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S級冒険者編
精霊が存在しない
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「このぉっ!!」
「へっ、その程度であたしを倒せると思ってるのかい!?」
レナはバルと鍔迫り合いの形となり、互いの大剣で押し合う。かつてレナは何度かバルと対戦を行っているが、それはあくまでも殺し合いではなく、試合の範疇の話である。だが、こちらのバルは本気でレナを殺そうとしていた。
「おらぁっ!!」
「くっ!?」
「レナ!!」
鍔迫り合いの状態からバルは蹴りを繰り出して無理やりにレナと距離を取ると、それを見たコトミンが水筒を抱えて援護を行おうとした。しかし、それを見抜いたようにバルは彼女に大剣を振り払う。
「邪魔だよ!!」
「コトミン!!」
「っ……!?」
コトミンに振り払われた大剣に対して咄嗟にレナは彼女を庇うために手を伸ばし、突き飛ばしてしまう。結果的には大剣の刃は彼女に当たる事はなかったが、伸ばしきってしまったレナの腕が切りつけられた。血飛沫が舞い上がり、右腕を負傷したレナはあまりの痛みに眉をしかめる。
「ぐぅっ!?」
「レナ!?」
「こ、このぉっ!!」
「ていっ!!」
「おっと」
レナが傷つけられた光景を見てミナが槍を突き出し、ホネミンも鞭を振り払うがバルは二人の攻撃を躱すと後方へと引き下がる。一方でレナの方は右腕を抑え、痛みに耐えながらも状態を伺う。切断は免れたが間違いなく骨まで刃は届き、確実に罅は入っていた。
「レナ!!すぐに治す……!!」
「ありがとう……もうこの状態だと俺の魔法でも治せないから頼んだ」
「はん、回復をさせると思ってるのかい!?」
「邪魔をするなっ!!」
自分のせいで怪我をしてしまったレナを見てコトミンは涙目で駆けつけ、水筒の水を全て注ぎ込んでレナの怪我の治療を行う。コトミンの回復魔法はレナの回復魔法よりも効果は高いのですぐに治ると思われたが、その前にバルが動き出す。ゴンゾウはそれを見て闘拳を構えると、彼女に拳を突き出す。
「うおおおっ!!」
「巨人族の坊やかい!!あんたとはそういえば戦った事はなかったね!!」
「僕もいる事を忘れるなよ!!」
「うおっ!?」
ゴンゾウが闘拳を身に付けた右拳を振りかざした瞬間、ダインが影魔法を発動して背後からバルを願い、咄嗟に彼女は影に捕まらないように跳躍を行う。それを見たレナは左手を伸ばすと合成魔術を放つ。
「火炎刃!!」
「はっ……うぎゃっ!?」
「やった!?」
まさかレナが魔法を使う事を想定していなかったのか、空中に浮かんで回避行動がとれなかったバルはまともに魔法を受けてしまう。但し、普通の剣士ならばこの一撃で決着だったのだろうが、黒焦げになりながらもバルは地面に着地すると、大剣を地面に突き刺して起き上がる。
ここでレナ達はバルの肉体に負った火傷が時間を巻き戻すかの様に消えていく光景を目にすると、僅か数秒足らずでバルは損傷を完治した。その光景を見て先ほどの機械音声の話した言葉が思い出され、どうやら本当に相手を確実に仕留める程の傷を与えなければ倒せないらしい。
「ちっ……そういえば忘れてたけどあんたは魔術師だったね。剣ばっかり使うから忘れてたよ」
「魔術師ね……最近は魔法剣士を名乗ろうかと考えてたところだよ。神殿にいって転職しないと……」
「いや、この世界に神殿にそういうシステムありませんから……それより、傷の方はどうですか?」
「……おかしい、いつもならもう治ってるのに」
コトミンは全神経を集中させてレナの回復を行おうとしたが、何故かいつもよりも回復速度が遅く、完全な回復には至らない。その様子を見てコトミンはある事に気づく。
「もしかして……コトミンさんの回復魔法は精霊魔法の一種ですか?」
「そうだけど……」
「じゃあ、回復の効果が遅いのはそのせいですね。ここには精霊が存在しないんですよ、だから水を注いだところで水の精霊の力は借りれません」
「えっ……!?」
「精霊が……いない?」
ホネミンの言葉にレナとコトミンは驚愕の表情を浮かべるが、すぐにレナは風の聖痕を発動させて様子を確認しようとした。密封された空間でなければ風の精霊は何処にでも存在するはずなのでこのような開けた場所ならばすぐに呼び寄せられるはずなのだが、何故か反応がない。そもそもレナの右腕に刻まれたはずの風の聖痕が存在しなかった。
「せ、聖痕がない!?」
「えっ!?嘘だろ!?」
「どうやらここでは精霊の力は借りれないようですね……よくよく考えればここは仮想空間、そもそも精霊が存在するはずがないんですよ」
「さっきから何を騒いでるんだい?ごちゃごちゃ言ってないでかかってきな!!」
「くっ……」
精霊の力を借りれなければコトミンは思うように回復魔法は扱えず、レナの怪我の治療は捗らない。その一方で一人でアイラと対峙していたシズネの方は相手の繰り出す剣と拳の攻撃に追い込まれていた。
「へっ、その程度であたしを倒せると思ってるのかい!?」
レナはバルと鍔迫り合いの形となり、互いの大剣で押し合う。かつてレナは何度かバルと対戦を行っているが、それはあくまでも殺し合いではなく、試合の範疇の話である。だが、こちらのバルは本気でレナを殺そうとしていた。
「おらぁっ!!」
「くっ!?」
「レナ!!」
鍔迫り合いの状態からバルは蹴りを繰り出して無理やりにレナと距離を取ると、それを見たコトミンが水筒を抱えて援護を行おうとした。しかし、それを見抜いたようにバルは彼女に大剣を振り払う。
「邪魔だよ!!」
「コトミン!!」
「っ……!?」
コトミンに振り払われた大剣に対して咄嗟にレナは彼女を庇うために手を伸ばし、突き飛ばしてしまう。結果的には大剣の刃は彼女に当たる事はなかったが、伸ばしきってしまったレナの腕が切りつけられた。血飛沫が舞い上がり、右腕を負傷したレナはあまりの痛みに眉をしかめる。
「ぐぅっ!?」
「レナ!?」
「こ、このぉっ!!」
「ていっ!!」
「おっと」
レナが傷つけられた光景を見てミナが槍を突き出し、ホネミンも鞭を振り払うがバルは二人の攻撃を躱すと後方へと引き下がる。一方でレナの方は右腕を抑え、痛みに耐えながらも状態を伺う。切断は免れたが間違いなく骨まで刃は届き、確実に罅は入っていた。
「レナ!!すぐに治す……!!」
「ありがとう……もうこの状態だと俺の魔法でも治せないから頼んだ」
「はん、回復をさせると思ってるのかい!?」
「邪魔をするなっ!!」
自分のせいで怪我をしてしまったレナを見てコトミンは涙目で駆けつけ、水筒の水を全て注ぎ込んでレナの怪我の治療を行う。コトミンの回復魔法はレナの回復魔法よりも効果は高いのですぐに治ると思われたが、その前にバルが動き出す。ゴンゾウはそれを見て闘拳を構えると、彼女に拳を突き出す。
「うおおおっ!!」
「巨人族の坊やかい!!あんたとはそういえば戦った事はなかったね!!」
「僕もいる事を忘れるなよ!!」
「うおっ!?」
ゴンゾウが闘拳を身に付けた右拳を振りかざした瞬間、ダインが影魔法を発動して背後からバルを願い、咄嗟に彼女は影に捕まらないように跳躍を行う。それを見たレナは左手を伸ばすと合成魔術を放つ。
「火炎刃!!」
「はっ……うぎゃっ!?」
「やった!?」
まさかレナが魔法を使う事を想定していなかったのか、空中に浮かんで回避行動がとれなかったバルはまともに魔法を受けてしまう。但し、普通の剣士ならばこの一撃で決着だったのだろうが、黒焦げになりながらもバルは地面に着地すると、大剣を地面に突き刺して起き上がる。
ここでレナ達はバルの肉体に負った火傷が時間を巻き戻すかの様に消えていく光景を目にすると、僅か数秒足らずでバルは損傷を完治した。その光景を見て先ほどの機械音声の話した言葉が思い出され、どうやら本当に相手を確実に仕留める程の傷を与えなければ倒せないらしい。
「ちっ……そういえば忘れてたけどあんたは魔術師だったね。剣ばっかり使うから忘れてたよ」
「魔術師ね……最近は魔法剣士を名乗ろうかと考えてたところだよ。神殿にいって転職しないと……」
「いや、この世界に神殿にそういうシステムありませんから……それより、傷の方はどうですか?」
「……おかしい、いつもならもう治ってるのに」
コトミンは全神経を集中させてレナの回復を行おうとしたが、何故かいつもよりも回復速度が遅く、完全な回復には至らない。その様子を見てコトミンはある事に気づく。
「もしかして……コトミンさんの回復魔法は精霊魔法の一種ですか?」
「そうだけど……」
「じゃあ、回復の効果が遅いのはそのせいですね。ここには精霊が存在しないんですよ、だから水を注いだところで水の精霊の力は借りれません」
「えっ……!?」
「精霊が……いない?」
ホネミンの言葉にレナとコトミンは驚愕の表情を浮かべるが、すぐにレナは風の聖痕を発動させて様子を確認しようとした。密封された空間でなければ風の精霊は何処にでも存在するはずなのでこのような開けた場所ならばすぐに呼び寄せられるはずなのだが、何故か反応がない。そもそもレナの右腕に刻まれたはずの風の聖痕が存在しなかった。
「せ、聖痕がない!?」
「えっ!?嘘だろ!?」
「どうやらここでは精霊の力は借りれないようですね……よくよく考えればここは仮想空間、そもそも精霊が存在するはずがないんですよ」
「さっきから何を騒いでるんだい?ごちゃごちゃ言ってないでかかってきな!!」
「くっ……」
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https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
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