不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
902 / 2,091
S級冒険者編

再び第五階層へ

しおりを挟む
「流石にゴブリンは言いすぎだよ。ホブゴブリンと同じぐらいだよ」
「いや、言っておくけどブロックゴーレムは危険度がレベル4の魔物だからな!?それをせいぜいレベル2か3ぐらいしかないホブゴブリンと同レベルぐらいって……」
「そういうダインだって大分頼もしくなったじゃないの。前よりも随分と援護が上達したわね」
「ああ、ダインのお陰で俺たちも助かっている」
「そ、そうかな?へへへっ……そう褒められると悪い気はしないな」


ダインも闇の聖痕を習得するようになってから影魔法の上達が留まらず、何だかんだでここまでの戦闘で敵を捕縛したり、あるいは戦闘に参加できるようにもなった。ダインが存在するのとしないので戦闘に掛かる負担が大きく異なるため、正直に言えばレナたちもダインの影魔法は有難い。

普通の魔術師は砲撃魔法を使って後方から援護を行うが、煉瓦の大迷宮の場合は迷路で構成されており、このような場所だと砲撃魔法は実を言えばあまり役には立たない。複雑な構造の迷路は障害物も多く、しかも狭い通路では味方や自分を巻き込む可能性もあるので砲撃魔法は迂闊には扱えない。更に言えば並大抵の砲撃魔法では煉瓦の迷宮を構成する煉瓦の壁を破壊することさえも出来ないため、このような場所では影魔法の方が役立つ場面が多かった。

影魔法ならば場所や地理に関係なく、地続きに存在するのならばどんな障害物があろうと「影」の性質を生かして敵の元まで届く。また、影魔法は魔力の消耗量も少なく、しかも闇の聖痕を所持しているダインならば薄暗い迷宮内ならば闇の精霊の力を借りて魔力をすぐに回復させる事も出来る。そのお陰でレナたちは特に問題もなく第五階層の出入口である「隠し通路」へと到達した。


『おおっ、もうたどり着きましたよ。いや、まさか1時間足らずでここまで辿り着くなんて流石はレナさんとその愉快な仲間たちです』
「誰が愉快な仲間たちよ。あまり生意気なことを言うと聖水を頭に振りかけるわよ」
『それは私にとってはご褒美です。というかアンデッドじゃないんだから私を浄化しようとするのは止めてください。私は死ぬつもりはありませんから』
「はいはい、分かったよ。それと今回の依頼はお前なんだからちゃんと報酬も用意しとけよ」
『分かってますよ。さあ、行きましょうか!!』


前回も訪れたことがある隠し通路を抜けてレナたちは大迷宮の第五階層へと挑む。ここから先は非常に危険地帯であるため、決して油断はできなかった――





――第五階層へと転移したレナたちは前回の時とは違い、荒れ果てた荒野へと転移した。前の時は第五階層の東側に存在する草原へと飛ばされ、ゴブリンキングやゴブリンロードという化け物に襲われたのだが、今回は北川に存在する荒野へと飛んだらしい。

この第五階層は各階層の中でも最も広大で危険度の高い魔物の巣窟である。この場所には地上に出現すれば軍隊で対処しなければならない危険な魔物も多数生息し、転移した直後にレナたちの前に巨大な猪型の魔獣が出現した。


「フゴォオオオオッ!!」
「うわああああっ!?」
『まさか転移して早々にキングボアに追いかけられる羽目になるとは……ほら、ダインさん!!しっかり走らないと押しつぶされますよ!?』


全長が30メートル近くも存在する巨大な猪にレナたちは追いかけまわされ、最後尾を走っているダインは嘆きの声を上げる。


「ちょ、なんで転移して早々にこんな化物と遭遇するんだよ!?前の時もそうだったけど、明らかに狙ってるだろこれ!!」
『そうですね、毎回転移する場所が危険な魔物の生息地という点も考えると、もしかしたら偶然ではなく第五階層へ転移する場所はランダムではなくて敢えて危険地帯に送り込まれるのかもしれません』
「なんでそんな面倒な……」
『そもそも大迷宮は勇者たちを鍛え上げる施設として作り出された建築物という話もあるぐらいです。まあ、この程度の難関を乗り越えられないようなら第五階層へ訪れるなという製作者の意図を感じられますね』
「ちくしょう、なんて陰湿な嫌がらせだ!!」
「ダイン君!!しゃべってないで走らないと危ないよ!?」
「私もそう思う」
「フガァアアアアッ!!」


話している間にもキングボアはレナたちの後方を駆け抜け、徐々に距離を詰めていく。仕方なく先頭を走っていたレナはいい加減に逃げるのも飽きてきたので相手にしようかと考えた時、シズネが立ち止まって他の者たちに先へ行くように促す。


「仕方ないわね……あまり、力は使いたくないのだけど」


雪月花を構えたシズネは地面に刃を突き刺した瞬間、刀身から放たれた冷気が地面を覆いつくし、やがて周辺一帯を凍り付かせる。その結果、キングボアは凍り付いた地面に足を滑らせ、そのまま地面に派手に転倒した。


「フゴォッ!?」
「おおっ……流石だな」
「ただの時間稼ぎにしか過ぎないわ。さあ、行きましょう」


キングボアは凍り付いた地面の上で慌てて起き上がろうとするが、また滑って倒れてしまう。その様子を見ながらレナたちはその場を急いで離れ、荒野から抜け出すために駆け抜ける。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。