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真・最終章 七魔将編
鬼人化の由来
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「……その程度か?」
「ぐっ……うおおおっ!!」
オウガの言葉を聞いてゴンゾウは反対の拳で彼の腹部を叩き付けるが、そちらも顔面と同様に薄く纏った魔鎧によって阻まれてしまい、攻撃が肉体まで届かない。全身を魔鎧で覆い込んだオウガにはゴンゾウの拳は届かず、何が起きているのかとゴンゾウは戸惑う。
その一方でオウガの方はゴンゾウの顔面に手を伸ばすと、恐ろしい握力で顔を掴み上げ、片腕だけでゴンゾウの巨体を持ち上げる。ゴンゾウは万力の如く締め付けるオウガの握力に呻き声を漏らす。
「ぐぅうっ……」
「少しは期待したが……所詮は子供か」
「なん、だと……!?」
ゴンゾウの気配を感じ取った時にオウガは自分と戦える力を持つ者かと思ったが、彼の攻撃を受けた時にゴンゾウの力量を見抜き、自分が戦うに値する存在ではないと判断する。オウガはゴンゾウをそのまま投げ飛ばそうとしたが、この時にゴンゾウに異変が生じる。
「うおおおっ!!」
「ほう……鬼人化か」
全力を発揮しなければ殺されると判断したゴンゾウは鬼人化を発動させ、自分の顔面を掴むオウガの腕に全力で握りしめる。ゴンゾウが鬼人化を扱える事にオウガは少しだけ感心した表情を浮かべるが、ゴンゾウは自分の頭を掴むオウガの右腕を両手で握りしめる。
魔鎧に覆われていようと関係なく、オウガの右腕を握り潰す勢いでゴンゾウは力を込める。オウガの纏う地属性の魔力の魔鎧は性格には見えない鎧ではなく、外部に向けて重力を常に発し続けている事に等しい。つまり、その重力に逆らう力があればオウガの肉体にも触れる事はできた。
「ぐぅううっ!!」
「中々の力だ……だが、所詮お前達は鬼に成る事はできん!!」
「ぐはぁっ!?」
オウガはゴンゾウに右腕を握りしめられた状態から無理やりに彼の身体を持ち上げ、力強く地面に向けて叩き込む。オウガの怪力で地面に叩き付けられた血反吐を吐き、鬼人化が強制的に解除されてしまう。
(何だ、こいつの力は……!?)
顔面を掴まれた時からゴンゾウはオウガの実力が死であるギガンをも上回ると判断し、その一方でオウガの方は倒れ込んだゴンゾウを見下ろし、彼にとっては衝撃的な一言を告げる。
「鬼人化などという大層な名前を付けているが、お前達のその「技術」は我々に近付くために作り出したいわば紛い物……お前達はどう足搔こうと、真の鬼に成る事はできない」
「な、何だと……」
「鬼人族は常に自分の力を全開まで引き出す事ができる。鬼人化とは非力な巨人族が鬼人族に近付くために作り出した弱者の技術だ」
「弱者、だと……!?」
オウガの言葉にゴンゾウは衝撃を受け、彼がこれまで窮地に陥った時に利用していた「鬼人化」の能力がまさか鬼人族に関係がある事など彼は初めて知った。
――巨人族の中でも特殊な一族にしか発動する事ができない「鬼人化」この能力は元々は鬼人族のような強靭な種族に近付くために作り出された能力だという。巨人族は肉体的な強度は鬼人族には劣るが、その差を埋めるために作り出されたのが「鬼人化」だった。
鬼人化は肉体の限界まで身体能力を引き上げる力であり、人間でいう所の「火事場の馬鹿力」を任意で引き出す能力でもある。但し、一時的に驚異的な力を発揮させる反面、肉体の負荷が大きすぎて解除した途端に激しい筋肉痛に襲われ、最悪の場合は死に至る例もある。
この鬼人化を発動させた巨人族は鬼人族にも劣らぬ力を発揮できるが、この鬼人化はあくまでも鬼人族に近付くための技術でしかなく、本物の鬼人族の場合は常に自分の力を限界まで引き出す事ができる。言ってみれば彼等は常に鬼人化を発動している状態で生きているに等しい。
巨人族が苦労の末に作り出した鬼人化の能力は、鬼人族に近付くための技術にしか過ぎず、しかも数分程度で解除されてしまう欠陥が多い技術だった。だからこそオウガは鬼人化を発動させたゴンゾウに対して言い放つ。
「覚えておけ……巨人は鬼には成れない」
「っ……!?」
オウガはゴンゾウに一言だけ告げると、その言葉を聞いたゴンゾウは何も言い返す事ができない。先の攻撃はオウガの魔鎧は関係なく、ゴンゾウはオウガに力で負けてしまった。そして今の彼は鬼人化の反動で身体が碌に動かず、オウガを引き留める事ができない。
「ま、待て……!!」
「…………」
敷地内に歩み寄ろうとするオウガに対してゴンゾウは引き留めようと必死に手を伸ばしたが、筋肉痛のせいで思うように身体が動かず、オウガを止める事はできなかった。このままでは仲間達が危険に晒されるかもしれないのに何もできない自分にゴンゾウは怒りを抱き、必死に身体を動かそうとするが言う事を聞かない。
(駄目だ、行かせるわけには……動け、動けっ!!)
必死に心の中でゴンゾウは身体に命じるが、彼の意志とは正反対に限界を迎えた肉体は動く事ができず、やがてゴンゾウの意識が薄らぎ始めた――
「ぐっ……うおおおっ!!」
オウガの言葉を聞いてゴンゾウは反対の拳で彼の腹部を叩き付けるが、そちらも顔面と同様に薄く纏った魔鎧によって阻まれてしまい、攻撃が肉体まで届かない。全身を魔鎧で覆い込んだオウガにはゴンゾウの拳は届かず、何が起きているのかとゴンゾウは戸惑う。
その一方でオウガの方はゴンゾウの顔面に手を伸ばすと、恐ろしい握力で顔を掴み上げ、片腕だけでゴンゾウの巨体を持ち上げる。ゴンゾウは万力の如く締め付けるオウガの握力に呻き声を漏らす。
「ぐぅうっ……」
「少しは期待したが……所詮は子供か」
「なん、だと……!?」
ゴンゾウの気配を感じ取った時にオウガは自分と戦える力を持つ者かと思ったが、彼の攻撃を受けた時にゴンゾウの力量を見抜き、自分が戦うに値する存在ではないと判断する。オウガはゴンゾウをそのまま投げ飛ばそうとしたが、この時にゴンゾウに異変が生じる。
「うおおおっ!!」
「ほう……鬼人化か」
全力を発揮しなければ殺されると判断したゴンゾウは鬼人化を発動させ、自分の顔面を掴むオウガの腕に全力で握りしめる。ゴンゾウが鬼人化を扱える事にオウガは少しだけ感心した表情を浮かべるが、ゴンゾウは自分の頭を掴むオウガの右腕を両手で握りしめる。
魔鎧に覆われていようと関係なく、オウガの右腕を握り潰す勢いでゴンゾウは力を込める。オウガの纏う地属性の魔力の魔鎧は性格には見えない鎧ではなく、外部に向けて重力を常に発し続けている事に等しい。つまり、その重力に逆らう力があればオウガの肉体にも触れる事はできた。
「ぐぅううっ!!」
「中々の力だ……だが、所詮お前達は鬼に成る事はできん!!」
「ぐはぁっ!?」
オウガはゴンゾウに右腕を握りしめられた状態から無理やりに彼の身体を持ち上げ、力強く地面に向けて叩き込む。オウガの怪力で地面に叩き付けられた血反吐を吐き、鬼人化が強制的に解除されてしまう。
(何だ、こいつの力は……!?)
顔面を掴まれた時からゴンゾウはオウガの実力が死であるギガンをも上回ると判断し、その一方でオウガの方は倒れ込んだゴンゾウを見下ろし、彼にとっては衝撃的な一言を告げる。
「鬼人化などという大層な名前を付けているが、お前達のその「技術」は我々に近付くために作り出したいわば紛い物……お前達はどう足搔こうと、真の鬼に成る事はできない」
「な、何だと……」
「鬼人族は常に自分の力を全開まで引き出す事ができる。鬼人化とは非力な巨人族が鬼人族に近付くために作り出した弱者の技術だ」
「弱者、だと……!?」
オウガの言葉にゴンゾウは衝撃を受け、彼がこれまで窮地に陥った時に利用していた「鬼人化」の能力がまさか鬼人族に関係がある事など彼は初めて知った。
――巨人族の中でも特殊な一族にしか発動する事ができない「鬼人化」この能力は元々は鬼人族のような強靭な種族に近付くために作り出された能力だという。巨人族は肉体的な強度は鬼人族には劣るが、その差を埋めるために作り出されたのが「鬼人化」だった。
鬼人化は肉体の限界まで身体能力を引き上げる力であり、人間でいう所の「火事場の馬鹿力」を任意で引き出す能力でもある。但し、一時的に驚異的な力を発揮させる反面、肉体の負荷が大きすぎて解除した途端に激しい筋肉痛に襲われ、最悪の場合は死に至る例もある。
この鬼人化を発動させた巨人族は鬼人族にも劣らぬ力を発揮できるが、この鬼人化はあくまでも鬼人族に近付くための技術でしかなく、本物の鬼人族の場合は常に自分の力を限界まで引き出す事ができる。言ってみれば彼等は常に鬼人化を発動している状態で生きているに等しい。
巨人族が苦労の末に作り出した鬼人化の能力は、鬼人族に近付くための技術にしか過ぎず、しかも数分程度で解除されてしまう欠陥が多い技術だった。だからこそオウガは鬼人化を発動させたゴンゾウに対して言い放つ。
「覚えておけ……巨人は鬼には成れない」
「っ……!?」
オウガはゴンゾウに一言だけ告げると、その言葉を聞いたゴンゾウは何も言い返す事ができない。先の攻撃はオウガの魔鎧は関係なく、ゴンゾウはオウガに力で負けてしまった。そして今の彼は鬼人化の反動で身体が碌に動かず、オウガを引き留める事ができない。
「ま、待て……!!」
「…………」
敷地内に歩み寄ろうとするオウガに対してゴンゾウは引き留めようと必死に手を伸ばしたが、筋肉痛のせいで思うように身体が動かず、オウガを止める事はできなかった。このままでは仲間達が危険に晒されるかもしれないのに何もできない自分にゴンゾウは怒りを抱き、必死に身体を動かそうとするが言う事を聞かない。
(駄目だ、行かせるわけには……動け、動けっ!!)
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