不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

閑話 《ガルルの決意》

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「貴様等……!!」
「おっと、ここで手を出すのは止めておけ。これだけの人数をお前さん一人で相手に出来るのか?」
「看守長を前にして暴れるのならば止めはせんがな」


ガルルは今にもギルとグシャスに襲い掛かろうとしかねない気迫を放つが、状況が悪すぎた。周囲には二人の配下の囚人だけではなく、兵士や看守長が二人もいた。この状況下でガルルが暴れれば今度は懲罰房送りでは済まない。

逆に言えばこれだけの用意をしなければガルルは従えさせられる事が出来ない事を意味しており、ギルとグシャスも一件は余裕の態度を保ってはいるが、内心ではガルルが大人しく従う事を願う。この男は怒らせたら手が付けられず、敵に回せば厄介な相手であった。


(さあ、どうするガルル……お前さんには選択肢はないだろう?俺か爺さんか……どっちを選ぶんだ?)


ギルはガルルに視線を向けながらどちらに従うつもりなのかと内心では焦りを抱く。このガルルの判断によっては三巨頭の関係性が大きく変化し、実質的にガルルを従えた派閥がこの監獄都市を掌握すると言っても過言ではない。


(ガルル、お前は狂暴ではあるが頭は悪くはない……誰に従うのがいいのか一番に理解しているはず)


グシャスの方もギルと同様に彼がどちらに従うのかと内心では緊張していた。対立していた3つの派閥の内、その1つが片方に加われば片方は大きく優位に立てる。つまり、ガルルの判断で残された二つの派閥の命運が決まる。


「ガルル、お前さんとは色々とあったが俺の所に来れば相応の立場を用意してやるぜ?」
「仮にも三巨頭に数えられた男……儂の元へ来れば右腕として扱ってやろう。さあ、どうする?」
「…………」


ギルとグシャスの言葉にガルルは黙り込み、やがて天を仰ぐ。ガルルは自分を嵌めた二人に対して怒りを抱くが、もうこの状況下では打つ手はない。彼がどんなに足掻こうとここからガルルの勢力が逆転する手はない。

新入りの囚人によって懲罰房に送り込まれた時点でガルルの運命は決まっており、もう彼は「三巨頭」の地位ですらない。だが、ガルルにとっては地位や立場などどうでもよかった。彼の目的は自分をここまで追い込んだ存在への復習であった。


「嘆願書を取り下げろ……そうすれば俺は二日後に出られるはずだったな?」
「ほう、覚悟が出来たか?」
「なら、俺達のどっちに従うのか決まったのか?」


ガルルの言葉にギルとグシャスは遂に彼が観念したのかと思ったが、二人に対してガルルは黙って立ち上がると淡々と告げた。


「俺の力が欲しければそれに見合う対価を用意しろ」
「何だと、どういう意味だ?」
「お主、自分の立場を理解しておるのか?」
「理解しているとも、貴様等は勘違いしている事もな」
「勘違い?何を勘違いしているんだ?」


妙に余裕のあるガルルの態度にギルとグシャスだけではなく、話を聞いてたサイクの方も気になったのか尋ねてみると、ガルルは周囲の囚人達を見返しながら告げる。


「お前達の目的は分かっている、俺の力を利用して自分達の派閥の勢力を強めるつもりだな?三巨頭の内の二人を敵に回せば残った一人が勝てる道理はない……だが、俺がお前達に従わなければその構図は成り立たない」
「何を言ってやがる、まさかお前さん……俺達に従わずに懲罰房で過ごすつもりか!?」
「俺はそれでも構わん。貴様等に従うぐらいならば大人しく引きこもるのも手だ」
「愚かな……」


ギルとグシャスはガルルの発言を聞いて驚愕し、同時に動揺を隠せなかった。ガルルがどちらかの勢力に加入すれば三巨頭は崩壊し、同時に囚人同士の派閥の対立は終わりを迎えるはずだった。だが、肝心のガルルがどちらも従わない場合、結局は派閥争いは終わらない。

ガルルの勢力はギルとグシャスに吸収されたが、戦力的にはこの二つの派閥は拮抗していた。だからこそガルルという囚人の中でも最強の腕力を誇る存在を味方に付けた勢力が優勢に立つのだが、その肝心のガルルが話に乗らなければ二つの勢力は打つ手がないまま対立関係を続ける事になる。


「大方、俺を引き入れた派閥が今後は取り仕切る予定だったんだろう。だが、俺がその話に乗らなければ貴様等の争いは終わらない」
「お前さん、自分が何を言っているのか分かってるのか?薄暗い独房の中でこれからずっと過ごす事になるんだぞ?」
「考え直せ、ガルルよ。つまらない意地を張ってこれから先も独房で過ごすつもりか?」
「俺は冷静だ。さっきも言っただろう、俺の力を利用したいのであれば相応の対価を支払えとな」
「対価……だと?」


最初はガルルを脅して味方に引き入れるつもりだったギルとグシャスだったが、実際の所はガルルが解放されなければ困るのは彼等も一緒だった。ガルルを味方に引き込んだ勢力がこの監獄都市を掌握できる、それが事実である以上は何としてもガルルを説得しなければならない。そんな二人の考えを読み取ったガルルは敢えて自分の立場を利用し、要求を行う。


「俺の目的はただ一つ……この俺を嵌めたあのガキを連れ出してこい、そうすればいくらでも従ってやる」


――ガルルの目的はただ一つ、自分を嵌めたダインを自分の手で始末する事だった。




※その頃のダイン

ダイン「監獄都市にもラーメンあるんだな」( ´ω`)ズルルル
ミイネ「中々イケるでしょう?監獄都市の名物ですよ。なんでも他国の王妃がお気に入りのラーメンを参考にして作り上げられているとか……」(´ω`)
ゴブ「ギギィッ(おかわり!!)」(・ω・)ノ

呑気に闘技者試験で儲けたお金で食事中
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