不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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S級冒険者編

ホネミンの報酬

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「というか、そのホネミンはどうなってんだよ。その、かぷせる?……というのに入って出れ来れない状況なら報酬はどうなるんだよ!?」
「報酬よりもホネミンさんの心配してあげなよ……」
「馬鹿野郎!!僕にとっては死活問題だ!!」
「ご、ごめんなさい?」


ダインの発言にミナは呆れてしまうが、彼にとっては報酬は重要な話なので引き下がる事は出来ず、ここまで苦労したのに報酬が貰えないなど冗談ではなかった。そんな彼にリーリスはホネミンの伝言を約束通りに伝える。


「報酬に関しては第三階層のホネミンさんのマイホームにあるそうですよ。地下の方に貴重な魔石を隠していたそうです」
「なんだよ、そのまいほーむって……もしかして最初にホネミンと出会った城の事か!?ちょっと待て、またあんな危険な場所に行くのか!?」
「大丈夫だよダイン、俺が一人で行って回収してくるからここで待ってなよ。空間魔法を維持しておけばすぐに帰れるから」
「待ちなさい、空間魔法の移動法は貴方に負担が掛かるでしょう?ここは皆で行った方が……」
「シズネ、あの時に倒れた事を忘れたの?コトミンだって煮干しになっちゃうよ」
「うっ……」
「はうっ……それは困る」
「いや、煮干し扱いは怒らないのか……?」


第三階層は砂漠地帯のため、人魚族であるコトミンや人魚族の血を継いでいるシズネには最悪な環境と言えた。シズネは人間ではあるが母親の血を濃く継いでいるため、暑い環境を苦手としている。シズネの髪の毛が普通の人間と違って青髪なのも母親の影響だった。

報酬を入手するには第三階層へ挑む必要があり、それならばレナが一人で移動した方が色々と都合が良い。空間魔法でこの場所に黒渦を作り出しておけばいざという時はいつでも帰還できる。それに第三階層に出現する魔物はレナの敵ではなく、脅威となり得る存在はいない。


「よし、ならまずは第三階層へ戻らないと……転移石で一旦戻った後、第三階層に向かうか」
「あ、それなら大丈夫ですよ。この施設には各階層へ転移できる装置もあります」
「え、本当に!?」


リーリスは何処からか金属製の腕輪を取り出すと、レナに差し出す。外見はただの銀色の腕輪にしか見えないのだが、これを身に付けた状態で作動すると行きたい場所に転移するという。


「これは転移リングという装置なんですが、行きたい場所を指定すると瞬時にその場所に移動できます」
「えっ、そんな便利な魔道具があるの!?」
「但し、転移が行えるのはあくまでもこの大迷宮内だけですよ。それと、転移する際は所有者の魔力を吸収するので気を付けてくださいね」
「なるほど、叔母様の転移魔法陣の水晶札みたいな物か……こっちは無制限だけど、自分の魔力を使用するわけね」


マリアが所有する水晶札も自分が行きたい場所を念じると一瞬で転移できるが、リーリスの取り出した転移リングは大迷宮内に限られるがどんな場所にでも転移できるという。彼女の言葉を信じればレナは第三階層の古城へ一瞬で移動できるはずだが、魔力をどの程度消耗するのか分からないのは少し不安だった。

試しに装置が本当に発動するのかを試すためにレナは少し離れた場所に視線を向け、装置を作動させようとした。この時にどうやって作動させるのかをリーリスに質問する。


「リーリス、これどうやって使えばいいの?」
「行きたい場所を想像した状態で口元を近づけてワープと言えば良いだけですよ」
「なるほど……こんな感じか、ワープ!!」
「うわっ!?」
「おおっ!!」


レナが言葉を呟いた瞬間、腕輪が光り輝くとレナの頭上に転移魔法陣が出現し、そのまま魔法陣に飲み込まれるように身体が消えていく。その直後にレナが移動場所に指定していた場所に魔法陣が現れると、そのまま放り出されるようにレナの身体が出現した。


「あいてっ!?いったぁっ……あれ、成功したの?」
「あちゃあっ……すいませんね、どうやらずっと使っていなかったので不具合が起きたようです。本来ならこんな荒々しく放り出される事はないんですが……」
「いや、十分に凄いよ!!なんだよその魔道具!?僕にもくれよ!!」
「それは無理だと思いますよ。これは地球人と、地球人の血筋の方にしか使えないように改造されていますから」
「え、どういう意味?ちきゅうじんってなんだ?」
「要するに異世界から召喚された勇者か、あるいは勇者の血筋の人間にしか使えないという事です」
「ああ、そういえばレナはバルトロス王族の人間だったな。ならば勇者の血筋という事か」
「言われてみればハヅキ家も確か勇者の血筋を継いでいるとは聞いた事があるわね……ダイン、諦めなさい。貴方では使えないようね」
「くっそぉっ……レナだけずるいぞ!?」
「私も使ってみたいのに……こうしてひっつけば一緒に転移できないの?」
「うぷっ……」


コトミンが羨ましそうにレナに抱き着くと、しりもちをついた状態だったのでレナは彼女の豊満な胸を顔に押し付けられる形となり、それを見たシズネが少し不機嫌そうに咳ばらいを行う。
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