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外伝 ~ヨツバ王国編~
城門の惨状
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「ウガァアアアッ!!」
「こ、このっ……どうして死なないんだ!?」
「魔法が効きにくい!!何なんだこいつら!?」
城門では既に大勢の兵士が集結し、開け放たれた城門から姿を現す魔物達と戦闘を開始していた。魔物の種類はゴブリン、オーク、甲殻獣、さらには赤毛熊などの猛獣も存在し、普段から狩猟で魔物との戦闘に慣れているはずの兵士達を圧倒していた。
「ギィイッ!!」
「うわ、なんだこいつら!?共食いしてやがる!!」
「違う!!死体から血を吸い上げてるんだ!!」
「くそ、何なんだこいつ等!?」
倒した魔物の死体に他の魔物が群がり、争う様に死体から血液を吸い上げる姿に兵士達は怖気付き、その間にも血液を吸収する事で肉体を膨張化させてより強力な個体となった魔物達が兵士に襲いかかる。
「プギィイイッ!!」
「ぐおっ!?ば、馬鹿な……オーク如きがどうしてこれほどの力を!?」
戦闘中の兵士の中にはケンタウロス族も多く含まれるが、血液を吸い上げてより狂暴化したオークに襲われ、力尽くで押し倒されてしまう。ケンタウロス族はミノタウロスやサイクロプスに次ぐ程の怪力の持ち主だが、暴走した魔物達は通常種とは比べ物にならない程の身体能力を有し、兵士達を圧倒した。
数は兵士の方が多いにも関わらず、魔物達は連携も取らずに各自が暴れ狂い、仲間同士であろうがお構いなく邪魔だと判断すれば同士討ちを行う。更に死体から血液を吸い上げる事でより狂暴化と肉体の強化を行い、兵士達に襲いかかる。
「ガアアッ!!」
「くっ……も、もう駄目だ!!」
「弱音を吐くな!!それでも貴様は東の戦士か!!」
赤毛熊に食い殺されそうになった森人族の兵士の元にギンタロウは駆けつけると、鉞を振り翳して自分よりも巨体の赤毛熊の首を切り裂く。
「円斧!!」
「アガァッ……!?」
数多くの死体の血を吸い上げてより肉体強化された赤毛熊の首を意図も容易く切り裂き、そのまま勢いを止めずにギンタロウは続けて兵士達に襲いかかっていた魔物達を切り裂く。その光景を見た兵士達は歓喜の声を上げ、士気を上げる。
「しょ、将軍!?将軍が来てくれたぞ!!」
「将軍!!お待ちしてました!!」
「はっはっはっ!!待たせたなお前達!!俺が来たからにはもう大丈夫だ!!」
「ギギィッ!?」
「フゴォッ!?」
両手の鉞を回転させながら次々と「赤獣化」した魔物達を切り裂き、ギンタロウは兵士達に笑いかける。自分達の大将が訪れた事で兵士達も指揮を取り戻し、続けて側近の3人もギンタロウの後に続いて攻撃を仕掛けた。
「ギン!!お前は俺の背中を任せるぞ!!ドウ!!お前は援護しろ!!」
「了解だ兄者!!」
「承知した!!」
「おおっ!!三兄弟も来てくれたか!!」
馬上槍を構えたキンが先行し、続けて大盾を構えた次男のギンが続き、後方で弓矢を構えた末弟のドウが二人の後方から援護を行う。ギンタロウの直属の配下にして兵士達の中でも抜きんでた実力を持つ三兄弟は魔物達を各々が得意とする戦技で討伐を開始する。
「刺突!!」
「突貫!!」
「連射!!」
『ギィアアアアッ!?』
兄のキンは巨大な槍で赤毛熊などの大型の魔物の急所を打ち抜き、弟のギンは盾を構えた状態で突進して装甲車を思わせる勢いで魔物達を薙ぎ払い、末の弟であるドウは二人が討ち漏らした魔物達を矢で射抜く。王国四騎士には抜擢されなかったとはいえ、この3人の実力は他国の将軍にも劣らない。
ギンタロウと三兄弟の登場によって戦況は一変し、士気を盛り上げた兵士達も反撃に転じる。赤獣と化した魔物達は次々と討ち取られ、数分後には大量の魔物の屍が地面に横たわっていた。
「はっはっはっ!!もう終わりか!?他に敵はいないのか!?」
「将軍、その赤毛熊が最後の一体です!!」
「そうか!!」
最後に暴れまわっていた赤毛熊の頭部をギンタロウが叩き潰すと、城門で暴れていた全ての魔物の駆逐に成功し、兵士達は歓声を上げる。兵士達の被害も大きいが、これで街中に侵入した大部分の魔物の討伐を果たす。これで一安心化と思われたが、ギンタロウは赤毛熊を放り投げて城門の見張り役を行っていた兵士に振り返る。
「ふむ……こいつらを運び出してきたという荷車は何処だ?そもそも何故城門を勝手に開いたのだ?」
「将軍、実は荷車を運んできたのは南聖将からの使者を名乗る団体でした!!一応は使者の証として南聖将が直筆されたという書状を受け取り、鑑定士に確認させた所、本物の筆跡だと確認できたので見張りの兵士が城門を開いたのですが……結果はこの有様です」
「何だと?」
申し訳なさそうな表情で答えた兵士の言葉にギンタロウは城門の外側で積み込まれた荷車を確認し、大量に搭載されている木箱を見て疑問を抱く。見張りの兵士の言葉が真実ならばこの木箱を運び込んだのは南聖将のレイビだとした場合、今回の騒動を引き起こしたのはレイビの策略である事は間違いない。
「将軍!!木箱を確認した所、大量の夜華が仕込まれています!!これを使い、恐らくはこの魔獣達を眠らせていたと思われます!!」
「夜華だと……あの麻酔薬の原料にも使われている香草か」
木箱を調査した結果、全ての箱の中の床板には「夜華」と呼ばれる薬草が仕込まれていた。こちらの薬草はアトラス大森林にしか生息せず、薬草の一種ではあるがその華の香を吸い込むだけで普通の人間ならば半日は昏倒してしまう程の強烈な睡眠作用を引き起こす危険な薬草である。
夜華の名前の由来はこの薬草は暗闇でしか華を咲かさず、日中の間は蕾となって香りを生み出さない。だが、火の光が差さない環境下では蕾が開き、強烈な香りを周囲に漂わせる。洞窟の奥に夜華が生えている場所に辿り着いた人間がその香りを嗅いで意識を失い、目を覚ました時に再び香りを嗅いで意識を失う事を繰り返して最終的に餓死してしまう事件も起きる程に取り扱いが危険な植物だった。
「なるほど、つまり木箱の蓋を閉じている間は華の香りで強制的に魔物を眠らせ、起こすときは木箱の蓋を開けて日の光を当てる事で夜華を蕾に戻して魔獣達を起こしていたという事か」
「それだけではない、どうやらこの魔獣共は吸血鬼の血液が混じっているようだ。全員の瞳が赤く変色している」
「エリナから報告を受けていた例のコボルトの変異種と同じ状態という事か……将軍、どうします?」
「警備を固めろ!!荷車は全て街中に運び込め!!街に侵入した全ての魔物を討伐に急げ!!」
キン、ギン、ドウにギンタロウは指示を与え、これ以上の被害を防ぐ為に他に敵が侵入してこないように城門を閉じさせる作業を急がせる。兵士達は他に生き残った魔獣の討伐のために動き、木箱が搭載された荷車に関しては街中に移動させて詳しい調査を行おうとした。
この荷車を運び出した南聖将が派遣した兵士の集団の姿は見当たらず、恐らくは混乱に乗じて既に逃走したと考えられた。だが、ギンタロウは兵士を割いてまで追跡を行う事はせず、まずは街の住民の安全を確保させるために城門を閉じて街の探索を行わせる。
「城門を閉じろ!!他に生き残っている魔物がいるかもしれん!!それと負傷した者は俺の屋敷へ運び込め!!」
『はっ!!』
ギンタロウの指示を受けた兵士達は即座に行動を起こし、城門の封鎖と負傷者の移送を優先する。だが、城門を閉じる前に全ての荷車を街中に運び込もうとした時、最後尾に存在した荷車に搭載された巨大な木箱が唐突に震え始めた。
※コミカライズ版の第三話の公開日です!!遂にレナの能力が明かされます!!
「こ、このっ……どうして死なないんだ!?」
「魔法が効きにくい!!何なんだこいつら!?」
城門では既に大勢の兵士が集結し、開け放たれた城門から姿を現す魔物達と戦闘を開始していた。魔物の種類はゴブリン、オーク、甲殻獣、さらには赤毛熊などの猛獣も存在し、普段から狩猟で魔物との戦闘に慣れているはずの兵士達を圧倒していた。
「ギィイッ!!」
「うわ、なんだこいつら!?共食いしてやがる!!」
「違う!!死体から血を吸い上げてるんだ!!」
「くそ、何なんだこいつ等!?」
倒した魔物の死体に他の魔物が群がり、争う様に死体から血液を吸い上げる姿に兵士達は怖気付き、その間にも血液を吸収する事で肉体を膨張化させてより強力な個体となった魔物達が兵士に襲いかかる。
「プギィイイッ!!」
「ぐおっ!?ば、馬鹿な……オーク如きがどうしてこれほどの力を!?」
戦闘中の兵士の中にはケンタウロス族も多く含まれるが、血液を吸い上げてより狂暴化したオークに襲われ、力尽くで押し倒されてしまう。ケンタウロス族はミノタウロスやサイクロプスに次ぐ程の怪力の持ち主だが、暴走した魔物達は通常種とは比べ物にならない程の身体能力を有し、兵士達を圧倒した。
数は兵士の方が多いにも関わらず、魔物達は連携も取らずに各自が暴れ狂い、仲間同士であろうがお構いなく邪魔だと判断すれば同士討ちを行う。更に死体から血液を吸い上げる事でより狂暴化と肉体の強化を行い、兵士達に襲いかかる。
「ガアアッ!!」
「くっ……も、もう駄目だ!!」
「弱音を吐くな!!それでも貴様は東の戦士か!!」
赤毛熊に食い殺されそうになった森人族の兵士の元にギンタロウは駆けつけると、鉞を振り翳して自分よりも巨体の赤毛熊の首を切り裂く。
「円斧!!」
「アガァッ……!?」
数多くの死体の血を吸い上げてより肉体強化された赤毛熊の首を意図も容易く切り裂き、そのまま勢いを止めずにギンタロウは続けて兵士達に襲いかかっていた魔物達を切り裂く。その光景を見た兵士達は歓喜の声を上げ、士気を上げる。
「しょ、将軍!?将軍が来てくれたぞ!!」
「将軍!!お待ちしてました!!」
「はっはっはっ!!待たせたなお前達!!俺が来たからにはもう大丈夫だ!!」
「ギギィッ!?」
「フゴォッ!?」
両手の鉞を回転させながら次々と「赤獣化」した魔物達を切り裂き、ギンタロウは兵士達に笑いかける。自分達の大将が訪れた事で兵士達も指揮を取り戻し、続けて側近の3人もギンタロウの後に続いて攻撃を仕掛けた。
「ギン!!お前は俺の背中を任せるぞ!!ドウ!!お前は援護しろ!!」
「了解だ兄者!!」
「承知した!!」
「おおっ!!三兄弟も来てくれたか!!」
馬上槍を構えたキンが先行し、続けて大盾を構えた次男のギンが続き、後方で弓矢を構えた末弟のドウが二人の後方から援護を行う。ギンタロウの直属の配下にして兵士達の中でも抜きんでた実力を持つ三兄弟は魔物達を各々が得意とする戦技で討伐を開始する。
「刺突!!」
「突貫!!」
「連射!!」
『ギィアアアアッ!?』
兄のキンは巨大な槍で赤毛熊などの大型の魔物の急所を打ち抜き、弟のギンは盾を構えた状態で突進して装甲車を思わせる勢いで魔物達を薙ぎ払い、末の弟であるドウは二人が討ち漏らした魔物達を矢で射抜く。王国四騎士には抜擢されなかったとはいえ、この3人の実力は他国の将軍にも劣らない。
ギンタロウと三兄弟の登場によって戦況は一変し、士気を盛り上げた兵士達も反撃に転じる。赤獣と化した魔物達は次々と討ち取られ、数分後には大量の魔物の屍が地面に横たわっていた。
「はっはっはっ!!もう終わりか!?他に敵はいないのか!?」
「将軍、その赤毛熊が最後の一体です!!」
「そうか!!」
最後に暴れまわっていた赤毛熊の頭部をギンタロウが叩き潰すと、城門で暴れていた全ての魔物の駆逐に成功し、兵士達は歓声を上げる。兵士達の被害も大きいが、これで街中に侵入した大部分の魔物の討伐を果たす。これで一安心化と思われたが、ギンタロウは赤毛熊を放り投げて城門の見張り役を行っていた兵士に振り返る。
「ふむ……こいつらを運び出してきたという荷車は何処だ?そもそも何故城門を勝手に開いたのだ?」
「将軍、実は荷車を運んできたのは南聖将からの使者を名乗る団体でした!!一応は使者の証として南聖将が直筆されたという書状を受け取り、鑑定士に確認させた所、本物の筆跡だと確認できたので見張りの兵士が城門を開いたのですが……結果はこの有様です」
「何だと?」
申し訳なさそうな表情で答えた兵士の言葉にギンタロウは城門の外側で積み込まれた荷車を確認し、大量に搭載されている木箱を見て疑問を抱く。見張りの兵士の言葉が真実ならばこの木箱を運び込んだのは南聖将のレイビだとした場合、今回の騒動を引き起こしたのはレイビの策略である事は間違いない。
「将軍!!木箱を確認した所、大量の夜華が仕込まれています!!これを使い、恐らくはこの魔獣達を眠らせていたと思われます!!」
「夜華だと……あの麻酔薬の原料にも使われている香草か」
木箱を調査した結果、全ての箱の中の床板には「夜華」と呼ばれる薬草が仕込まれていた。こちらの薬草はアトラス大森林にしか生息せず、薬草の一種ではあるがその華の香を吸い込むだけで普通の人間ならば半日は昏倒してしまう程の強烈な睡眠作用を引き起こす危険な薬草である。
夜華の名前の由来はこの薬草は暗闇でしか華を咲かさず、日中の間は蕾となって香りを生み出さない。だが、火の光が差さない環境下では蕾が開き、強烈な香りを周囲に漂わせる。洞窟の奥に夜華が生えている場所に辿り着いた人間がその香りを嗅いで意識を失い、目を覚ました時に再び香りを嗅いで意識を失う事を繰り返して最終的に餓死してしまう事件も起きる程に取り扱いが危険な植物だった。
「なるほど、つまり木箱の蓋を閉じている間は華の香りで強制的に魔物を眠らせ、起こすときは木箱の蓋を開けて日の光を当てる事で夜華を蕾に戻して魔獣達を起こしていたという事か」
「それだけではない、どうやらこの魔獣共は吸血鬼の血液が混じっているようだ。全員の瞳が赤く変色している」
「エリナから報告を受けていた例のコボルトの変異種と同じ状態という事か……将軍、どうします?」
「警備を固めろ!!荷車は全て街中に運び込め!!街に侵入した全ての魔物を討伐に急げ!!」
キン、ギン、ドウにギンタロウは指示を与え、これ以上の被害を防ぐ為に他に敵が侵入してこないように城門を閉じさせる作業を急がせる。兵士達は他に生き残った魔獣の討伐のために動き、木箱が搭載された荷車に関しては街中に移動させて詳しい調査を行おうとした。
この荷車を運び出した南聖将が派遣した兵士の集団の姿は見当たらず、恐らくは混乱に乗じて既に逃走したと考えられた。だが、ギンタロウは兵士を割いてまで追跡を行う事はせず、まずは街の住民の安全を確保させるために城門を閉じて街の探索を行わせる。
「城門を閉じろ!!他に生き残っている魔物がいるかもしれん!!それと負傷した者は俺の屋敷へ運び込め!!」
『はっ!!』
ギンタロウの指示を受けた兵士達は即座に行動を起こし、城門の封鎖と負傷者の移送を優先する。だが、城門を閉じる前に全ての荷車を街中に運び込もうとした時、最後尾に存在した荷車に搭載された巨大な木箱が唐突に震え始めた。
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