不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

ここが囚人の宿舎……!?

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「しっかり僕に付いてきてくださいね、宿舎といっても自由に歩き回れるわけじゃありません。他の囚人の縄張りでも間違っては言ったら命を落としますよ」
「縄張り!?」
「この宿舎には大勢の囚人が暮らしています、その中には看守でも手が付けられないような大悪党もいますからね。そういう輩は他の囚人を配下にして誰にも出入りできないように占拠してるんですよ」
「ま、マジかよ……僕、もう家に帰りたい」
「何を言ってるんですか、囚人である限りはここが僕達の家なんですよ」


ミイネの言葉を聞いてダインはうんざりとした表情を浮かべるが、彼女の言う通りにもうダインは完全に囚人扱いされており、このままではバルトロス王国へは戻れない。まずはこの監獄都市から脱出しなければならず、そのためには服従の腕輪を解除する方法と同時に都市を調べる事にした。


(とりあえずはしばらくの間はこのチビのいう事を聞くふりして、情報を集めるしかないか……)


支配の指輪を装着するミイネの傍から離れればダインは腕輪が締め付けられるため、逃げる事は出来ない。彼女の傍で行動しながら情報収集を行うしかなく、ダインは歩きながらも色々と尋ねる。


「な、なあ……ミイネとか言ってたよな?」
「言っておきますけど、僕は主人ですよ?敬語を使えとは言いませんけど、呼び捨てはどうかと思いますよ」
「ギギッ(そうだそうだ)」
「うっ……み、ミイネさん?」
「まあ、いいでしょう。それで僕に聞きたいことがあるんですか?」
「くっ……」


自分よりも恐らくは3、4歳は年下の相手に敬語を使う事にダインはちょっと悔しく思うが、今は彼女から情報を得る事が重要のため、機嫌を損ねないように出来る限り慎重に話を聞く。


「さっき、僕の事を兵士から買ったと言ってたよな?でも、ミイネさんは囚人じゃないのか?」
「この都市では金さえあれば囚人でも兵士と取引すれば他の囚人を奴隷として従えさせる事が出来るんですよ。つまり、貴方は名目上は僕の奴隷というわけです」
「奴隷……くそっ、やっぱりこの腕輪はそういう事か」
「そう不貞腐れないでくださいよ。ちゃんと僕のために働いてくれたらいい生活を送らせてあげますよ?」


自分に取り付けられた服従の腕輪を確認したダインは薄々と気づいてはいたが、やはり現在の自分は「奴隷」に等しい立場だと知る。最初にダインはミイネから買われたという話を聞いた時から勘付いてはいたが、はっきりと断言されると落胆は大きい。

囚人に間違われたどころか自分が奴隷となってしまった事にダインは大きなため息を吐き出すが、思っていたよりも動揺はない。服従の腕輪を装着された時点で自分の立場がどのような物なのかは内心では理解しており、それでも現在の立場に完全に納得したわけではない。


(奴隷だろうが何だろうが絶対にこんな場所、抜け出してやる……!!)


ダインは監獄都市から逃れる事は諦めず、まずは自分の主人であるミイネから話を色々と聞き出す。彼女が自分を奴隷にした事も気にかかり、話を尋ねる事にした。


「どうして僕を買ったんだよ、いくら囚人といっても奴隷にするなら結構金を取られたりするんじゃないのか?」
「そうでもないですよ?新人の奴隷は割と値段が安めで買い取りやすいですからね。ちなみに貴方の値段は三角銀貨が30枚ぐらいでしたよ」
「30枚?それって、どれくらいの値段なわけ?」
「1枚の銀貨で1日に必要な最低限の食事が手に入ります。つまり、この都市で暮らす人間の一か月分の飯代ぐらいですね」
「僕の価値、たったの一か月分!?」
「ギギッ……」


ミイネの言葉に衝撃を受け、まさか自分がそれほど安く買いたたかれた事にちょっとショックを受けるが、更にダインはミイネから回復薬を買い取る際に手持ちの20枚の三角銀貨を失った事を思い出す。


(待てよ……という事は仮に奴隷から解放されても僕は無一文じゃん!?それだとどうやって生きていけばいいんだ!?)


本来ならば試験に生き残った囚人は看守の兵士から三角銀貨を支給されるが、ダインの場合は回復薬をミイネから購入した際に受け取った三角銀貨を全て支払ってしまった。つまり、ミイネが気まぐれでダインを奴隷から解放しても彼は無一文なので食事すらも出来ない。

自分の立場が予想以上に最悪な状況だと理解したダインは頭を抱え、こんな状況からどうやって監獄都市から抜け出せばいいのか分からなかった。だが、そんな彼に対してゴブが肩を叩く。


「ギギギッ……」
「な、何だよ……僕を慰めているのか?」
「ギィッ!!」
「ゴブさんも貴方の事を気に入ったようですね」


ゴブと呼ばれるゴブリンはダインの背中をバシバシと叩き、彼なりに慰めている様子だった。人間どころか魔物からも同情されている事にダインはますます惨めに思うが、それでも落ち込んでばかりではいられなかった。
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