不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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弱肉強食の島編

一緒に戦いましょう

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「ここで貴方が死んだら白牛将を止める人はいなくなる。そうなれば白牛将はいつか必ず他の部族にも攻撃を仕掛けるはずです。それなら白牛将を取り押さえませんか?」
「取り押さえる?あの男を……」
「無茶だ、白牛将に力で勝てる奴はいない……それにあいつには同胞が何十人も従っているんだぞ」
「そうだ、勝てるはずがない……悔しいが、あいつは天才だ。知恵も、力も我々の中で誰よりも飛びぬけている」


白牛将と戦う事をレナは提案するが、牛人族たちは誰もが白牛将の恐ろしさを理解していた。白牛将は誰よりも強く、何者にも負けない。彼等はそう思い込んでいた。

しかし、ここで引き下がるわけにもいかず、レナは他のダークエルフに目配せして事前に捕まえてたミノタウロス達を差し出す。黒牛将と彼と共に捕まった白牛将の配下のミノタウロスが拘束された状態で現れると、族長は信じられない表情を浮かべる。


「お、お主等……姿が見えぬと思ったら、捕まっていたのか」
「ぐうっ……」
「族長、聞いてくれ!!こいつは俺達を裏切ったんだ!!」
「そうだ!!こいつは裏切り者だ!!拷問なんかに喋りやがって!!」


黒牛将を見て族長は驚くが、他のミノタウロス達は彼を非難した。彼らはレナが黒牛将を拷問して情報を引き出したと思い込んでいるが、黒牛将からすれば自分が気絶している間に裏切り者扱いされて訳が分からなかった。


「何が裏切っただ!!お前等が騙されただけだろう!!俺は仲間を売ってはいない!!」
「嘘を吐け!!ならなんでそこの人間は俺達の名前を知ってたんだ!!」
「そんなの俺が知るか!!そうか、分かったぞ!!お前等がそこの人間とグルだったんだな!?」
「何だと!?ふざけるな、この臆病者!!」
「上等だ、ぶっ殺してや……」
「――いい加減にしろよ」


仲間割れを引き起こしそうになったミノタウロス達に対してレナは「威圧」を発動させて睨みつけると、彼らは途端に身体が震え、黒牛将ですらも冷や汗を流す。あまりのレナの威圧感に族長や他の者達までも黙り込む。


「悪いけど、今は時間がないんだ。族長、俺達がここへ来たのは貴方に協力して欲しい事があるからなんです」
「わ、儂等に協力じゃと……?」
「これ以上に白牛将の好きにさせるわけにはいかない。貴方もそれは理解しているでしょう?なら、一緒に戦ってください」
「戦え?あの白牛将とか……?」
「俺達だけだと白牛将には敵わないかもしれない。けど、貴方達が協力してくれるなら必ず勝てます。白牛将さえ捕まえる事が出来れば今回の一件はお互いに水を流しましょう」


レナの言葉に牛人族の長は唖然とするが、ダークエルフ達は口を挟まない。まるでレナがダークエルフの代表の様に語り掛けてくる事に疑問を抱いた牛人族の長は問い質す。


「ダークエルフの族長よ、この者は何者だ?」
「この男は儂等の命の恩人じゃ。島の外から訪れた人間ではあるが、何度も同胞の命を救ってくれた。だから儂はこの者に運命を賭ける事にした。白牛将の目的は儂等を支配する事だったようじゃが、奴に従うくらいならば儂等はこの男に賭ける」
「そうだ、旦那様は強い!!白牛将如きに負けない!!」
「私達の命は旦那様に託す。それだけの話」
「まあ、ここまで来た以上は最後まで付き合うぜ。なあ、相棒?」


ダークエルフ達はレナに救われた恩義もあり、彼と共に戦う事を決意する。ハルナも彼女達と同じ意見であり、レナの方に手を置く。この場所に来る時点でレナは白牛将と戦う覚悟は決めていた。

牛人族の長はダークエルフを従えさせたレナに対して呆然とするが、彼等の目的は牛人族ではなく、戦を仕掛けてきた白牛将だと知って考え込む。確かにこのままでは白牛将の暴走は止まらず、何時の日か長は立場を負われて白牛将が牛人族を支配するだろう。


(儂は力で牛人族の長の座に就いた。ならば何時の日か儂以上の力を持つ者が牛人族の長になる日が来る事は分かって追った。だが、あいつだけは任せられん)


牛人族の長はかつて力ずくで長の座を奪った経験があり、いずれ白牛将が自分を倒して牛人族の長に君臨する日が来るだろうと予想していた。だが、白牛将の目的が他の部族を倒し、支配する事であるのならば放置は出来ない。

これまでに牛人族はダークエルフと竜人族と争いを繰り返し、現在では大分数が減ってしまった。だからこそ牛人族の長は彼らと争うのは極力控え、お互いに不干渉を徹底しようとした。しかし、白牛将の目的を知った今はもう彼に長の座を渡すわけにはいかない。


「……お主に協力すれば本当に白牛将に勝てるという保証は何処にある?」
「黒牛将と白牛将の仲間を捕まえた。こいつらがいないだけでも白牛将からすればかなりの痛手のはず、今ならあいつに勝てる」


レナは黒牛将と白牛将の部下達を差し出すと、それを見た長は考え込み、やがて意を決したように告げた。
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