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外伝 ~ヨツバ王国編~
赤毛熊の亜種
「な、何だ!?箱が動いて……」
「まだ生き残りが居たかっ!!」
「落ち着け!!完全に目覚めたとは限らん!!取り囲め!!」
木箱が動き出した事に兵士達は慌てふためくが、ギンタロウが指示を与えると冷静心を取り戻し、荷車の周囲を取り囲む。木箱の大きさは4メートルを超え、途中までは2頭の甲殻獣で運んでいたようだが先ほどの赤獣化した魔獣達に殺されたのか死体が転がっていた。
木箱の蓋がゆっくりと内側から押し開かれ、兵士達が槍と弓矢を構えると、姿を現したのは全身が白と黒の毛皮で覆われた巨大な熊だった。それを見た瞬間、ギンタロウは目を見開く。
「こ、こいつは……赤毛熊の亜種、黒白熊か!!」
「グガァアアアッ!!」
ギンタロウの声に反応したように巨大熊は咆哮を放ち、周囲に存在する兵士達はその声量に耐え切れずに耳を抑えてしまう。森人族は普通の人間よりも聴覚に発達しているので至近距離から大音量を受けた事で兵士達は一瞬だけ意識が飛び、ギンタロウも片耳を抑えながら鉞を握り締める。
「ぬうっ……愛らしい姿をしているからといって油断するな!!こいつの強さは並の赤毛熊とは比べ物にならんぞ!!」
「あ、愛らしいでしょうか……?」
「グオオオオッ!!」
牙を剥き出しにしながら胸元を両拳で叩きつける姿は愛らしさの欠片も存在せず、もしもここにレナが存在したら黒白熊の外見を見たら「こんなのパンダじゃないっ!!」と突っ込む所だろう。だが、ギンタロウは久しぶりに骨のある獲物と出会えたかもしれず、嬉しそうに鉞を構えた。
「はっはっはっ!!これほどの大物、久しぶりだな!!お前達は下がっていろ、ここは俺が……」
「いえ、将軍!!まだ木箱の中に何かが潜んでいます!?」
『ウォオオンッ!!』
黒白熊が隠れていた木箱の中から泣き声が上がり、姿を現したのは目元を赤く光り輝かせるコボルトの集団だった。数は6体ほど存在し、どうやら黒白熊と同じ木箱で隠れていたようだが、これまでにギンタロウ達が倒した魔物とは異なり、コボルト達は獲物を見定めるようにギンタロウ達を観察する。
『グルルルッ……!!』
「ほう、コボルトも隠れていたか!!よし、全員掛かって来い!!」
「将軍!!ここは我等も一緒に……なんだ!?」
「ガアアッ!!」
「ウォンッ!?」
木箱から現れたコボルトの1匹を黒白熊が掴み上げ、口元を開いて頭に噛みつき、恐ろしい咬筋力で食い千切る。その鋭い牙でコボルトの頭部を一噛みですり潰し、飲み込む。お気に召さなかったのか右手に掴んでいたコボルトの胴体を放り投げ、黒白熊は木箱から身を乗り出す。
「ブベッ……ペッ!!」
「……ふむ、どうやら不味かったようだな!!」
「というより将軍、こいつもしかして他の魔物と違い、吸血鬼の血が入っていないのでは?」
黒白熊は興奮状態には陥っているが、目元の部分は充血しておらず、どうやらこの個体だけは赤獣と化してはいない様子だった。だが、赤獣ではないとはいえ、決して人に懐くような温厚な魔物ではなく、コボルトが餌にならないと判断するとギンタロウ達に視線を向けた。
「ウガァアアアッ!!」
「やはりこちらが狙いか!!」
真っ先にギンタロウに目掛けて黒白熊は駆け出し、その巨体で吹き飛ばそうとしたが、ギンタロウは鉞を翳して正面から受け止めた。
「ガアアッ……!?」
「ぐうっ……何という力だ、だが負けんぞ!!」
黒白熊の体当たりを受け止めたギンタロウは力負けせずに押し返そうとしたが、その隙にコボルトの集団が駆け抜け、ギンタロウを素通りして開け開かれた城門へ向かう。
「ガアアッ!!」
「ウォンッ!!」
「なっ!?こいつら……」
「いかん!!捕まえろっ!!」
兵士達がコボルトの集団を街に侵入させないように武器を身構えたが、これまでに戦った魔物達と異なり、コボルトの集団は統率の取れた動きで兵士達を潜り抜けて街の中へ侵入を行う。数は最初に黒白熊に殺された1体を除けば5体のため、城門に入った瞬間にコボルト達は分散して移動を行う。
「ガアッ!!」
「ウォンッ!!」
「ワフゥッ!!」
「だ、駄目だ!!奴等を追えっ!!」
「ここは我々がっ!!」
コボルトの足の速さは森人族では追いつく事は出来ず、必然的に追跡を行うのはケンタウロス族となる。ギンタロウの側近のキン、ギン、ドウの三兄弟がコボルトの後を追い、他の兵士達も続く。
「ぬうっ……時間を掛けている場合ではないな!!」
「ウガァッ!!」
鉞を分厚い毛皮で覆われた両手で握り閉めた黒白熊はギンタロウの頭部に噛みつこうとしたが、咄嗟に首を引いて回避すると前脚の部分を突き出して白黒熊の身体を蹴り飛ばす。ケンタウロス族の長所は両腕だけではなく、馬を思わせる四本脚が存在する事であり、ギンタロウは恐れずに黒白熊に正面から挑む。
「悪いが遊んでいる暇はない!!一瞬で終わらせるぞ!!」
「ガアアッ――!!」
久々の強敵ではあるが戦闘を楽しむ余裕はなく、ギンタロウは鉞を掲げて黒白熊に果敢に挑む――
――同時刻、ギンタロウの屋敷内では大勢の怪我人が運び込まれ、ギンタロウの妻であるリョウコが使用人達に次々と指示を与えて彼等の治療を行う。彼女は「薬師」の職業を持ち、薬草を調合して怪我人の治療を行う。
「重症者から優先的に治療を行います!!屋敷の中に保管している薬を全て運び出しなさい!!井戸から水を汲み上げて持ってきてください!!」
「す、すぐにお持ちします!!」
「かか、やくそーもってきたっ」
「ありがとうヨウコ……こんな子供が頑張っているのですよ!!貴方達もへばっていないで動きなさい!!」
「は、はい!!」
使用人達は忙しなく屋敷内を動き回り、次々と訪れる怪我人の治療の処置を行う。残念ながらこの街には「治癒魔導士」の職業を持つ人間は少なく、基本的には薬を調合する「薬師」の職業の者しか存在しない。なので回復魔法を扱えるレナは重傷者の治療を手伝わされる。
「ううっ……痛い、助けてくれぇっ」
「大丈夫です、すぐに治しますから……」
「兄貴、こっちの人もお願いします!!出血が激しくてこのままだと治療する前に死んじゃいます!!」
「拙者たちの丸薬も底を尽きたでござる!!」
「応急処置程度ならば問題ない、まずは重症人の治療に専念しろ!!」
レナの回復魔法によって負傷者はある程度は回復するが、本職の治癒魔導士が扱う回復魔法と比べるとレナの補助魔法の「回復超強化」は限界があり、身体の一部を破損した人間や内臓をやられた者は助ける事は出来ない。
それでも回復魔法の使い手が存在する事は幸いし、意識を失って回復薬を飲用出来ない者も多く、その場合はレナの回復魔法が役立つ。回復薬は傷口に塗り込めば効果的だが、内出血などの症状の場合は飲用した方が回復効果が高い。だが、意識を失った者に回復薬を飲ませる事は出来ないのでレナの回復魔法ならば意識を失った状態でも問題なく治療は行えた。
「申し訳ありません……客人の皆様に手伝って貰い、誠に感謝します」
「ありがとぉっ」
「いえ、困ったときはお互い様ですよ……とはいえ、このままだと不味いな」
「ああ、怪我人が後を絶たん……このままでは薬も魔力も持たんぞ」
予想以上に一般人の被害が多く、屋敷の中には既に足場の踏みどころがないほどに意識を失った状態の怪我人が並び、既にその数は100名を超えていた。しかも屋敷の外にはまだ負傷者を抱えた兵士達が列を為しており、その数は100名どころではなかった。
※おまけ
レナ「やった!!ついに最弱職のお気に入り数を超えたぞ!!(/・ω・)/ワーイ」
アイリス「やりましたね!!おや、何故か急に寒気が……(´・ω・)?」
|д゚)ジー ←最弱職から送り込まれた刺客(リーリス)
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「落ち着け!!完全に目覚めたとは限らん!!取り囲め!!」
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「こ、こいつは……赤毛熊の亜種、黒白熊か!!」
「グガァアアアッ!!」
ギンタロウの声に反応したように巨大熊は咆哮を放ち、周囲に存在する兵士達はその声量に耐え切れずに耳を抑えてしまう。森人族は普通の人間よりも聴覚に発達しているので至近距離から大音量を受けた事で兵士達は一瞬だけ意識が飛び、ギンタロウも片耳を抑えながら鉞を握り締める。
「ぬうっ……愛らしい姿をしているからといって油断するな!!こいつの強さは並の赤毛熊とは比べ物にならんぞ!!」
「あ、愛らしいでしょうか……?」
「グオオオオッ!!」
牙を剥き出しにしながら胸元を両拳で叩きつける姿は愛らしさの欠片も存在せず、もしもここにレナが存在したら黒白熊の外見を見たら「こんなのパンダじゃないっ!!」と突っ込む所だろう。だが、ギンタロウは久しぶりに骨のある獲物と出会えたかもしれず、嬉しそうに鉞を構えた。
「はっはっはっ!!これほどの大物、久しぶりだな!!お前達は下がっていろ、ここは俺が……」
「いえ、将軍!!まだ木箱の中に何かが潜んでいます!?」
『ウォオオンッ!!』
黒白熊が隠れていた木箱の中から泣き声が上がり、姿を現したのは目元を赤く光り輝かせるコボルトの集団だった。数は6体ほど存在し、どうやら黒白熊と同じ木箱で隠れていたようだが、これまでにギンタロウ達が倒した魔物とは異なり、コボルト達は獲物を見定めるようにギンタロウ達を観察する。
『グルルルッ……!!』
「ほう、コボルトも隠れていたか!!よし、全員掛かって来い!!」
「将軍!!ここは我等も一緒に……なんだ!?」
「ガアアッ!!」
「ウォンッ!?」
木箱から現れたコボルトの1匹を黒白熊が掴み上げ、口元を開いて頭に噛みつき、恐ろしい咬筋力で食い千切る。その鋭い牙でコボルトの頭部を一噛みですり潰し、飲み込む。お気に召さなかったのか右手に掴んでいたコボルトの胴体を放り投げ、黒白熊は木箱から身を乗り出す。
「ブベッ……ペッ!!」
「……ふむ、どうやら不味かったようだな!!」
「というより将軍、こいつもしかして他の魔物と違い、吸血鬼の血が入っていないのでは?」
黒白熊は興奮状態には陥っているが、目元の部分は充血しておらず、どうやらこの個体だけは赤獣と化してはいない様子だった。だが、赤獣ではないとはいえ、決して人に懐くような温厚な魔物ではなく、コボルトが餌にならないと判断するとギンタロウ達に視線を向けた。
「ウガァアアアッ!!」
「やはりこちらが狙いか!!」
真っ先にギンタロウに目掛けて黒白熊は駆け出し、その巨体で吹き飛ばそうとしたが、ギンタロウは鉞を翳して正面から受け止めた。
「ガアアッ……!?」
「ぐうっ……何という力だ、だが負けんぞ!!」
黒白熊の体当たりを受け止めたギンタロウは力負けせずに押し返そうとしたが、その隙にコボルトの集団が駆け抜け、ギンタロウを素通りして開け開かれた城門へ向かう。
「ガアアッ!!」
「ウォンッ!!」
「なっ!?こいつら……」
「いかん!!捕まえろっ!!」
兵士達がコボルトの集団を街に侵入させないように武器を身構えたが、これまでに戦った魔物達と異なり、コボルトの集団は統率の取れた動きで兵士達を潜り抜けて街の中へ侵入を行う。数は最初に黒白熊に殺された1体を除けば5体のため、城門に入った瞬間にコボルト達は分散して移動を行う。
「ガアッ!!」
「ウォンッ!!」
「ワフゥッ!!」
「だ、駄目だ!!奴等を追えっ!!」
「ここは我々がっ!!」
コボルトの足の速さは森人族では追いつく事は出来ず、必然的に追跡を行うのはケンタウロス族となる。ギンタロウの側近のキン、ギン、ドウの三兄弟がコボルトの後を追い、他の兵士達も続く。
「ぬうっ……時間を掛けている場合ではないな!!」
「ウガァッ!!」
鉞を分厚い毛皮で覆われた両手で握り閉めた黒白熊はギンタロウの頭部に噛みつこうとしたが、咄嗟に首を引いて回避すると前脚の部分を突き出して白黒熊の身体を蹴り飛ばす。ケンタウロス族の長所は両腕だけではなく、馬を思わせる四本脚が存在する事であり、ギンタロウは恐れずに黒白熊に正面から挑む。
「悪いが遊んでいる暇はない!!一瞬で終わらせるぞ!!」
「ガアアッ――!!」
久々の強敵ではあるが戦闘を楽しむ余裕はなく、ギンタロウは鉞を掲げて黒白熊に果敢に挑む――
――同時刻、ギンタロウの屋敷内では大勢の怪我人が運び込まれ、ギンタロウの妻であるリョウコが使用人達に次々と指示を与えて彼等の治療を行う。彼女は「薬師」の職業を持ち、薬草を調合して怪我人の治療を行う。
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「ありがとうヨウコ……こんな子供が頑張っているのですよ!!貴方達もへばっていないで動きなさい!!」
「は、はい!!」
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「兄貴、こっちの人もお願いします!!出血が激しくてこのままだと治療する前に死んじゃいます!!」
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「申し訳ありません……客人の皆様に手伝って貰い、誠に感謝します」
「ありがとぉっ」
「いえ、困ったときはお互い様ですよ……とはいえ、このままだと不味いな」
「ああ、怪我人が後を絶たん……このままでは薬も魔力も持たんぞ」
予想以上に一般人の被害が多く、屋敷の中には既に足場の踏みどころがないほどに意識を失った状態の怪我人が並び、既にその数は100名を超えていた。しかも屋敷の外にはまだ負傷者を抱えた兵士達が列を為しており、その数は100名どころではなかった。
※おまけ
レナ「やった!!ついに最弱職のお気に入り数を超えたぞ!!(/・ω・)/ワーイ」
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