賞金首ですか?」

 眼鏡を掛けた受付嬢はびっくりして声を上げた。
 レイトが簀巻きにしたミラを地面に降ろすと、受付嬢は慌てて賞金首の手配書を取り出し、ミラの顔と資料を何度も見比べる。

「う、嘘っ!? この人……A級賞金首のミラ!? あ、貴方あなたが捕まえたんですか?」

 受付嬢の言葉に、ギルド内の人達全員の視線がレイトに向けられる。

「なんだと!?」
「あの首切り女を!?」

 受付嬢の質問に、レイトは努めて平然として首を横に振る。
 それから彼は、事前に考えておいた言い訳を伝えた。

「捕まえたというか、路地裏で倒れているところを見つけたんです。それで心配になって顔を覗き込んだら賞金首だったので、ここまで連れてきました」

 これが、アイリスと相談して決めた作戦だった。
 ミラを引き渡す際、自分の実力で捕まえたのではなく、ミラが勝手に酔い潰れて倒れていたことにしようと考えたのである。ちなみにミラの身体には、酒が振り掛けてある。
 受付嬢は、酒の匂いを漂わせる賞金首に不快そうな顔をすると、レイトの言葉を信じたらしく、ミラを地下牢に送るように指示をした。
 ミラが目を覚ませば嘘をついたことはすぐにばれてしまうが、レイトは大した問題ではないと考えていた。今重要なのは、この場を切り抜けることである。
 多くの冒険者が視線を向けていたが、レイトが酔ったミラを連れてきただけだと知ると、彼らは興味をなくしたように視線を逸らした。
 受付嬢がにっこりと笑って言う。

「おめでとうございます!! 賞金の金貨十五枚ですよ」
「あ、ありがとうございます」
「おいおい良かったな、坊主。こんな幸運、もう一生訪れないぞ?」
「何かおごってくれよ~」
「おい、よせよ……一般人にたかるのは冒険者の恥だぞ」

 受付嬢から金貨を受け取ったレイトに、羨望せんぼうの眼差しが向けられる。レイトは金貨を受け取ると、続けてもう一つの用事である、冒険者登録について聞いた。

「あの、すみません。冒険者になりたいんですけど……登録はできますか?」
「え? あ、はい。問題ありませんよ。身分証は持っていますか?」
「これを渡せば問題ないと聞いたんですが」

 レイトが、ナオからもらった羊皮紙を差し出す。
 受付嬢は何気なく羊皮紙の内容を確認していたが、突然目を見開き、慌てたように受付席から立ち上がった。

「え、嘘っ……!? あ、あの、ちょっとすみません、ギ、ギルドマスター!!」

 受付嬢の声を聞き、黒虎のあるじであるギルドマスターがだるそうにやって来る。
 冒険者ギルド黒虎のギルドマスターを務めるこの人物は、元は王国の将軍だったという、人族の女性だった。
 身長は百九十センチを超え、肉体は筋骨隆々きんこつりゅうりゅう。赤い長髪で全身に傷跡がある。年齢は20代後半らしいが、威厳を感じさせるのでそれ以上に見えた。
 元Sランクの冒険者だったが、先代のギルドマスターが急死したため後任を任されたという。名前はバル。今もなお、現役の冒険者に引けを取らない実力を有しているらしい。

「なんだい、うるさいねえっ……さっきから何を騒いでいるんだい?」
「こ、これ見てください。あの王女様の……」
「こいつは……!?」

 バルは受付嬢から手渡された羊皮紙に目を通すと、レイトに鋭い視線を向けた。
 そして受付嬢にただす。

「おい、あんた鑑定のスキルを持っているんだろ? この署名と紋章は本物かい?」
「本物ですよ!! だからこうやって相談してるんじゃないですか……!!」
「ということは、偽造の可能性はないか……しかし、あのおてんば姫がこんな物を、しかも男に渡すとは考えにくいね」

 羊皮紙には、ナオがレイトの身元を保証すると記されており、彼女の署名とバルトロス王国の印が刻まれていた。また、初級魔法の優れた使い手であるとも記載されている。ナオは、レイトが冒険者登録を断られないように色々と配慮してくれたらしい。
 バルが感心したように呟く。

「ふむ……男嫌いで有名な姫様がここまで気に掛けるなんてね。それにしても、面白い魔法を使うか……ちょっと気になるね」
「あの、どうしますか? 本来試験を受けさせて判断する規則ですけど……姫様のご紹介なら」
「駄目だね。いくら姫様の紹介でも規則は規則、試験は受けてもらうよ。それに、あたしも気になるしね、初級魔法を使ってどうやって戦うのか……おい、そこのあんた!! 冒険者になりたいんだろう? なら、今から試験を受けてもらうよ!!」

 受付嬢と話していたバルが急に鋭い視線を向けてきたので、レイトはたじろいでしまう。

「え、でも……まだお金払ってないんですけど」
「そんなもんは後でいいよ!! ほら、訓練場はこっちだよ。早く来なっ!!」

 レイトとしては、目立たないように冒険者になりたいと思っていたのだが、妙な騒動に巻き込まれてしまうのだった。


 バルに連れてこられたのは、冒険者ギルドの建物の裏手である。そこは冒険者達の訓練場になっており、レイトが今までに見たこともないような、様々な器具が設置されていた。
 バルが、レイトをその訓練場の中央にある石畳の試合場リングに案内する。
 試合場の周囲には、木製のさくが設けられていた。どうやら出入口以外から抜け出すことはできないようになっているらしい。
 レイトとバルは向かい合う形で試合場の上に立った。バルは既に準備を済ませ、鎧を着込んで、大剣を背負っていた。

「ほら、ここで試験を始めるよ」
「あの……何をするんですか?」
「文字通りに実技試験さ。と言っても私は手を出さないよ。時間内に、あんたが好きなだけ攻撃すればいいだけさ」

 バルはそう言って砂時計を取り出すと地面に設置した。
 そして、笑みを浮かべてさらに続ける。

「この砂時計の砂が完全に落ちるまで、あたしに攻撃を加えてみな。武器や魔法に制限はないから、好きなように掛かってこい。あたしはあくまでも防御にてっするからね」
「え、でも大丈夫ですか? その方法だとバルさんが……」

 レイトがバルの身を案じてそう言うと、バルが声を上げる。

「ガキがあたしの心配をするなんて百年早いんだよ! こっちは攻撃しないだけで普通に動くんだから、そんな気遣いなんかするんじゃないよ!」

 レイトはバルの勢いに圧倒されながらも納得し、準備を始めた。
 まず、「筋力強化」を発動して身体能力を上昇させる。続いて武器はどうしようかと考えたが、弓はミラとの戦闘時に壊れてしまったので、「氷装剣」を発動することにした。

「『氷装剣』」
「うおっ!? 変わった魔法を使うね……氷の剣かい」

 左右の手それぞれに氷の長剣を生み出したレイトを見て、バルは驚いたような表情を浮かべた。


 バルが砂時計に触れたのを試験のスタートと見たレイトは、「跳躍」のスキルを利用してバルに急接近する。
 そして彼女の眼前に立った彼は、長剣を振りかざす。

「はああっ!!」
「おっと」

 レイトが長剣を振り下ろした瞬間、バルは背中の大剣を抜き取って受け止める。彼女の大剣の刃が白銀のように光り輝いた。
 さらにレイトはもう一本長剣を生み出し、二本の剣で何度も斬りつける。

「このっ!!」
「何だいその動きは? あんた、剣士としては半人前だね!!」
「うわっ!?」

 バルが大剣をひとぎすると、レイトの二本の長剣は弾かれてしまった。
 先のミラとの戦闘と同じように、彼は剣の未熟さを見抜かれたらしい。それでもレイトは接近戦に持ち込むために前に出る。

「『旋風』!!」
「おっと」
「――からの『兜割かぶとわり』!!」
「うおっ!?」

 レイトが戦技「旋風」を発動して二本の長剣を同時に横薙ぎに斬りつけると、バルは大剣で受け流そうとする。そこで、レイトは片方の剣だけ戦技「兜割り」を発動させ、軌道を変化させた。彼女のてのひらを斬りつけようとしたのだが、バルは咄嗟に腕を引いて攻撃を躱した。

「『回転』!!」
「ちっ!!」

 続いて、レイトは両手の長剣を重ね合わせて回転する。バルは上体を反らして攻撃を回避し、その体勢から彼を蹴り飛ばそうと脚を突き出す。

「このっ!!」
「なんのっ!!」

 ミラとの戦闘でもあった展開である。
 それを思い出したレイトは、迫りくる蹴りを「回避」のスキルを発動させて躱し、二本の長剣を手放した。
 そして拳を握りしめ、格闘家の戦技を発動させる。

「『弾撃だんげき』!!」
「なにっ!?」

 レイトは勢いよく地面を踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、バルの脚に向かって拳を打ち込む。

「はああっ!!」
「くそっ……『硬化』!!」

 バルは防御用の戦技を発動する。
 彼女の脚の筋肉が硬くなり、レイトの拳を受けた瞬間に轟音ごうおんが響き渡った。

「あぐっ!?」
「いたぁっ!?」

 レイトは鋼鉄の壁を全力で殴ったような痛みを感じ、一方バルはバットを叩きつけられたような激痛を覚えた。
 二人同時に距離を取る。

「いてててっ……何ですか、今のスキルは!?」
「いつつっ……お前の方こそどんな拳してるんだい!? くっきりとあざを残しやがって……本当に魔術師なのかい?」

 レイトは拳を痛めた程度だったが、バルの足には彼の拳の跡が残っていた。
 バルが生身でレイトの攻撃を受けていたら、足の骨が折れていたことは間違いない。彼女は冷や汗を流しながら大剣を構え直す。

「さあ、まだ試験は終わっていないよ。あたしに一撃を食らわせたのは認めるが、制限時間内は試験を続けるよっ!!」
「え? 終わらないんですかっ!?」
「最初に言ったはずだ、時間内にあたしに攻撃しろとね。あたしにどれだけダメージを与えられるかで階級ランクが決まるんだから真面目にやりな。上手くいけば、一気に高ランクの冒険者になれる可能性があるんだよ!!」

 バルの気迫に気圧けおされながらも、レイトは砂時計をちらりと見る。まだ時間は半分ほど残っていた。
 レイトは、ここから先は自分の実力を試すためある程度力を解放して挑もうと決めた。

「魔法もありでしたよね? なら……『火炎弾』!!」
「なにぃっ!?」

 レイトが上に向けた掌から巨大な「火球かきゅう」を生み出すと、その大きさにバルは驚愕してしまう。
 それでもその「火球」は、威力を抑えたものだった。レイトは、流石さすがに本気を出したら相手を焼き尽くしてしまうだろうと思ったのだ。
 レイトは直径一メートルほどの規模で「火球」の巨大化を止め、彼女に向けて投擲する。

「これなら!!」
「ちっ、舐めんじゃないよ!! 『兜割り』!!」

 正面から接近してくる大きな火の玉に向けて、バルは両手で持った大剣を勢いよく振り、炎の塊を一刀両断した。
 バルは全身から汗を流しつつ、安堵の表情を浮かべる。

「さ、流石に今のは驚いたね……なかなかやるじゃないかい」
「いや、魔法を斬るなんて……それも剣技なんですか?」

 レイトの方もバルが魔法を斬ったことに驚いていた。

「馬鹿言うんじゃないよ。あたしの大剣はミスリル製だからね。魔法金属で作られた武器なら、魔法にも対抗できるんだよ。知らなかったのかい?」
「そういえば聞いたことがあるような……それならこれはどうですか?」

 レイトは質より量で攻めることに決め、二十個ほどの「火球」を自分の周囲に発現させる。

「えっと……散弾!!」
「あんた今、名前を決めただろ!?」

 レイトの周囲に滞空していた「火球」が、バルに向かって一斉に飛んでいく。
 バルは大剣を構えて、冷静に「火球」の軌道を観察する。
 そしてすぐに「火球」がまっすぐにしか飛んでこないことを見抜くと、避けることなく大剣を振り回す。

「『受け流し』!!」

 彼女が発動させたのは、防御用のスキルである。
 彼女は円を描くように大剣を回し、次々と「火球」を振り払っていった。
 通常、「火球」は強い衝撃を受けると爆発するのだが、彼女の大剣に触れた瞬間、「火球」は強風が吹きつけたように消えてしまった。
 レイトは驚きつつ、バルが自分の戦技「回し受け」と似通った技を使えることを理解する。そして彼は、休む暇を与えることなく次の攻め手に移る。

「それなら、『火炎槍かえんそう』!!」
「炎の槍かい? 面白いね!!」

 飛来してくる「火炎槍」を見て、バルは笑みを浮かべた。「受け流し」を解除した彼女は、炎の槍を大剣で受けると、即座に掻き消した。
 しかし、一瞬だけ「火炎槍」に注意を取られたバルは正面にいたはずのレイトを見失う。彼女は慌てて周囲を見回し、頭上に違和感を覚えた。
 顔を上げると、「氷装剣」を振りかぶるレイトがいる。

「『兜割り』!!」
「うおっ!?」

 すぐさま大剣で受けるバル。レイトはすかさず手を突き出し、至近距離から魔法を仕掛ける。

「『風刃』!!」
「ぐはぁっ!?」

 三日月型の風の刃がバルの肉体に放たれる。鎧越しの衝撃だが、彼女の身体は派手に吹き飛ばされた。

「ぐぅっ……くそっ!!」

 だが、バルは即座に体勢を立て直す。
 オークでさえ一撃で倒せる「風刃」でも大したダメージを与えられないのかと、レイトは溜息ためいきを吐く。

「うっ……流石に魔法を使いすぎた」
「はっ……あたしよりあんたの方がきつそうだね。どうする? まだ時間は残ってるよ」

 レイトは横目で砂時計を確認する。砂の残りの量から一分を切っている。
 バルの位置を確認すると、彼女は試合場の隅に移動していた。レイトも「跳躍」して試合場の反対側まで移動する。
 その位置で大剣を横向きに構えると、バルが声を掛けてくる。

「まだ何かする気かい? いいよ、久しぶりの骨のある相手だからね……来なっ!!」
「あ、じゃあ……左に三歩移動してくれませんか?」
「はっ? いや、まあ別にいいけどさ……」

 微妙にバルに立ち位置を調整してもらい、レイトは「観察眼」を発動させる。自分と相手の位置をしっかり確かめると、彼は大剣を握りしめ、次の一撃を最後にするために集中する。
 そして口にする。

「『回転』!!」
「はあっ?」

 距離が開いているにもかかわらず、レイトは大剣を横向きに振り抜く。
 彼の意味不明な行動にバルは呆れてしまったが、すぐに異変に気づく。レイトは勢いを緩めずに二回転目に入り、徐々に距離を詰めてくる。

「うおおおおおおおっ!!」
「ちょっ……!?」

 三回転目で最初の回転の時の倍の速度となり、四回転目でバルの目の前まで接近。そして五回転目で遂に彼女にたどり着く。

「おおおおおおおおっ!!」
「くっ……『撃剣げきけん』!!」

 大剣で受け切ることは不可能だと判断した彼女は、逆に攻勢に打って出た。
 両腕の筋肉を膨張させ、全身全霊ぜんしんぜんれいの一撃を叩き込む。
 二人の大剣の刃が衝突した瞬間、すさまじい金属音が響き渡り、試合場を取り囲む柵に振動が走った。


 試合場の上で、大の字になって倒れるレイト。
 その様子を、左腕を押さえたバルが見ている。彼女の足元には、ひび割れたミスリル製の大剣が転がっていた。
 周囲に散らばる「氷塊」の欠片かけらに、視線を向けながらバルが言う。

「……あたしが勝ったのは武器の差だね。それにしても、ここまでやるとは思わなかったよ」
「はあっ……はあっ……あの、試験は……?」
「合格だよ。ここで不合格なんて言う馬鹿がいるわけないだろ。というか、あたしも攻撃しないと約束したのに、普通にぶっ倒しちまって悪かったね。だから試験料は免除するよ」

 バルはそう口にするとその場に座り込み、腕をさすりながら笑い声を上げた。
 レイトは、何とか合格できたことに安堵した。アイリスと考えた当初の作戦は、目立たずに冒険者ギルドに登録することだったが。
 ともかく問題はこれから先も、目立たずに行動することが重要だった。あまり目立つと、王国の人間に彼の生い立ちがばれてしまう可能性がある。
 ふとレイトは、アイリスの言葉を思い出す。

『いいですか? 普通の生活を送りたいなら、CからDの階級を維持することです。S、A、Bランクの冒険者は何かと噂されやすいですから、Bランク以上にならないように注意してくださいね。普通に生活を送るなら、CかDランクで十分です』

 試験でやりすぎてしまったので、レイトは今さらながら心配になっていたが、バルは腕を伸ばして彼を立たせると、意外な一言を告げる。

「あんたは今日から、Fランク冒険者だ」
「え、Fランク?」
「不満かい? まあ、確かにあたしにここまでの傷を負わせたあんたなら、Bランクでもいいんだけどね……だけど、剣の扱い方に関しては不安があるね。あんた、魔物としか戦ったことがないんだろ?」

 ミラにも言われた弱点がここでも指摘され、レイトは言葉に詰まる。

「うっ……」
「やっぱりね。冒険者という職業が魔物とばかり戦うと思ってるのなら、大間違いだよ。盗賊の討伐、商団や貴族の護衛、警備兵の代わりに街の見張りを行ったりもするんだ。強いからといって、対人戦に不安がある人間を易々と高ランクに上げるわけにはいかないのさ」

 バルの正論にレイトは黙ることしかできなかった。バルは笑みを浮かべると、ふと自分の大剣に目を留めて言う。

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