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ダイン 監獄都市編
脱出!!
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「うおりゃああっ!!」
「ちょっ!?馬鹿、それはパールさんの……」
肖像画を手にしたダインはヤンへ向けて走り出し、その彼の行動にヤンは慌てて止めようとした。だが、ここで両手の鉤爪に気付き、もしも鉤爪で肖像画を傷つければ無事では済まない。
咄嗟にヤンは鉤爪を外して地面に放り込むと、肖像画を掲げたダインを受け止めようとした。結果から言えばヤンはダインが抱えていた肖像画の額縁の部分を掴み取り、止める事に成功する。
「この馬鹿っ!!」
「うわっ!?」
額縁の部分を掴んでどうにかダインの突進を止めたヤンだったが、彼女が安心するのも束の間、ダインのポケットに入っていた鼠が飛び出すとヤンの顔に目掛けて飛び込む。
「チュチュッ!!」
「ひいっ!?鼠ぃっ!?」
鼠が自分の顔面に向けて急に飛び込んできた事にヤンは驚き、意外と乙女らしい反応を示す。彼女は鼠を避けようと首を逸らすが、その隙にダインは肖像画を手放すと丁度ヤンが肖像画のせいで自分の姿が見えない事に気付く。
姿さえ見られていなければ影魔法を発動出来るため、ここでダインは即座に右手を床に伸ばし、影魔法を発動させてヤンの足元を拘束する。唐突に足元に影の触手が絡みついて動けなくなったヤンは戸惑う。
「な、何だ!?足が……」
「うおらぁっ!!」
「ちょ、うわぁあああっ!?」
足元を拘束したヤンを更にダインは影の触手を操作して彼女の両足を引き寄せ、ヤンは背中から床に倒れ込む。肖像画だけは何とか守ろうとして両手を塞いでいたせいで受身も碌に取れず、その隙にダインは窓へ向けて駆け出す。
(逃げるなら今しかない!!)
もう手段を選んでいる暇はなく、ダインは窓に目掛けて突っ込むと、いつの間にか先回りしていたのか鼠が鍵を開く。その結果、ダインは窓を破壊する事もなく、窓を開いて外へ飛び出す事に成功する。
(ありがとなっ!!)
窓から抜け出す際にダインは鼠に振り返ると、鼠は小さな手を振る動作を行い、どうやらここでお別れらしい。ダインは窓から飛び出して地面へと迫ると、ここで影魔法を発動させ、黒腕の要領で両足を影で覆い込むと、無事に地面に着地した。
「着地!!」
「ウォンッ!?」
「な、何だ!?」
「おい、誰か出てきたぞ!!」
「……あ~あっ」
「ギギィッ……(頭を抑える)」
ダインが外に飛び出した瞬間、当然ではあるが外に立っていた兵士とファングに気付かれ、彼は他の者にも見られてしまう。その姿を見てミイネとゴブは頭を抑え、これでこっそりと抜け出す事は出来なくなった。
だが、姿を見られても正体を気付かれずに逃げ切ればいいだけの話のため、ダインは最初に屋敷に侵入した箇所に向けて駆け出す。この時に侵入者を発見した兵士とファングの群れはダインの後を追う。
「し、侵入者だぁっ!!」
「捕まえろ!!」
「絶対に逃すな!!」
『ガアアアッ!!』
「うおおおおっ!!逃げ切ってやるぅっ!!」
ダインは後ろから追いかけてくる兵士のファングの気配を感じながらも屋敷に侵入した鉄柵へ向けて駆け出す。異変に気付いたのか、鉄柵の前に待機していたギルが驚きの声を上げる。
「ば、馬鹿!!見つかったのか!?」
「そこ、退いてくれ!!」
最初の手はずではダインが目的の物を盗み出し、こっそりと抜け出した後にギルが出迎えるはずだったが、この状況でギルが鉄柵の仕掛けを外すのはまずい。もしも兵士に鉄柵の仕掛けを見られれば怪しまれ、当然だが製作者のギルが問い質される。
しかし、その事を踏まえた上でダインも鉄柵の元へ向かい、この時に彼は足元に纏わせた影を利用して加速する。最初に3階から飛び降りる時に足元に影を纏ったのは着地の衝撃を影魔法で無効化するためだったが、この影はダインの想う様に動く。
(もっと早く……!!)
影魔法の応用でダインは無理やりに自分の足を動かし、普通の人間ならばあり得ない速度で駆け抜けた。その移動速度は獣人族の兵士やファングですらも追いつかず、更に彼は鉄柵に向けて飛び込む。
「おりゃああああっ!!」
「うおっ!?」
『な、なにぃいいいっ!?』
ダインは飛び蹴りの要領で鉄柵に仕掛けが施された箇所に蹴りを叩き込むと、丁度いい具合に鉄柵の鉄棒が外れ、はた目から見ればダインの蹴りによって鉄柵が破壊されたようにしか見えない。その様子を見ていた兵士達は唖然とするが、ダインは鉄柵の外に抜け出すと、ギルに話しかけた。
「ほら、早く逃げよう!!」
「お、おう……中々やるじゃねえかっ!!」
「いいから早く!!」
鉄柵を潜り抜ければ後は逃げ切るだけであり、まだ兵士達とファングは追いついていない。すぐに二人はその場を離れるために駆け出すと、屋敷の敷地内の兵士の怒号が響く。
「く、くそっ!!逃げるな!!」
「おい、追いかけるぞ!!」
「ファング共、奴等を追いかけろ!!早くしろ!!」
『ガアッ……』
兵士達はファングを外へ放とうとするが、ここで予想外の事態が発生した。それはファングたちが屋敷の敷地内に離れるのを嫌がり、出て行こうとしない。実は監獄都市で飼育されているファングたちは安全面のため、屋敷の敷地内から離れる事は許されていない。
ファングを飼育する際に屋敷の外へ抜け出そうとすれば厳しく折檻し、そのせいでファングたちは主人がいなければ外に抜け出そうとはしない。だからこそ外へ逃げだしたダイン達の後を追う事は出来なかった。
「ちょっ!?馬鹿、それはパールさんの……」
肖像画を手にしたダインはヤンへ向けて走り出し、その彼の行動にヤンは慌てて止めようとした。だが、ここで両手の鉤爪に気付き、もしも鉤爪で肖像画を傷つければ無事では済まない。
咄嗟にヤンは鉤爪を外して地面に放り込むと、肖像画を掲げたダインを受け止めようとした。結果から言えばヤンはダインが抱えていた肖像画の額縁の部分を掴み取り、止める事に成功する。
「この馬鹿っ!!」
「うわっ!?」
額縁の部分を掴んでどうにかダインの突進を止めたヤンだったが、彼女が安心するのも束の間、ダインのポケットに入っていた鼠が飛び出すとヤンの顔に目掛けて飛び込む。
「チュチュッ!!」
「ひいっ!?鼠ぃっ!?」
鼠が自分の顔面に向けて急に飛び込んできた事にヤンは驚き、意外と乙女らしい反応を示す。彼女は鼠を避けようと首を逸らすが、その隙にダインは肖像画を手放すと丁度ヤンが肖像画のせいで自分の姿が見えない事に気付く。
姿さえ見られていなければ影魔法を発動出来るため、ここでダインは即座に右手を床に伸ばし、影魔法を発動させてヤンの足元を拘束する。唐突に足元に影の触手が絡みついて動けなくなったヤンは戸惑う。
「な、何だ!?足が……」
「うおらぁっ!!」
「ちょ、うわぁあああっ!?」
足元を拘束したヤンを更にダインは影の触手を操作して彼女の両足を引き寄せ、ヤンは背中から床に倒れ込む。肖像画だけは何とか守ろうとして両手を塞いでいたせいで受身も碌に取れず、その隙にダインは窓へ向けて駆け出す。
(逃げるなら今しかない!!)
もう手段を選んでいる暇はなく、ダインは窓に目掛けて突っ込むと、いつの間にか先回りしていたのか鼠が鍵を開く。その結果、ダインは窓を破壊する事もなく、窓を開いて外へ飛び出す事に成功する。
(ありがとなっ!!)
窓から抜け出す際にダインは鼠に振り返ると、鼠は小さな手を振る動作を行い、どうやらここでお別れらしい。ダインは窓から飛び出して地面へと迫ると、ここで影魔法を発動させ、黒腕の要領で両足を影で覆い込むと、無事に地面に着地した。
「着地!!」
「ウォンッ!?」
「な、何だ!?」
「おい、誰か出てきたぞ!!」
「……あ~あっ」
「ギギィッ……(頭を抑える)」
ダインが外に飛び出した瞬間、当然ではあるが外に立っていた兵士とファングに気付かれ、彼は他の者にも見られてしまう。その姿を見てミイネとゴブは頭を抑え、これでこっそりと抜け出す事は出来なくなった。
だが、姿を見られても正体を気付かれずに逃げ切ればいいだけの話のため、ダインは最初に屋敷に侵入した箇所に向けて駆け出す。この時に侵入者を発見した兵士とファングの群れはダインの後を追う。
「し、侵入者だぁっ!!」
「捕まえろ!!」
「絶対に逃すな!!」
『ガアアアッ!!』
「うおおおおっ!!逃げ切ってやるぅっ!!」
ダインは後ろから追いかけてくる兵士のファングの気配を感じながらも屋敷に侵入した鉄柵へ向けて駆け出す。異変に気付いたのか、鉄柵の前に待機していたギルが驚きの声を上げる。
「ば、馬鹿!!見つかったのか!?」
「そこ、退いてくれ!!」
最初の手はずではダインが目的の物を盗み出し、こっそりと抜け出した後にギルが出迎えるはずだったが、この状況でギルが鉄柵の仕掛けを外すのはまずい。もしも兵士に鉄柵の仕掛けを見られれば怪しまれ、当然だが製作者のギルが問い質される。
しかし、その事を踏まえた上でダインも鉄柵の元へ向かい、この時に彼は足元に纏わせた影を利用して加速する。最初に3階から飛び降りる時に足元に影を纏ったのは着地の衝撃を影魔法で無効化するためだったが、この影はダインの想う様に動く。
(もっと早く……!!)
影魔法の応用でダインは無理やりに自分の足を動かし、普通の人間ならばあり得ない速度で駆け抜けた。その移動速度は獣人族の兵士やファングですらも追いつかず、更に彼は鉄柵に向けて飛び込む。
「おりゃああああっ!!」
「うおっ!?」
『な、なにぃいいいっ!?』
ダインは飛び蹴りの要領で鉄柵に仕掛けが施された箇所に蹴りを叩き込むと、丁度いい具合に鉄柵の鉄棒が外れ、はた目から見ればダインの蹴りによって鉄柵が破壊されたようにしか見えない。その様子を見ていた兵士達は唖然とするが、ダインは鉄柵の外に抜け出すと、ギルに話しかけた。
「ほら、早く逃げよう!!」
「お、おう……中々やるじゃねえかっ!!」
「いいから早く!!」
鉄柵を潜り抜ければ後は逃げ切るだけであり、まだ兵士達とファングは追いついていない。すぐに二人はその場を離れるために駆け出すと、屋敷の敷地内の兵士の怒号が響く。
「く、くそっ!!逃げるな!!」
「おい、追いかけるぞ!!」
「ファング共、奴等を追いかけろ!!早くしろ!!」
『ガアッ……』
兵士達はファングを外へ放とうとするが、ここで予想外の事態が発生した。それはファングたちが屋敷の敷地内に離れるのを嫌がり、出て行こうとしない。実は監獄都市で飼育されているファングたちは安全面のため、屋敷の敷地内から離れる事は許されていない。
ファングを飼育する際に屋敷の外へ抜け出そうとすれば厳しく折檻し、そのせいでファングたちは主人がいなければ外に抜け出そうとはしない。だからこそ外へ逃げだしたダイン達の後を追う事は出来なかった。
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