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真・闘技祭 本選編

因果応報

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「うおおおおっ!!」
「何だと!?」
『こ、これは!?ダイン選手の作り出した影人形が……!!』
『人形に飲み込まれた!?』


ミドルの人形にダインの作り出したシャドウマンが触れた瞬間、まるで溶けるように影人形がミドルの人形と合体すると、先ほどサスケが操っていた時の様にミドルの全身に魔力が流れ込む。影人形と一体化したミドルの人形は動き出すと、ダインの元へと駆け寄る。

ダインの目の前まで迫っていたサスケは危険を察して先にダインを仕留めようとしたが、ミドルの人形はまるで本物の人間のように駆け抜けると、拳を握りしめてサスケの顔面へ向けて叩き込む。


「喰らえっ!!」
「ぐはぁっ!?」
『決まったぁっ!!』


人形の拳を殴りつけられたサスケではあったが、実際の所は衝撃を受けても痛みはない。闇属性の魔力は人を傷つける事は出来ず、殴られたというよりは顔面を押し付けられたという感覚に近い。それでもサスケに十分な隙を作り出す事には成功し、自分の影の拘束を解放されたダインはミドルの人形を操作してサスケに猛攻を仕掛ける。


「おらおらおらぁっ!!」
「がふっ!?こ、このっ……うおっ!?」
『ダイン選手とミドル将軍の猛攻!!あ、人形でしたね……』
『でも、凄い光景です!!まるで本物のミドル大将軍が殴りつけているようで気分が晴れますね!!』


ラビットの言葉通り、ダインが操作するミドルは本物の人間のようにサスケへ向けて殴りつけ、彼を徐々に場外側へと押し込む。ダインもバル仕込みの喧嘩術でサスケの急所を攻撃した。


「喰らえっ!!必殺、金的蹴りぃっ!!」
「はぐぁっ!?」
『うわ、痛そう……』
『女の人には分からない痛みですね』


金敵を容赦なく蹴り上げられたサスケは壮絶な表情を浮かべ、生憎と闘技祭では急所への攻撃は禁止されていない。ダインは留めの一撃を繰り出すために自分の全身に影を纏うと、ミドルの人形と共に踏み出す。

ダインの影は彼の意思通りに動くため、自分に影を纏わせて無理やりに身体を動かす事も出来る。即ち、彼が知っている人物の攻撃の動作も影を使用すれば真似する事は出来た。勢いよく地面に足を踏みつけると、勢いよく地面を両足で踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、勢い良く拳を撃ち込む。


「おらぁあああっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」


レナの得意技である「弾撃」を繰り出したダインとミドルの人形が繰り出した蹴りがサスケの腹部を捉え、試合場の場外へと叩き込む。派手な水飛沫を上げながらサスケは水中へと沈み、その様子を見ていたホネミンは歓喜の声を上げる。


『おっしゃあっ!!ダイン選手の勝利です!!』
『あれ、なんかホネミン選手嬉しそうですね?』
「しゃあっ!!やればできるじゃないか!!」
「これは……予想以上ね」
「よくやったぞ!!」


観衆はダインの勝利に割れんばかりの拍手を行い、特にダインの親代わりでもあるバルは喜び、マリアも素直に賞賛した。一方で竜槍隊の騎士達もミドルの人形がサスケを殴り飛ばす光景を見て涙を流し、気分が晴れた。こうして第一回戦、第二試合はダインの勝利へと終わり、次の試合の準備が行われた――





――数分後、試合場へと繋がる通路にて水浸しになったサスケは疲れた表情で座り込み、そんな彼の前にカゲマルが訪れる。カゲマルはサスケに対して視線を向け、彼の目的を問い質す。


「貴様、何を考えている。試合場のあの態度は何だ?」
「カゲマルか……久しぶりに会ったらと思ったお説教かよ」
「話を逸らすな。何故、観衆の不満を買う行為をやった」


カゲマルは暗にミドルの人形を利用してミドルの関係者を煽った理由を問う。もしもギガンとマリアが止めなければ竜槍隊の面々が闘技祭に乱入し、大きな問題になりかねなかった。当然ではあるが騒動を作り出したサスケも彼の母国の和国の将軍であるヨシテルも無事では済まない。


「そもそもお前はどうしてミドルの人形を用意していた。答えろ、悪ふざけでは済まんぞ」
「……ちっ、うるせえな。俺が何をしようとお前には関係ないだろうが」
「貴様……」
「止めとけよ、このままやってもお前は俺に勝てないぜ?」


目的を話そうとしないサスケにカゲマルは短刀に手を伸ばすが、直後に背後から刃物を首元に付きつけられて硬直した。いつの間にかサスケの背後には下着姿のサスケが立っており、彼は目の前に存在するサスケが人形とすり替わっている事に気付く。

サスケだと思って話していた存在が人形だと知り、本物のサスケに背後を取られたカゲマルは冷や汗を流す。そんな彼に対してサスケは小言で囁いた。


「お前とは長い付き合いだ。だから教えてやるよ、俺が主人と認めた相手は……イレアビト様だ」
「何だと……!?」
「あの人のお陰で国が発展したのにそれを横取りしたあの女王は俺は気に入らねえ……あの人を守れなかったミドルの奴もな。まあ、おふざけは今回だけだ。もう、お前と会う事もないだろうよ。俺は国を抜けるぜ、じゃあな」


カゲマルの背後から気配が消え去り、咄嗟にカゲマルは振り返るがそこには誰もいなかった。いつの間にか人形も消え去っていた。
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