不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,686 / 2,090
真・最終章 七魔将編

ハルナの修行相手

しおりを挟む
「うおりゃあああっ!!」
「シャアアアッ!!」


塔の大迷宮の最上階層、その中でも最強の戦闘力を誇る「白竜」を相手にハルナは戦っていた。彼女と白竜は草原にて対峙し、その様子を大迷宮の管理者であるリーリスは離れた所で見守っていた。


「ほうほう、これは思ったよりもやりますね。レナさんも相当ですが、肉体的な強さはハルナさんの方が上かもしれません」


白竜を相手にハルナは一人で戦い、彼女は全身から電流を迸らせながら白竜を殴りつける。しかし、竜種の中でも最強の白竜種であるはハルナの攻撃を受けても怯まず、幾度も彼女を吹き飛ばす。


「シャアッ!!」
「ぐああっ!?」


ハクの放った尻尾の一撃でハルナは吹き飛び、草原の湖の中に突っ込む。その様子を見てリーリスはそろそろ助けに向かうべきかと考えたが、すぐに湖からハルナは飛び出してきた。


「ふがぁっ!!」
「シャアッ!?」


湖から飛び出したハルナは口に魚を加え、戦闘の際中だというのに魚型の魔物を食べながら戻る。彼女は魚を電流で焼いて飲み込むと、ハクに目掛けて突っ込む。先ほどから彼女は何度吹き飛ばされようと懲りずにハクに挑み、休憩も挟まずに戦い続ける。

ハルナの攻撃を受ける度にハクもよろけるが、大きな損傷は負っていない。理由としてはハクは聖属性の魔力を宿す竜種であり、光が当たる場所ならば再生能力が発動して怪我も治ってしまう。前にレナ達がハクを追い詰める事ができたのは洞窟の中での戦闘だったためであり、もしも光が当たる場所で戦っていたら苦戦していただろう。


「シャアアッ!!」
「舐めんなっ!!」
「アガァッ!?」


またもや突っ込んできたハルナにハクは口元から吐息ブレスを吐き出そうとしたが、その前にハルナは顎を蹴り上げて口元を塞ぐ。白竜種の吐息は光線の如く放たれるため、流石のハルナも正面から受ければ無事では済まない。だからこそ彼女はハクの口元を蹴り上げて攻撃を阻止する。

いくら再生能力を持っていようと殴られれば痛みを追い、再生が追いつかない程に損傷を与えられたら意味はない。徐々にだがハルナはハクを追い詰めていき、最終的にはハクは空へ逃げ出してしまう。


「シャウッ!!」
「あ、こら!!逃げんな!?」


翼を広げて空に跳び出ったハクに対してハルナは文句を告げるが、いくら雷の如く早く動けると言ってもハルナは空を飛ぶ事はできない。彼女の攻撃が届かない場所に退避すると、ハクは口元を開いて今度こそ光の吐息を放とうとした。


「アガァッ……!!」
「くそっ……こうなったら!!」


ハルナは両手を交差させると雷の聖痕を発動させ、更に彼女が背中に背負っていたカラドボルグが輝き出す。ハルナの異変に気付いたハクは即座に口元から光線を解き放つ。


「ガアアアアアッ!!」
「うおおおおおっ!!」


上空から光線が放たれるとハルナは全身に金色の電流を纏わせ、ハクの元に目掛けて飛び込む。光線を放つ間は空中に浮かぶ白竜も隙だらけとなり、彼女は光線を躱しながらハクの元に突っ込む。

金色の雷を纏ったハルナはハクに目掛けて突っ込み、本物の雷の如く加速しながらハクの背中の翼を貫く。背中を貫かれたハクは悲鳴を上げて地面に向けて落下する。


「ギャアアアッ!?」
「わっ!?」


ハクが悲鳴を上げながら地上に落下する光景を確認してリーリスは驚き、階層全体に振動が走った。ハクは地面に衝突すると痙攣し、前進に電流が流れていた。


「まさか!?あのハクが敗れるなんて……」


リーリスは信じられない表情を浮かべて空中を見上げると、そこにはハルナが拳を突き出した状態で浮かんでいた。彼女は金色の電流を纏った状態で空中に浮揚していたが、やがて電流が消えると彼女は白目を剥いて湖に落下した。


「あっ……」


湖に落下したハルナを見てリーリスは即座に飛行ユニットを展開させ、彼女が墜落した湖に向かう――





――数分後、湖の中からハルナを回収したリーリスは彼女を地面に横たわらせる。大量の水を吸い込んで死にかけているハルナに対し、面倒くさそうにリーリスはお腹を踏んで水を吐き出させる。


「ほら、起きてください!!」
「ぶふぅっ!?げほっ、げほっ!!」


漫画のように噴水のように大量の水を口元から吐き出したハルナは目を覚まし、彼女は苦し気な表情を浮かべてリーリスの顔を見上げる。何が起きたのか分かっていない様子であり、彼女はリーリスに尋ねた。


「あ、あいつは……」
「あいつ?ハクの事を言っているのならそこで伸びてますよ」
「何だって!?」


ハルナはリーリスの言葉を聞いて首を向けると、そこには電流で感電したハクが横たわっており、それを見た彼女は信じられない表情を浮かべながら自分の両手を見つめた。最後の攻撃が成功し、遂にあの白竜を気絶させたと知って彼女は喜ぶ。


「や、やったぜ……うええっ!?」
「ほら、無理しないでください。さっさと水を吐き切って」


しかし、湖に落ちたせいでハルナは予想以上に水を飲み込んだらしく、彼女は全ての水を吐き出すまでリーリスに介抱された。
しおりを挟む
感想 5,092

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。