不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,039 / 2,090
真・闘技祭 予選編

サンドワームの弱点

しおりを挟む
「ギュラァッ!!」
「危ないっ!!」
「うひゃっ!?」


ハルナを抱き上げたレナはサンドワームが吐き出した消化液を回避すると、彼女を抱き上げた状態で駆け抜け、距離を取ろうとした。しかし、巨体でありながらもサンドワームは俊敏な動作でレナの後を追いかけ、二人に向けて消化液を吐き出す。


「ギュラァアアッ……!!」
「くそ、しつこいな……どうして俺達ばっかりを狙うんだよ!!」
「ひいいっ……ミミズ怖い、怖いようっ!!」
「いや、キャラ変わり過ぎじゃない!?どんだけ怖いんだ!!」


ナオと同様でハルナはうねうねとした生き物が本当に苦手らしく、彼女は怯えた表情を浮かべてレナの首元に抱き着く。そんな彼女を連れてレナは仕方なく空中に大きく跳躍すると、ハルナを片腕で抱き上げた状態でサンドワームの顔面に掌を構える。


「これならどうだ!!火炎弾!!」
「ギュロォッ!?」


レナの掌から放たれた火炎の砲弾がサンドワームの顔面に的中し、消化液を吐き出そうと大口を開いていた事が仇となり、サンドワームのは顔面と口内に爆炎が襲い掛かった。予想外の反撃にサンドワームの巨体が傾き、地面へと倒れ込む。

サンドワームが倒れたのを確認したレナは子供の様に泣きじゃくるハルナを抱えた状態で地上へ着地すると、サンドワームの様子を伺う。並大抵の魔物ならばレナの魔法を受ければ無事では済まないが、サンドワームは顔の部分をぶるぶると震わせ、口元から大きな煙の塊を吐き出すと、何事もなかったようにレナ達を見下ろす。


「ギュロロロッ!!」
「うわ、今のでも無事か……こいつ、こんなに強かったのか」
「うええんっ、もうおうちに帰るぅっ……」
「いい加減に落ち着け!!ほら、大丈夫……大丈夫だから」


小さな子供をあやすようにレナはハルナを抱きしめて落ち着かせ、その一方でサンドワームの方は先ほどのレナの攻撃に警戒した表情を浮かべ、迂闊に近づく真似はしない。この状況をどのように打破すればいいのかとレナは悩んでいると、突如としてサンドワームの巨体が動きを停止した。


「ギュロロッ!?」
「シャドウ・バインド!!」
「えっ!?この魔法は……」


サンドワームの肉体に何処からか出現した黒色の触手が絡みつき、サンドワームの全身を拘束した。サンドワームは突如として自分の身体に巻き付いた「影」に戸惑うが、やがて路地裏から杖を構えたダインが姿を現す。


「はあはあっ……や、やった!!捕まえたぞ!!」
「お見事です、ダインさん!!」
「その声は……ダインとジャンヌか!!」
「ううっ……だ、誰?」


レナはハルナを下ろすと路地裏から現れたダインとジャンヌを見て喜びの声を上げる。ダインは影魔法でサンドワームを拘束した状態で歩いてきた事にレナは驚き、かつての彼は影魔法を発動させた状態では身体を動かす事は出来なかったはずである。

この二か月の修行でダインは以前よりも影魔法を使いこなせるようになり、今現在では動きながらでも自分の影を操作できるようになった。そして巨体のサンドワームを拘束した状態で動けないようにさせ、レナに親指を立てた。


「へへへ、どうだレナ!!今回は僕が助けたんだからな、だから一つ貸しだからな!!」
「うん、ありがとうダイン……それにしてもジャンヌも一緒だったんだ」
「ええ、戦闘の途中でダインさんと出会い、二人で闘技場を目指していたのですが……あの、そちらの方は?」
「ううっ……触手怖いよう」
「ああ、うん。どう説明すればいいかな……」


レナは自分の腰にしがみつくハルナに頭を掻き、まるで幼児退行したかのように態度が変わった彼女に困り果てる。ジャンヌとしてはレナにしがみつくハルナを見て少々思う所はあるが、今はサンドワームをどうにかするのが先決だった。


「ギュロロロロッ!!」
「うわっ!?ど、怒鳴っても怖く何かないからな!!絶対に僕は影魔法を解除しないぞ!!」
「サンドワームですか……厄介な相手ですね」
「丁度良かった、こいつの弱点を知ってる?攻撃してもゴムみたいに跳ね返されて困っていたんだ」
「サンドワームの弱点……確か、こいつは寒いのが大の苦手だったはずだ。だから水属性の魔法で身体を固まらせれば攻撃が通じるはずだけど……」
「なるほど、水属性か……よし、俺が何とかするから離れてろ」
「ほ、本当か?分かった、離れる……」


ハルナにレナは言葉を掛けると、少しは落ち着いたのかハルナはレナの元を離れ、近くの建物の陰に隠れる。そんなハルナの姿を見てジャンヌは戸惑い、一方でダインの方は影魔法を維持するのがきつくなったのか額に汗を滲ませる。


「ちょ、何とか出来るなら早くしてくれ!!そろそろ僕も限界だから……!!」
「分かってる。なら、久々に……氷装剣!!」
「氷の剣……!?」


レナは両手に意識を集中させると、氷塊の魔法で作り出した氷の剣を手にしてサンドワームへと接近する。そしてサンドワームの胴体へと向けて両手の剣を振り下ろす。




※その頃のスラミン

スラミン「ぷるぷるっ(最近、出番ないからこれで遊ぶ)」(´・ω・)ノ公開ボタン
カタナヅキ「あ、それは駄目!!返しなさいっ!!ほら、水飴を上げるから!!」( ゚Д゚)ノ水飴
しおりを挟む
感想 5,092

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。