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外伝 ~ヨツバ王国編~
シズネVS白虎
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「全員、下がりなさい。ここは私一人でやるわ」
「シズネさん!!私達には時間がありません!!」
「分かっている……けれど、父を侮辱された以上は私も退けないのよ!!」
「シズネ殿……」
レナの限界が近い事はシズネも重々承知しているが、亡き父を侮辱した白虎に対して彼女は退くわけにはいかず、時間を掛けずに倒すために雪月花を構える。相手の力量は完全には把握していないが、それでも彼女は負ける気はなかった。
「それが噂に聞く魔剣、雪月花か……青の剣聖の実力、確かめさせてもらう」
「安心しなさい、魔剣の力を使わなくても……貴方如きに負けるつもりはないわ!!」
「早いっ!?」
シズネは駆け出すと同時に白虎の目前にまで接近すると周囲の人間が驚愕の声を上げ、彼女は至近距離から得意とする戦技を放つ。
「刺突・三連突き!!」
「ぬうっ……!?」
一瞬にして三回の刺突を繰り出したシズネに対し、白虎は防御の体勢に入る暇もなく眉間、胸元、腹部に血が走った。シズネは他の剣士と違って斬撃ではなく、突き技に特化した戦法を得意とする。
突き技を得意とする理由は彼女は父親と違って頑丈な肉体を持たず、残念ながら身体をどれだけ鍛えようとレナやバルのような強烈な斬撃を生み出す事は出来ない。だからこそシズネは「刺突」の戦技を極め、他の剣士には真似出来ない戦法を生み出す。
「まだよ!!刺突・閃!!」
「ぐふっ!?」
「やった!!」
続けてシズネが凄まじい速度で刃を突き出すと、白虎の腹部に衝撃が走り、初めて彼は苦痛の表情を浮かべた。その光景を見た他の者達は歓声を上げるが、攻撃を仕掛けたシズネ本人は手元の感触に眉を顰める。
「まるで全身がミスリルのような硬さね。確実に仕留めたと思ったのに」
「……流石だ。俺の嵐鎧を容易く突破し、肉体に攻撃を伝えさせるとはな。お前は父親より強いかもしれん」
「お前が私の父を語るかっ!!」
白虎の言葉にシズネは怒りを露わにすると、そんな彼女に対して白虎は身体の血を拭い、防御の体勢のつもりか両腕を交差して動かない。挑発しておきながら防御の体勢に入った白虎に対してシズネは更に怒りを募らせ、彼に向けて猛攻を加えた。
「正々堂々と掛かってきなさい!!防ぐだけで私に勝てると思っているの!?」
「ぐうっ……!?」
「シズネ殿!!落ち着いて下され!!」
「いや……このままやらせろ、怒りに任せて我を失うような奴ではない」
無数の突きを繰り出して白虎を追い込むシズネの姿に他の者達は不安を抱くが、同じ剣聖であるジャンヌとロウガは彼女が負けるとは思えず、一見は怒りのままに攻撃を加えているように見えてもシズネに考えがあると見抜く。
(この男、何を考えているの?まさか、本当にこのまま防ぐだけで私に勝つつもりなの?)
反撃も行わずに防御に専念する白虎に対してシズネは疑問を抱き、同時に嫌な予感を覚えた。この男を放置すると危険だと判断した彼女は最速最強の突き技を披露する。
「零距離、刺突!!」
「ぐおっ!?」
至近距離から繰り出された神速の刺突に対して白虎は遂に右目の眼球を潰され、血が舞う。いくら嵐鎧で身を守ろうとシズネの突き技を無効化する事は出来ず、白虎は右目を抑えながら膝を付いた。眼球は間違いなく潰され、あと少しで刃は頭部を貫いていただろう。
目の前で膝を崩した白虎に対してシズネは刃を振り払い、その顔面に剣を構える。この距離ならば白虎が嵐鎧を発動させる前に彼の頭部を貫く事は容易く、シズネは最後になるであろう質問を行う。
「貴方……一体何を考えているの?」
「……俺の役目は、もう終わった」
「どういう意味かしら?」
「…………」
殺される事は覚悟していたのか、白虎は瞼を閉じて動かず、その場に座り込む。その白虎の態度にシズネは疑問を抱き、すぐに彼の行動の意味を悟る。
「まさか、時間稼ぎ?貴方、私達をここへ留めるために……」
「もう話すことはない……俺を斬れ」
「馬鹿な男ね……貴方一人が時間を稼いだ所でもう味方はいないのよ。仮に援軍を呼び出した所で到着までにどれだけの時間が……援軍?」
シズネは自分の言葉に何か重要な事を忘れているのではないかと考え、不意に彼女はレイビの配下の中で最も恐れなければならない存在の事を思い出し、彼女は目を見開く。そして目の前の白虎に視線を向けてシズネは真実に気付く。
「まさか……貴方を使役しているのはレイビね!?」
「何だと!?」
「という事は……奴に気付かれたか!?」
「……役目は終わったと言ったはずだ」
魔物使いは自分が使役した魔獣と五感を共有化する能力を持ち、使役獣とあまりにも距離が離れていると精度は落ちるが、この能力の長所は魔獣だけではなく「魔人族」にも有効という点である。つまり、白虎を使役しているのがレイビだとした場合、彼の視界を通してレイビは既に採掘場の異変に気付いているはずだった。
※レナ「ん!?完結したはずの「最弱職の初級魔術師」の方が何時の間にか更新された気配がする!!そんな馬鹿なっ……!?」
アイリス「何処の電波を受信したんですか(汗)」
「シズネさん!!私達には時間がありません!!」
「分かっている……けれど、父を侮辱された以上は私も退けないのよ!!」
「シズネ殿……」
レナの限界が近い事はシズネも重々承知しているが、亡き父を侮辱した白虎に対して彼女は退くわけにはいかず、時間を掛けずに倒すために雪月花を構える。相手の力量は完全には把握していないが、それでも彼女は負ける気はなかった。
「それが噂に聞く魔剣、雪月花か……青の剣聖の実力、確かめさせてもらう」
「安心しなさい、魔剣の力を使わなくても……貴方如きに負けるつもりはないわ!!」
「早いっ!?」
シズネは駆け出すと同時に白虎の目前にまで接近すると周囲の人間が驚愕の声を上げ、彼女は至近距離から得意とする戦技を放つ。
「刺突・三連突き!!」
「ぬうっ……!?」
一瞬にして三回の刺突を繰り出したシズネに対し、白虎は防御の体勢に入る暇もなく眉間、胸元、腹部に血が走った。シズネは他の剣士と違って斬撃ではなく、突き技に特化した戦法を得意とする。
突き技を得意とする理由は彼女は父親と違って頑丈な肉体を持たず、残念ながら身体をどれだけ鍛えようとレナやバルのような強烈な斬撃を生み出す事は出来ない。だからこそシズネは「刺突」の戦技を極め、他の剣士には真似出来ない戦法を生み出す。
「まだよ!!刺突・閃!!」
「ぐふっ!?」
「やった!!」
続けてシズネが凄まじい速度で刃を突き出すと、白虎の腹部に衝撃が走り、初めて彼は苦痛の表情を浮かべた。その光景を見た他の者達は歓声を上げるが、攻撃を仕掛けたシズネ本人は手元の感触に眉を顰める。
「まるで全身がミスリルのような硬さね。確実に仕留めたと思ったのに」
「……流石だ。俺の嵐鎧を容易く突破し、肉体に攻撃を伝えさせるとはな。お前は父親より強いかもしれん」
「お前が私の父を語るかっ!!」
白虎の言葉にシズネは怒りを露わにすると、そんな彼女に対して白虎は身体の血を拭い、防御の体勢のつもりか両腕を交差して動かない。挑発しておきながら防御の体勢に入った白虎に対してシズネは更に怒りを募らせ、彼に向けて猛攻を加えた。
「正々堂々と掛かってきなさい!!防ぐだけで私に勝てると思っているの!?」
「ぐうっ……!?」
「シズネ殿!!落ち着いて下され!!」
「いや……このままやらせろ、怒りに任せて我を失うような奴ではない」
無数の突きを繰り出して白虎を追い込むシズネの姿に他の者達は不安を抱くが、同じ剣聖であるジャンヌとロウガは彼女が負けるとは思えず、一見は怒りのままに攻撃を加えているように見えてもシズネに考えがあると見抜く。
(この男、何を考えているの?まさか、本当にこのまま防ぐだけで私に勝つつもりなの?)
反撃も行わずに防御に専念する白虎に対してシズネは疑問を抱き、同時に嫌な予感を覚えた。この男を放置すると危険だと判断した彼女は最速最強の突き技を披露する。
「零距離、刺突!!」
「ぐおっ!?」
至近距離から繰り出された神速の刺突に対して白虎は遂に右目の眼球を潰され、血が舞う。いくら嵐鎧で身を守ろうとシズネの突き技を無効化する事は出来ず、白虎は右目を抑えながら膝を付いた。眼球は間違いなく潰され、あと少しで刃は頭部を貫いていただろう。
目の前で膝を崩した白虎に対してシズネは刃を振り払い、その顔面に剣を構える。この距離ならば白虎が嵐鎧を発動させる前に彼の頭部を貫く事は容易く、シズネは最後になるであろう質問を行う。
「貴方……一体何を考えているの?」
「……俺の役目は、もう終わった」
「どういう意味かしら?」
「…………」
殺される事は覚悟していたのか、白虎は瞼を閉じて動かず、その場に座り込む。その白虎の態度にシズネは疑問を抱き、すぐに彼の行動の意味を悟る。
「まさか、時間稼ぎ?貴方、私達をここへ留めるために……」
「もう話すことはない……俺を斬れ」
「馬鹿な男ね……貴方一人が時間を稼いだ所でもう味方はいないのよ。仮に援軍を呼び出した所で到着までにどれだけの時間が……援軍?」
シズネは自分の言葉に何か重要な事を忘れているのではないかと考え、不意に彼女はレイビの配下の中で最も恐れなければならない存在の事を思い出し、彼女は目を見開く。そして目の前の白虎に視線を向けてシズネは真実に気付く。
「まさか……貴方を使役しているのはレイビね!?」
「何だと!?」
「という事は……奴に気付かれたか!?」
「……役目は終わったと言ったはずだ」
魔物使いは自分が使役した魔獣と五感を共有化する能力を持ち、使役獣とあまりにも距離が離れていると精度は落ちるが、この能力の長所は魔獣だけではなく「魔人族」にも有効という点である。つまり、白虎を使役しているのがレイビだとした場合、彼の視界を通してレイビは既に採掘場の異変に気付いているはずだった。
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