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真・最終章 七魔将編
魔王軍の殺人兵器
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「その女を救いたいのであれば俺に従え、と言ったらどうする?」
「断る!!」
「ははは、貴様ならそういうと思ったぞ。だが……」
ブラクの言葉にオウガは即答し、そんな彼に対してブラクは笑い声をあげる。オウガの返答はブラクも予想していたので驚く事もないが、彼はアルドラに掌を剥けると彼女の呪詛の侵攻が速まる。
「だが、こうすればどうかな?」
「かはぁっ!?」
「止めろ!!」
呪詛がアルドラの肉体を侵す姿を見てオウガはブラクに前蹴りを放つ。オウガの一撃を受けた死体人形は派手に吹き飛び、壁に激突した肉体は跡形もなく飛び散る。原型すら留めない程の凄まじい一撃だったが、この時に死体人形から影が出現して別の場所へと移動した。
いくら死体人形を破壊しようと影を攻撃しなければ止めを刺す事はできず、やがて新しい足音が響くと通路から別の死体に取り着いたブラクが姿を現す。オウガに死体を破壊される事を予想して事前に複数の死体を下水道に運んでいたらしく、そんな彼にオウガは忌々し気な表情を浮かべる。
「話を聞かない奴だな」
「貴様……!!」
「いいから最後まで俺の話を聞け。言っておくが、その女を今すぐに殺す事もできるぞ?」
「ううっ……」
呪詛の侵攻が更に広まったアルドラは呻き声を上げ、もう意識も無くなっていた。そんな彼女をオウガは抱きかかえ、彼女を苦しむ原因を作り出したブラクを睨みつけた。
「これは取引だ、その女を長生きさせたければお前は俺に従うしかないぞ」
「ふざけるな!!」
「そうか、嫌ならここで殺すしかあるまいな」
「……やってみろ、その時はお前を必ず殺すぞ」
「殺す?どうやって?ここにいる俺を消した所で俺の本体には何の影響もない……どのみち、お前の女は死ぬ事に変わりはないぞ」
オウガの宣言にブラクはあくまでも余裕の態度を崩さず、オウガ自身も彼の言葉が虚言ではない事は分かっていた。ここにいるブラクはあくまでも死体に憑依したブラクの分裂体にしか過ぎず、仮に死体人形ごと影を消し去ったとしても本体であるブラクを殺さねばアルドラは救えない。
厄介な事に分裂体でもアルドラの呪詛の侵攻を速める能力は持ち合わせているらしく、その気になれば分裂体はアルドラは本当に殺す事ができる。それを知っているからこそオウガも迂闊には手を出せないが、もしも彼女が死ねば何があろうとオウガはブラク本体を見つけ出して殺すつもりだった。
「これが最後の警告だ……今すぐに消え失せろ、でなければ貴様等を見つけ出して1匹残らずに殺してやる」
「無駄だ、この俺がどれほど長い時を闇の世界で過ごしてきたと知っている?貴様が寿命を迎えて死ぬまで逃げ通す事など容易い事だ。そんな脅しは俺には通じんぞ」
「失せろと言っている!!」
オウガは全身から魔力を滲み出し、もしもブラクが消えないのであれば本気で彼を殺そうと考えていたが、この時にアルドラは苦し気な声を漏らす。
「うぐぅっ……」
「くっ……」
「どうした?その女を気遣って本気で戦えないのか?それでもかつては鬼人将と恐れられた男か?」
「貴様ぁあああっ!!」
我慢の限界を迎えたオウガはブラクに掴みかかろうとするが、この時にブラクは漆黒の水晶を取り出す。それを見たオウガは咄嗟に手を止めてしまい、彼が取り出した物を見てオウガは歯を食いしばる。
「馬鹿なっ……何故、それを貴様が持っている!?」
「知れた事よ……これを作り出したのはこの俺だ。ここでこいつを破壊すればどうなるのか、お前も良く知っているな?」
「ちぃっ……!!」
ブラクが取り出したのは闇属性の魔力が蓄積された魔水晶であり、普通の魔石や死霊石よりも厄介な代物だった。もしもこれが破壊された場合、この下水道内に大量の闇属性の魔力が蔓延してしまう。
この魔水晶は魔王軍が存在した時代、兵器として取り扱われていた。しかし、あまりにも敵味方に被害を与えすぎるという理由で魔王が直々に命令して使用を禁止した恐るべき殺人兵器である。名前は「黒爆水晶」と呼ばれ、かつて数万もの生物の命を奪った恐るべき兵器だった。
「貴様ならばこれには耐え切れるかもしれんが、お前の女はどうかな……試してみるか?」
「抜かせ……その兵器の事はよく知っている。それさえ破壊しなければ問題はない」
「確かにその通りだ。この魔道具がなければな」
「何!?」
右手に水晶を握りしめたブラクは反対の手で「万力」を想像させる形をした道具を取り出し、それに水晶を嵌め込む。その光景にオウガでさえも顔色を青ざめ、そんな表情を浮かべるオウガにブラクは笑い声をあげた。
「流石の貴様も言葉を失ったか。これを使えばどうなるのか、言わなくても分かるな」
「止めろ!!」
「オウガよ……俺はこれでも貴様の実力だけは高く買っている。お前ならばあの御方にも対抗できる力を持っている……だから協力しろ」
「あの御方だと……!?」
ブラクの発言にオウガは違和感を覚え、そんな彼に対してブラクは自分の目的の邪魔に成りえる存在を消すため、思いもよらぬ言葉を口にした。
「魔人将ラストを消す、そのためにお前にも協力してもらうぞ。あの御方はもう俺には必要ないからな」
七魔将筆頭にして最強の称号を誇る「魔人将」その彼を消すためにブラクは因縁があるオウガでさえも利用しようとしていた――
「断る!!」
「ははは、貴様ならそういうと思ったぞ。だが……」
ブラクの言葉にオウガは即答し、そんな彼に対してブラクは笑い声をあげる。オウガの返答はブラクも予想していたので驚く事もないが、彼はアルドラに掌を剥けると彼女の呪詛の侵攻が速まる。
「だが、こうすればどうかな?」
「かはぁっ!?」
「止めろ!!」
呪詛がアルドラの肉体を侵す姿を見てオウガはブラクに前蹴りを放つ。オウガの一撃を受けた死体人形は派手に吹き飛び、壁に激突した肉体は跡形もなく飛び散る。原型すら留めない程の凄まじい一撃だったが、この時に死体人形から影が出現して別の場所へと移動した。
いくら死体人形を破壊しようと影を攻撃しなければ止めを刺す事はできず、やがて新しい足音が響くと通路から別の死体に取り着いたブラクが姿を現す。オウガに死体を破壊される事を予想して事前に複数の死体を下水道に運んでいたらしく、そんな彼にオウガは忌々し気な表情を浮かべる。
「話を聞かない奴だな」
「貴様……!!」
「いいから最後まで俺の話を聞け。言っておくが、その女を今すぐに殺す事もできるぞ?」
「ううっ……」
呪詛の侵攻が更に広まったアルドラは呻き声を上げ、もう意識も無くなっていた。そんな彼女をオウガは抱きかかえ、彼女を苦しむ原因を作り出したブラクを睨みつけた。
「これは取引だ、その女を長生きさせたければお前は俺に従うしかないぞ」
「ふざけるな!!」
「そうか、嫌ならここで殺すしかあるまいな」
「……やってみろ、その時はお前を必ず殺すぞ」
「殺す?どうやって?ここにいる俺を消した所で俺の本体には何の影響もない……どのみち、お前の女は死ぬ事に変わりはないぞ」
オウガの宣言にブラクはあくまでも余裕の態度を崩さず、オウガ自身も彼の言葉が虚言ではない事は分かっていた。ここにいるブラクはあくまでも死体に憑依したブラクの分裂体にしか過ぎず、仮に死体人形ごと影を消し去ったとしても本体であるブラクを殺さねばアルドラは救えない。
厄介な事に分裂体でもアルドラの呪詛の侵攻を速める能力は持ち合わせているらしく、その気になれば分裂体はアルドラは本当に殺す事ができる。それを知っているからこそオウガも迂闊には手を出せないが、もしも彼女が死ねば何があろうとオウガはブラク本体を見つけ出して殺すつもりだった。
「これが最後の警告だ……今すぐに消え失せろ、でなければ貴様等を見つけ出して1匹残らずに殺してやる」
「無駄だ、この俺がどれほど長い時を闇の世界で過ごしてきたと知っている?貴様が寿命を迎えて死ぬまで逃げ通す事など容易い事だ。そんな脅しは俺には通じんぞ」
「失せろと言っている!!」
オウガは全身から魔力を滲み出し、もしもブラクが消えないのであれば本気で彼を殺そうと考えていたが、この時にアルドラは苦し気な声を漏らす。
「うぐぅっ……」
「くっ……」
「どうした?その女を気遣って本気で戦えないのか?それでもかつては鬼人将と恐れられた男か?」
「貴様ぁあああっ!!」
我慢の限界を迎えたオウガはブラクに掴みかかろうとするが、この時にブラクは漆黒の水晶を取り出す。それを見たオウガは咄嗟に手を止めてしまい、彼が取り出した物を見てオウガは歯を食いしばる。
「馬鹿なっ……何故、それを貴様が持っている!?」
「知れた事よ……これを作り出したのはこの俺だ。ここでこいつを破壊すればどうなるのか、お前も良く知っているな?」
「ちぃっ……!!」
ブラクが取り出したのは闇属性の魔力が蓄積された魔水晶であり、普通の魔石や死霊石よりも厄介な代物だった。もしもこれが破壊された場合、この下水道内に大量の闇属性の魔力が蔓延してしまう。
この魔水晶は魔王軍が存在した時代、兵器として取り扱われていた。しかし、あまりにも敵味方に被害を与えすぎるという理由で魔王が直々に命令して使用を禁止した恐るべき殺人兵器である。名前は「黒爆水晶」と呼ばれ、かつて数万もの生物の命を奪った恐るべき兵器だった。
「貴様ならばこれには耐え切れるかもしれんが、お前の女はどうかな……試してみるか?」
「抜かせ……その兵器の事はよく知っている。それさえ破壊しなければ問題はない」
「確かにその通りだ。この魔道具がなければな」
「何!?」
右手に水晶を握りしめたブラクは反対の手で「万力」を想像させる形をした道具を取り出し、それに水晶を嵌め込む。その光景にオウガでさえも顔色を青ざめ、そんな表情を浮かべるオウガにブラクは笑い声をあげた。
「流石の貴様も言葉を失ったか。これを使えばどうなるのか、言わなくても分かるな」
「止めろ!!」
「オウガよ……俺はこれでも貴様の実力だけは高く買っている。お前ならばあの御方にも対抗できる力を持っている……だから協力しろ」
「あの御方だと……!?」
ブラクの発言にオウガは違和感を覚え、そんな彼に対してブラクは自分の目的の邪魔に成りえる存在を消すため、思いもよらぬ言葉を口にした。
「魔人将ラストを消す、そのためにお前にも協力してもらうぞ。あの御方はもう俺には必要ないからな」
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