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真・闘技祭編

六聖将の集結

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――レナ達が巨塔の大迷宮を完全制覇してから約一か月後、ヨツバ王国の王都にて使者が赴く。使者はあくまでもヨツバ王国の国王に手紙を託すように頼まれただけであり、すぐに帰還してしまったが、その手紙の内容を見たヨツバ王国の国王は本来は各地の領地の守護を命じている将軍達を呼び寄せる。


北聖将「ハシラ」最も他国から侵攻を受けやすいヨツバ王国の北方区域の警備を任される程の実力を持ち、自身も弓の達人であり、エリナの師匠でもある男。六聖将の中でも国王からの信頼は厚い。

東聖将「ギンタロウ」エリナの叔父にして魔人族のケンタウロスでありながら六聖将の座を任せられる程の強者、平地での戦闘では最も戦力となり得るケンタウロス族の兵士を従えている。

西聖将「ホムラ」六聖将の中で最も危険で広大な領地を任された女将。その強さは計り知れず、彼女以外に西の領地を治められる者はいないと呼ばれている。ダークエルフの戦士を従える最強の武人。

南聖将「白虎」先代の魔物使いのレイビの代わりに南聖将の座を与えられた人虎。六聖将の座に就いてから日は浅いが、確かな実力を持っており、レイビの亡き今は南方の領地を管理している。

護衛将「ツバサ」王国の守護神の異名を持ち、その剣技も剣聖である妹のハヤテにも勝ると言われている。ミドリ家の当主にしてハヅキ家とは友好的な関係を築いてきた。

守備将「クレナイ」六聖将最強の称号を持つヨツバ王国一の剣士。実力、忠誠心、経歴、全てにおいて他の六聖将を上回り、国王も武力に一点に関しては彼以上の存在はいないと思っていた。


この6名の将軍を前にすれば国王の側近達でさえも緊張を隠しきれず、どうして各地の重要な領地の管理を任されている彼等が呼び出されたのか兵士達は疑問を抱く。一方で国王の方は集まった面子を見て満足そうに頷いた。


「ふふふ……こうして六聖将が全員集まるのは何時ぶりかのう」
「16年前にティナ様が生まれて以来でございますね」
「おお、そうだったのう。あの時は本当に儂の人生最高の日だった。だが、そのティナはもう……ぐぬぬっ」
「国王よ、さっさと用件を言え。こちらも暇ではない」
「……ホムラよ、国王様に対してその口ぶりはなんだ」


国王はティナの事を思い出して現在は彼女がこの地にいない事に悲しみ、同時にティナの結婚相手であるレナを思い出して悔しがる。そんな彼に対して用事を早く済ませるようにホムラが告げると、ハシラが眉を顰めて彼女を咎める。

しかし、西聖将の立場であるホムラは厳密に言えば別に国王の配下とは言いきれない。彼女は六聖将の中でも特別な立場に存在し、ヨツバ王国に与するとはいえ、別に国王の臣下になったつもりはない。


「ハシラ、お前と私では立場が違う。その事はお前も知っているだろう」
「……先代と比べて随分と小生意気な娘が西聖将の座に就いたな」
「ほう、いい度胸だ。ここで死にたいのか?」
「こらこら、喧嘩は止めんかっ!!」


先代と口にしたハシラに対してホムラは鋭い視線を向けると、ギンタロウが二人の間に割って入る。するとハシラもホムラも面倒そうな表情を浮かべ、国王はすぐに仲裁する。


「よい、儂の前だからと言って辺に気を配る必要はない。ホムラの言う通りに本題に入ろうではないか」
「うむ、我々全員を呼び出すという事は余程の事態なのだろうな!!それで、一体何が起きたのですかな?」
「何かが起きた、というよりも起きる、と言った方が正しいかもしれんな……先日、バルトロス王国のナオ女王から連絡が届いた」
「連絡ですか?」


バルトロス王国という言葉にツバサは反応し、ヨツバ王国は先日にバルトロス王国から派遣された冒険者によって国の危機が救われた。つまり、バルトロス王国に大きな貸しを与えてしまったといった方がいい。

そのバルトロス王国の方から連絡が届いたという話に六聖将の表情が一変し、かの国からどのような連絡が届いたのかと身構える。すると国王真剣な表情を浮かべ、手紙の内容を伝えた。


「今から一か月後、バルトロス王国にて闘技祭が再開される事が決まった。お主等は闘技祭の事は耳にしているか?」
「闘技祭?何だそれは……」


闘技祭の話は世界各国にも知れ渡っているが、西聖将であるホムラだけは外の情報は滅多に届かないため、闘技祭の詳細を知らない。そんな彼女に対してツバサが噂で聞いた話の範囲の闘技祭の詳細を伝える。


「闘技祭とはバルトロス王国で行われた大規模の武術祭です。国内だけには問わず、国外からも腕に自信がある武人が集まり、試合形式で競い合いを行ったそうです」
「ほう、要するに武人を集めて誰が一番なのかを決めるという事か。面白い、そんな大会が開かれていたのか」
「その闘技祭が再開されるという事は……国王様、まさか再びあの国へ赴き、闘技祭の観戦をするつもりですか?」


ハシラはかつてデブリ国王がバルトロス王国の闘技祭の観戦のためにバルトロス王国へと赴き、当時王国を支配していたキラウに拘束された事を思い出す。前回の時と同じ流れなので彼は不安を抱くが、国王はだからこそ六聖将を呼び出したという。
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