不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,532 / 2,090
真・最終章 七魔将編

皆で力を合わせて……

しおりを挟む
「うりゃあああっ!!」
「は、早い!?」


ハルナのあまりの移動速度にハシラは驚き、彼女が動ている姿を間近で見るのは彼は初めてだった。まるで雷光の如く加速したハルナは迫りくる漆黒の塊に対して飛び込み、豪快に殴りつけて吹き飛ばす。


「おらぁっ!!」
『バ、バカナッ!?』


普通の人間がブラクの生み出した「黒塊」に触れれば呪詛に侵されるはずだが、ハルナの場合は闇を打ち消す雷の魔力で無効化する。彼女に殴りつけられた黒塊は弾けて消え去り、彼女は次の黒塊を狙おうとした。


「へっ、こんなもんか……うわわっ!?」
「ハルナ!?」
「あの子……空は飛べないようね」


黒塊を殴りつけるためにハルナは城壁から飛び降りてしまい、そのまま地上に向けて落下する。流石に空中では動けないらしく、そんな彼女を見てツバサは助けようとしたが他の者に止められる。


「ハルナならこの高さから落ちても問題ない!!それより、他のを何とかしないと!!」
『どんどん近付いてくるぞ!!』


ハルナの身体能力ならば城壁から落ちようと怪我せずに着地できる信じ、他の者は別方向から迫りくる黒塊の対処に急ぐ。それぞれ分かれて行動しなければ間に合わず、全員が別々に移動を行う。

ブラクが生み出した黒塊は全部で10個だが、その内の1つはハルナが掻き消した。残りの黒塊は9個であり、真っ先に動いたのはレミアだった。彼女は今度はツバサの力を借りず、聖痕の力を限界まで引き出して聖剣を振り抜く。


(お願いします!!もう一度だけ私に力を……エクスカリバー!!)


聖剣に祈りながらレミアは刃を振り下ろすと、刀身から光線の如く聖属性の魔力が放たれて黒塊を2つ貫く。光線に貫かれた黒塊は内部から崩壊し、その光景を見たレミアは驚いた表情を浮かべる。


「この、力は……!?」
「レミア!?」


光線を生み出した直後にレミアは魔力が切れた事で体力も限界を迎え、その場に倒れ込む。それを見たレナは彼女の元に向かうか悩んだが、今は黒塊の対処するのが先決だと思い直して後回しにする。


「行くぞぉっ!!」
「ダイン!?」


レナが一瞬だけレミアに意識を向けた瞬間、ダインは彼を追い越して二つの杖を振りかざす。ひとつはブラクから取り返した黒杖、そしてもう一つは監獄都市で手に入れた杖だった。二つの杖を手にしたダインは城壁の床に杖を差すと、杖から出来上がった影から二つの影人形を作り出す。


「シャドーマン・ダブル!!」
「うわっ!?凄い!!ダイン、何時の間にそんな技を覚えたの!?」
「今だよ!!」


二つの影人形を同時に作り出したダインは城壁の間近に迫っていた黒塊を二つ食い止め、そのまま魔力を吸収する。この場に居る人間の中で闇属性の魔法と一番相性がいいのはレミアよりもダインかもしれず、彼が作り出した影人形は魔力を吸い上げてさらに大きさを増す。

反対方向ではシズネが雪月花を構え、ハヤテも青嵐を手にしていた。二人はほぼ同時に別々の黒塊に向けて刃を抜き、最強の一撃を放つ。


「刺突・閃!!」
『居合一式……改!!螺旋斬!!』
『おおっ!!やるではないか!!』


シズネの繰り出した雪月花は凄まじい冷気を放出させて黒塊を貫き、刃から放たれる冷風で黒霧を吹き飛ばす。ハヤテの繰り出した刃から螺旋状の風邪の斬撃が放たれ、黒塊を貫くだけではなく、黒霧を吸収して吹き飛ばす。それを見たシュンが驚いた声を上げた。


「お、おい!!師匠、その技は俺も知らないぞ!?」
『ふんっ……何でも教えると思うな。私だってまだ成長期だ』
「流石ですね……ですが、私も負けていられません」


これで合計で7つの黒塊を吹き飛ばしたが、残された3つはかなり離れた位置に放たれていた。それを見たツバサはクサナギを利用して加速し、低空飛行を行いながら刃を振りかざす。


「嵐切り!!」


ツバサがクサナギを振り払うと、無数の風の斬撃が放たれて黒塊を切り刻む。通常の場合は斬られた瞬間に黒霧が広範囲に噴出するのだが、無数の風の斬撃が黒霧を吹き飛ばす。しかし、ツバサの魔力が限界だったのか彼女は一つしか掻き消す事ができず、残りの二つが城壁に衝突しようとしていた。


「いかん!!まだ残っているぞ!?」
『ふはははっ!!遂に吾輩の出番か!!』


城壁に向かってくる黒塊に対してゴウライは駆け出しながらデュランダルを振り回し、彼女は無意識に地属性の聖痕の力を発動させる。ゴウライ自身は特に意識していないが、彼女の百戦錬磨の肉体が無意識に黒塊の危険性を悟り、地属性の聖痕の力を引きだす。

甲冑の内側から紅色の光が放たれると、ゴウライは全身に地属性の魔力を纏いながら迫る。そして彼女はデュランダルにも魔力を込めると、豪快に黒塊に叩き付けた。


「ぬううんっ!!」
『嘘ぉっ!?』


まるで野球のようにゴウライは正面から迫ってきた黒塊を大剣で撃ち返し、その光景を見ていた者達は呆気に取られた。



※こいつ規格外すぎる……(; ゚Д゚)
しおりを挟む
感想 5,092

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。