928 / 2,081
S級冒険者編
火竜戦
しおりを挟む
「加速剣撃、兜割り!!」
「ガアアッ!?」
「やった!!」
振り払われた尻尾に対してレナは両手の剣を振り下ろすと、尻尾の先端部分を切り裂く。尻尾の一部を斬られた火竜は苦痛の表情を浮かべるが、すぐに体勢を立て直して両翼を振り払う。
「グガァッ!!」
「きゃあっ!?」
「ぐっ……耐えろっ!!」
両翼から放たれた風圧に対して皆が体勢を低くして耐える中、巨人族で身体も重いゴンゾウは風圧を耐え凌ぎながらも相手が竜種という事もあって全力で挑むため、鬼人化を発動させた。
「うおおおっ!!」
「ご、ゴンゾウ!?」
「ガアアッ……!?」
突如として血管を浮き上がらせ、皮膚の色が赤色に変化したゴンゾウを見てダインは驚くが、ゴンゾウは力を込めて地面を踏みつけながら翼を動かす火竜の元へ向かう。危険を察した火竜は距離を取ろうとしたが、その前にレナが動いて空間魔法を発動させる。
「うおらぁっ!!」
「グガァッ!?」
空間魔法の黒渦を使用してレナは自分の足元と火竜の頭上に黒渦を作り出して繋げると、そのまま一瞬で転移して火竜の頭部を切り裂く。切断には至らなかったが、火竜の右目を斬りつける事には成功し、その隙にゴンゾウが接近すると両拳を構えて突き出す。
「大金剛撃!!」
「ガハァッ!?」
火竜の腹部に強烈な衝撃が走り、火竜の巨体が後ろ向き倒れ込む。その間にレナは地上へと着地して火竜に止めを刺そうとしたとき、火竜は目を見開いて口内から炎を放つ。
「アガァアアアアッ!!」
「まずい!?」
「ぬうっ……!?」
「やばい、戻ってこい二人とも!!」
まるで火山の噴火を想像させる勢いで火炎を放つ火竜に対し、ダインは杖を地面に突き刺して二人の足元に影魔法を発動させた。そのままレナとゴンゾウはダインの影の触手に身体が捕まり、強制的に引き寄せられる。その直後、火竜は起き上がるとレナ達の咆哮に目掛けて火炎放射を行う。
「アアアアアッ……!!」
「シャドウマン!!」
迫りくる火炎に対してダインは自分の影から作り出した巨大な人形で炎を受け止め、そのまま皆を守るように仁王立ちさせる。火竜の放つ炎を正面から受け止めながらも影人形は全員を守り抜く。
「ぐぐぐっ……!!」
「うおっ……!?」
「す、凄い!?」
「けど……」
シャドウマンによってレナ達は火竜の火炎の吐息から守られるが、シャドウマンの肉体が徐々に崩れ始め、どうやら物理攻撃には無敵に等しいシャドウマンでも火竜の吐息は完全には耐え切れない様子だった。シャドウマンを築き上げている闇属性の魔力は光に弱く、火竜の放つ吐息の炎は強い光を発するのと同時に火属性の魔力で構成されている。
炎を受け止めながらもシャドウマンの身体が徐々に崩れ始め、完全に崩れ去ったときにレナ達は炎の餌食となってしまう。ならばシャドウマンが耐えている間に逃げればいいと思うかもしれないが、既にレナ達の周囲は火竜の吐息によって火の海と化して逃げ場がない。
「も、もう駄目だ……は、早く何とかしてくれよ!!」
「な、何とかって言われても……」
「むうっ……スラミンかヒトミンさえいれば消化できるのに」
「いえ、それは無理だと思うけど……仕方がないわね。ゴンゾウ、手を貸しなさい」
「むっ?」
「シズネ?」
シズネは雪月花を握りしめるとゴンゾウに振り返り、彼がまだ鬼人化を解除していない状態である事を確認するとゴンゾウに頼み込んで持ち上げてもらう。彼女はゴンゾウの力と自分の雪月花の能力を使えば火竜の吐息を破る自信はあった。
「ゴンゾウ、私を奴の元へ向けて投げなさい!!全力でよ!!」
「い、いいのか?この状態の俺は力加減など出来ないぞ……!?」
「いいから私が合図をしたらやりなさい!!」
「わ、分かった」
ゴンゾウはシズネの言葉に頷き、彼女はタイミングを計るようにシャドウマンが火炎によって完全に崩れ去ろうとする姿を見極め、ゴンゾウに合図を行う。
「今よっ!!」
「うおおおおおっ!!」
合図を受けたゴンゾウは全力でシズネを投げ飛ばすと、シズネは正面から迫りくる炎に向けて雪月花を構え、魔力を流し込む。すると、普段の彼女からは考えられないほどの量の魔力が迸り、雪月花の刀身から冷気が放たれた。結果として雪月花は大量の冷気を放ちながら火炎を切り裂く。
「月光斬!!」
「アアアッ……!?」
火炎を切り裂き、接近してきたシズネに対して火竜は残された片目を見開くと、シズネは空中にて剣を振りかざし、三日月を想像させる冷気の塊を放つ。その結果、火竜の胴体の部分に冷気が衝突し、火竜の肉体が凍り付く。
予想外の反撃に火竜は戸惑い、凍り付いた肉体を見て慌てて溶かそうとしたが、胴体だけではなく他の箇所も徐々に凍り付いていき、やがて全身が氷に覆われてしまう。その様子を見てシズネは着地すると、後方のレナに振り返って声をかける。
「レナ、やりなさい!!」
「あいよ、相棒!!」
シズネの声を聞いてレナは退魔刀を構えると、渾身の一撃を繰り出すために駆け出し、瞳の色を赤色に変色させながら最大の剣技を発動させる。
「ガアアッ!?」
「やった!!」
振り払われた尻尾に対してレナは両手の剣を振り下ろすと、尻尾の先端部分を切り裂く。尻尾の一部を斬られた火竜は苦痛の表情を浮かべるが、すぐに体勢を立て直して両翼を振り払う。
「グガァッ!!」
「きゃあっ!?」
「ぐっ……耐えろっ!!」
両翼から放たれた風圧に対して皆が体勢を低くして耐える中、巨人族で身体も重いゴンゾウは風圧を耐え凌ぎながらも相手が竜種という事もあって全力で挑むため、鬼人化を発動させた。
「うおおおっ!!」
「ご、ゴンゾウ!?」
「ガアアッ……!?」
突如として血管を浮き上がらせ、皮膚の色が赤色に変化したゴンゾウを見てダインは驚くが、ゴンゾウは力を込めて地面を踏みつけながら翼を動かす火竜の元へ向かう。危険を察した火竜は距離を取ろうとしたが、その前にレナが動いて空間魔法を発動させる。
「うおらぁっ!!」
「グガァッ!?」
空間魔法の黒渦を使用してレナは自分の足元と火竜の頭上に黒渦を作り出して繋げると、そのまま一瞬で転移して火竜の頭部を切り裂く。切断には至らなかったが、火竜の右目を斬りつける事には成功し、その隙にゴンゾウが接近すると両拳を構えて突き出す。
「大金剛撃!!」
「ガハァッ!?」
火竜の腹部に強烈な衝撃が走り、火竜の巨体が後ろ向き倒れ込む。その間にレナは地上へと着地して火竜に止めを刺そうとしたとき、火竜は目を見開いて口内から炎を放つ。
「アガァアアアアッ!!」
「まずい!?」
「ぬうっ……!?」
「やばい、戻ってこい二人とも!!」
まるで火山の噴火を想像させる勢いで火炎を放つ火竜に対し、ダインは杖を地面に突き刺して二人の足元に影魔法を発動させた。そのままレナとゴンゾウはダインの影の触手に身体が捕まり、強制的に引き寄せられる。その直後、火竜は起き上がるとレナ達の咆哮に目掛けて火炎放射を行う。
「アアアアアッ……!!」
「シャドウマン!!」
迫りくる火炎に対してダインは自分の影から作り出した巨大な人形で炎を受け止め、そのまま皆を守るように仁王立ちさせる。火竜の放つ炎を正面から受け止めながらも影人形は全員を守り抜く。
「ぐぐぐっ……!!」
「うおっ……!?」
「す、凄い!?」
「けど……」
シャドウマンによってレナ達は火竜の火炎の吐息から守られるが、シャドウマンの肉体が徐々に崩れ始め、どうやら物理攻撃には無敵に等しいシャドウマンでも火竜の吐息は完全には耐え切れない様子だった。シャドウマンを築き上げている闇属性の魔力は光に弱く、火竜の放つ吐息の炎は強い光を発するのと同時に火属性の魔力で構成されている。
炎を受け止めながらもシャドウマンの身体が徐々に崩れ始め、完全に崩れ去ったときにレナ達は炎の餌食となってしまう。ならばシャドウマンが耐えている間に逃げればいいと思うかもしれないが、既にレナ達の周囲は火竜の吐息によって火の海と化して逃げ場がない。
「も、もう駄目だ……は、早く何とかしてくれよ!!」
「な、何とかって言われても……」
「むうっ……スラミンかヒトミンさえいれば消化できるのに」
「いえ、それは無理だと思うけど……仕方がないわね。ゴンゾウ、手を貸しなさい」
「むっ?」
「シズネ?」
シズネは雪月花を握りしめるとゴンゾウに振り返り、彼がまだ鬼人化を解除していない状態である事を確認するとゴンゾウに頼み込んで持ち上げてもらう。彼女はゴンゾウの力と自分の雪月花の能力を使えば火竜の吐息を破る自信はあった。
「ゴンゾウ、私を奴の元へ向けて投げなさい!!全力でよ!!」
「い、いいのか?この状態の俺は力加減など出来ないぞ……!?」
「いいから私が合図をしたらやりなさい!!」
「わ、分かった」
ゴンゾウはシズネの言葉に頷き、彼女はタイミングを計るようにシャドウマンが火炎によって完全に崩れ去ろうとする姿を見極め、ゴンゾウに合図を行う。
「今よっ!!」
「うおおおおおっ!!」
合図を受けたゴンゾウは全力でシズネを投げ飛ばすと、シズネは正面から迫りくる炎に向けて雪月花を構え、魔力を流し込む。すると、普段の彼女からは考えられないほどの量の魔力が迸り、雪月花の刀身から冷気が放たれた。結果として雪月花は大量の冷気を放ちながら火炎を切り裂く。
「月光斬!!」
「アアアッ……!?」
火炎を切り裂き、接近してきたシズネに対して火竜は残された片目を見開くと、シズネは空中にて剣を振りかざし、三日月を想像させる冷気の塊を放つ。その結果、火竜の胴体の部分に冷気が衝突し、火竜の肉体が凍り付く。
予想外の反撃に火竜は戸惑い、凍り付いた肉体を見て慌てて溶かそうとしたが、胴体だけではなく他の箇所も徐々に凍り付いていき、やがて全身が氷に覆われてしまう。その様子を見てシズネは着地すると、後方のレナに振り返って声をかける。
「レナ、やりなさい!!」
「あいよ、相棒!!」
シズネの声を聞いてレナは退魔刀を構えると、渾身の一撃を繰り出すために駆け出し、瞳の色を赤色に変色させながら最大の剣技を発動させる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
16,454
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。