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S級冒険者編
カンエン
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「予想はしていましたが、ここまでの実力者とは……」
「こっちも驚いたよ」
木刀を構えたまま二人は笑みを浮かべるが、内心はどちらも余裕などなかった。それでも二人は勝負を諦めず、同時に動く。正面から二人は全く同時に木刀を振り下ろし、激突させた。
「はああっ!!」
「があっ!!」
『うわっ!?』
二人の木刀が触れた瞬間に衝撃音が鳴り響き、同時に砕け散ってしまう。お互いの武器が壊れた事にレナとカンエンは目を見開くが、即座に木刀を手放すとカンエンは背中の青龍刀に手を伸ばし、レナも空間魔法を発動させて退魔刀を反射的に取り出そうとしたが、即座にハンゾウとカゲマルが割って入った。
「お二方、そこまででござる!!」
「この場で殺し合うつもりか!!」
「「っ……!!」」
「落ち着きなさい、熱くなり過ぎよ二人とも」
レナとカンエンは武器を取ろうとした腕を止めると、マリアが少し呆れた表情を浮かべて近寄る。するとカンエンはマリアの姿を見て即座に膝を付いて許しを請う。
「申し訳ございません、マリア様!!」
「ふふっ……久しぶりね、カンエン」
「えっ……?」
マリアの反応を見てレナは二人は知り合いだったのかと驚くと、カンエンは立ち上がってレナと向き直る。そして彼女は改めて自己紹介を行う。
「私の名前はカンエン、この和国に存在する氷雨の支部のギルドマスターを勤めています」
「氷雨の支部?え、和国にも冒険者ギルドがあるという事?」
「正確には氷雨の冒険者ギルドだけが存在するでござる。この国で冒険者ギルドを創設することを許されているのは氷雨だけでござる」
カンエンは和国に作り出された氷雨の支部を任せられているらしく、支部といってもギルドを運営する立場なので支部長ではなくギルドマスターを勤めている。最も本人はギルドマスターであると同時に現役の冒険者としても活動を続けているらしく、冒険者兼ギルドマスターという。
レナ以外の者達はカンエンの正体に気付いてはいたが、敢えて黙って彼女の正体を話さずに二人の試合を観察していたらしい。正体を知っていたのならば早めに教えて欲しかったとレナは思うが、カンエンとしてはレナの実力を計るために本気で戦ってほしかったらしい。
「マリア様の甥であるレナ様の事は話は聞いています。何でも世界最高の剣士で魔術師としても才能もマリア様に匹敵すると伺っています」
「なんでやねん、誰がそんな適当な事を……」
「え?マリア様の手紙にそうしたためられていたのですが……」
「叔母様かよっ!!」
「別に嘘はついてないわ」
マリアはレナのツッコミに堂々とした表情で言い返すと、他の二人も頷く。バルトロス王国の大将軍であるミドルを打倒し、更にはヨツバ王国の件で魔術師としても一段に成長したレナは「剣士」としても「魔術師」としても高みに登ったと言えなくもない。本人はあまり自覚はないが、普通の人間から見れば今現在のレナは間違いなく全盛期のアイラやマリアにも匹敵する人物に見えるだろう。
ちなみにカンエンがこちらに赴いた理由は時間になってもマリア達が訪れない事に不思議に思い、迎えに行こうとした時に武芸小会を行うレナ達に気付いたからだった。彼女はこの際にレナの実力を計るため、勝負を挑んだという。
「カンエン、貴女から見てうちの甥はどうかしら?お眼鏡にかなったかしら?」
「はい、実力を確かめさせてもらいましたが……この御方ならば問題ありません。きっと、我が妹を打ちのめしてくれるでしょう」
「妹?」
「カンエン殿のの妹がレナ様と戦われる最後のS級冒険者でござる」
「妹?え、カンエンさんがS級冒険者じゃないの?」
「いえ、私はギルドマスターになってからは階級はありません。私の妹のヨクヒがレナ様と対戦するS級冒険者です」
カンエンの強さを思い知ったレナは彼女がてっきりS級冒険者なのかと思いこんでいたが、カンエンによると妹のヨクヒがS級冒険者らしく、既に彼女の屋敷に待ち構えているという。そのヨクヒという人物がどのような相手なのか気になったレナは質問を行う。
「そのヨクヒさんはどんな人なんですか?」
「そう、ですね。一言で言うとすれば……破天荒な妹です」
「正直に言って俺は苦手だ」
「拙者も怖くてあまり近付きたくない相手でござる」
「けど、強さは本物よ。少々性格に問題があるのだけどね……」
「どんな相手なんだよ」
全員の言葉を聞いてレナは不安を抱くが、ここである事を思い出す。それはマリアが管理する氷雨のS級冒険者達は全員がレナの事を認めていると言っていたが、どうして和国に存在する氷雨の支部に所属するカンエンの妹のヨクヒと戦う事になるのか疑問を抱く。
マリアは出発前に氷雨に所属しない他のS級冒険者達に力を認めさせるために戦うと言っていたが、ヨクヒが氷雨の支部の冒険者ならば必然的に氷雨の管理下に置かれているはずである。それならばマリアが命じてヨクヒにレナの存在を認めさせればいいと思うのだが、少々複雑な事情があるらしい。
「こっちも驚いたよ」
木刀を構えたまま二人は笑みを浮かべるが、内心はどちらも余裕などなかった。それでも二人は勝負を諦めず、同時に動く。正面から二人は全く同時に木刀を振り下ろし、激突させた。
「はああっ!!」
「があっ!!」
『うわっ!?』
二人の木刀が触れた瞬間に衝撃音が鳴り響き、同時に砕け散ってしまう。お互いの武器が壊れた事にレナとカンエンは目を見開くが、即座に木刀を手放すとカンエンは背中の青龍刀に手を伸ばし、レナも空間魔法を発動させて退魔刀を反射的に取り出そうとしたが、即座にハンゾウとカゲマルが割って入った。
「お二方、そこまででござる!!」
「この場で殺し合うつもりか!!」
「「っ……!!」」
「落ち着きなさい、熱くなり過ぎよ二人とも」
レナとカンエンは武器を取ろうとした腕を止めると、マリアが少し呆れた表情を浮かべて近寄る。するとカンエンはマリアの姿を見て即座に膝を付いて許しを請う。
「申し訳ございません、マリア様!!」
「ふふっ……久しぶりね、カンエン」
「えっ……?」
マリアの反応を見てレナは二人は知り合いだったのかと驚くと、カンエンは立ち上がってレナと向き直る。そして彼女は改めて自己紹介を行う。
「私の名前はカンエン、この和国に存在する氷雨の支部のギルドマスターを勤めています」
「氷雨の支部?え、和国にも冒険者ギルドがあるという事?」
「正確には氷雨の冒険者ギルドだけが存在するでござる。この国で冒険者ギルドを創設することを許されているのは氷雨だけでござる」
カンエンは和国に作り出された氷雨の支部を任せられているらしく、支部といってもギルドを運営する立場なので支部長ではなくギルドマスターを勤めている。最も本人はギルドマスターであると同時に現役の冒険者としても活動を続けているらしく、冒険者兼ギルドマスターという。
レナ以外の者達はカンエンの正体に気付いてはいたが、敢えて黙って彼女の正体を話さずに二人の試合を観察していたらしい。正体を知っていたのならば早めに教えて欲しかったとレナは思うが、カンエンとしてはレナの実力を計るために本気で戦ってほしかったらしい。
「マリア様の甥であるレナ様の事は話は聞いています。何でも世界最高の剣士で魔術師としても才能もマリア様に匹敵すると伺っています」
「なんでやねん、誰がそんな適当な事を……」
「え?マリア様の手紙にそうしたためられていたのですが……」
「叔母様かよっ!!」
「別に嘘はついてないわ」
マリアはレナのツッコミに堂々とした表情で言い返すと、他の二人も頷く。バルトロス王国の大将軍であるミドルを打倒し、更にはヨツバ王国の件で魔術師としても一段に成長したレナは「剣士」としても「魔術師」としても高みに登ったと言えなくもない。本人はあまり自覚はないが、普通の人間から見れば今現在のレナは間違いなく全盛期のアイラやマリアにも匹敵する人物に見えるだろう。
ちなみにカンエンがこちらに赴いた理由は時間になってもマリア達が訪れない事に不思議に思い、迎えに行こうとした時に武芸小会を行うレナ達に気付いたからだった。彼女はこの際にレナの実力を計るため、勝負を挑んだという。
「カンエン、貴女から見てうちの甥はどうかしら?お眼鏡にかなったかしら?」
「はい、実力を確かめさせてもらいましたが……この御方ならば問題ありません。きっと、我が妹を打ちのめしてくれるでしょう」
「妹?」
「カンエン殿のの妹がレナ様と戦われる最後のS級冒険者でござる」
「妹?え、カンエンさんがS級冒険者じゃないの?」
「いえ、私はギルドマスターになってからは階級はありません。私の妹のヨクヒがレナ様と対戦するS級冒険者です」
カンエンの強さを思い知ったレナは彼女がてっきりS級冒険者なのかと思いこんでいたが、カンエンによると妹のヨクヒがS級冒険者らしく、既に彼女の屋敷に待ち構えているという。そのヨクヒという人物がどのような相手なのか気になったレナは質問を行う。
「そのヨクヒさんはどんな人なんですか?」
「そう、ですね。一言で言うとすれば……破天荒な妹です」
「正直に言って俺は苦手だ」
「拙者も怖くてあまり近付きたくない相手でござる」
「けど、強さは本物よ。少々性格に問題があるのだけどね……」
「どんな相手なんだよ」
全員の言葉を聞いてレナは不安を抱くが、ここである事を思い出す。それはマリアが管理する氷雨のS級冒険者達は全員がレナの事を認めていると言っていたが、どうして和国に存在する氷雨の支部に所属するカンエンの妹のヨクヒと戦う事になるのか疑問を抱く。
マリアは出発前に氷雨に所属しない他のS級冒険者達に力を認めさせるために戦うと言っていたが、ヨクヒが氷雨の支部の冒険者ならば必然的に氷雨の管理下に置かれているはずである。それならばマリアが命じてヨクヒにレナの存在を認めさせればいいと思うのだが、少々複雑な事情があるらしい。
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