文字の大きさ
大
中
小
706 / 2,093
外伝 ~ヨツバ王国編~
兵士の移送
「私達も負けていられません!!レナ様に続きましょう!!」
「小僧に遅れを取るな!!」
「おらぁっ!!」
レナ以外の者達も赤獣の群れに突っ込み、次々と討ち果たす。やがて数分後には大量の赤獣の死体の山が形成され、最後の1体のコボルトの首を切り裂く。
「せいっ!!」
「ガアアッ……!?」
コボルトの頭部が地面に転がるのを確認すると、レナは一息を吐いて周囲の様子を伺い、他に動いている個体が存在しない事を確認する。念のために死骸に紛れて生き残っている個体が存在しないのか「鑑定眼」の固有スキルを発動させて調べるが、幸いな事に他に生き残りはいなかった。
「ふうっ……これで最後だと思う」
「そ、そうですか……それにしてもレナ様は凄いです。結局、一人で半分近くも倒すなんて……まるでゴウライ様のようです」
「けど、これで赤獣とやらも打ち止めじゃないのかい?結果的には南方の戦力は激減しただろうね」
「楽観はするな。敵の規模が分からない以上は油断出来ん……早急にここから避難するぞ」
赤獣の大群を殲滅したとはいえ、これでレイビの援軍が途切れたとは考えられず、今の内にレナ達は採掘場へと引き返して退却の避難を行う――
――採掘場の方ではギンタロウと側近の3名、他に十数名の冒険者が無事に採掘場の兵士達を守り切ったらしく、採掘場まで侵入してきた赤獣の討伐は果たされていた。既に動ける人間は衰弱状態で動けない兵士の介抱を行い、一か所に集めていた。
「おおっ!!レナ君、意識を取り戻したのか!!」
「はい、ご迷惑をおかけしました」
「いや、無理をさせたのはこちらの方だ……だが、すまないがすぐに兵士達を安全な場所へ避難させたい。例の空間魔法とやらは使えるか?」
「大丈夫です。まだ繋がっています」
意識が途切れれば魔法の効果は解除されるが、どうにかここまでレナは空間魔法の維持に成功し、早速だが黒渦を生み出して東壁街のギンタロウの屋敷と繋げる。冒険者達は次々と衰弱状態の兵士を黒渦の中に運び込み、東壁街へと避難させていく。
「ほら、大丈夫かいあんた等?」
「ううっ……すまない」
「ちっ……面倒くさいな。おら、落ちないようにしっかり掴まってろよ」
「助かる……」
「キュロロッ」
「ひいっ!?魔物!?」
「あ、大丈夫だよ。アインちゃんは優しいから人を襲ったりしないよ」
「ああ、そうなんですか……って、ティナ様!?どうしてここに!?」
「いいから早く行きなさい!!時間がないのよ!!」
全員が協力して500名の兵士の移送を行い、敵の援軍が到着する前に避難する必要があった。まだ戦える冒険者達は採掘場の周囲の見張りを行い、警戒は怠らない。次々と兵士達が黒渦の中に移送されるのを目にしながらレナはアイリスと交信を行い、レイビの動きを確認する。
『大佐、こちら黒蛇だ。応答してくれ』
『誰が大佐ですか。私の事はゼロツーと呼びなさい』
『このやり取りも久しぶりに感じるな……それでアイリス、現況を教えて欲しい』
アイリスと交信を行い、現在のオロナ鉱山の周辺付近の状況を尋ねると、予想通りと言うべきか既にレイビの援軍は派遣されているという。
『赤獣の大群を撃破した事でレイビはかなりお怒りのようですね。苦労して作り出した赤獣の半分以上を失いましたから、南方の領地の維持も難しい程に戦力が激減しています。だから現在はフェンリルを呼び寄せてオロナ鉱山へ向かっていますよ。この速度だと恐らく30分後には到着しますね』
『30分か……それぐらいかかるなら避難と退去は済みそうだな』
既に兵士達の半数近くは避難を終え、状態が悪い人間から先に移送を始めたので残りの兵士達はどうにか動ける程度の体力を残している。30分もあれば全員の避難とレナ達の退散も難しくはなく、東壁街へ引き返す事が出来る。だが、アイリスはこのまま戻る事に反対した。
『レナさん、これはレイビとフェンリルを討ち取る絶好の機会かもしれません。レイビは冷静さを失ってフェンリルを伴ってオロナ鉱山へ向かっています。なので逆に罠を仕掛けて仕留めませんか?』
『罠?けど、フェンリルの強さは……』
『大丈夫です、伝説の魔獣であろうと弱点は存在します。それに今回は大勢の味方が存在するんですからどうにか出来るかもしれません』
『なるほど……よし、ならこの際にレイビとフェンリルを倒して南方の脅威を取り除こう』
レイビがフェンリルを連れて鉱山へ向かっているというのであればレナ達は罠を貼り、迎え撃つ準備を行う。もしもフェンリルを討伐かあるいは捕縛する事に成功すれば南方の戦力は激減し、最早レイビの力だけでは南方の統治も不可能だろう。
但し、気掛かりがあるとすればシズネ達と交戦した「白虎」は何時の間にか姿を消しており、仕留める前に逃げられてしまった。その事をレナがアイリスに尋ねると、彼女は白虎の現状を答える。
『白虎の方は放置して構いません。少なくともレイビと合流して襲い掛かってくる事はないでしょう』
『そうか……なら、どんな作戦で迎え撃つ?』
『そうですね、まずは――』
――アイリスと入念な作戦の段取りを話し合うと、交信を遮断してレナは兵士の移送を急がせ、フェンリルを迎え撃つ準備を整える。
「小僧に遅れを取るな!!」
「おらぁっ!!」
レナ以外の者達も赤獣の群れに突っ込み、次々と討ち果たす。やがて数分後には大量の赤獣の死体の山が形成され、最後の1体のコボルトの首を切り裂く。
「せいっ!!」
「ガアアッ……!?」
コボルトの頭部が地面に転がるのを確認すると、レナは一息を吐いて周囲の様子を伺い、他に動いている個体が存在しない事を確認する。念のために死骸に紛れて生き残っている個体が存在しないのか「鑑定眼」の固有スキルを発動させて調べるが、幸いな事に他に生き残りはいなかった。
「ふうっ……これで最後だと思う」
「そ、そうですか……それにしてもレナ様は凄いです。結局、一人で半分近くも倒すなんて……まるでゴウライ様のようです」
「けど、これで赤獣とやらも打ち止めじゃないのかい?結果的には南方の戦力は激減しただろうね」
「楽観はするな。敵の規模が分からない以上は油断出来ん……早急にここから避難するぞ」
赤獣の大群を殲滅したとはいえ、これでレイビの援軍が途切れたとは考えられず、今の内にレナ達は採掘場へと引き返して退却の避難を行う――
――採掘場の方ではギンタロウと側近の3名、他に十数名の冒険者が無事に採掘場の兵士達を守り切ったらしく、採掘場まで侵入してきた赤獣の討伐は果たされていた。既に動ける人間は衰弱状態で動けない兵士の介抱を行い、一か所に集めていた。
「おおっ!!レナ君、意識を取り戻したのか!!」
「はい、ご迷惑をおかけしました」
「いや、無理をさせたのはこちらの方だ……だが、すまないがすぐに兵士達を安全な場所へ避難させたい。例の空間魔法とやらは使えるか?」
「大丈夫です。まだ繋がっています」
意識が途切れれば魔法の効果は解除されるが、どうにかここまでレナは空間魔法の維持に成功し、早速だが黒渦を生み出して東壁街のギンタロウの屋敷と繋げる。冒険者達は次々と衰弱状態の兵士を黒渦の中に運び込み、東壁街へと避難させていく。
「ほら、大丈夫かいあんた等?」
「ううっ……すまない」
「ちっ……面倒くさいな。おら、落ちないようにしっかり掴まってろよ」
「助かる……」
「キュロロッ」
「ひいっ!?魔物!?」
「あ、大丈夫だよ。アインちゃんは優しいから人を襲ったりしないよ」
「ああ、そうなんですか……って、ティナ様!?どうしてここに!?」
「いいから早く行きなさい!!時間がないのよ!!」
全員が協力して500名の兵士の移送を行い、敵の援軍が到着する前に避難する必要があった。まだ戦える冒険者達は採掘場の周囲の見張りを行い、警戒は怠らない。次々と兵士達が黒渦の中に移送されるのを目にしながらレナはアイリスと交信を行い、レイビの動きを確認する。
『大佐、こちら黒蛇だ。応答してくれ』
『誰が大佐ですか。私の事はゼロツーと呼びなさい』
『このやり取りも久しぶりに感じるな……それでアイリス、現況を教えて欲しい』
アイリスと交信を行い、現在のオロナ鉱山の周辺付近の状況を尋ねると、予想通りと言うべきか既にレイビの援軍は派遣されているという。
『赤獣の大群を撃破した事でレイビはかなりお怒りのようですね。苦労して作り出した赤獣の半分以上を失いましたから、南方の領地の維持も難しい程に戦力が激減しています。だから現在はフェンリルを呼び寄せてオロナ鉱山へ向かっていますよ。この速度だと恐らく30分後には到着しますね』
『30分か……それぐらいかかるなら避難と退去は済みそうだな』
既に兵士達の半数近くは避難を終え、状態が悪い人間から先に移送を始めたので残りの兵士達はどうにか動ける程度の体力を残している。30分もあれば全員の避難とレナ達の退散も難しくはなく、東壁街へ引き返す事が出来る。だが、アイリスはこのまま戻る事に反対した。
『レナさん、これはレイビとフェンリルを討ち取る絶好の機会かもしれません。レイビは冷静さを失ってフェンリルを伴ってオロナ鉱山へ向かっています。なので逆に罠を仕掛けて仕留めませんか?』
『罠?けど、フェンリルの強さは……』
『大丈夫です、伝説の魔獣であろうと弱点は存在します。それに今回は大勢の味方が存在するんですからどうにか出来るかもしれません』
『なるほど……よし、ならこの際にレイビとフェンリルを倒して南方の脅威を取り除こう』
レイビがフェンリルを連れて鉱山へ向かっているというのであればレナ達は罠を貼り、迎え撃つ準備を行う。もしもフェンリルを討伐かあるいは捕縛する事に成功すれば南方の戦力は激減し、最早レイビの力だけでは南方の統治も不可能だろう。
但し、気掛かりがあるとすればシズネ達と交戦した「白虎」は何時の間にか姿を消しており、仕留める前に逃げられてしまった。その事をレナがアイリスに尋ねると、彼女は白虎の現状を答える。
『白虎の方は放置して構いません。少なくともレイビと合流して襲い掛かってくる事はないでしょう』
『そうか……なら、どんな作戦で迎え撃つ?』
『そうですね、まずは――』
――アイリスと入念な作戦の段取りを話し合うと、交信を遮断してレナは兵士の移送を急がせ、フェンリルを迎え撃つ準備を整える。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。