不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,341 / 2,090
弱肉強食の島編

閑話 最強の敵

しおりを挟む
「ぐはぁっ!?」
「ガロ!?おい、あんた何をするんだ!?」
「シズネさん!?どうしてこんな……むぐっ!?」
「素直に従わないからいけないのよ」


シズネはガロを叩き伏せると、動揺しているミナの顔面を掴み、無理やりに口を開かせると瓶の中身を垂らす。それを見た他の者は慌てて止めようと彼女に向かう。


「おい、何の真似だ!!」
「止めろ、ミナを離せっ!!」
「おっと、邪魔をするな」
「なっ、ゴウライ!?」


しかし、シズネに近付こうとした途端にゴウライが立ちふさがり、冒険者達は驚いた声を上げる。その一方でシズネの方は無理やりにミナの口元に液体を流し込むと、彼女は激しく咳き込む。


「げほげほっ……な、何を……うっ!?」
「ミナ、大丈夫か!?」
「な、なにこれ……身体が熱くなって……でも、気持ちいい?」
「すぐに分かるわ」


ミナの変化を見てシズネは笑みを浮かべると、この時に彼女の瞳の色が桜色へと変化する。最初は苦しんでいたミナだが、時間が経過する事に楽になり、徐々に瞳の色が変色していく。他の冒険者達は何が起きているのか分からず、その間にガロはどうにか起き上がると、ミナに肩を伸ばす。


「お、おいミナ……大丈夫か?何を飲まされた?」
「……離してよ」
「は?」
「いいから離してよ」


自分の肩を掴むガロに対してミナは冷たく振り払い、その彼女の態度の変化に戸惑う。他の者達も何が起きているのか理解できず、一方でシズネは新しい小瓶をミナへと渡した。

小瓶を受け取ったミナはシズネとゴウライに振り返り、笑みを浮かべながら頷く。3人は周囲を振り返り、女性冒険者を確認すると彼女達に視線を向ける。


「さあ、お前達をこれを飲め」
「な、それはどういう……きゃっ!?」
「ほら、飲みなさい」
「や、止めっ……うぐぅっ!?」
「大丈夫、これを飲めばすぐに気持ちよくなるから……」
「ミナ、お前まで何をっ……!?」


3人は他の女性冒険者を無理やりに拘束し、彼女達にも瓶の中身を分け与える。最初は困惑していた冒険者達だが、様子がおかしい事に気付いて彼女達を止めようとした。


「おい、止めろ!!本当にどうしたんだ!?」
「誰かに操られているのか!?まさか、洗脳か!?」
「くそ、正気に戻れミナ!!」
「酷いな、皆……僕達はなにもおかしくないよ?」
「ええ、その通りね」
「ふははっ!!吾輩たちに勝てると思ってるのか!?いいだろう、久しぶりに稽古をつけてやる!!かかってこい!!」
「何でそうなるんだよ!?」


抵抗する者達はゴウライが抑えつけ、その間に他の者が女性冒険者だけに瓶の中身を飲み込ませる。やがてゴウライ達以外の女性冒険者にも異変が発生し、彼女達も人が変わったように他の冒険者を襲う。


「ちょっと邪魔しないでよ!!」
「退け、弱い男に興味はないわ!!」
「お、お前等まで何を言い出すんだよ!?」
「おい、やめっ……ぎゃああっ!?」


瞬く間に城壁に集まった女性冒険者は変貌し、あっという間に男性冒険者は敗れてしまう。氷雨のギルドにはマリアに憧れて冒険者を志す女性は多く、その中にはミナのように実力者も多い。

それでも男性冒険者の中にも彼女達に対抗する力を持つ者はいるが、最強の冒険者であるゴウライ、そして最強の傭兵のシズネに敵う人間がいるはずもなく、あっという間に男性冒険者は敗れてしまう。


「ま、まずい……こいつら、普通じゃない!!他の奴等を呼んで来い!!」
「ギガンだ、ギガンを呼んで来い!!それにゴンゾウとバルもだ!!」
「くそ、どうしてこんな事に……」
「はっはっはっ!!いいぞ、誰でも呼んで来い!!吾輩は誰の挑戦でも受けてやる!!」
「何を言ってるのよ、あの人の命令を忘れたの?私達の目的はこの都市から邪魔者を追い払うのよ」
「よし、悪いけど抵抗する男の人は容赦しないからね!!」


こうして氷雨の女性冒険者達を中心に反乱が始まり、街中にいた兵士や冒険者達は攻撃を受けた。しかし、民衆に関しては彼女達は手を出すような真似はせず、しかも相手が女性の場合は例の薬を飲ませて仲間へと変えていく。

女性冒険者の反乱が始まってから数時間後、都市は彼女達によって制圧されてしまい、抵抗した者達は拘束される。但し、一部の冒険者と兵士だけは外に脱出する事に成功したという――




※短めですが、ここまでにしておきます
しおりを挟む
感想 5,092

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。