不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

光の一撃

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『ナン、ダ……キサマハ……!?』
「あら、私の事を忘れたのかしら?私をあんな場所に飛ばしておいて……」
『キサマ……マサカ、アノトキノ!?』


ブラクはマリアの正体を思い出し、かつて自分が彼女の水晶札を利用して転移させた事を思い出す。今の今まで姿を現さなかった事に疑問を抱いていたが、まさかこの状況下でマリアが戻ってきた事に戦慄する。

竜巻を生み出したのはマリアであり、彼女は風属性の聖痕の力を使いこなしていた。元々は風属性の聖痕はマリアの母であるアイラ・ハヅキが宿していたが、それを孫であるレナが引き継いだ。しかし、人間である彼には完璧に使いこなす事ができず、マリアの元へと渡った。

今のマリアは母親以上に聖痕の力を使いこなし、今の彼女ならば竜巻を作り出す事も簡単にできた。そして竜巻の中に閉じ込められたブラクにマリアは冷めた視線を向け、まずは手始めに彼を痛めつけようと掌を伸ばす。


「マジックアロー」
『ヤ、ヤメッ……グアアアッ!?』


アイラの掌から七色に光り輝く魔法陣が展開されると、無数の光の矢が放たれてブラクの身体を貫く。ブラクは悲鳴を上げて逃げようとしたが、竜巻に閉じ込められた彼に逃げ場はない。

苦しむブラクを見てマリアは笑みを浮かべるが、それでも飽き足らずに彼女は今度は掌を上に構える。そして甥のレナもよく扱う「火球」を発動させた。但し、彼女の作り出す火球はレナのと比べても数十倍の大きさを誇り、小さな太陽を想像させる。


「これならどうかしら?」
『ヒイイッ!?』


火球をブラクに放り込むと、ブラクは逃げようとしたが竜巻に弾かれて逃げる事ができず、そのまま火球と接触した。その結果、火球が爆発して爆炎がブラクを飲み込むと、ブラクの悲鳴が響き渡る。



――ギャアアアアアッ!?



竜巻の中でブラクの悲鳴が響き渡り、やがて爆炎が収まった頃にはブラクは最早人型すら保てず、小さな黒煙の塊と化していた。その状態を見てマリアは少しは気が晴れたが、まだまだ彼女の攻撃は終わらない。


「まだ生きてるなんて大したものね……なら、この魔法で終わらせてあげるわ」
『アッ、アアッ……!?』
「もうまともに喋る事もできないようね……でも、。私を怒らせたことをあの世で後悔しなさい」


マリアは両手を重ね合わせると、意識を集中させるために瞼を閉じる。そして彼女は両手を天に掲げた瞬間、竜巻が晴れて巨大な魔法陣が上空に展開された。その魔法陣はかつてマリアが腐敗龍との戦闘で使用した「プロト・アイギス」と呼ばれる魔法陣と形が似ていたが、彼女が扱おうとしている魔法は防御魔法ではなく攻撃魔法である。

転移される前は一度も成功しなかった魔法だが、風属性の聖痕を手にした後にマリアは鍛錬を行い、かつて冒険者だった頃の感覚を取り戻す。彼女は初心に戻って自分を鍛え直した結果、新たな最上級魔法の習得に成功した。


「これは天の怒りよ。身をもって味わいなさい」
『アアアアッ……!?』


ブラクは天空に浮かんだ魔法陣を見て必死に逃げ出そうとするが、それをマリアが許すはずもなく、彼女は両腕を振り下ろす。その結果、天空に浮かんだ魔法陣が光り輝き、ブラクに目掛けて一筋の光線が降り注ぐ。





「――最上級魔法オーバーマジック……ホーリーレイ!!」




最上級魔法の中でも最も習得が難しいと言われる聖属性の攻撃魔法が発動され、ブラクは天から降り注いだ光の一撃を受けて完全に消滅する。この魔法は邪悪なる存在を滅する魔法だと言われ、かつて1万を超えるアンデッドの大群を葬ったという記録もある。

この魔法が発動すればかつて冒険都市を襲撃した腐敗龍であろうと浄化は免れず、聖剣エクスカリバーを越える一撃を受けたブラクは跡形もなく消え去った――







※補足

今回マリアが使用した最上級魔法は「プロト・アイギス」よりも習得条件が難しいです。聖属性の魔法の中でも珍しく攻撃機能を誇り、マリアが認知した敵の身を撃ち抜きます。但し、この魔法が絶大な効果を発揮するのは死霊系の敵だけであり、生物に対しては殆ど効果を発揮しません(せいぜい軽い衝撃を受ける程度)。

ちなみにマリアが扱える最上級魔法は他にもありますが、最高火力を誇るのは火属性の「プロメテウス」です。作中ではまだ出していませんが、もしも発動に成功すれば下位の竜種ならば一発で消し炭にできます。その分に魔力消費量も半端ないのでマリアも滅多に扱いません。
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