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真・闘技祭 本選編
手を組みましょう
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「――ダイン、だったわね。あんたに話があるわ、ちょっと来なさい」
「えっ?ぼ、僕?な、何だよ……こんな時に」
黄の組の試合が終了し、これまでの試合で激しく欠損した試合場の修復が行われている間、控室で待機していたダインはシェルに呼び出された。ダインはシェルとは殆ど接点はなく、急に呼び出されて警戒しながらも通路の外へ抜け出す。
通路の外へ移動したシェルは他の者に気付かれないように注意すると、改めてダインと向き合う。自分を経過しているダインに対して彼女は単刀直入に自分の提案を告げた。
「あんた、私と組まない?」
「……え?」
「試合で見たわよ、あんたの影魔法……中々便利じゃない、あれなら役立ちそうだわ」
「ど、どういう意味だよ?」
シェルはダインに対して微笑むと、その表情を見てダインはどういう意味なのかと戸惑い、そんな彼に対してシェルは次の試合の対戦相手である「ゴウライ」の事を話す。
「あんただって分かってるんでしょう?次の試合で誰が勝ち残る可能性が高いのか……最強の剣士を相手にあんたはどう戦うつもりよ?」
「そ、それは……」
「無策で勝てる相手じゃない、かといって小細工を弄した所で通用する相手でもない、だったら他の人間と協力して共に倒す。それ以外に方法はないでしょう?」
「け、けど……選手同士が協力するなんていいのか?」
「選手同士が協力したら駄目なんて規則はないでしょう?」
シェルの言葉にダインは言われてみれば確かに規則の中には共闘などが禁じられていない事を思い出す。しかし、いきなり共闘を申し付けられても試合までの時間はそれほど残っておらず、連携して戦うとしてもダインはシェルの事をよく知らない。
「ど、どうやって倒すんだよ?相手はあのゴウライだぞ?そもそも僕達でどうにか出来る相手なのか?」
「どうにか出来るわ。要は倒せなくてもあいつを場外に落とせばいいだけの話でしょう?あいつを場外に落とせば私は役目を十分に果たしたわ。何だったらあんたに勝ちを譲ってもいいわ」
「えっ!?本当に!?」
ナオの命令によってシェルはこの闘技祭でバルトロス王国側の選手として好成績を残せば問題はなく、本選まで勝ち残り、更には最終日にまで残った。そしてゴウライという脅威をシェルが排除すれば彼女は役目を十分に果たし、決勝に無理して出場する理由はない。
決勝まで勝ち残れば優勝の目があり、もしも優勝すれば莫大な賞金と知名度を上げる事が出来る。だからこそシェルも出来る事ならば自分が勝ち残りたいという思いもあり、表向きはダインに勝ちを譲るといいながらも裏ではゴウライを倒した後は自分が勝ち残る算段だった。
(悪く思わないでね、坊や……こっちも色々と事情があるのよ)
表面上は友好的に接しながらもシェルとしても優勝の好機を逃すつもりはなく、次の試合に勝利するにはどうしてもダインの力が必要だった。上手く彼にゴウライを抑えて貰えば後は自分の魔銃でゴウライを吹き飛ばし、場外負けに追い込む事は難しくはない。そのためにはシェルはどうしてもダインの力が必要だった。
「……ぼ、僕はどうすればいい?」
「そうね、細かい作戦の打ち合わせは必要ないわ。試合の時はお互いに相手を攻撃しない、あんたはゴウライだけに気を配り、もう一人の選手は私が仕留める。それだけで十分よ」
「何か簡単に言ってるけど、それかなり難しいんじゃないのか?だいたい、もう一人の選手も結構強いんだろう?」
「大丈夫よ、とにかくあんたは私がもう一人の方を倒すまではゴウライを抑えておきなさい。頼んだわよ、相棒」
「ううっ……緊張で胃がもたれそうだ」
「……面白そうな話をしてますね」
「「っ!?」」
二人は突如として聞こえてきた声に驚き、周囲を見渡す。しかし、どういう事か人の姿は見えず、何処から聞こえたのか分からなかった。ダインとシェルは慌てて杖と魔銃を構えた時、ここで二人の間の空間に歪みのような物が発生し、やがて歪みは人の形へと変化すると次の試合の対戦相手であるイリアが姿を現す。
「なっ!?」
「ええっ!?今、何処から現れたんだ!?」
「う~ん、この世界の方に迷彩機能の説明は難しそうですね」
突如として出現したイリアに対してシェルは魔銃の銃口を構えるが、ダインの方はイリアの声を聞いて何処かで覚えがある事に気付き、すぐに彼は思い出したように大声を上げる。その声は間違いなく、巨塔の大迷宮の最上層に存在する研究施設にて遭遇したアンドロイドの声で間違いなかった。
「……ん!?その声、何処かで……あっ!?もしかしてお前!?」
「何よ、知り合いなの?」
「お久しぶりですね、ダインさん。最近は全然来てくれないから寂しかったですよ。ちなみにこの身体は人形です、以前にレナさんとシズネさんのデータが手に入りましたからね。御二人のデータを参考に作り出した新しい肉体です」
巨塔の大迷宮の管理者にしてレナ達とも接点があるアンドロイドの「リーリス」はダインに笑みを浮かべると、シェルは戸惑いながら二人に視線を向けた。
「えっ?ぼ、僕?な、何だよ……こんな時に」
黄の組の試合が終了し、これまでの試合で激しく欠損した試合場の修復が行われている間、控室で待機していたダインはシェルに呼び出された。ダインはシェルとは殆ど接点はなく、急に呼び出されて警戒しながらも通路の外へ抜け出す。
通路の外へ移動したシェルは他の者に気付かれないように注意すると、改めてダインと向き合う。自分を経過しているダインに対して彼女は単刀直入に自分の提案を告げた。
「あんた、私と組まない?」
「……え?」
「試合で見たわよ、あんたの影魔法……中々便利じゃない、あれなら役立ちそうだわ」
「ど、どういう意味だよ?」
シェルはダインに対して微笑むと、その表情を見てダインはどういう意味なのかと戸惑い、そんな彼に対してシェルは次の試合の対戦相手である「ゴウライ」の事を話す。
「あんただって分かってるんでしょう?次の試合で誰が勝ち残る可能性が高いのか……最強の剣士を相手にあんたはどう戦うつもりよ?」
「そ、それは……」
「無策で勝てる相手じゃない、かといって小細工を弄した所で通用する相手でもない、だったら他の人間と協力して共に倒す。それ以外に方法はないでしょう?」
「け、けど……選手同士が協力するなんていいのか?」
「選手同士が協力したら駄目なんて規則はないでしょう?」
シェルの言葉にダインは言われてみれば確かに規則の中には共闘などが禁じられていない事を思い出す。しかし、いきなり共闘を申し付けられても試合までの時間はそれほど残っておらず、連携して戦うとしてもダインはシェルの事をよく知らない。
「ど、どうやって倒すんだよ?相手はあのゴウライだぞ?そもそも僕達でどうにか出来る相手なのか?」
「どうにか出来るわ。要は倒せなくてもあいつを場外に落とせばいいだけの話でしょう?あいつを場外に落とせば私は役目を十分に果たしたわ。何だったらあんたに勝ちを譲ってもいいわ」
「えっ!?本当に!?」
ナオの命令によってシェルはこの闘技祭でバルトロス王国側の選手として好成績を残せば問題はなく、本選まで勝ち残り、更には最終日にまで残った。そしてゴウライという脅威をシェルが排除すれば彼女は役目を十分に果たし、決勝に無理して出場する理由はない。
決勝まで勝ち残れば優勝の目があり、もしも優勝すれば莫大な賞金と知名度を上げる事が出来る。だからこそシェルも出来る事ならば自分が勝ち残りたいという思いもあり、表向きはダインに勝ちを譲るといいながらも裏ではゴウライを倒した後は自分が勝ち残る算段だった。
(悪く思わないでね、坊や……こっちも色々と事情があるのよ)
表面上は友好的に接しながらもシェルとしても優勝の好機を逃すつもりはなく、次の試合に勝利するにはどうしてもダインの力が必要だった。上手く彼にゴウライを抑えて貰えば後は自分の魔銃でゴウライを吹き飛ばし、場外負けに追い込む事は難しくはない。そのためにはシェルはどうしてもダインの力が必要だった。
「……ぼ、僕はどうすればいい?」
「そうね、細かい作戦の打ち合わせは必要ないわ。試合の時はお互いに相手を攻撃しない、あんたはゴウライだけに気を配り、もう一人の選手は私が仕留める。それだけで十分よ」
「何か簡単に言ってるけど、それかなり難しいんじゃないのか?だいたい、もう一人の選手も結構強いんだろう?」
「大丈夫よ、とにかくあんたは私がもう一人の方を倒すまではゴウライを抑えておきなさい。頼んだわよ、相棒」
「ううっ……緊張で胃がもたれそうだ」
「……面白そうな話をしてますね」
「「っ!?」」
二人は突如として聞こえてきた声に驚き、周囲を見渡す。しかし、どういう事か人の姿は見えず、何処から聞こえたのか分からなかった。ダインとシェルは慌てて杖と魔銃を構えた時、ここで二人の間の空間に歪みのような物が発生し、やがて歪みは人の形へと変化すると次の試合の対戦相手であるイリアが姿を現す。
「なっ!?」
「ええっ!?今、何処から現れたんだ!?」
「う~ん、この世界の方に迷彩機能の説明は難しそうですね」
突如として出現したイリアに対してシェルは魔銃の銃口を構えるが、ダインの方はイリアの声を聞いて何処かで覚えがある事に気付き、すぐに彼は思い出したように大声を上げる。その声は間違いなく、巨塔の大迷宮の最上層に存在する研究施設にて遭遇したアンドロイドの声で間違いなかった。
「……ん!?その声、何処かで……あっ!?もしかしてお前!?」
「何よ、知り合いなの?」
「お久しぶりですね、ダインさん。最近は全然来てくれないから寂しかったですよ。ちなみにこの身体は人形です、以前にレナさんとシズネさんのデータが手に入りましたからね。御二人のデータを参考に作り出した新しい肉体です」
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