不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

精霊薬の保管場所

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「ウルって、この狼の名前なの?」
「え~……ワンタローの方が可愛いのに」
「よし、ならウルの名前はウル・ワンタローにしよう。ワンタローが苗字ね」
「本当に?やったぁっ!!」
「ウォンッ!?」
「嫌がっているように見えるでござるが……」


どうやらウルと遊ぶついでに介抱してくれた女の子達の言葉にレナはウルの名前を付けくわえようとすると、ウルは全力で顔を横に振って拒否を示す。一方でコトミンの方は傷口に視線を向け、張り付けられている葉を見て首を傾げる。


「この葉っぱ、もしかして解毒草?」
「おお、大抵の毒を中和してくれる植物でござるな。この地方にも生えていたのでござるか」
「うん、だけど解毒草を使ってもワンタローの傷口は治らないんだ……」
「ホムラによると甲殻獣の毒が強すぎて、このままだと皮膚が腐れ落ちて死んじゃうかもしれないって……」
「あの女の人、子供に何てこと言ってるんだ……」


馬鹿正直にまだ年端もいかない子供達にウルの容体を説明したホムラにレナは呆れ、彼女達とウルを安心させるために微笑む。


「大丈夫、ウル……いや、ワンタローは俺が治すからね」
「本当?嘘じゃないよね?」
「約束する、必ず治して見せる」
「安易にそんな簡単に約束するのは止めておけ、後で後悔することになるぞ」


子供達にウルを治す事を約束するレナに対して背後から声が掛かり、振り返るとそこにはホムラが立っていた。彼女は傷口が悪化しているウルに視線を向け、淡々と告げる。


「治療は施しているが、この狼はこのままだと毒でやられて死ぬ。解毒草が効かない以上はどうしようもない」
「絶対に助ける……方法はあるはずだ」
「無理だな、解毒草でもどうしようもならない毒だぞ。どうやって治す?」
「せ、精霊薬だよ!!精霊薬を使えばきっと治せるよ!!」
「そうっすよ!!あらゆる病気や怪我を治す精霊薬ならきっと治せるはず!!」


ホムラの言葉にエリナとティナが反応すると、彼女達の言葉を聞いてレナは西聖将の領地へ訪れた理由を思い出す。ティナがデブリ国王から聞いた話によるとこの地に精霊薬が保管されているはずであり、西聖将のホムラが精霊薬の居所を知っているはずだった。


「ホムラ、この地に精霊薬が保管されていると聞いて俺達はやってきたんだ。だから、どうか精霊薬を分けて欲しい」
「何に使うつもりだ?」
「勿論、ウルの毒を治す。そして石化された人たちを元に戻すために精霊薬が必要なんだ」
「石化……どういう意味だ?」


レナ達はこれまでの経緯を話し、ヨツバ王国の現状とデブリ国王を含めた大勢の人々がキラウという死霊使いに石化された事を話す。全ての話を聞き終えたホムラは黙り込み、ため息を吐き出す。


「まさか外でそんな事が起きているとはな……お前達がここへ来た理由は分かった」
「なら……」
「だが、精霊薬を簡単に渡す事は出来ん」
「何故でござるか!?王族に精霊薬を与えるのが西聖将の役割ではないのでござろう!?」
「勘違いするな、別にお前達に精霊薬を渡すことを渋っているわけじゃない。問題があるとすれば精霊薬が保管されている場所だ」
「どういう意味?」
「精霊薬が保管されている場所は「カンナギ」と呼ばれている神殿、つまりは勇者の聖遺物が保管されている場所でもある。その神殿に立ち入りが許可されているのは代々の西聖将とヨツバ王族、もしくダークエルフの戦士しか入る事が許されていない。つまり、お前達の中で入る事が許されるのはティナ王女だけだ」
「そうなんですか?」
「じゃ、じゃあ私が頑張って精霊薬を運んでくるよ!!」


西聖将とその配下の戦士、そしてヨツバ王族しか精霊薬が保管されている神殿に入れない事を知るとティナが真っ先に自分が精霊薬を運んでくることを提案する。そんな彼女に対してホムラはため息を吐いて話を続ける。


「……問題は他にもある。神殿には外部からの侵入者を排除する特殊なゴーレムが配置されている。このゴーレムを何とかしない限り、神殿に入る事は出来ても殺されるぞ」
「レナ、ゴーレムってもしかして前に私達が戦った相手?」
「ああ、かもしれない」


レナは深淵の森の奥地に存在する勇者が作り出した施設で遭遇した人工ゴーレムの事を思い出し、どうやら「カンナギ」と呼ばれている神殿にもゴーレムが配置されているらしく、しかもホムラによると通常のゴーレムとは比較にならない戦闘力を誇るという。

彼女の話によると神殿から精霊薬を回収するだけでも命懸けの行為らしく、西聖将は王族が精霊薬を得るためまでの間、彼等を守護する役目を持つ。ゴーレムを西聖将と戦士達が抑えつける間に王族が神殿の中に管理されている精霊薬を回収し、脱出する。これらの手順は最早「試練」と化していた。
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