不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません？

Ｓ級冒険者編

また会いましょう

「さてと……結構長居したけど、そろそろ帰ろうか」
「あれ、帰っちゃうんですか？何だったら泊まっていけばいいじゃないですか」
「もう宿を取ってあるし、それにここに残っているとまた何か面倒事に巻き込まれる気がする」
『確かに』
「なんですかそれは……まあ、仕方ないですね。じゃあ、その転移リングは無くさないように気を付けてくださいね」


転移リングが存在すれば第五階層まで一瞬で転移できるため、レナ達は一先ずは帰還する事にした。収穫としてはホネミンが保管していた大量の魔石、更にリーリスから手に入れた勇者用の装備品を手に入れた。これだけでも成果は十分だが、更に白竜の鱗まで手に入れてしまう。

これらを換金すれば冗談抜きで国家予算並の報酬が手に入りそうだが、どれもこれもが価値が高すぎて逆に不用意に換金する事など出来ない。せいぜい魔石を売却する程度に収めて置き、あとは各々が手に入れた武器は今後の冒険に役立てるだろう。


「さあ、帰ろうか。リーリス、またね」
「ええ、また会いましょう。退魔刀の事は任せてください、何だったらマシンガンでも取り付けますか？」
「いらんわっ！！」


勝手に自分の愛剣に変な装備を付けようとするリーリスを叱りつけた後、レナは転移リングをダインから受け取り、帰還の準備を進める。何だかんだあったが、これで塔の大迷宮は完全に制覇したと言っても過言ではない。

全ての階層を突破し、遂には第五階層の秘密の施設まで発見した。ここで地球へ戻る手がかりも手に入れたが、現状では地球へ戻る事は出来ない。但し、もうレナは焦って地球へ戻る事は辞める事にした。


（アイリスの奴に色々な土産話が出来たな……戻ったら報告しないとな）


この塔の大迷宮の秘密をアイリスが知っているのかは不明だが、少なくともホネミンがこの場に存在する限りは彼女はこの場所の事を把握できない。また、ホネミンが完全に復活するまでどの程度の時間が掛かるのかも分からず、定期的にこの場所には訪れる事になるだろう。


「よし、皆準備はいい？忘れ物はない？」
「大丈夫」
「ええ、問題ないわ」
「大丈夫だ」
「早く戻ろうぜ……この魔石を換金して僕は借金を返済するんだ！！」
「あれ、ダイン君の今の台詞で何か急に不安になってきた……」
「盛大なフラグですね、まあ大丈夫だとは思いますが……では、またのお越しをお待ちしております」
「ホネミンを任せたよ、リーリス……転移ワープ！！」


転移リングを発動させ、レナ達は魔法陣に飲み込まれると、外の世界へと転移を行う。その様子をリーリスは見送ると、彼女は完全にレナ達が消えた後につまらなそうな表情を浮かべた。


「ふうっ……帰ってしまいましたか」
「ガウッ？」
「はいはい、大丈夫ですよ。貴方の世話は私が見てあげますからね」


白竜はリーリスに対して顔を近づけると、リーリスはしばらくの間は退魔刀の強化や白竜の治療、それとホネミンの治療などで忙しくなると考え、数百年ぶりに働く事の大変さを味わう。


「さてと、まずはこの剣の強化から取り組みますか。レナさんはああいってましたが、単純に性能を上昇させるだけではつまらないですからね。この際、色々と改造をしてあげましょう」
「ガアッ……」


余計な事は辞めておいた方がいいとばかりに白竜は呆れた表情を浮かべるが、リーリスは新しい玩具を手に入れたとばかりに退魔刀を握りしめ、鼻歌混じりに研究施設に戻ろうとした。だが、ここで彼女はある事に気づいたように立ち止まり、レナ達の中に存在した一人に疑問を抱く。


「そういえばあのコトミンという人……ＤＮＡ的にあの人の子孫なんですよね。これも運命なんでしょうかね」


かつて帝国の英雄と呼ばれたルノの相方を務め、彼に最も愛された人物の子孫である事をリーリスは見抜き、コトミンの家系の人間は異世界人から愛されやすいのかと思う。最も彼女には関係ない話なので作業に集中する事にした――





――それからしばらくの間はレナ達はこの研究施設に入り浸る様になり、リーリスは数百年ぶりに外の世界の人間と接触する生活を送る。だが、冒険都市にレナ達が帰還する際、彼等に驚愕的な出来事が待ち構えている事はこの時点では誰も予想できなかった。



※おまけ

アイリス「ええっ！？ホネミンさんが再生！？ますます私のキャラが薄くなるじゃないですか！！( ﾟДﾟ)」
レナ「何を心配してるんだお前は……」
アイリス「くっ、こうなったら仕方ありません。システムに介入してホネミンさんを幼女体型にします！！」
ホネミン『(;´･ω･)ﾔﾒﾃｰ』



※次回から新章に入ります。