不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭 本選編

ジャンヌVSカンエン

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『――第一回戦、第三試合を始めます!!まずは剣聖のジャンヌ選手!!』
『おおっ!!遂に剣聖の登場っすね!!』


剣聖であるジャンヌが試合場に出場すると、観客席は盛り上がる。剣士の中でも剣聖の称号を得た人間の戦う姿など滅多にみられず、しかも対戦相手の組み合わせによっては同じく剣聖の称号を持つ選手と戦う可能性も十分に有り得た。

試合場に先に登場したジャンヌは出来るならば一回戦で同じ国の代表選手が出てこない事を祈る中、自分とは反対側の城門が開かれ、通路の奥から青龍刀を構えた黒髪の女性が現れる。


『ジャンヌ選手の対戦相手は和国出身のカンエン選手です!!』
『おおっ!!カンエン選手はどんな選手なんですか?』
『事前の情報によるとヨシテル将軍の右腕と呼ばれ、その実力は和国の中でも三本指に入ると呼ばれる武人です!!これは面白い試合になりそうですね!!』
「姉者っ!!頑張れぇっ!!」


控室ではなく、特等席の方からヨクヒの声援が響き、それに対してカンエンは妹に対して困った表情を浮かべながらも軽く腕を振る。一方でジャンヌの方はカンエンが和国の代表選手であると知り、緊張の表情を浮かべた。


「初めまして、ジャンヌ殿……貴女のお噂は和国にも届いていますよ」
「こ、こちらこそ光栄です。あの美髪公と呼ばれたカンエン将軍と手合わせできる機会が訪れるなんて……」
「その呼び方は止めてください、恥ずかしいので……」


カンエンは美しい黒髪をしている事から美髪公とも呼ばれており、二人は握手を行う。どちらも性格は穏やかで雰囲気も似ている。しかし、どちらも戦うとなれば相手に容赦はせず、全力で戦う事を信条としていた。


『さあ、試合を開始しますよ!!』
『楽しみっすね、いったいどんな激戦が繰り広げられるのか……じゃあ、始めますよ!!』
『試合開始ぃっ!!』


ラビットはホネミンの言葉を合図に鐘の音を鳴り響かせると、試合場で相対していたジャンヌとカンエンはお互いに駆け出し、一気に距離を詰める。両手に旋斧を構えたジャンヌと青龍刀を握りしめたカンエンは全く同時に刃を繰り出す。

試合場に金属音が鳴り響き、カンエンが上段から繰り出した刃をジャンヌは両手の剣の刃を重ね合わせて受け止める。予想以上の重い一撃にジャンヌは膝を崩しかかるが、一方でカンエンの方も青龍刀を押し返す力に驚く。


「「回転!!」」


二人は同時に戦技を発動させ、お互いが身体を回転させながら刃を振り抜く。その結果、二人の刃は再び交じり合い、ベーゴマ同士が弾かれるように両者共に後方へと吹き飛ぶ。


「くぅっ!?」
「ふぅっ……はっ!!」


ジャンヌは得意とする「回転」の戦技が十分に加速する前に止められてしまい、しかもカンエンはジャンヌが次の戦技を発動させる前に接近すると、青龍刀を繰り出す。試合開始直後から激しく切り合う二人に観客は盛り上がる。


「ジャンヌ、やっちまえっ!!」
「いいぞ!!そのままぶっ倒せ!!」
「姉者!!そんな奴、早く倒しちまえっ!!」
「騒がしい奴がいるねえ……」
「貴女もさっきまであんな感じだったわよ」


大声でカンエンを応援するヨクヒを見てバルは両耳を塞ぐが、そんな彼女に対してマリアはダインの試合の時も今のヨクヒの様に騒いでいたバルに呆れる。一方で試合場の方では激しい攻防が繰り広げられ、幾度も金属音が鳴り響く。

接近戦を仕掛けてくるカンエンに対してジャンヌは距離を取ろうとするが、どうしても突き放す事が出来ずにいた。ジャンヌの得意とする剣技は「回転」の戦技を限界まで極め、遠心力を利用した連続攻撃が彼女の得意技だった。最高速度に加速した一撃ならばジャンヌは剣聖の中でもゴウライにも劣らぬ攻撃を繰り出せる。


「このっ!!」
「離れませんよっ、乱れ突き!!」
「くぅっ!?」


旋斧を振り抜いてジャンヌはカンエンを突き飛ばそうとするが、それを予測してカンエンは連続で突きを繰り出し、逆にジャンヌを場外へと追い詰めていく。このままでは場外に落とされて敗北すると悟ったジャンヌはどうにか打開策を考えるが、カンエンはそんな彼女に対して必殺の戦技を放つ。


「疾風突き!!」
「うあっ!?」


凄まじい速度で放たれた青龍刀の一撃によってジャンヌは左腕の旋斧が弾き飛ばされ、場外の水堀の中に落としてしまう。これでは武器を回収する事も出来ず、彼女は得意とする「回転剣技」も利用できない。両手に旋斧を装備した状態でなければ回転の戦技を発動させても上手く立ち回る事が出来ず、ジャンヌは窮地に陥る。

一方でカンエンはジャンヌの武器を弾き飛ばすと、油断せずにジャンヌに目掛けて石突(刃側とは逆側の先端)を繰り出し、彼女の腹部に叩き込む。


「はああっ!!」
「ぐはぁっ!?」
『き、決まった!!カンエン選手の一撃がジャンヌ選手に炸裂……えっ?』


しかし、石突をまともに腹部に受けたにも関わらず、ジャンヌはその場を動く事はなく、逆に攻撃をしたカンエンが戸惑う。




※既に告知されているはずですが、3月の間は私の小説の1~2巻の話は無料で読めます。この機会に話を読み直したい方がいればどうぞ読み倒してください(^ω^)
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