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弱肉強食の島編
牙
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『ハルナがこの島の出身……いや、古代龍の背中だから島ではないか』
『そういう事ですね。まあ、環境は整っているのでそこいらの島よりは大きいんですけど……』
『でも、前に転移魔法が暴走した時は過去に叔母様が訪れた場所に転移したのに、なんで今回はハルナの故郷に転移したわけ?』
『忘れたんですか?本来の転移魔法は思い描いた場所に転移するんです。レナさんも何度か使った事があるでしょう?』
『それはそうだけど……』
『今回の転移はマリアがこれまでに訪れた場所ではなく、あの場に存在した人間が心の片隅に覚えていた場所に転移したんです。つまり、ハルナは心の何処かでこの場所の事を思い描いて、それにレナさんが巻き込まれたんです』
『ええっ……勝手に巻き込まれたのか』
アイリスの説明を受けてレナは時間停止中のハルナに視線を向け、どうやら彼女は無意識にここへ転移したらしい。レナが巻き込まれた原因は不明だが、戻るのにはしばらくは時間が掛かりそうだった。
今のレナの手持ちには転移魔法陣が封じられた水晶札は持ち合わせておらず、戻るとしても風の聖痕もないのでハングライダーを使用した移動法も出来ない。だが、まずはどうして自分達が捕まっているのかであり、この厄介な腕輪に関してもレナはアイリスに尋ねる。
『それで……何で俺は武器も防具も奪われてこんなへんてこな腕輪を装着されているわけ?』
『捕まったんですよ。転移した時にレナさんとハルナは気を失って、この島の先住民に捕まって装備を剥ぎ取られ、牢屋に閉じ込められたんです』
『先住民がいるの?いや、そういえばハルナはここで暮らしてたんだから居るのは当たり前か……』
『ちょっと厄介な人達ですから気を付けてください。それに今のレナさんは技能しか使えませんからね』
『くそうっ……前の時よりも厄介だな』
レナは魔力を吸収する腕輪に視線を向け、前に転移した時に監獄都市に飛ばされた時以上の不便を感じる。魔力を吸収されなければこんな腕輪など外せるのだが、今の状態では解除は不可能だった。
『その腕輪を解除するには遂となる腕輪を探し出す必要があります。でも、現状ではどうしようも出来ませんね』
『ただの魔法耐性が高いだけの腕輪なら何とかなるけど……こいつの場合はどうしようも出来ないな』
『しばらくの間は魔法は頼れません。つまり、空間魔法も使用できないので気を付けてください。何かあったらすぐに私を呼んでくださいね』
『分かったよ。ならもう少しだけこの島の情報を……』
『いえ、これ以上は止めておいた方が良いでしょう。レナさんも目覚めた直後で意識もはっきりしていませんし、もう少し時間を置いてから交信してください』
『うっ……言われてみるとちょっと頭が重いかも』
長時間の更新は負担が掛かり、夢の世界でもなければアイリスとの交信は多少の負荷が掛かる。後で連絡する事を約束してレナは交信を一度遮断すると、隣の檻に捕まっているハルナが話しかけた。
「なあ、おい……レナ、これどうにかならないの?」
「無理、そっちは力ずくで壊せないの?」
「さっきからやってるけど、これ普通の檻じゃねえよ。ふぎぎぎっ……」
種族的にはミノタウロスであるハルナの力を以てしても檻を壊す事は出来ず、いくら彼女が力を込めてもびくともしない。駄目元でレナも力を込めるが、壊れる様子はない。一応は身体強化系の技能は殆ど習得しているが、人間の力ではどうしようもなかった。
「はあっ、くそっ……駄目だ。あたしの力じゃどうしようも出来ないや」
「ふうっ、こっちも無理そうだ……ん?ハルナ、俺っ娘辞めたの?」
「は?何を言って……あれ?今、あたしの事をあたしと言った?」
「言ってる言ってる」
何時の間にかハルナは自分の事を「俺」から「あたし」と呼ぶようになっており、本人も不思議に思う。頭を打った時に何かあったのか、彼女は不思議そうに頭を抑える。
それはともかく、檻に閉じ込められたレナはどうにか脱出方法を考え、檻の鍵穴を確認した。鍵穴を覗き込み、何か先端が尖っている物があれば開きそうだと思ったが、生憎と檻の中には役立ちそうな物はない。
「ハルナ、何か先が尖っている奴はない?」
「先が尖ってる……針みたいな物か?」
「そうそう、ハルナの頭の角でもいいよ。ちょっと取って貸してくれる?」
「取れるか!!」
レナの言葉にハルナは怒鳴り散らすが、彼女も一応は檻の中を探すと、何故か動物の牙のような物が落ちている事に気付く。大きさ的にはファングなどの魔獣の牙だと思われ、それをレナに手渡す。
「なあ、こんなのが落ちてたぞ。これ、使えるか?」
「どれどれ……ちょっと手を伸ばしてくれる」
「仕方ないな……んっ、駄目だ。おっぱいがつかえてこれ以上は出せない……」
「お、おおっ……」
檻の隙間からハルナは腕を伸ばそうとするが、途中で彼女の大きな胸が鉄格子に遮られ、かなり際どい格好になる。この光景をシズネ辺りが見たら発狂するかもしれないと思いながらもレナは牙を受け取った。
『そういう事ですね。まあ、環境は整っているのでそこいらの島よりは大きいんですけど……』
『でも、前に転移魔法が暴走した時は過去に叔母様が訪れた場所に転移したのに、なんで今回はハルナの故郷に転移したわけ?』
『忘れたんですか?本来の転移魔法は思い描いた場所に転移するんです。レナさんも何度か使った事があるでしょう?』
『それはそうだけど……』
『今回の転移はマリアがこれまでに訪れた場所ではなく、あの場に存在した人間が心の片隅に覚えていた場所に転移したんです。つまり、ハルナは心の何処かでこの場所の事を思い描いて、それにレナさんが巻き込まれたんです』
『ええっ……勝手に巻き込まれたのか』
アイリスの説明を受けてレナは時間停止中のハルナに視線を向け、どうやら彼女は無意識にここへ転移したらしい。レナが巻き込まれた原因は不明だが、戻るのにはしばらくは時間が掛かりそうだった。
今のレナの手持ちには転移魔法陣が封じられた水晶札は持ち合わせておらず、戻るとしても風の聖痕もないのでハングライダーを使用した移動法も出来ない。だが、まずはどうして自分達が捕まっているのかであり、この厄介な腕輪に関してもレナはアイリスに尋ねる。
『それで……何で俺は武器も防具も奪われてこんなへんてこな腕輪を装着されているわけ?』
『捕まったんですよ。転移した時にレナさんとハルナは気を失って、この島の先住民に捕まって装備を剥ぎ取られ、牢屋に閉じ込められたんです』
『先住民がいるの?いや、そういえばハルナはここで暮らしてたんだから居るのは当たり前か……』
『ちょっと厄介な人達ですから気を付けてください。それに今のレナさんは技能しか使えませんからね』
『くそうっ……前の時よりも厄介だな』
レナは魔力を吸収する腕輪に視線を向け、前に転移した時に監獄都市に飛ばされた時以上の不便を感じる。魔力を吸収されなければこんな腕輪など外せるのだが、今の状態では解除は不可能だった。
『その腕輪を解除するには遂となる腕輪を探し出す必要があります。でも、現状ではどうしようも出来ませんね』
『ただの魔法耐性が高いだけの腕輪なら何とかなるけど……こいつの場合はどうしようも出来ないな』
『しばらくの間は魔法は頼れません。つまり、空間魔法も使用できないので気を付けてください。何かあったらすぐに私を呼んでくださいね』
『分かったよ。ならもう少しだけこの島の情報を……』
『いえ、これ以上は止めておいた方が良いでしょう。レナさんも目覚めた直後で意識もはっきりしていませんし、もう少し時間を置いてから交信してください』
『うっ……言われてみるとちょっと頭が重いかも』
長時間の更新は負担が掛かり、夢の世界でもなければアイリスとの交信は多少の負荷が掛かる。後で連絡する事を約束してレナは交信を一度遮断すると、隣の檻に捕まっているハルナが話しかけた。
「なあ、おい……レナ、これどうにかならないの?」
「無理、そっちは力ずくで壊せないの?」
「さっきからやってるけど、これ普通の檻じゃねえよ。ふぎぎぎっ……」
種族的にはミノタウロスであるハルナの力を以てしても檻を壊す事は出来ず、いくら彼女が力を込めてもびくともしない。駄目元でレナも力を込めるが、壊れる様子はない。一応は身体強化系の技能は殆ど習得しているが、人間の力ではどうしようもなかった。
「はあっ、くそっ……駄目だ。あたしの力じゃどうしようも出来ないや」
「ふうっ、こっちも無理そうだ……ん?ハルナ、俺っ娘辞めたの?」
「は?何を言って……あれ?今、あたしの事をあたしと言った?」
「言ってる言ってる」
何時の間にかハルナは自分の事を「俺」から「あたし」と呼ぶようになっており、本人も不思議に思う。頭を打った時に何かあったのか、彼女は不思議そうに頭を抑える。
それはともかく、檻に閉じ込められたレナはどうにか脱出方法を考え、檻の鍵穴を確認した。鍵穴を覗き込み、何か先端が尖っている物があれば開きそうだと思ったが、生憎と檻の中には役立ちそうな物はない。
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「先が尖ってる……針みたいな物か?」
「そうそう、ハルナの頭の角でもいいよ。ちょっと取って貸してくれる?」
「取れるか!!」
レナの言葉にハルナは怒鳴り散らすが、彼女も一応は檻の中を探すと、何故か動物の牙のような物が落ちている事に気付く。大きさ的にはファングなどの魔獣の牙だと思われ、それをレナに手渡す。
「なあ、こんなのが落ちてたぞ。これ、使えるか?」
「どれどれ……ちょっと手を伸ばしてくれる」
「仕方ないな……んっ、駄目だ。おっぱいがつかえてこれ以上は出せない……」
「お、おおっ……」
檻の隙間からハルナは腕を伸ばそうとするが、途中で彼女の大きな胸が鉄格子に遮られ、かなり際どい格好になる。この光景をシズネ辺りが見たら発狂するかもしれないと思いながらもレナは牙を受け取った。
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