不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

炎龍戦

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「来ますよ!!避けてください!!」
「ウル!!」
「ウォオオンッ!!」


上空から迫りくる炎塊に対してウルは駆け出すと、隕石の如き勢いで地上に炎塊が衝突する。炎というよりも爆撃という表現が正しく、もしも反応が遅れていればレナ達は爆炎に飲み込まれていた。

初撃はどうにか逃げ切れたが、次々と地上へ向けて炎塊が落下していく。それに対してレナは退魔刀と鏡刀を構えるが、下手に炎塊に攻撃すれば爆炎に襲われてしまう。そこでホネミンはレナに魔法で対処する様に助言した。


「剣では駄目です!!魔法を撃って空中で爆破してください!!」
「仕方ないな……火炎弾!!」
「ウォンッ!?」


武器を戻したレナは空に向けて両手を構えると、一際大きな火炎弾を放つ。遠距離攻撃ならば風刃の方が攻撃速度も規模も大きいが、風属性の魔力では火属性の魔力に対抗はできない。場合によっては魔法を吸収されて最悪の結果を生み出す。

落ちてくる炎塊に対してレナは火炎弾を撃ち込む事で空中で爆発させ、爆発に巻き込まれた他の炎塊が爆発を繰り返す。連鎖的に空中で爆発が起きて地上に存在するレナ達は難を逃れるが、あまり喜んではいられない。


「炎龍の元へ向かいましょう!!こうなったらそれしか方法はありません!!」
「分かってる!!ウル、走れ!!」
「ウォオオオンッ!!」


レナの命令通りにウルは火山跡地に目掛けて突っ込み、全速力で地上を駆け抜けた。既に空から降り注ぐ炎塊によって地上は火の海と化そうとしていたが、それに対してレナはホネミンに声をかける。


「ホネミン!!頼むぞ!!」
「仕方ないですね、予定よりは大分早くなりましたが……魔装!!」
「ウォンッ!!」


ホネミンはウルにしがみつくと自分の魔力を送り込み、武器に魔力を纏わせる魔刀術の要領でウルの全体に魔力を包み込む。やがてウルは全身が白色の魔力に覆われ、ホネミンの作り出した魔鎧を身に付けた。


「よし、これならいけるはずだ!!頑張れウル!!」
『ガウッ!!』
「ううっ……ちょっとこれはきついですね、私でも長くは持ちませんよ」


魔鎧をまとったウルは火の海を駆け抜け、ホネミンが作り出したを魔鎧のお陰で炎を浴びても肉体を守る事ができた。但し、この方法だとホネミンの負担が大きいために急いで火の海を抜け出さなければならない。

火属性の魔力で生み出された炎は普通の水では消す事はできず、水属性の魔法かあるいは時間経過による自然消滅まで待たなければならない。そのために火の海を突破するまでの間はウルを守らなければならず、レナは彼の背中に乗りながら火山跡地までの距離を測る。


「奴は何処にいる!?」
「魔力が大き過ぎて近すぎると感知系の能力も上手く作動しませんね……こういう時こそアイリス様頼りです!!」
「分かってる!!」


レナはアイリスと交信して炎龍の正確な位置を探ろうとした時、唐突に上空から降り注いでいた炎塊が消え去る。そしてレナ達の立っている場所が影に覆われると、即座に全員が上空を見上げて驚愕の表情を浮かべた。





「――待っていたぞ、人間共」




上空に存在したのは炎龍であり、そして炎龍の頭の上には七魔将のラストの姿があった。実際に顔を合わせるのは二度目だが、レナはラストを見て直感で気づいた。これまでに戦ってきた七魔将も強かったが、この男は別格の存在だと剣鬼の本能が語り掛ける。


(こいつがラスト……七魔将の最強の将軍か)


七魔将の長を勤め、魔王の右腕として世界の国々を恐怖に陥れた存在を前にしてレナは無意識に退魔刀を抜く。そんなレナ達に対してラストは炎龍に乗り込んだ状態で見下ろし、そして彼は炎龍に命令を下す。


「焼き尽くせ」
「まずい!?レナさん、防いでください!!」
「分かってる!!ウル、伏せろ!!」
『ウォンッ!?』


ラストの言葉を聞いて彼が次にどのような行動を取るのかを理解したレナは退魔刀を構えると、炎龍はラストの命令に従って口元を開く。ラストの目的は至近距離からの炎龍の火炎の吐息であり、レナ達を言葉通りに焼き尽くそうとする。

火竜の火炎の吐息も相当な威力を誇るが、その火竜よりも圧倒的な力を誇る炎龍の放つ火炎の吐息は大地を焼き尽くす。まともに受ければ炎には強い耐性を持つ地竜であろうと耐え切れず、正に世界を滅ぼす力を持つ存在に相応しい攻撃だった。



――オアアアアアッ!!



炎龍は顎が張り裂けないばかりに口元を開くと、特大の火炎の塊を放つ。それを見たレナは避け切れないと判断すると、彼は退魔刀を構えて迎撃の準備を行う。ガジンによって打ち直された退魔刀には炎の紋様が浮かび、彼は退魔刀を信じて炎龍の攻撃を迎え撃つ。


(信じるんだ、この剣を……今までに培った力を!!)


自分を支え続けた愛剣と培ってきた戦闘技術を信じてレナは炎龍の攻撃を待ち構えると、遂に炎龍は特大の火炎の塊を放つ。仮に避けたとしても地上に衝突した時点で大地が吹き飛び、レナ達は爆発に巻き込まれて確実に死亡する。ならば生き延びるためには正面から立ち向かうしかなかった。
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