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真・最終章 七魔将編
魚人の目的
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「というか冒険者に依頼したの?こういうのは普通は国の兵士が対応するんじゃないの?」
「いえ、港町に滞在している警備兵は全員が返り討ちに遭ってしまい、一人も生き残っていません」
「一人も!?」
「はい、最初の襲撃の際に兵士全員が捕まり、そのまま海の中に引きずり込まれて……」
「……惨い殺し方をするわね」
魚人が港町に襲撃した際に警備兵は全滅していたらしく、この港町には兵士は一人も残っていない。そこで住民は金を出し合って他の街の冒険者に救援を求めたらしいが、未だに冒険者は訪れていないらしい。
「冒険者に依頼したのはいつかしら?」
「最初の襲撃が起きて警備兵が全滅した後、すぐに他の街に冒険者に依頼しました」
「じゃあ、約一か月前に依頼を出したという事ですか?ですが、まだ到着しないなんて……他の街とそれほど離れているんですか?」
「いいえ、一番近くの街ならば三日で辿り着けます」
「三日で辿り着ける距離なのに一か月も返事がない?それっておかしくないか?」
「そうね、普通ならばあり得ないわね」
住民の話を聞いてレナ達は疑問を抱き、他の街の冒険者がこの港町に訪れない理由が分からない。警備兵を全滅させるほどの危険な魔物に襲われたとなれば、冒険者ギルド側は早急に対応する案件である。
しかし、実際には冒険者がこちらに訪れる様子すらなく、魚人を追い返したレナ達を見た住民は遂に救援に訪れたと冒険者と勘違いするのも無理はない。それにしても獣人国の冒険者ギルドの対応の遅さにマリアは王国の冒険者の実質的なトップに立つ人間として苛立ちを抱く。
「自国の民が助けを求めているというのにこの対応の遅さ……獣人国の冒険者ギルドの質も落ちた物ね」
「マリア殿、あまりそういうことを言うのは……」
「聞かれてもいいわよ、どうせ何もできないのだから」
堂々と他国の冒険者ギルドを卑下するマリアにハンゾウは慌てて止めようとするが、他の者たちもマリアと同じ気持ちだった。既に大勢の被害が出ているにも関わらずに国の兵士や冒険者が動こうとしない事にレナも不満を抱く。
「……そういえば叔母様、この国にもS級冒険者の人達はいなかった?」
「ええ、そうね。彼等ならこの自体を知ればすぐに対応するはずよ」
随分と前の話になるがレナは他国のS級冒険者と出会った事があり、マリアとも知り合いのS級冒険者もいた。もしも二人が知っているS級冒険者ならばこのような事態を知ればすぐに対応するはずだが、一か月も誰も来ていない所を見ると話は伝わっていないらしい。
『安心しろご老人!!魚人如き、我々が倒してやる!!』
「ほ、本当ですか騎士様!?」
『うむ!!だが、吾輩は騎士ではないが……』
甲冑を纏っているゴウライを見て住民は騎士だと勘違いするが、それはともかくレナは住民に頼んで船を貸して貰えないのかを尋ねる。
「あの……この港町にまだ壊れていない船はありますか?魚人の住処を見つけるために船が必要なんですけど……」
「申し訳ありませんがこの港に残っている船は小舟しかありません。奴等が襲撃してきた時に大船は全て破壊されました……」
「どうして船を破壊したのかしら?」
「それも分かりません。ですが、奴等が襲ってきた時に人語を話す者もいました。そいつらは鮫のような姿をした船は何処かと騒いでいました」
「さ、鮫?」
「っ……!?」
住民の言葉にレナは意味が分からずに戸惑うが、彼の隣に立っていたホネミンは目を見開く。その彼女の異変に何人かが気付き、なにか心当たりがあるのかと疑問を抱く。
「鮫の形をした船、と言ったんですか?」
「え、ええ……間違いありません」
「そうですか……」
「ホネミン?何か心当たりがあるの?」
「…………」
レナの質問に彼女は答えようとせず、その場で腕を組んで考え込む。ホネミンの反応に他の者も疑問を抱くが、とりあえずは情報収集を終えたレナ達は街の住民の厚意でこの街の宿屋に案内してもらう――
――この街の宿屋は全て閉店していたが、魚人を追い払ったレナ達のために住民は特別に一番港から近い宿屋を貸してくれた。レナ達は個室を与えられ、それぞれが身体を休める。コトミンが誘拐されてからまだそれほど時間は経過しておらず、彼女が魚人の住処に辿り着いていないのはアイリスから教わっていた。
『コトミンはまだ無事ですよ。まだ遠く離れた場所にいますし、隙を突いて逃げ出そうとしているので魚人たちも大変苦労しているようです』
『そうか……ならいいんだけど』
『それよりもレナさんは今すぐにホネミンさんの所に行った方がいいですよ。さっきの話が気になるんでしょう?』
『ホネミンの所に?』
『ええ、私が話してもいいですけど本人から直接聞いた方がいいかもしれません』
いつもならばレナが知りたい情報を真っ先に話すアイリスだったが、今回はホネミンから直接話を聞いた方が良いと伝え、彼女の言葉に従ってレナはホネミンの部屋へ向かう。
「いえ、港町に滞在している警備兵は全員が返り討ちに遭ってしまい、一人も生き残っていません」
「一人も!?」
「はい、最初の襲撃の際に兵士全員が捕まり、そのまま海の中に引きずり込まれて……」
「……惨い殺し方をするわね」
魚人が港町に襲撃した際に警備兵は全滅していたらしく、この港町には兵士は一人も残っていない。そこで住民は金を出し合って他の街の冒険者に救援を求めたらしいが、未だに冒険者は訪れていないらしい。
「冒険者に依頼したのはいつかしら?」
「最初の襲撃が起きて警備兵が全滅した後、すぐに他の街に冒険者に依頼しました」
「じゃあ、約一か月前に依頼を出したという事ですか?ですが、まだ到着しないなんて……他の街とそれほど離れているんですか?」
「いいえ、一番近くの街ならば三日で辿り着けます」
「三日で辿り着ける距離なのに一か月も返事がない?それっておかしくないか?」
「そうね、普通ならばあり得ないわね」
住民の話を聞いてレナ達は疑問を抱き、他の街の冒険者がこの港町に訪れない理由が分からない。警備兵を全滅させるほどの危険な魔物に襲われたとなれば、冒険者ギルド側は早急に対応する案件である。
しかし、実際には冒険者がこちらに訪れる様子すらなく、魚人を追い返したレナ達を見た住民は遂に救援に訪れたと冒険者と勘違いするのも無理はない。それにしても獣人国の冒険者ギルドの対応の遅さにマリアは王国の冒険者の実質的なトップに立つ人間として苛立ちを抱く。
「自国の民が助けを求めているというのにこの対応の遅さ……獣人国の冒険者ギルドの質も落ちた物ね」
「マリア殿、あまりそういうことを言うのは……」
「聞かれてもいいわよ、どうせ何もできないのだから」
堂々と他国の冒険者ギルドを卑下するマリアにハンゾウは慌てて止めようとするが、他の者たちもマリアと同じ気持ちだった。既に大勢の被害が出ているにも関わらずに国の兵士や冒険者が動こうとしない事にレナも不満を抱く。
「……そういえば叔母様、この国にもS級冒険者の人達はいなかった?」
「ええ、そうね。彼等ならこの自体を知ればすぐに対応するはずよ」
随分と前の話になるがレナは他国のS級冒険者と出会った事があり、マリアとも知り合いのS級冒険者もいた。もしも二人が知っているS級冒険者ならばこのような事態を知ればすぐに対応するはずだが、一か月も誰も来ていない所を見ると話は伝わっていないらしい。
『安心しろご老人!!魚人如き、我々が倒してやる!!』
「ほ、本当ですか騎士様!?」
『うむ!!だが、吾輩は騎士ではないが……』
甲冑を纏っているゴウライを見て住民は騎士だと勘違いするが、それはともかくレナは住民に頼んで船を貸して貰えないのかを尋ねる。
「あの……この港町にまだ壊れていない船はありますか?魚人の住処を見つけるために船が必要なんですけど……」
「申し訳ありませんがこの港に残っている船は小舟しかありません。奴等が襲撃してきた時に大船は全て破壊されました……」
「どうして船を破壊したのかしら?」
「それも分かりません。ですが、奴等が襲ってきた時に人語を話す者もいました。そいつらは鮫のような姿をした船は何処かと騒いでいました」
「さ、鮫?」
「っ……!?」
住民の言葉にレナは意味が分からずに戸惑うが、彼の隣に立っていたホネミンは目を見開く。その彼女の異変に何人かが気付き、なにか心当たりがあるのかと疑問を抱く。
「鮫の形をした船、と言ったんですか?」
「え、ええ……間違いありません」
「そうですか……」
「ホネミン?何か心当たりがあるの?」
「…………」
レナの質問に彼女は答えようとせず、その場で腕を組んで考え込む。ホネミンの反応に他の者も疑問を抱くが、とりあえずは情報収集を終えたレナ達は街の住民の厚意でこの街の宿屋に案内してもらう――
――この街の宿屋は全て閉店していたが、魚人を追い払ったレナ達のために住民は特別に一番港から近い宿屋を貸してくれた。レナ達は個室を与えられ、それぞれが身体を休める。コトミンが誘拐されてからまだそれほど時間は経過しておらず、彼女が魚人の住処に辿り着いていないのはアイリスから教わっていた。
『コトミンはまだ無事ですよ。まだ遠く離れた場所にいますし、隙を突いて逃げ出そうとしているので魚人たちも大変苦労しているようです』
『そうか……ならいいんだけど』
『それよりもレナさんは今すぐにホネミンさんの所に行った方がいいですよ。さっきの話が気になるんでしょう?』
『ホネミンの所に?』
『ええ、私が話してもいいですけど本人から直接聞いた方がいいかもしれません』
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