不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

ギガンの釈放、ゴンゾウの決意

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――闘技祭の再開が正式に決定した事が世界各国に伝わると、バルトロス王国の王都にて収監されていた「ギガン」の正式な釈放が決定した。彼はイレアビトに協力し、レナ達と戦った男だが、彼をギルドマスターとした牙竜のギルドの冒険者達がヨツバ王国にて功績を立てた事を理由にギガンの釈放が認められる。

この功績はゴンゾウが六聖将の一人であるクレナイを戦闘不能に追い込んだ事が大きく、彼の奮戦がなければ冒険者達はクレナイの率いる軍隊に全滅していた可能性もある。元々、ギガンがイレアビトに協力していたのは彼女に半ば脅迫されていた事が原因のため、彼の罪は許された。


「ギルドマスター!!よくぞ戻ってきてくれた!!」
「ガンモ、俺が収監されている間、よくこのギルドを守ってくれた」
「いやいや、そんな事を言わないでくれよ!!おい、お前ら今日は宴だ!!地下の倉庫の酒を全部持ってこい!!」
『うおおおっ!!』


牙竜に所属する冒険者達はギガンの復帰に歓喜し、その中にはギガンの弟子にして彼を王城で破ったゴンゾウも存在した。ゴンゾウは言いにくそうな表情を浮かべていたが、そんな彼を見てギガンはゴンゾウの元に向かう。


「ゴンゾウ……お前のお陰で俺の釈放が決まったと聞いている。礼を言うぞ」
「師匠……しかし、俺のせいで師匠が」
「何を言っている、お前は間違っていなかった。あの時、お前が俺を止めていなければきっと一生後悔する結果になっただろう」


ゴンゾウが王城にてギガンを倒した事で彼は収監されたのだが、その事に関してはギガンはゴンゾウを恨んではいない。むしろイレアビトの策略によって悪事に手を染めようとした自分を止めてくれた事にギガンは感謝していた。

ギガンがイレアビトに従っていたのは彼女の勢力が強大で、もしもイレアビトを敵に回せば牙竜に所属する冒険者達に危害が加えられると判断した上での行動だった。いくらギガンが強いといっても王国の実権を握っていたイレアビトに逆らう事は出来ず、だからといって彼女に対抗できるマリアに従う事は冒険者ギルドの長として出来ない。

マリアは優れた人物である事は理解しているが、彼女に従う事が出来なかったのはギガンが牙竜を他のギルドの傘下に加わる事が我慢できなかった。牙竜の歴史は長く、氷雨や黒虎よりも前から冒険都市を守り続けてきたという誇りがあった。だからこそ彼はマリアに協力する事が出来なかった。


「ゴンゾウ、お前は止めなければ俺はきっと一生後悔していただろう。それよりも、よくぞあの闘将と呼ばれたクレナイを相手に引き分けたな」
「俺一人では勝てなかった。仲間の力があったからこそ勝てた」
「その通りだ。お前ひとりでは決してクレナイには勝てなかっただろう。仲間というのは偉大で素晴らしい存在だ……だが、俺は敢えてお前に頼む。これからはお前はその仲間に頼れない状況も陥るだろう」
「師匠?」
「闘技祭が開催される……お前は巨人国の代表選手として出場するんだ」
「俺が、代表に……!?」


闘技祭の再開はゴンゾウも話を聞いていたが、まさか自分が国の代表として出場するなど思いもよらず、激しく動揺する。しかし、そんなゴンゾウに対してギガンは釈放されるときに渡された巨人国の国王からの手紙を差し出す。


「これは俺の元に届いた巨人国の国王からの手紙だが、巨人国はこの俺を筆頭に4名の巨人を代表選手として闘技祭に参加させる事が決まった。その中の一人を俺が推薦する人物にする許可を貰っている」
「しかし、師匠!!俺はまだ未熟だ、とてもそんな大役は……」
「お前は俺に勝った男だ。もうお前は立派に成長した、ここからはお前の力で進むしかない。今度の闘技祭は前回よりも厳しい戦いとなるだろう……バルトロス王国、ヨツバ王国、そして獣人国……各国の代表する猛者共が集まるだろう」
「各国の精鋭が参加する、という事か……!!」


世界各国から猛者が参加するという話にゴンゾウは身体を震わせた。恐怖、緊張、高揚感、様々な感情が入り乱れながらもゴンゾウは拳を握りしめる。

闘技祭が開催されれば間違いなく、ゴンゾウの仲間達も出場するだろう。特にレナとシズネの参加は間違いなく、今までは仲間として共に戦ってきた頼りがいのある人間達が今度は敵として戦う事にゴンゾウは不安と期待を抱く。自分があの二人に勝てるのか、あの二人を超える事が出来るのか、自分は仲間を前にして本気で戦う事が出来るのか、色々と頭の中で疑問が抱くが、昔から考える事が苦手なゴンゾウは吹っ切れた様にギガンに告げた。


「師匠……俺は戦いたい、戦って勝って、誰よりも強くなりたい」
「ふっ……その意気だ」


弟子の言葉にギガンは微笑み、ここに最強の巨人族の戦士二人が優勝を望む者達の強大な障害と化した――
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