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真・最終章 七魔将編
海中の魚人
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『逃がすかっ!!』
『くっ!?人間如きに捕まるか!!』
風の精霊のお陰でレナは水中でも自在に動けるようになったが、タルコも速度を上昇させて逃走する。流石に魚人なだけはあって陸地とは比べ物にならない俊敏さを見せるが、それを見越してレナの方も準備を行う。
(この状態だと下手な魔法や剣技は扱えないけど、技能は問題なく使える!!)
既にレナは海底に到達しているので日の光が届かぬ暗黒空間に覆われているが、暗視の技能のお陰でタルコの姿を捕らえる事はできた。決してタルコを見逃さないように後を追いかけ、観察眼の技能を発動させて周囲の様子を伺う。
逃げ回るタルコに目掛けてレナは突っ込み、徐々にだが距離を縮めていく。タルコは必死にレナを引き離そうと海底の障害物を利用して逃げようとするが、観察眼でタルコの動きを把握しているレナは決して彼を逃さない。
『ば、馬鹿な!?何故、人間如きがここまで速く動ける!?』
『うおおおおっ!!』
タルコの背後にまで接近したレナは腕を伸ばすと、風の膜を貫いてタルコに手を伸ばす。この時にレナの手に水圧が襲い掛かるはずだったが、それを予測してレナは魔鎧術を発動させて蒼炎を腕に纏う。
自らの魔力で風の膜の外に出した腕を守護すると、蒼炎を纏った腕でタルコの触手を掴む。タルコは蒼の炎に包まれた腕に掴まれて悲鳴を上げ、慌てて引き剥がそうとした。
『ひいいっ!?は、離せ!!』
『安心しろ、タコ焼きは好きだけど食べたりしないから!!』
『や、止めろ!?私はまずいぞ!!』
捕まったタルコは必死に逃げ出そうとするがレナは万力の如き握力で逃さず、そのまま彼を引き寄せて近くの岩礁に叩き付ける。見かけによらないレナの馬鹿力で叩き付けられたタルコは目を回し、この時に血が滲む。
『ぐあああっ!?』
『大人しくしろ!!』
『ま、待て……止めろ、離せ!!ここで血を流したら……』
自分の身体から流れ出る血を見てタルコは慌てふためき、そんな彼の異変に気付いたレナは不思議に思う。しかし、すぐにタルコの恐怖の理由が判明した。彼が血を流した瞬間、周囲から光が放たれる。
水中に混じった血の臭いに反応したのか、周囲に身を潜めていた海底の生物が姿を現わす。その正体は少し前に現れたリバイアサンを想像させる姿をしており、恐らくはリバイアサンの幼体と思われる魔物が姿を現わす。
『シャアアアッ!!』
『うわっ!?』
『ひいいっ!?』
数匹のリバイアサンの幼体がレナとタルコに目掛けて襲い掛かり、慌ててレナはタルコを引き寄せて移動を行う。タルコの血の臭いに釣られてリバイアサンの子供達が追いかけ、それを見たレナは仕留めるべきか考える。
(こいつらなら倒せそうだけど、下手に殺すと親に恨まれるかもしれない)
先ほど襲い掛かってきたリバイアサンの事を思い出し、もしも子供に手を出してリバイアサンが引き返して来たらと考えたレナは逃げる事に集中した。潜水船に向かって移動し、この時に彼は空間魔法を発動させて自分の前方に黒渦を作り出す。
『脱出!!』
『ぎゃあああっ!?』
『シャアアアッ!?』
海中に出現した黒渦に目掛けてレナは突っ込むと、事前に潜水船の中に設置していた黒渦から飛び出し、この時に海水と共にタルコも流れ込む。潜水船に移動するとレナは黒渦を閉じてリバイアサンが追ってこれないようにすると、すぐに他の仲間が駆けつけてきた。
「レナ、大丈夫か!?」
「魚人を捕まえたのね!!」
『ほう、こいつが魚人か……食いごたえがありそうだな』
「止めなさい、お腹を壊すわよ」
「ひぃいいいっ!?」
「ぷはぁっ……ぎりぎりだったか」
海底に潜る前にレナは空間魔法を利用して潜水船に出入口を確保し、いざという時に戻って来られるように準備はしておいた。但し、大陸に残してきた黒渦の方は完全に消えてしまったため、大陸に戻る場合はマリアの転移魔法で帰るしか方法はなくなった。
マリアから受け取った水晶札で造り出した風の膜が切れる頃合いを見計らってレナは潜水船に引き返す事に成功し、無事にタルコだけを連れ出す事ができた。リバイアサンの幼体がまさか海底に潜んでいるとは思わなかったが、今頃は消えたレナ達を海中で探し回っているのは簡単に想像できる。
「さてと……苦労をかけさせたな」
「コトミン殿は何処に連れ去ったのでござるか!!」
「正直に白状しなさい!!」
「ま、待て!!降参だ、許してくれ!!何でも話すからたこ焼きは止めてくれ!?」
「たこ焼き?」
必死に命乞いを行うタルコに対して全員が武器を下ろすと、改めてレナは退魔刀を抜いてタルコに構える。コトミンを連れ去った事は許しがたいが詳しい事情を皆に知らせるためにレナは説明を求めた。
「お前等の目的を答えろ、どうしてコトミンを連れ去ったのか全部吐け!!」
「わ、分かった……全て話す、だから命だけは助けてくれ」
「……まあ、こっちもだいたいの事情は察してますけどね」
アイリスを通してレナとホネミンだけは魚人族側の思惑は把握しているが、他の人間には話していないのでタルコを利用して仲間達にも事情を把握してもらう事にした。
『くっ!?人間如きに捕まるか!!』
風の精霊のお陰でレナは水中でも自在に動けるようになったが、タルコも速度を上昇させて逃走する。流石に魚人なだけはあって陸地とは比べ物にならない俊敏さを見せるが、それを見越してレナの方も準備を行う。
(この状態だと下手な魔法や剣技は扱えないけど、技能は問題なく使える!!)
既にレナは海底に到達しているので日の光が届かぬ暗黒空間に覆われているが、暗視の技能のお陰でタルコの姿を捕らえる事はできた。決してタルコを見逃さないように後を追いかけ、観察眼の技能を発動させて周囲の様子を伺う。
逃げ回るタルコに目掛けてレナは突っ込み、徐々にだが距離を縮めていく。タルコは必死にレナを引き離そうと海底の障害物を利用して逃げようとするが、観察眼でタルコの動きを把握しているレナは決して彼を逃さない。
『ば、馬鹿な!?何故、人間如きがここまで速く動ける!?』
『うおおおおっ!!』
タルコの背後にまで接近したレナは腕を伸ばすと、風の膜を貫いてタルコに手を伸ばす。この時にレナの手に水圧が襲い掛かるはずだったが、それを予測してレナは魔鎧術を発動させて蒼炎を腕に纏う。
自らの魔力で風の膜の外に出した腕を守護すると、蒼炎を纏った腕でタルコの触手を掴む。タルコは蒼の炎に包まれた腕に掴まれて悲鳴を上げ、慌てて引き剥がそうとした。
『ひいいっ!?は、離せ!!』
『安心しろ、タコ焼きは好きだけど食べたりしないから!!』
『や、止めろ!?私はまずいぞ!!』
捕まったタルコは必死に逃げ出そうとするがレナは万力の如き握力で逃さず、そのまま彼を引き寄せて近くの岩礁に叩き付ける。見かけによらないレナの馬鹿力で叩き付けられたタルコは目を回し、この時に血が滲む。
『ぐあああっ!?』
『大人しくしろ!!』
『ま、待て……止めろ、離せ!!ここで血を流したら……』
自分の身体から流れ出る血を見てタルコは慌てふためき、そんな彼の異変に気付いたレナは不思議に思う。しかし、すぐにタルコの恐怖の理由が判明した。彼が血を流した瞬間、周囲から光が放たれる。
水中に混じった血の臭いに反応したのか、周囲に身を潜めていた海底の生物が姿を現わす。その正体は少し前に現れたリバイアサンを想像させる姿をしており、恐らくはリバイアサンの幼体と思われる魔物が姿を現わす。
『シャアアアッ!!』
『うわっ!?』
『ひいいっ!?』
数匹のリバイアサンの幼体がレナとタルコに目掛けて襲い掛かり、慌ててレナはタルコを引き寄せて移動を行う。タルコの血の臭いに釣られてリバイアサンの子供達が追いかけ、それを見たレナは仕留めるべきか考える。
(こいつらなら倒せそうだけど、下手に殺すと親に恨まれるかもしれない)
先ほど襲い掛かってきたリバイアサンの事を思い出し、もしも子供に手を出してリバイアサンが引き返して来たらと考えたレナは逃げる事に集中した。潜水船に向かって移動し、この時に彼は空間魔法を発動させて自分の前方に黒渦を作り出す。
『脱出!!』
『ぎゃあああっ!?』
『シャアアアッ!?』
海中に出現した黒渦に目掛けてレナは突っ込むと、事前に潜水船の中に設置していた黒渦から飛び出し、この時に海水と共にタルコも流れ込む。潜水船に移動するとレナは黒渦を閉じてリバイアサンが追ってこれないようにすると、すぐに他の仲間が駆けつけてきた。
「レナ、大丈夫か!?」
「魚人を捕まえたのね!!」
『ほう、こいつが魚人か……食いごたえがありそうだな』
「止めなさい、お腹を壊すわよ」
「ひぃいいいっ!?」
「ぷはぁっ……ぎりぎりだったか」
海底に潜る前にレナは空間魔法を利用して潜水船に出入口を確保し、いざという時に戻って来られるように準備はしておいた。但し、大陸に残してきた黒渦の方は完全に消えてしまったため、大陸に戻る場合はマリアの転移魔法で帰るしか方法はなくなった。
マリアから受け取った水晶札で造り出した風の膜が切れる頃合いを見計らってレナは潜水船に引き返す事に成功し、無事にタルコだけを連れ出す事ができた。リバイアサンの幼体がまさか海底に潜んでいるとは思わなかったが、今頃は消えたレナ達を海中で探し回っているのは簡単に想像できる。
「さてと……苦労をかけさせたな」
「コトミン殿は何処に連れ去ったのでござるか!!」
「正直に白状しなさい!!」
「ま、待て!!降参だ、許してくれ!!何でも話すからたこ焼きは止めてくれ!?」
「たこ焼き?」
必死に命乞いを行うタルコに対して全員が武器を下ろすと、改めてレナは退魔刀を抜いてタルコに構える。コトミンを連れ去った事は許しがたいが詳しい事情を皆に知らせるためにレナは説明を求めた。
「お前等の目的を答えろ、どうしてコトミンを連れ去ったのか全部吐け!!」
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「……まあ、こっちもだいたいの事情は察してますけどね」
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