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外伝 ~ヨツバ王国編~
石像と化した人々
――ヨツバ王国の団体がキラウの奇襲を受け、ラナを除いて全員が石像と化した日から数日が経過し、王城の一室に石化された石像が一か所に集められていた。石像と化したのはヨツバ王国の森人族だけではなく、先の防壁で魔物の襲撃を防いでいた兵士も数多く含まれていた。
ティナは石像と化した家族3人の姿と自分の世話役として常に行動を共にしてきたリンダの変わり果てた姿に衝撃を受け、連日のように石像の元へ訪れては涙を流す。石像になった4人に彼女は抱き着き、すすり泣く。
「ううっ……お父さん、お姉ちゃん、お兄ちゃん……リンダ……」
「ティナ様……ご飯を持ってきたっす。一緒に食べましょう」
「うん、食べる……」
だが、エリナが食事を用意すると彼女は涙を流しながらもしっかりと食事を行い、どんなに悲しいときでも身体を大切にするようにリンダから教わっていたので彼女はエリナが運んできたおにぎりを食す。ちなみに森人族は菜食主義者が多いが、ティナもエリナも普通に肉を食べる。
給仕が用意してくれたブタンの丸焼け肉を頬張りながらもティナは石像に視線を向け、涙を流す。だが、いつまでも落ち込んではいられず、エリナは彼女を立ち直らせるために吉報を報告した。
「あ、そうだ!!ティナ様、後で兄貴もここへ訪れるようですよ!!そしたらウルにも会えますよきっと!!」
「えっ!?本当に!?」
レナとウルが城に訪れるという事を知ってティナは顔を輝かせ、先ほどまで落ち込んでいたのが嘘の様に慌てて丸焼け肉を頬張り、身なりを整える。少しでも彼女が元気を取り戻した事にエリナは安堵すると、今頃は玉座の間で話し合いを行っているはずのレナが早く訪れるように祈る――
――同時刻、レナはいつものメンバーを連れて玉座の間に向かう。表向きは追放されているとはいえ、既にレナが王弟である事は知れ渡っているため、兵士達は彼を無碍な扱いは行わず、ナオの元へ案内した。
「女王陛下、レナ様を連れてきました。中に入ってもよろしいですか?」
『ああ、分かった……中に入れろ』
兵士の言葉に扉の内側からナオの声が上がり、扉を開くとそこには玉座の間に座るナオとその隣には大量の書類を抱えたヴァルキュリア騎士団の副団長であるリノンの姿があった。他にも将軍や大臣と思われる人間が何人か存在し、彼等は両手に書類を抱えてナオの元へ跪く。
「女王陛下、こちらが各領地の貴族から送り届けられた報告書でございます」
「分かった、後で確認する」
「陛下、ヨツバ王国からの使者が再三訪れて謁見を願っています。どうしますか?」
「もう少し待たせておいてくれ」
「女王様、レナ様がお見えなられました」
「だから後で言って……レナ!?」
「なんか、大変そうだね……」
大勢の家臣に群がれながら大量の書類を処理していたナオは目に隈を浮かべながらも顔を上げ、レナ達が入って来た事に気付く。玉座の間に訪れる前に兵士が確認を行ったのだが、どうやら上の空で返事をしていたらしく、慌てて家臣たちを下がらせてレナと向き合う。
「おお、よく来てくれたなレナ……お前達、しばらくの間は休憩を取る。悪いが将軍以外の者はここから退室してくれ」
「分かりました」
「陛下、使者はどうされますか?今すぐにでも謁見を求められているのですが……」
「どうにか機嫌を損ねないように宥めておいてくれ。用事を終えたらすぐに会うと伝えてくれ」
「かしこまりました」
ナオの言葉に玉座の間に集まっていた文官や貴族は退室し、その光景を見たシズネは呆れた表情を浮かべ、レナに囁く。
「あいつら……王妃に従っていた奴等も居たわ。王妃が死んだ事で掌を返して寝返ったようね」
「そうなの?」
「何人か知った顔が居るわ。よくもまあ、平然と顔を出せたものね」
「仕方ないさ、彼等が居なければこの国は成り立たない……今は過去の事は水に流し、共に国を支える必要がある」
シズネの言葉が聞こえていたのかナオは苦笑いを浮かべ、王妃の派閥に存在した貴族の殆どは現在はナオに忠誠を誓い、マリアが消えた事でナオの元から離れていた貴族達も女王となった彼女に謝罪して彼女に忠誠を誓う。正直に言えばナオとしても自分の処刑に賛同した人間達が自分に媚びへつらう状況に戸惑い、ため息を吐き出す。
王妃という絶対的な存在が消えた事で彼女に従っていた貴族達も後釜を失い、自分の地位を守るためには敵対していたナオに従うしかなく、表向きは従順に従っていた。王妃も殺され、後継ぎであった王子は行方不明、彼女に仕えていた大将軍のミドルも消えた事で彼等には頼る存在はおらず、ナオに従うしかない。
シオンとリアナに関しても王妃が死亡した事が相当に衝撃を受けたらしく、現在は静養のために二人は王都を離れ、ナオの事を最後まで見放さなかった貴族の元で世話になっている。2人を王位に立てて国の実権を取り返そうとする貴族も居たが、当のシオンとリアナは国王の座には興味を示さず、お互いに慰め合う様に過ごしているという。
「王妃が死んだからと言ってこの国が平和になったとは言えない。先王も死亡し、国の重鎮である大将軍の一角も消えてしまった……今の王国は正に史上最大の危機を迎えている状況だ」
「街中でも噂になっていたよ。ヨツバ王国と戦争が始まるって……本当なの?」
「そうか……もう市民にまでそこまで伝わっていたのか」
「じゃ、じゃあ……本当に戦争が起きるのか!?あ、いや……起きるんですか!?」
ダインの言葉遣いに対してナオの両端に並んでいた女騎士が睨みつけると、彼は慌てて口調を正す。その反応を見てナオは苦笑し、質問に答える。
「正直に言えば……このままではヨツバ王国との戦争は避けられないだろう。王国側の要求は我が国が束縛している王族4名の解放を求めている」
「束縛だと……?」
「ああ、当然だが我が国はヨツバ王国の方々を拘束などしていない。しかし、それを証明する術がない……だからヨツバ王国はこれほどまでに強気でいられるんだ」
ヨツバ王国が動き出そうとしている事は事前にバルトロス王国も掴み、だからこそヨツバ王国の面々を国へ送り返して国王の代理とい名目で国を支配しているカレハを失脚させようとしたのだが、肝心のデブリ国王やティナを除いた子供達が石像とされてしまう。
石像にされた人間は喋る事も出来ず、完全な石の塊にしか見えないため、ナオが何度も説明してデブリ国王達はメドゥーサの呪いによって石像にされたと説明した。だが、ヨツバ王国から送り込まれた使者達は頑なに彼女の言葉を信じようとせず、世迷言を並べて我が国の王族を拘束するつもりかと激怒した。
それだけではなく、最初に送り込まれた使者が憤慨してヨツバ王国へと帰国したが、道中で何者かの襲撃を受けて使者の団体が壊滅した。生きのこった兵士によると襲撃を仕掛けた集団はバルトロス王国の兵士の装備をしていたと断言し、この事でヨツバ王国はバルトロス王国が王族を拘束するだけではなく、我が国に対して敵意を抱いていると判断する。
「既に二度目の使者が訪れた時には彼等は武装していた。最初に送り込まれた使者に攻撃を仕掛けたのは我が国だと疑っている……そして三度目の使者がこの城に訪れている」
「使者の要求は?一回目と二回目の使者は何て言っていた?」
「即刻、バルトロス王国内で拘束されているヨツバ王国の王族全員と配下の解放、並びに我が国に対して賠償金として白金貨1万枚か、あるいは所持している勇者の聖遺物である聖剣を引き渡す様に請求してきた」
「白金貨1万枚というと……金貨10万枚分!?」
「……それ、いくらぐらい?」
あまりにも法外な賠償金の金額にどの程度の価値があるのか分からずにコトミンは首を傾げるが、日本円に換算すると「100億円」を要求してきた事になる。当然だが現在の王国の所有する予算にそれだけの余裕はなく、相手もそれを見越して法外の値段を要求してきたのだろう。
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「あ、そうだ!!ティナ様、後で兄貴もここへ訪れるようですよ!!そしたらウルにも会えますよきっと!!」
「えっ!?本当に!?」
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――同時刻、レナはいつものメンバーを連れて玉座の間に向かう。表向きは追放されているとはいえ、既にレナが王弟である事は知れ渡っているため、兵士達は彼を無碍な扱いは行わず、ナオの元へ案内した。
「女王陛下、レナ様を連れてきました。中に入ってもよろしいですか?」
『ああ、分かった……中に入れろ』
兵士の言葉に扉の内側からナオの声が上がり、扉を開くとそこには玉座の間に座るナオとその隣には大量の書類を抱えたヴァルキュリア騎士団の副団長であるリノンの姿があった。他にも将軍や大臣と思われる人間が何人か存在し、彼等は両手に書類を抱えてナオの元へ跪く。
「女王陛下、こちらが各領地の貴族から送り届けられた報告書でございます」
「分かった、後で確認する」
「陛下、ヨツバ王国からの使者が再三訪れて謁見を願っています。どうしますか?」
「もう少し待たせておいてくれ」
「女王様、レナ様がお見えなられました」
「だから後で言って……レナ!?」
「なんか、大変そうだね……」
大勢の家臣に群がれながら大量の書類を処理していたナオは目に隈を浮かべながらも顔を上げ、レナ達が入って来た事に気付く。玉座の間に訪れる前に兵士が確認を行ったのだが、どうやら上の空で返事をしていたらしく、慌てて家臣たちを下がらせてレナと向き合う。
「おお、よく来てくれたなレナ……お前達、しばらくの間は休憩を取る。悪いが将軍以外の者はここから退室してくれ」
「分かりました」
「陛下、使者はどうされますか?今すぐにでも謁見を求められているのですが……」
「どうにか機嫌を損ねないように宥めておいてくれ。用事を終えたらすぐに会うと伝えてくれ」
「かしこまりました」
ナオの言葉に玉座の間に集まっていた文官や貴族は退室し、その光景を見たシズネは呆れた表情を浮かべ、レナに囁く。
「あいつら……王妃に従っていた奴等も居たわ。王妃が死んだ事で掌を返して寝返ったようね」
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「仕方ないさ、彼等が居なければこの国は成り立たない……今は過去の事は水に流し、共に国を支える必要がある」
シズネの言葉が聞こえていたのかナオは苦笑いを浮かべ、王妃の派閥に存在した貴族の殆どは現在はナオに忠誠を誓い、マリアが消えた事でナオの元から離れていた貴族達も女王となった彼女に謝罪して彼女に忠誠を誓う。正直に言えばナオとしても自分の処刑に賛同した人間達が自分に媚びへつらう状況に戸惑い、ため息を吐き出す。
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