不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

閑話 《三巨頭の会合》

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――闘技者の試験にダインが合格を果たしたころ、懲罰房に送り込まれたガルルは一人で黙々と鍛錬を行っていた。片腕のみでガルルは腕立て伏せを行い、どれほどの時間行っていたのか部屋中が彼の身体から発する熱気に包まれていた。


「ふっ……ふっ……」


暇さえあればガルルは鍛錬を欠かさず行い、肉体を鍛え続ける。鍛錬に集中している間は雑念を忘れる事が出来るため、何時間も鍛錬に励む。だが、そんな彼の元に思いもよらぬ人物が訪れた。


「ガルル!!お前に面会だ……外へ出ろ!!」
「……何だと?」


扉越しに兵士に声を掛けられたガルルは起き上がり、不審な表情を浮かべた。懲罰房に送り込まれた自分にわざわざ面会を申し込む人間など心当たりがなく、自分の配下達にはここへ来ないように事前に厳命している。

誰が会いに来たのかと疑問を抱きながらもギガンは兵士のいう事に従い、上半身を脱いだ状態で外へと出た。彼は複数の兵士に囲まれた状態で廊下を歩いていると、思いもよらぬ人物が姿を現す。


「あらあら、ガルルちゃん。久しぶりね」
『最近は大人しくしていると思っていたんだがな……』
「……これはこれは、まさか囚人区と作業区の看守長がお揃いとはな」


ガルルの前に現れたのは囚人区の管理を任されている看守長の「パール」と、作業区を担当する「サイク」という名前の看守長が現れた。パールは外見は人間のように見えるが、彼女は「サキュバス」であり、人間ではない。そしてサイクの方は名前で察する通りに「サイクロプス」である。

二人の看守長が揃う事など滅多になく、普段は看守長は自分の担当の区域外には滅多に姿を現さない。そのため、彼等が揃っている姿を見る事自体が珍しく、自分を呼び出したのは二人なのかとガルルは疑問を抱く。


「まさか、俺を呼び出したのはあんたらか?」
『口の利き方に気を付けろ……お前を呼んだのは別の人間だ』
「ええ、どうしても貴方に会いたいというから、私がサイクちゃんを呼び出したの。もしも喧嘩になったら困るから……」
「喧嘩?という事は……まさか、俺を呼び出したのは奴等か!?」


パールとサイクの言葉を聞いたガルルは動揺を露にし、この二人がわざわざ出向いてくる程の存在が自分と会う事を希望している事を知り、彼は表情を険しくさせた。心当たりがあるとすれば二人だが、いったいどちらが自分に会いたいのかを問う。


「誰だ!?俺を呼び出したのはどいつだ!?」
『……行けば分かる』
「喧嘩したら駄目よ~?」


ガルルの質問に二人は答える事はなく、そのままガルルは大勢の兵士と看守長に連れられるままに移動した。わざわざ二人の看守長が出向く辺り、ガルルがどれほどの危険人物なのかがよく伺える。

移動の際中にガルルは兵士に取り囲まれ、二人の看守長は前後を塞ぐように歩く。この状況下では流石のガルルも抵抗は出来ず、彼は渋々と従う。だが、階段の前に差し掛かった所で足を止めた。


「待て、何処まで行くつもりだ?」
「いいからさっさと来い!!」
「……ちっ」


サイクの言葉を聞いてガルルは渋々と階段を上がり、その様子を見ていたパールはガルルに対して微笑ましい表情を何故か浮かべた――





――囚人区の宿舎の屋上では大勢の囚人が既に待機しており、彼等の他にも囚人区に配置されている兵士達も集まっていた。人数に関しては圧倒的に囚人の方が多く、彼等を見張る兵士達の方が緊張していた。そんな状況下で遂に二人の看守長とガルルが姿を現すと、囚人達の中から二人の人物が前に出てくる。


「よう、ガルル……お前さん、新入りに嵌められたそうだな」
「ギル……それにグシャス!!貴様等が俺を呼んだのか!?」
「まあ、そう焦るな……どうやら机と椅子は用意してくれたらしい。まずは座って話し合おうではないか」


ガルルの前に現れたのは小髭族の男性と、杖を手にした老人であった。老人の方はどうやら人間らしく、ダイン以外にも人間の囚人は彼だけである。屋上には囚人達が運び出した机と椅子が用意され、それを見たサイクは眉をしかめた。


『勝手にこんな物を運び出したのか……パール、こいつらにどんな教育をしている?』
「あら~困った子達ね。あんまり悪さしたら駄目よ?」
「まあまあ、そう怒らずに……話が終わったらすぐに片づけますから許してくださいよ」


ギルと呼ばれた小髭族は仮にも看守長であるサイクとパールに対して物怖じせずに愛想笑いを浮かべ、先に椅子に座り込む。その姿を見てグシャスと呼ばれた老人も座ると、最後に空いた椅子にガルルを座るように二人は視線で促す。

この二人こそがガルルと同様に監獄都市内では「三巨頭」と恐れられる囚人達であり、普段は対立関係にある存在だった。そんな二人が自分を懲罰房から呼び出した事にガルルは警戒心を抱き、一応は椅子に座る。ご丁寧に巨人族用に設計された椅子であり、座り心地は悪くなかった。だが、この状況下ではガルルは落ち着けるはずがない。


「どうだ?その椅子は俺がわざわざ一から作ってやったんだぞ。お前さんの体型に合わせているから座り心地は最高だろ?」
「……黙れ、さっさと用件を伝えろ」
「おいおい、人が折角作ってやったというのによ。あんまり舐めた事を言っているともうお前さんの所にいる奴等に仕事を回さないぞ」
「ちっ……!!」
「止めよ、ギル……今日は喧嘩をしにきたわけではないのだぞ」


自分が座り心地が良いと思った椅子を作り上げたというギルの言葉にガルルは眉をしかめ、その様子を見ていた老人が仲裁する。ギルは作業区で働いている囚人の中でも一番の影響力を誇り、実際に彼に所属する派閥の囚人が作業区の仕事の大半を独占していると言っても過言ではない。本人も腕の良い「鍛冶師」でもあり、ここへ送り込まれる前は獣人国の中でも名工として有名な存在だった。
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