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外伝 ~ヨツバ王国編~
カレハの正体
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「ま、待って……私は違う!!」
「今更何を……」
「がはぁっ!?」
レナはカレハの言葉を聞いて退魔刀を寸前で止めるが、彼女は口元から大量の血を吐き出し、その場に伏せる。その光景を見たデブリ達がカレハの元へ駆け寄る。
「カレハよ、もう諦めるのだ!!」
「そうですわ!!もうこれ以上はお辞めください!!」
「カレハ……!!」
「カレハお姉ちゃん!!」
デブリ達は血を吐きながら床に倒れ込むカレハの元へ駆けつけ、デブリは彼女の身体を抱き上げようとした。しかし、カレハの身体を掴んだ瞬間、デブリの表情が一変した。
「こ、これは……!?」
「も、申し訳ありません……国王様」
「父上?どうしたのですか?」
カレハの身体を抱き上げようとしたデブリは彼女の顔を見て呆気に取られ、他の者が不思議そうにカレハの顔を見つめると、異変に気付く。まるで一気に老け込んだようにカレハの顔には皺が生まれ、顔の形も変形していた。異変は顔だけではなく肉体にも現れ、まるで老婆のように痩せ細っていた。
いったい何が起きたのか理解できず、急速に年齢を重ねたというよりは別人のように変化してしまったカレハにデブリ達は戸惑い、その一方でマリアの方にも変化が起こる。
「……まさか、こんな事になるとは思わなかったわね」
「ま、マリア殿!?正気に戻られたのでござるか!?」
「意識を取り戻したのか!?」
先ほどまでカレハの言われるままに行動していたマリアが起き上がると、彼女は身体の具合を確かめるように動かし、口元に笑みを浮かべながら振り返る。その光景を見てレナ達は彼女が意識を取り戻したのかと思ったが、真っ先に異変を感じ取ったのはレナだった。
(何だ、この魔力……!?)
魔力感知の技能を持つレナはマリアが発する魔力に異変を感じ取り、先ほどまでとは別人のようにマリアの放たれる魔力が変異している事に気付く。まるで外見はマリアなのに中身だけが別人に変わったような感覚に襲われ、直後にデブリに抱えられていたカレハが声を漏らす。
「申し訳ありません、カレハ様……貴女様のお役に立てず……」
「カレ……ハ?」
「……パティ、貴女はよくやったわ。私の影武者として任を果たした。約束は必ず果たす、だから安心して逝きなさい」
「何、だと……!?」
マリアの影武者という言葉にデブリ達はカレハだと思われた人物に視線を向けると、彼女はマリアの言葉を聞いて満足したかの様に目を閉じる。その身体は既に冷たく、彼女の身体を支えているデブリは顔を見て正体に気付く。
「ま、まさか……パティ、お前なのか?」
「パティ!?それは確か、カレハの世話役をやっていた……」
「ど、どういう事なの!?」
「相変わらず勘の悪い人達ね……その人は私じゃないわよ、御父様?」
「何を……言ってるんだ」
パティと呼ばれた老婆を抱き上げるデブリに対してマリアは呆れた表情を浮かべ、わざとらしくため息を吐き出す。その行為にレナ達は警戒心を抱き、いったい何が起きているのかをマリアに問いただす。
「叔母様……いや、お前はまさか……」
「そう、私は貴方の叔母ではない。私こそがこの国の正統な後継者、カレハよ」
「そんな馬鹿なっ!?いったい何を言っているマリアよ!!」
「別に狂ったわけではないわ、私は新しい力に目覚めてこの肉体を手に入れた……そういえば理解できるかしら?」
「ま、まさか……怨霊術!?」
ダインは誰よりも早く現在のマリアの状態に理解を示し、他の者達も「怨霊術」という言葉を聞いて思い出す。
――どうしてマリアが従順にカレハに従っているのか、その理由がまだ判明していないときに「怨霊術」と呼ばれる魔術を使えば生きている人間に幽体を憑依させ、その肉体を操る術があるという話が上がった。このレナ達の予想は間違っておらず、実際にマリアの肉体には明らかに別人の魂が憑依していた。
しかし、怨霊術を扱える人間に関しては見抜けず、レナ達は死霊使いであるキラウの仕業だと思いこんでいた。だが、キラウは意識を失ったにも関わらずに目の前のマリアは明らかにカレハに操られており、影武者を使って自分の身を隠したカレハの行動から顧みるに彼女を操作していた人物の正体はカレハである事に気付く。
「まさか……カレハ、お前が怨霊術を使っていたのか!?」
「ええ、その通りよ。最も、流石に生きている人間二人を同時に操作するのは苦労したわ」
「ば、馬鹿なっ……カレハにそんな力があるはずがない!!カレハの職業は精霊魔導士だけだ!!そんな術が扱えるはずがないっ!!」
「その通りです、御父様……ですけど、職業というのは変える事が出来るのですよ?」
カレハの職業を知っているデブリは即座に否定するが、そんな彼に対してマリアに憑依したカレハは笑みを浮かべ、どのような経緯で自分が「怨霊術」を覚えるまでに至ったのかを彼女は話す。
「今更何を……」
「がはぁっ!?」
レナはカレハの言葉を聞いて退魔刀を寸前で止めるが、彼女は口元から大量の血を吐き出し、その場に伏せる。その光景を見たデブリ達がカレハの元へ駆け寄る。
「カレハよ、もう諦めるのだ!!」
「そうですわ!!もうこれ以上はお辞めください!!」
「カレハ……!!」
「カレハお姉ちゃん!!」
デブリ達は血を吐きながら床に倒れ込むカレハの元へ駆けつけ、デブリは彼女の身体を抱き上げようとした。しかし、カレハの身体を掴んだ瞬間、デブリの表情が一変した。
「こ、これは……!?」
「も、申し訳ありません……国王様」
「父上?どうしたのですか?」
カレハの身体を抱き上げようとしたデブリは彼女の顔を見て呆気に取られ、他の者が不思議そうにカレハの顔を見つめると、異変に気付く。まるで一気に老け込んだようにカレハの顔には皺が生まれ、顔の形も変形していた。異変は顔だけではなく肉体にも現れ、まるで老婆のように痩せ細っていた。
いったい何が起きたのか理解できず、急速に年齢を重ねたというよりは別人のように変化してしまったカレハにデブリ達は戸惑い、その一方でマリアの方にも変化が起こる。
「……まさか、こんな事になるとは思わなかったわね」
「ま、マリア殿!?正気に戻られたのでござるか!?」
「意識を取り戻したのか!?」
先ほどまでカレハの言われるままに行動していたマリアが起き上がると、彼女は身体の具合を確かめるように動かし、口元に笑みを浮かべながら振り返る。その光景を見てレナ達は彼女が意識を取り戻したのかと思ったが、真っ先に異変を感じ取ったのはレナだった。
(何だ、この魔力……!?)
魔力感知の技能を持つレナはマリアが発する魔力に異変を感じ取り、先ほどまでとは別人のようにマリアの放たれる魔力が変異している事に気付く。まるで外見はマリアなのに中身だけが別人に変わったような感覚に襲われ、直後にデブリに抱えられていたカレハが声を漏らす。
「申し訳ありません、カレハ様……貴女様のお役に立てず……」
「カレ……ハ?」
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「何、だと……!?」
マリアの影武者という言葉にデブリ達はカレハだと思われた人物に視線を向けると、彼女はマリアの言葉を聞いて満足したかの様に目を閉じる。その身体は既に冷たく、彼女の身体を支えているデブリは顔を見て正体に気付く。
「ま、まさか……パティ、お前なのか?」
「パティ!?それは確か、カレハの世話役をやっていた……」
「ど、どういう事なの!?」
「相変わらず勘の悪い人達ね……その人は私じゃないわよ、御父様?」
「何を……言ってるんだ」
パティと呼ばれた老婆を抱き上げるデブリに対してマリアは呆れた表情を浮かべ、わざとらしくため息を吐き出す。その行為にレナ達は警戒心を抱き、いったい何が起きているのかをマリアに問いただす。
「叔母様……いや、お前はまさか……」
「そう、私は貴方の叔母ではない。私こそがこの国の正統な後継者、カレハよ」
「そんな馬鹿なっ!?いったい何を言っているマリアよ!!」
「別に狂ったわけではないわ、私は新しい力に目覚めてこの肉体を手に入れた……そういえば理解できるかしら?」
「ま、まさか……怨霊術!?」
ダインは誰よりも早く現在のマリアの状態に理解を示し、他の者達も「怨霊術」という言葉を聞いて思い出す。
――どうしてマリアが従順にカレハに従っているのか、その理由がまだ判明していないときに「怨霊術」と呼ばれる魔術を使えば生きている人間に幽体を憑依させ、その肉体を操る術があるという話が上がった。このレナ達の予想は間違っておらず、実際にマリアの肉体には明らかに別人の魂が憑依していた。
しかし、怨霊術を扱える人間に関しては見抜けず、レナ達は死霊使いであるキラウの仕業だと思いこんでいた。だが、キラウは意識を失ったにも関わらずに目の前のマリアは明らかにカレハに操られており、影武者を使って自分の身を隠したカレハの行動から顧みるに彼女を操作していた人物の正体はカレハである事に気付く。
「まさか……カレハ、お前が怨霊術を使っていたのか!?」
「ええ、その通りよ。最も、流石に生きている人間二人を同時に操作するのは苦労したわ」
「ば、馬鹿なっ……カレハにそんな力があるはずがない!!カレハの職業は精霊魔導士だけだ!!そんな術が扱えるはずがないっ!!」
「その通りです、御父様……ですけど、職業というのは変える事が出来るのですよ?」
カレハの職業を知っているデブリは即座に否定するが、そんな彼に対してマリアに憑依したカレハは笑みを浮かべ、どのような経緯で自分が「怨霊術」を覚えるまでに至ったのかを彼女は話す。
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