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外伝 ~ヨツバ王国編~
ギンタロウの反応
妻と娘を残したギンタロウは四本脚を洗ってから屋敷の中に入り込む。元々は人間用(森人族)に作り出された屋敷なので床が抜けないのかとレナは心配したが、屋敷を構築している木材は地球の木材とは比べ物にならない程に頑丈で耐久力もあるらしく、何事もなくギンタロウは廊下を歩いていく。
「ここが俺の部屋だ。お手が東聖将になった時に増築して新しく作った部屋だぞ!!」
「あれ……これってもしかして畳ですか?」
「おおっ!!本当でござる!!」
ギンタロウはが案内した広間は床一面に畳が敷き詰められ、更に掛け座布団や机まで用意されていた。この世界にも畳が存在した事にレナは驚くが、ハンゾウとカゲマルの祖国である「和国」は元々は日本人の転移者が作り出した国のため、畳が存在してもおかしくはない。
「何だ?お前達も畳を知っているのか?この部屋は和国から訪れた親友が作ってくれた部屋でな、ここだけは俺も安心して休められるから気に入ってるんだ!!はっはっはっ!!」
「この部屋はあたしも気に入ってますよ。こうやって寝そべっても身体が汚れませんから」
「こら、行儀が悪いよ」
「ほう……和国の職人もこの国に住んでいたのか」
エリナは遠慮なく畳の上に横になると、他の者達も履物を脱いで畳の上に上がる。ちなみに屋敷に入る時に渡された履物は草の葉で構成され、ギンタロウの場合は蹄の形をした布袋を足の裏に張り付けて廊下を歩いていた。
「さあ、遠慮なく寛いでくれ!!おい、誰か茶菓子と熱いお茶を用意してくれ!!」
『あ、すいません!!今手を離せないんです!!自分で用意してくださぁいっ!!』
「むう、仕方あるまい……待っていろ、すぐに俺が持ってくるからな!!」
「え、ギンタロウさんが!?」
「……ここの使用人はどんな教育をしてるんだ」
屋敷の主人であるギンタロウに対して使用人が客人の持て成しを手伝わせる事にカゲマルは眉を顰めるが、当のギンタロウ本人は気にした様子もなく部屋を出て本当に茶菓子とお茶を用意してきた。
「さあ、遠慮なく食べてくれ!!これは和国からの土産のおはぎと緑茶という奴だ!!俺の大好物だぞ!!」
「おおっ!!あたしの大好物っす!!」
「ほう、おはぎはともかく、茶葉まであるのでござるか」
「良い香りだ……高級品だな」
「わあ、この世界で食べるのは初めてかも……」
机の上に差しだされたおはぎと緑茶をレナ達は遠慮なく味わう。おはぎも緑茶も転生してから初めて食べたレナは勘当を覚え、地球ではあまり縁がなかった食べ物ではあるが、食べてみると懐かしさのあまりに涙を流しそうになる。
(ああっ……お祖母ちゃんの家で食べたおはぎを思い出すな。この世界でも食べられるなんて夢みたいだ)
和食が気軽に食べられる生活を送っていないため、レナは感慨深く食べているとエリナが食事の途中に本題に入る。
「叔父さん、さっきも話したんですけど、あたし達がここに来たのは叔父さんに協力して欲しいんです。ティナ様を助けるために力を貸してくれませんか?」
「むうっ……さっきの話か。正直に言えば返答に困るな!!」
「まあ、人が石像になるという突拍子もない話を簡単に信じられるはずがないでござるな……」
ギンタロウは姪のエリナの話でも俄には信じられず、伝説の魔人族であるメドゥーサの魔眼を手に入れた死霊使いによってティナを除いた王族全員が石像にされたと聞いても素直には信じられないだろうとハンゾウは考えたが、ギンタロウは不思議に首を傾げた。
「ん?いや、俺が困っているのは別の理由だぞ?エリナの話はそもそも疑ってなどいない、俺の姪が嘘をつくような娘ではない事は知っているからな!!エリナがそういうのなら本当に国王様達は石像と化しているんだろう?」
「叔父さん、信じてくれるんですか?」
「当たり前だ!!お前は姪とはいえ、俺にとっては実の娘のような物だ!!家族の言葉はなにがろうと疑わん!!」
「お、叔父さ~ん!!」
「待て、話は戻るがそれならばどうして返答に困る?」
ギンタロウの言葉にエリナは感激するが、それを冷静にカゲマルが二人の間に割って入り、どうしてギンタロウがレナ達の協力に応じる事を渋るのかを尋ねる。ギンタロウは困った表情を浮かべながら緑茶を飲み込み、溜息を吐き出す。
「お前達の話は俺も信じている……だが、協力してくれと頼まれてもそう簡単にはいかんのだ!!」
「ど、どういう事っすか!?」
「現在、俺は東聖将の位を剥奪されかかっているからな!!」
『ええっ!?』
予想外の返答を受けたレナ達は驚愕し、どうしてギンタロウが東聖将の座を剥奪されようとしているのかを尋ねると、理由は一か月以上前に遡るという。
「実は将軍の中で俺だけが森人族ではない事に不満を抱く輩が多くてな。特に南方のレイビの奴に至っては俺の事を嫌っている!!あいつにとってケンタウロス族など魔物の一種だと普段から抜かしているからな!!俺もあいつの事は大嫌いだ!!」
「レイビ……確か南聖将の?」
「しかし、東聖将の位を与えたのはヨツバ王国の国王ではないのでござるか?」
「うむ!!レイビの奴は何度も国王様に俺を東聖将から外す様に直訴したようだが、寛大な国王様は種族が違うからという理由だけで将軍の座を奪うなど愚かな事だと宣言してくれた!!だから俺はあの人に一生仕えると決めた!!」
「国王様は若い頃に色々な種族と交わっていたそうで、森人族だけが特別に優れた種族だとは考えていないんですよ。だから今の国王様がヨツバ王国の王の座に就いた時から他種族の方がこの国によく訪れるようになりました」
ヨツバ王国のデブリ国王は人種差別を行わず、むしろ様々な種族と交わる事に積極的で他国からの来訪者を快く受け入れていた。そのお陰で現在のヨツバ王国には森人族以外の種族も多く、特に東聖将の管理する領地には数多くのケンタウロスが暮らしている。
だが、それを気に入らないがの南聖将のレイビであり、彼はケンタウロスであるギンタロウが自分と同格の六聖将である事が気にくわなかった。理由は魔人族であるケンタウロスなど魔物使いであるレイビにとってはせいぜい人語を理解する魔物という程度の存在でしかなく、いくら国王に認められようと彼はギンタロウの事を認められなかった。
しかも最悪な事にレイビはギンタロウを嫌っていながらも南方の領地の管理のために彼から兵士を借りている状態であり、その事も理由でレイビはギンタロウの存在を忌々しく感じていた。自分が嫌っている相手に力を借りて領地を管理するという立場にレイビは酷く屈辱感を味わい、もしも東聖将がギンタロウでなければ彼はここまでの屈辱を味わう事はなかっただろう。
嫌悪する相手から借り受けた兵士で領地を守護しなければならない日々を送っていたレイビだが、デブリ国王の代わりにカレハがヨツバ王国を管理するようになった途端、彼は絶好の好機と考えてある行動を起こしたという。
「実は先日、王都のカレハ王女から書状が届いてな……内容はレイビが再び俺から東聖将の座を降りるように進言してきたのだ。そしてカレハ王女もその案を受け入れるかもしれん!!」
「ええっ!?」
「カレハ王女様が……」
「だが、もしも自分に忠誠を誓うというのであれば東聖将の座は剥奪せず、代わりに今後はレイビに領地内のケンタウロス以外の兵力を譲り渡すように命じられてな!!それで困っているのだ!!」
「何と……」
ギンタロウも自分の立場が窮地に立たされているらしく、この状況ではエリナ達に力を貸す事も難しいという。
「ここが俺の部屋だ。お手が東聖将になった時に増築して新しく作った部屋だぞ!!」
「あれ……これってもしかして畳ですか?」
「おおっ!!本当でござる!!」
ギンタロウはが案内した広間は床一面に畳が敷き詰められ、更に掛け座布団や机まで用意されていた。この世界にも畳が存在した事にレナは驚くが、ハンゾウとカゲマルの祖国である「和国」は元々は日本人の転移者が作り出した国のため、畳が存在してもおかしくはない。
「何だ?お前達も畳を知っているのか?この部屋は和国から訪れた親友が作ってくれた部屋でな、ここだけは俺も安心して休められるから気に入ってるんだ!!はっはっはっ!!」
「この部屋はあたしも気に入ってますよ。こうやって寝そべっても身体が汚れませんから」
「こら、行儀が悪いよ」
「ほう……和国の職人もこの国に住んでいたのか」
エリナは遠慮なく畳の上に横になると、他の者達も履物を脱いで畳の上に上がる。ちなみに屋敷に入る時に渡された履物は草の葉で構成され、ギンタロウの場合は蹄の形をした布袋を足の裏に張り付けて廊下を歩いていた。
「さあ、遠慮なく寛いでくれ!!おい、誰か茶菓子と熱いお茶を用意してくれ!!」
『あ、すいません!!今手を離せないんです!!自分で用意してくださぁいっ!!』
「むう、仕方あるまい……待っていろ、すぐに俺が持ってくるからな!!」
「え、ギンタロウさんが!?」
「……ここの使用人はどんな教育をしてるんだ」
屋敷の主人であるギンタロウに対して使用人が客人の持て成しを手伝わせる事にカゲマルは眉を顰めるが、当のギンタロウ本人は気にした様子もなく部屋を出て本当に茶菓子とお茶を用意してきた。
「さあ、遠慮なく食べてくれ!!これは和国からの土産のおはぎと緑茶という奴だ!!俺の大好物だぞ!!」
「おおっ!!あたしの大好物っす!!」
「ほう、おはぎはともかく、茶葉まであるのでござるか」
「良い香りだ……高級品だな」
「わあ、この世界で食べるのは初めてかも……」
机の上に差しだされたおはぎと緑茶をレナ達は遠慮なく味わう。おはぎも緑茶も転生してから初めて食べたレナは勘当を覚え、地球ではあまり縁がなかった食べ物ではあるが、食べてみると懐かしさのあまりに涙を流しそうになる。
(ああっ……お祖母ちゃんの家で食べたおはぎを思い出すな。この世界でも食べられるなんて夢みたいだ)
和食が気軽に食べられる生活を送っていないため、レナは感慨深く食べているとエリナが食事の途中に本題に入る。
「叔父さん、さっきも話したんですけど、あたし達がここに来たのは叔父さんに協力して欲しいんです。ティナ様を助けるために力を貸してくれませんか?」
「むうっ……さっきの話か。正直に言えば返答に困るな!!」
「まあ、人が石像になるという突拍子もない話を簡単に信じられるはずがないでござるな……」
ギンタロウは姪のエリナの話でも俄には信じられず、伝説の魔人族であるメドゥーサの魔眼を手に入れた死霊使いによってティナを除いた王族全員が石像にされたと聞いても素直には信じられないだろうとハンゾウは考えたが、ギンタロウは不思議に首を傾げた。
「ん?いや、俺が困っているのは別の理由だぞ?エリナの話はそもそも疑ってなどいない、俺の姪が嘘をつくような娘ではない事は知っているからな!!エリナがそういうのなら本当に国王様達は石像と化しているんだろう?」
「叔父さん、信じてくれるんですか?」
「当たり前だ!!お前は姪とはいえ、俺にとっては実の娘のような物だ!!家族の言葉はなにがろうと疑わん!!」
「お、叔父さ~ん!!」
「待て、話は戻るがそれならばどうして返答に困る?」
ギンタロウの言葉にエリナは感激するが、それを冷静にカゲマルが二人の間に割って入り、どうしてギンタロウがレナ達の協力に応じる事を渋るのかを尋ねる。ギンタロウは困った表情を浮かべながら緑茶を飲み込み、溜息を吐き出す。
「お前達の話は俺も信じている……だが、協力してくれと頼まれてもそう簡単にはいかんのだ!!」
「ど、どういう事っすか!?」
「現在、俺は東聖将の位を剥奪されかかっているからな!!」
『ええっ!?』
予想外の返答を受けたレナ達は驚愕し、どうしてギンタロウが東聖将の座を剥奪されようとしているのかを尋ねると、理由は一か月以上前に遡るという。
「実は将軍の中で俺だけが森人族ではない事に不満を抱く輩が多くてな。特に南方のレイビの奴に至っては俺の事を嫌っている!!あいつにとってケンタウロス族など魔物の一種だと普段から抜かしているからな!!俺もあいつの事は大嫌いだ!!」
「レイビ……確か南聖将の?」
「しかし、東聖将の位を与えたのはヨツバ王国の国王ではないのでござるか?」
「うむ!!レイビの奴は何度も国王様に俺を東聖将から外す様に直訴したようだが、寛大な国王様は種族が違うからという理由だけで将軍の座を奪うなど愚かな事だと宣言してくれた!!だから俺はあの人に一生仕えると決めた!!」
「国王様は若い頃に色々な種族と交わっていたそうで、森人族だけが特別に優れた種族だとは考えていないんですよ。だから今の国王様がヨツバ王国の王の座に就いた時から他種族の方がこの国によく訪れるようになりました」
ヨツバ王国のデブリ国王は人種差別を行わず、むしろ様々な種族と交わる事に積極的で他国からの来訪者を快く受け入れていた。そのお陰で現在のヨツバ王国には森人族以外の種族も多く、特に東聖将の管理する領地には数多くのケンタウロスが暮らしている。
だが、それを気に入らないがの南聖将のレイビであり、彼はケンタウロスであるギンタロウが自分と同格の六聖将である事が気にくわなかった。理由は魔人族であるケンタウロスなど魔物使いであるレイビにとってはせいぜい人語を理解する魔物という程度の存在でしかなく、いくら国王に認められようと彼はギンタロウの事を認められなかった。
しかも最悪な事にレイビはギンタロウを嫌っていながらも南方の領地の管理のために彼から兵士を借りている状態であり、その事も理由でレイビはギンタロウの存在を忌々しく感じていた。自分が嫌っている相手に力を借りて領地を管理するという立場にレイビは酷く屈辱感を味わい、もしも東聖将がギンタロウでなければ彼はここまでの屈辱を味わう事はなかっただろう。
嫌悪する相手から借り受けた兵士で領地を守護しなければならない日々を送っていたレイビだが、デブリ国王の代わりにカレハがヨツバ王国を管理するようになった途端、彼は絶好の好機と考えてある行動を起こしたという。
「実は先日、王都のカレハ王女から書状が届いてな……内容はレイビが再び俺から東聖将の座を降りるように進言してきたのだ。そしてカレハ王女もその案を受け入れるかもしれん!!」
「ええっ!?」
「カレハ王女様が……」
「だが、もしも自分に忠誠を誓うというのであれば東聖将の座は剥奪せず、代わりに今後はレイビに領地内のケンタウロス以外の兵力を譲り渡すように命じられてな!!それで困っているのだ!!」
「何と……」
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