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真・闘技祭 本選編
紅斧
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「この感触はっ……」
「……舐めないでください、私だって……剣聖です!!」
「くぅっ!?」
ジャンヌの言葉にカンエンは嫌な予感を覚え、彼女から距離を取る。するといつの間にかジャンヌの身体に「紅色」の魔力のような物が纏わっている事に気付き、これを見たマリアは驚きの声を上げる。
(あれは……土属性の魔力!?)
レナが剣鬼の能力を発動した時と同様、現在のジャンヌも全身に土属性の魔力を宿す。土属性の魔力の本質は「重力」であり、その力を利用して彼女はカンエンの繰り出した蹴りを耐えた。仮に生身の状態で受けていればジャンヌも危うかったが、彼女の纏った魔力は外部へと重力を放つ事で敵からの攻撃を防ぐ事も出来た。
実際の所はジャンヌの魔鎧術は不完全のため、レナのように上手く重力を操作して身体を加速させるなどの芸当は出来ない。しかし、それでも彼女なりに修行を行った結果、ジャンヌはレナの「重力剣」のように武器に土属性の魔力を纏う事に成功する。彼女は魔鎧術を極める事は出来なかったが、自分なりの「魔刀術」を完成させる。
「紅斧!!」
『こ、これは……ジャンヌ選手、残された武器に魔力を集中させているようです!!』
『す、凄い格好いいっす!!』
右手で握りしめた旋斧に土属性の魔力を集中させると、ジャンヌはカンエンと正面から向き合う。一方でカンエンはジャンヌの雰囲気に押され、後退る。その姿を見た途端、ジャンヌは無意識に駆け出して旋斧を振り抜く。
「兜割りっ!!」
「くっ!?」
ジャンヌは本来は両手で握り絞めた状態で上段から振り下す戦技を片腕のみで発動させ、カンエンは咄嗟に右に跳躍して回避する。結果から言えばカンエンの判断は間違っておらず、ジャンヌの振り下した旋斧は試合場を構成する頑丈な石畳を叩き割る。
あまりの破壊力にカンエンは驚き、恐らくはレナの剛剣でもこれほどの威力は引き出せない。ジャンヌは全ての魔力を旋斧に集中させる事で破壊力に特化した一撃を繰り出し、彼女は回転剣技無しでも素早い攻撃を繰り出す。
「はあああっ!!」
「くぅっ……うあっ!?」
「姉者!?」
『形成逆転です!!ジャンヌ選手の猛攻にカンエン選手は押されています!!』
『これは勝負ありですかね!?』
紅斧に対してカンエンは青龍刀を放つが、斧に纏う魔力に触れた途端に弾かれてしまう。生半可な攻撃では旋斧の魔力が生み出す重力には通じず、相応の威力がある攻撃でなければ弾かれてしまう。一方でジャンヌは旋斧を振りかざし、戦技を繰り出す。
「旋風!!」
「受け流……あがぁっ!?」
ジャンヌの攻撃を受け流そうとしたカンエンだったが、戦技を使用してもジャンヌの重い一撃は完全には防ぐことが出来ず、彼女は吹き飛ぶ。その光景を見て観衆の誰もがジャンヌの勝利かと思ったが、吹き飛ばされながらもカンエンは青龍刀を翻し、どうにか石畳に突き刺して場外への落下を防ぐ。
「ま、まだまだっ……!!」
「はあっ……はっ……や、やりますね」
『おっ!?ジャンヌ選手、顔色が悪くなっています!!これはいったい……』
『恐らくは魔力を急速に失った事で疲労が蓄積されています。当然といえば当然の話ですね、魔術師でもない人間が扱う技じゃないんですよ』
『えっ……そ、そうなんですか?』
実況のラビットはジャンヌの異変に気付いて疑問を口にすると、魔鎧術の理屈を知っているホネミンはジャンヌが危険な状態である事を見抜く。
――通常、魔鎧術や魔刀術の類は本来は森人族や人魚族、あるいは魔術師の職業に恵まれた人間が本来扱う技術だった。全ての種族の中でも魔法の才に優れた森人族、もしくは生まれながらに魔術師として才覚がある人間ならば扱う事に問題はない。だが、ジャンヌのような生粋の剣士が魔鎧術や魔刀術を扱うのは無理がある。
魔鎧術を習得する際に一番苦労していたのはジャンヌであり、シズネの場合は人魚族の血筋である事、普段から魔剣を使いこなしているからこそ彼女は比較的に早く習得したが、ジャンヌの場合は相当な鍛錬を積んだが結局は完全には魔鎧術を覚える事は出来なかった。
剣士であるジャンヌは他の者と比べても魔力という点に関しては少なく、そのために彼女が魔鎧術や魔刀術を発動できる時間は限られている。しかし、彼女は勝利を手にするために諦めるつもりはなく、無理を承知で彼女はカンエンに立ち向かう。
(諦めない……私だって、剣聖なんです!!)
ジャンヌは自分が他の剣聖よりも劣っている事は薄々勘付いてはいた。他の剣聖と比べたら年齢が若いという理由もあるが、それでも自分と年齢に大差がないシズネやレナとは大きな差を感じていた。だからこそ魔刀術を扱えるようになった時、彼女はこの力を使いこなせるようになれば二人に追いつけるのではないかと考えた。
魔刀術が自分の肉体に大きな負担を与えている事は理解していた。それでも彼女は実戦で使用したのは負けないためであり、どんな手を使ってでも彼女は勝利を掴みたかった。
「……舐めないでください、私だって……剣聖です!!」
「くぅっ!?」
ジャンヌの言葉にカンエンは嫌な予感を覚え、彼女から距離を取る。するといつの間にかジャンヌの身体に「紅色」の魔力のような物が纏わっている事に気付き、これを見たマリアは驚きの声を上げる。
(あれは……土属性の魔力!?)
レナが剣鬼の能力を発動した時と同様、現在のジャンヌも全身に土属性の魔力を宿す。土属性の魔力の本質は「重力」であり、その力を利用して彼女はカンエンの繰り出した蹴りを耐えた。仮に生身の状態で受けていればジャンヌも危うかったが、彼女の纏った魔力は外部へと重力を放つ事で敵からの攻撃を防ぐ事も出来た。
実際の所はジャンヌの魔鎧術は不完全のため、レナのように上手く重力を操作して身体を加速させるなどの芸当は出来ない。しかし、それでも彼女なりに修行を行った結果、ジャンヌはレナの「重力剣」のように武器に土属性の魔力を纏う事に成功する。彼女は魔鎧術を極める事は出来なかったが、自分なりの「魔刀術」を完成させる。
「紅斧!!」
『こ、これは……ジャンヌ選手、残された武器に魔力を集中させているようです!!』
『す、凄い格好いいっす!!』
右手で握りしめた旋斧に土属性の魔力を集中させると、ジャンヌはカンエンと正面から向き合う。一方でカンエンはジャンヌの雰囲気に押され、後退る。その姿を見た途端、ジャンヌは無意識に駆け出して旋斧を振り抜く。
「兜割りっ!!」
「くっ!?」
ジャンヌは本来は両手で握り絞めた状態で上段から振り下す戦技を片腕のみで発動させ、カンエンは咄嗟に右に跳躍して回避する。結果から言えばカンエンの判断は間違っておらず、ジャンヌの振り下した旋斧は試合場を構成する頑丈な石畳を叩き割る。
あまりの破壊力にカンエンは驚き、恐らくはレナの剛剣でもこれほどの威力は引き出せない。ジャンヌは全ての魔力を旋斧に集中させる事で破壊力に特化した一撃を繰り出し、彼女は回転剣技無しでも素早い攻撃を繰り出す。
「はあああっ!!」
「くぅっ……うあっ!?」
「姉者!?」
『形成逆転です!!ジャンヌ選手の猛攻にカンエン選手は押されています!!』
『これは勝負ありですかね!?』
紅斧に対してカンエンは青龍刀を放つが、斧に纏う魔力に触れた途端に弾かれてしまう。生半可な攻撃では旋斧の魔力が生み出す重力には通じず、相応の威力がある攻撃でなければ弾かれてしまう。一方でジャンヌは旋斧を振りかざし、戦技を繰り出す。
「旋風!!」
「受け流……あがぁっ!?」
ジャンヌの攻撃を受け流そうとしたカンエンだったが、戦技を使用してもジャンヌの重い一撃は完全には防ぐことが出来ず、彼女は吹き飛ぶ。その光景を見て観衆の誰もがジャンヌの勝利かと思ったが、吹き飛ばされながらもカンエンは青龍刀を翻し、どうにか石畳に突き刺して場外への落下を防ぐ。
「ま、まだまだっ……!!」
「はあっ……はっ……や、やりますね」
『おっ!?ジャンヌ選手、顔色が悪くなっています!!これはいったい……』
『恐らくは魔力を急速に失った事で疲労が蓄積されています。当然といえば当然の話ですね、魔術師でもない人間が扱う技じゃないんですよ』
『えっ……そ、そうなんですか?』
実況のラビットはジャンヌの異変に気付いて疑問を口にすると、魔鎧術の理屈を知っているホネミンはジャンヌが危険な状態である事を見抜く。
――通常、魔鎧術や魔刀術の類は本来は森人族や人魚族、あるいは魔術師の職業に恵まれた人間が本来扱う技術だった。全ての種族の中でも魔法の才に優れた森人族、もしくは生まれながらに魔術師として才覚がある人間ならば扱う事に問題はない。だが、ジャンヌのような生粋の剣士が魔鎧術や魔刀術を扱うのは無理がある。
魔鎧術を習得する際に一番苦労していたのはジャンヌであり、シズネの場合は人魚族の血筋である事、普段から魔剣を使いこなしているからこそ彼女は比較的に早く習得したが、ジャンヌの場合は相当な鍛錬を積んだが結局は完全には魔鎧術を覚える事は出来なかった。
剣士であるジャンヌは他の者と比べても魔力という点に関しては少なく、そのために彼女が魔鎧術や魔刀術を発動できる時間は限られている。しかし、彼女は勝利を手にするために諦めるつもりはなく、無理を承知で彼女はカンエンに立ち向かう。
(諦めない……私だって、剣聖なんです!!)
ジャンヌは自分が他の剣聖よりも劣っている事は薄々勘付いてはいた。他の剣聖と比べたら年齢が若いという理由もあるが、それでも自分と年齢に大差がないシズネやレナとは大きな差を感じていた。だからこそ魔刀術を扱えるようになった時、彼女はこの力を使いこなせるようになれば二人に追いつけるのではないかと考えた。
魔刀術が自分の肉体に大きな負担を与えている事は理解していた。それでも彼女は実戦で使用したのは負けないためであり、どんな手を使ってでも彼女は勝利を掴みたかった。
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