不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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S級冒険者編

うらめしや~(゚Д゚)

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――時は少し遡り、娼婦を送り返すためにイゾウに命じられた警官達は娼館に帰す前に彼女達を路地裏に連れ込もうとしていた。緊急事態だとは理解しているが、酒に酔っていた彼等は正常な判断を失い、折角呼び出したのにこのまま娼婦達を帰す事に納得できずに執拗に迫る。


「なあ、いいだろう?こっちは金を払ってるんだ、少しだけ……」
「あん、止めてよ……もう、こんな場所で何をする気よ」
「ひひひっ……決まってるだろう?」
「ちょっと、いい加減にしてってば……」


酒を飲んでいなかった娼婦達はしつこく迫ってくる警官達から離れようとするが、酒に酔っている警官達は普段よりも気が強く、彼女達を逃すまいと抱き着く。傍から見れば警官が娼婦を襲っているようにしか見えず、とても都の治安を守る存在には見えない。


「いい加減にしろって言ってるでしょ!?この、酔っ払い!!」
「いでっ!?こ、このアマ……!!」
「これ以上やればイゾウさんに言いつけるわよ!!」
「ふん、隊長が何だってんだ!!よくも武士の顔を殴りつけたな……殺してやる!!」
「きゃあっ!?」
「おい、馬鹿止めろっ!!」


顔を平手打ちされた警官の一人が怒りを抱き、娼婦を突き飛ばして刀を引き抜こうとした。それを見た他の警官達が慌てて引き留めようとしたが、刀を男が引き抜く前に背後から影が現れて警官の肩を掴む。


「うらめしやぁっ」
「ああっ!?誰だ……うおおおっ!?」
「な、何だこいつ!?」
「何処から現れた!?」


警官の背後に現れたのは狐の面と死に装束を身に着けたレナであり、彼はアイリスの助言を聞き入れて警官達の前に訪れる。唐突に音もなく現れたように見えたのはレナが「隠密」の技能を解除しただけであり、存在感を消して完全に暗闇に上手く隠れていただけであった。

暗闇から現れたレナに対して警官達はその異様な恰好に慌てふためくが、酒に酔っていた事もあって警官達は警戒心を抱く事もなく、むしろレナの恰好を見て笑う。


「ぶ、ぶはははっ!!何だこいつの恰好!?幽霊の真似か?」
「おいおい、今日は仮装大会でもあったのか?お盆にはまだ早いぞ?」
「へっ……驚かせやがって、とっとと消えろ!!見世物じゃないぞ!!」
「…………」


警官達の反応にレナは狐の面で覆い隠した顔を歪ませ、レナとしてもこのような恰好は本意ではない。だが、アイリスの作戦のためにもレナは警官達を脅す。


「俺は……お前等に殺された」
「はあっ?いったい何を言ってやがる。幽霊の真似事なんて……」
「お前は三日前、裏町の男を殺したな……」
「なっ!?何でそれを……あっ!?」
「えっ……殺した?どういう意味よ?」


レナはアイリスから聞いた情報を頼りに警官の一人が引き起こした辻斬りの被害者の事を話すと、男は驚いて口が滑らせる。その言葉に娼婦達がざわつき、慌てて他の者が誤魔化す。


「ば、馬鹿を言えっ!!俺達を誰だと思っている!?あの黒鉄組の第一部隊の隊員だぞ!!」
「お前も殺したな……分かる、分かるぞ……お前は5日前に旅人を殺したな、しかも3人も」
「えっ……な、何で……!?」
「家族連れだった……年老いた夫婦とその息子をお前は殺したんだ」
「で、出鱈目を抜かすな!!おい、こいつを捕まえるぞ!!」


二人の警官の犯行を指摘すると、流石に他の者達もレナの事を不気味に思い、これ以上に喋らせる前に捕まえようとした。だが、警官達は触れようとした瞬間にレナは「縮地」を発動させ、一瞬で場所を移動する。


「お前も殺したな……10日前に男を二人も」
「ひいっ!?」
「なっ!?い、何時の間に……」
「馬鹿なっ!?どうやって移動した!?」


レナは縮地を利用して警官の一人の背後に出現すると、耳元に囁く。その行為に警官も娼婦も顔を青ざめ、彼等の目にはレナが瞬間移動した様に消えて別の場所に移動していたようにしか見えなかった。更にレナは恐怖を煽るため、背中に手を回すと誰にも見られないように空間魔法を発動させ、大太刀を引き抜く。


「うらめしや……うらめしや……この恨み、晴らさずにいられるかぁっ!!」
『ひいいいいっ!?』
『きゃああああっ!?』


何処からともなく大太刀を引き抜いたレナに娼婦達は悲鳴を上げて逃げ出し、警官達は情けない声を上げながらも刀に手を伸ばす。だが、瞬時にレナは大太刀を振り翳すと警官の一人に刃を振り払う。


「ちぃっ!!」
「ぎゃああっ!?……あ、あれ?痛く、ない?」


しかし、刃を振り払われた警官は悲鳴を上げるが、何故か身体に痛みは感じず、その代わりに身に着けている衣服が切り裂かれ、褌一丁になってしまう。


「う、うわぁっ!?な、何だぁっ1」
「ふ、服だけを斬っただと……そ、そんな馬鹿なっ!?」
「有り得ない、こんなの……有り得ないだろ!?」
「次は、お前等だっ!!」


肉体を傷つけず、衣服だけを切り裂いたレナに警官達は慌てふためくが、そんな彼等にレナは切りかかり、次々と男達の衣服だけを切り裂く。最終的には全員を褌姿にさせると、レナは彼等に言い放つ。


「お前等が殺した人間の恨み、まだまだこんな物じゃ収まらないぞ……!!」
『ひっ……ひぃいいいいっ!!』


男達は褌姿のまま逃げ出し、屯所の方角へ向けて駆け出す。その様子を確認したレナは敢えて男達を追いかける真似はせず、空間魔法を発動させて事前に屯所の近くに設置させていた黒渦まで移動を行う――





※本日コミカライズ版が更新されました!!ここから先は森の中でのレナの成長が描かれます!!
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