不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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弱肉強食の島編

閑話 最強の敵

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「ぐはぁっ!?」
「ガロ!?おい、あんた何をするんだ!?」
「シズネさん!?どうしてこんな……むぐっ!?」
「素直に従わないからいけないのよ」


シズネはガロを叩き伏せると、動揺しているミナの顔面を掴み、無理やりに口を開かせると瓶の中身を垂らす。それを見た他の者は慌てて止めようと彼女に向かう。


「おい、何の真似だ!!」
「止めろ、ミナを離せっ!!」
「おっと、邪魔をするな」
「なっ、ゴウライ!?」


しかし、シズネに近付こうとした途端にゴウライが立ちふさがり、冒険者達は驚いた声を上げる。その一方でシズネの方は無理やりにミナの口元に液体を流し込むと、彼女は激しく咳き込む。


「げほげほっ……な、何を……うっ!?」
「ミナ、大丈夫か!?」
「な、なにこれ……身体が熱くなって……でも、気持ちいい?」
「すぐに分かるわ」


ミナの変化を見てシズネは笑みを浮かべると、この時に彼女の瞳の色が桜色へと変化する。最初は苦しんでいたミナだが、時間が経過する事に楽になり、徐々に瞳の色が変色していく。他の冒険者達は何が起きているのか分からず、その間にガロはどうにか起き上がると、ミナに肩を伸ばす。


「お、おいミナ……大丈夫か?何を飲まされた?」
「……離してよ」
「は?」
「いいから離してよ」


自分の肩を掴むガロに対してミナは冷たく振り払い、その彼女の態度の変化に戸惑う。他の者達も何が起きているのか理解できず、一方でシズネは新しい小瓶をミナへと渡した。

小瓶を受け取ったミナはシズネとゴウライに振り返り、笑みを浮かべながら頷く。3人は周囲を振り返り、女性冒険者を確認すると彼女達に視線を向ける。


「さあ、お前達をこれを飲め」
「な、それはどういう……きゃっ!?」
「ほら、飲みなさい」
「や、止めっ……うぐぅっ!?」
「大丈夫、これを飲めばすぐに気持ちよくなるから……」
「ミナ、お前まで何をっ……!?」


3人は他の女性冒険者を無理やりに拘束し、彼女達にも瓶の中身を分け与える。最初は困惑していた冒険者達だが、様子がおかしい事に気付いて彼女達を止めようとした。


「おい、止めろ!!本当にどうしたんだ!?」
「誰かに操られているのか!?まさか、洗脳か!?」
「くそ、正気に戻れミナ!!」
「酷いな、皆……僕達はなにもおかしくないよ?」
「ええ、その通りね」
「ふははっ!!吾輩たちに勝てると思ってるのか!?いいだろう、久しぶりに稽古をつけてやる!!かかってこい!!」
「何でそうなるんだよ!?」


抵抗する者達はゴウライが抑えつけ、その間に他の者が女性冒険者だけに瓶の中身を飲み込ませる。やがてゴウライ達以外の女性冒険者にも異変が発生し、彼女達も人が変わったように他の冒険者を襲う。


「ちょっと邪魔しないでよ!!」
「退け、弱い男に興味はないわ!!」
「お、お前等まで何を言い出すんだよ!?」
「おい、やめっ……ぎゃああっ!?」


瞬く間に城壁に集まった女性冒険者は変貌し、あっという間に男性冒険者は敗れてしまう。氷雨のギルドにはマリアに憧れて冒険者を志す女性は多く、その中にはミナのように実力者も多い。

それでも男性冒険者の中にも彼女達に対抗する力を持つ者はいるが、最強の冒険者であるゴウライ、そして最強の傭兵のシズネに敵う人間がいるはずもなく、あっという間に男性冒険者は敗れてしまう。


「ま、まずい……こいつら、普通じゃない!!他の奴等を呼んで来い!!」
「ギガンだ、ギガンを呼んで来い!!それにゴンゾウとバルもだ!!」
「くそ、どうしてこんな事に……」
「はっはっはっ!!いいぞ、誰でも呼んで来い!!吾輩は誰の挑戦でも受けてやる!!」
「何を言ってるのよ、あの人の命令を忘れたの?私達の目的はこの都市から邪魔者を追い払うのよ」
「よし、悪いけど抵抗する男の人は容赦しないからね!!」


こうして氷雨の女性冒険者達を中心に反乱が始まり、街中にいた兵士や冒険者達は攻撃を受けた。しかし、民衆に関しては彼女達は手を出すような真似はせず、しかも相手が女性の場合は例の薬を飲ませて仲間へと変えていく。

女性冒険者の反乱が始まってから数時間後、都市は彼女達によって制圧されてしまい、抵抗した者達は拘束される。但し、一部の冒険者と兵士だけは外に脱出する事に成功したという――




※短めですが、ここまでにしておきます
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