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外伝 ~ヨツバ王国編~
波乱の幕開け
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「ぐうっ……き、貴様……!!」
「流石は歴代の王の中で唯一の武闘派ね……オーク程度なら殺せたかもしれないけど、生憎と私の石化は破壊する事は出来ない」
石化した両腕に瞳を向けたキラウは腕を元に戻すと、その様子を見たデブリはキラウが石化を解除する能力を持つ事に気付き、何としても我が子を達を救い出すために両腕を伸ばす。
「おのれぇええっ!!」
「お辞め下さい陛下!!」
「危険です!!」
だが、主の危機を知って倒れ伏せていた兵士達が目を開いてデブリの身体を掴み、キラウから離れさせようとする。その光景を見てキラウは笑い声をあげ、こちらを憎々し気に睨みつけてくるデブリに対して瞳を向ける。
「そうそう、言い忘れていたけど……私の石化はこんな事も出来るのよ」
「ぐおっ!?」
「国王様……うわぁっ!?」
「う、腕がぁっ!?」
国王の身体が石化を始めた瞬間、彼に纏わりついていた兵士達も悲鳴をあげ、石化した箇所に触れた途端に彼等の肉体も石化を始めた。どうやら石化中に触れると他の人間にも石化が伝染するらしく、更にキラウは影魔法を用いて石化した兵士達を引き剥がす。
「さあ、全員石像になりなさい!!」
「ぎゃああっ!?」
「うわぁっ!?」
「は、離せ……あああっ!?」
影の触手によって肉体を吹き飛ばされた兵士達が次々とお互いに身体を衝突した瞬間に石化を始め、瞬く間に兵士全員が石像と化す。その光景を目撃した王国四騎士とラナは目を見開き、我慢できずにジダンが真っ先にキラウに飛び掛かる。
「おのれ、女狐がっ!!」
「待てジダン!!」
「勇ましいわね。だけど、それはあまりにも無謀よ」
空中から仕掛けようとしたジダンにキラウは視線を向けた瞬間、瞳が合わさった途端にジダンの身体は顔面から石化し、やがて完全に石像と化すと地面に落ちる。その光景を目撃したアカイは血管が浮き出る程に怒りを覚えるが、ここで冷静さを失えば状況が悪化する事は明白だった。
アカイは生き残った人間がリンダとラナだけだと知り、彼女達を守るために両手を頭上に抱え、風の精霊魔法を利用して土煙を放つ。
「二人とも、目を閉じろ!!」
「アカイ様!?」
「ラナ、貴女だけでも先に逃げなさい!!」
腕を振り下ろした瞬間に土砂が舞い散り、土煙を生み出す事で周囲の光景を覆い隠す。唐突なアカイの行動にラナは戸惑うが、いち早く状況を理解したリンダは土煙の向こう側に存在するはずのキラウの元に向かう。それを確認したアカイはラナの身体を掴み、勢いよく上空へ向けて投擲した。
「バルトロス王国の人間に伝えろ!!援軍を呼ぶんだ!!」
「うあっ……!?」
「はぁあああっ!!」
アカイは風の精霊を利用して強風を巻き上げ、ラナの身体を吹き飛ばす。ここから王都までそれほど離れてはおらず、援軍を呼べば間に合うと判断してアカイは彼女だけを先に逃がす。土煙の方角からリンダの雄たけびが上がり、アカイも加勢に向かおうとしたが、土煙の中から人影が現れてアカイの元へ向かう。
「無駄よ。貴方達如きが私に勝てると思っているの?」
「ぐおおっ!?」
人影の正体はキラウではなく、彼女の操る影の触手によって放り出された石像がアカイの肉体に襲いかかる。兵士の石像を間違っても破壊しないようにアカイは両腕で受け止めるが、次々と投擲される石像を全て抱える事は出来ず、そのまま押しつぶされてしまう。
土煙が晴れる頃には既にキラウは石像と化したリンダを振りはらい、数多くの石像によって動きを封じられたアカイの元に立つ。既に石像の中には石化中だった人間も混じっていたらしく、アカイの肉体が徐々に石化を始めていた。
「これが王国四騎士ね……やはり、先代達と比べると腕が劣るわね」
「貴様……一体何が目的だ!!」
「ただの仕事よ……私の新しい依頼主がこの時期にヨツバ王国に国王に戻られると困るというから、貴方達を石像にして動けないようにするために訪れただけよ」
「何だと……どういう意味だ!?」
「それを説明する義理もないし、そもそも貴方……もうただの石像じゃない?」
キラウの言葉にアカイは言い返そうとしたが、既に口元まで石化が広まっている事に気付き、やがて完全にアカイは石像へと変化を果たす。それを確認したキラウは笑みを浮かべるが、瞳から血の涙を流し、両目を抑え込む。
「くっ……やはり、まだ完全には馴染んでいないわね」
目元を抑えながら落ちていた松葉杖を拾い上げ、視界が歪みながらもキラウは自分の腕を確認すると、老人のように痩せ細っている事に気付く。それを見てキラウは忌々し気に拳を握り締め、まだ完全に自分がメドゥーサの魔眼を使いこなせていない事で肉体に大きな負荷が掛かっている事を悟る。
「やはり伝説の魔人の力は凄まじいわね……でも、近いうちに必ずのこの力を手にする。そうすれば私は完璧な存在へとなり得る……もう、誰にも邪魔されない」
キラウは誰かが訪れる前に立去ろうとしたが、移動する前に王族3人の石像に視線を向け、試しに収納石を近づけて回収できないのかを試みる。だが、無機物ならば吸収できるはずの収納石は反応を示さず、その事から彼等が石像と化してもまだ生きている事が判明した。
(石像にしたからといって命を絶ったわけじゃない……内側でまだ生きているというわけね。それに凄くかたくて壊す事も出来ない。ある意味では私達のように不死身に近い状態になったのかもしれないわね)
石像と化している間は死ぬ事も意識を保つ事も出来ず、半永久的に生きながられる事が出来る。吸血鬼であるキラウも吸血鬼と化した頃から不老の存在になったため、ある意味では石像と化した者と自分は似通った存在なのではないかと考えた。
「いいわ、見逃してあげる……そもそもこんな重い物を私が運び出す用意もしていないわ。それに私が生き続けている貴方達が元に戻ることはない。せいぜい、永久の時を石の中でたんのうしなさい」
王族の石像に関しては持ち帰るように依頼されていたキラウだが、今の状態では持ち帰る事は難しく、依頼主の条件を無視して彼女はその場を立ち去る。残された石像は苦悶の表情を浮かべたまま動くことも出来ず、王都に駆けつけたラナが引き連れたヴァルキュリア騎士団が回収するまで石像はその場に放置されていた――
――この一週間後、ヨツバ王国から使者が送り込まれた。使者を送り込んだのは臨時的に国王の代理を務める事になった第一王女の「カレハ」であり、彼女ははヨツバ王国の王族である3人を即刻に返却するように告げ、もしもこの願いが聞き届けられない場合は「宣戦布告」を行う事を宣言する。数百年にも渡るバルトロス王国とヨツバ王国の同盟が崩れ去ろうとしていた。
※レナ「くっ……ナイタール液さえあれば石化を解除出来る野に!!(; ゚ω ゚)」
アイリス「いやいやいや、そんなのありませんから(;´・ω・)」
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「おのれぇええっ!!」
「お辞め下さい陛下!!」
「危険です!!」
だが、主の危機を知って倒れ伏せていた兵士達が目を開いてデブリの身体を掴み、キラウから離れさせようとする。その光景を見てキラウは笑い声をあげ、こちらを憎々し気に睨みつけてくるデブリに対して瞳を向ける。
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「ぐおっ!?」
「国王様……うわぁっ!?」
「う、腕がぁっ!?」
国王の身体が石化を始めた瞬間、彼に纏わりついていた兵士達も悲鳴をあげ、石化した箇所に触れた途端に彼等の肉体も石化を始めた。どうやら石化中に触れると他の人間にも石化が伝染するらしく、更にキラウは影魔法を用いて石化した兵士達を引き剥がす。
「さあ、全員石像になりなさい!!」
「ぎゃああっ!?」
「うわぁっ!?」
「は、離せ……あああっ!?」
影の触手によって肉体を吹き飛ばされた兵士達が次々とお互いに身体を衝突した瞬間に石化を始め、瞬く間に兵士全員が石像と化す。その光景を目撃した王国四騎士とラナは目を見開き、我慢できずにジダンが真っ先にキラウに飛び掛かる。
「おのれ、女狐がっ!!」
「待てジダン!!」
「勇ましいわね。だけど、それはあまりにも無謀よ」
空中から仕掛けようとしたジダンにキラウは視線を向けた瞬間、瞳が合わさった途端にジダンの身体は顔面から石化し、やがて完全に石像と化すと地面に落ちる。その光景を目撃したアカイは血管が浮き出る程に怒りを覚えるが、ここで冷静さを失えば状況が悪化する事は明白だった。
アカイは生き残った人間がリンダとラナだけだと知り、彼女達を守るために両手を頭上に抱え、風の精霊魔法を利用して土煙を放つ。
「二人とも、目を閉じろ!!」
「アカイ様!?」
「ラナ、貴女だけでも先に逃げなさい!!」
腕を振り下ろした瞬間に土砂が舞い散り、土煙を生み出す事で周囲の光景を覆い隠す。唐突なアカイの行動にラナは戸惑うが、いち早く状況を理解したリンダは土煙の向こう側に存在するはずのキラウの元に向かう。それを確認したアカイはラナの身体を掴み、勢いよく上空へ向けて投擲した。
「バルトロス王国の人間に伝えろ!!援軍を呼ぶんだ!!」
「うあっ……!?」
「はぁあああっ!!」
アカイは風の精霊を利用して強風を巻き上げ、ラナの身体を吹き飛ばす。ここから王都までそれほど離れてはおらず、援軍を呼べば間に合うと判断してアカイは彼女だけを先に逃がす。土煙の方角からリンダの雄たけびが上がり、アカイも加勢に向かおうとしたが、土煙の中から人影が現れてアカイの元へ向かう。
「無駄よ。貴方達如きが私に勝てると思っているの?」
「ぐおおっ!?」
人影の正体はキラウではなく、彼女の操る影の触手によって放り出された石像がアカイの肉体に襲いかかる。兵士の石像を間違っても破壊しないようにアカイは両腕で受け止めるが、次々と投擲される石像を全て抱える事は出来ず、そのまま押しつぶされてしまう。
土煙が晴れる頃には既にキラウは石像と化したリンダを振りはらい、数多くの石像によって動きを封じられたアカイの元に立つ。既に石像の中には石化中だった人間も混じっていたらしく、アカイの肉体が徐々に石化を始めていた。
「これが王国四騎士ね……やはり、先代達と比べると腕が劣るわね」
「貴様……一体何が目的だ!!」
「ただの仕事よ……私の新しい依頼主がこの時期にヨツバ王国に国王に戻られると困るというから、貴方達を石像にして動けないようにするために訪れただけよ」
「何だと……どういう意味だ!?」
「それを説明する義理もないし、そもそも貴方……もうただの石像じゃない?」
キラウの言葉にアカイは言い返そうとしたが、既に口元まで石化が広まっている事に気付き、やがて完全にアカイは石像へと変化を果たす。それを確認したキラウは笑みを浮かべるが、瞳から血の涙を流し、両目を抑え込む。
「くっ……やはり、まだ完全には馴染んでいないわね」
目元を抑えながら落ちていた松葉杖を拾い上げ、視界が歪みながらもキラウは自分の腕を確認すると、老人のように痩せ細っている事に気付く。それを見てキラウは忌々し気に拳を握り締め、まだ完全に自分がメドゥーサの魔眼を使いこなせていない事で肉体に大きな負荷が掛かっている事を悟る。
「やはり伝説の魔人の力は凄まじいわね……でも、近いうちに必ずのこの力を手にする。そうすれば私は完璧な存在へとなり得る……もう、誰にも邪魔されない」
キラウは誰かが訪れる前に立去ろうとしたが、移動する前に王族3人の石像に視線を向け、試しに収納石を近づけて回収できないのかを試みる。だが、無機物ならば吸収できるはずの収納石は反応を示さず、その事から彼等が石像と化してもまだ生きている事が判明した。
(石像にしたからといって命を絶ったわけじゃない……内側でまだ生きているというわけね。それに凄くかたくて壊す事も出来ない。ある意味では私達のように不死身に近い状態になったのかもしれないわね)
石像と化している間は死ぬ事も意識を保つ事も出来ず、半永久的に生きながられる事が出来る。吸血鬼であるキラウも吸血鬼と化した頃から不老の存在になったため、ある意味では石像と化した者と自分は似通った存在なのではないかと考えた。
「いいわ、見逃してあげる……そもそもこんな重い物を私が運び出す用意もしていないわ。それに私が生き続けている貴方達が元に戻ることはない。せいぜい、永久の時を石の中でたんのうしなさい」
王族の石像に関しては持ち帰るように依頼されていたキラウだが、今の状態では持ち帰る事は難しく、依頼主の条件を無視して彼女はその場を立ち去る。残された石像は苦悶の表情を浮かべたまま動くことも出来ず、王都に駆けつけたラナが引き連れたヴァルキュリア騎士団が回収するまで石像はその場に放置されていた――
――この一週間後、ヨツバ王国から使者が送り込まれた。使者を送り込んだのは臨時的に国王の代理を務める事になった第一王女の「カレハ」であり、彼女ははヨツバ王国の王族である3人を即刻に返却するように告げ、もしもこの願いが聞き届けられない場合は「宣戦布告」を行う事を宣言する。数百年にも渡るバルトロス王国とヨツバ王国の同盟が崩れ去ろうとしていた。
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