不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

レナVSギラン

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(この人、強すぎる……手加減して勝てる相手じゃない!?)


レナはギランと鍔迫り合いの状態から押し返す事ができず、これまで数々の剛剣の剣士と戦ってきたがギラン以上の膂力を誇る相手はいなかった。あのゴウライですらも超える腕力を持っているかもしれず、咄嗟にレナは戦技を発動させて脱する。


「受け流し!!」
「ちぃっ!?」


ギランのデュランダルを反らして離れると、即座にレナは距離を取って冷静に話し合おうとした。だが、ギランは離れようとするレナに対して接近する。


「逃さん!!」
「えっ!?」


驚いた事にギランは縮地を扱えるらしく、彼は一瞬でレナの背後に移動を行う。レナよりも体格が大きいながらに縮地のような技能まで扱え、慌ててレナは大剣でギランの攻撃を受け止めた。


「はああっ!!」
「ぐうっ!?」


振り下ろされたデュランダルに対して今度はレナは大剣で受け止める形になり、彼の足元に亀裂が生じた。並の巨人族を上回る腕力でギランは攻撃を繰り出し、攻撃を受ける度にレナは身体に衝撃が走る。まともに受ければ無事では済まず、どうにか防ぐのが精いっぱいだった。

大剣を両手で構えたレナに対してギランはデュランダルを押し込み、徐々にレナの足元の亀裂が広がっていく。このまま地面にめり込みそうな勢いで押し込まれ、どうにかレナは押し返そうとするがびくともしない。


(なんて力だ……!?)


娘のシズネは突き技を主体とした剣士だが、ギランはゴウライやバルと同じく剛剣の剣士であり、攻撃全てが必殺の威力を誇る。しかし、それはレナも同じで彼は気合を込めて押し返す。


「負けるかぁっ!!」
「何っ!?」


押し負ける前にレナは全力を発揮させ、限界強化を発動させて押し返す。いきなり力が増したレナにギランは戸惑うが、刃を押し返したレナはギランの腹部に蹴りを放つ。


「離れろっ!!」
「ぐぅっ!?」


現在のギランは鎧の類を身に着けておらず、まともにレナの蹴りを受けた彼は交代した。並の人間ならば限界強化を発動させたレナの蹴りを喰らえばひとたまりもないが、ギランは肉体の方も頑丈らしくレナの攻撃を受けても怯んだ程度で平気そうだった。


「小僧!!貴様、何者だ!?」
「だから……誤解です!!僕は別にミズネさんを誘拐しようとなんて」
「誘拐だと!?」


レナは事情を説明しようとしたが、ギランは誘拐という言葉だけに反応して怒りを露わにし、彼が言い終わる前にデュランダルを構えた。またもや縮地を発動させて接近するつもりかとレナは思ったが、この時にデュランダルの刃が振動を始めた。

刃が振動したデュランダルを見てレナは嫌な予感を抱き、少し離れた場所でミズネの介抱を行っていたホネミンも驚愕する。ギランは信じ難い事にデュランダルの能力を解放できるらしく、こんな街中で聖剣の力を使おうとしていた。


「ちょっ!?レナさん、その人を止めて下さい!!こんな場所で聖剣の力を使われたら大変な事になりますよ!?」
「止めろと言われても……どうすればいいんだよ!?」
「はぁあああっ!!」


デュランダルの刃を振動させながらギランはレナに対して構えると、今度はまともに受けたら危険だと判断したレナは手にしている大剣に「物質変換」の能力を発動させる。聖剣デュランダルに対抗できるのは他の聖剣か、あるいは七大魔剣のような強力な武器以外にはあり得ない。

悩んだ末にレナは選択したのは七大聖剣でもなければ七大魔剣でもなく、この時代には存在しないはずの自分の愛剣「退魔刀」を再現した。錬金術師の能力でレナは退魔刀を再現すると、ギランが攻撃を仕掛ける前に突っ込む。


「蒼炎!!」
「何!?」


退魔刀を再現したレナは更に魔刀術で刃に蒼炎を纏わせ、全力の一撃を繰り出す。意識を集中させて自分の誇る最強の戦技を発動させ、それに対してギランはデュランダルを構えた。


「一刀両断!!」
「吹き飛ばせ、デュランダル!!」


レナの退魔刀とデュランダルが衝突した瞬間、都市中に轟音が響き渡り、強烈な衝撃波が発生した。ホネミンはミズネを庇って地面に伏せ、大量の土煙が舞い上がった――






――ホネミンは魔鎧術を発動させて自分の全身に魔力を包み込み、抱きかかえていたミズネの様子を伺う。ミズネは苦し気な表情を浮かべるが生きており、彼女はようやく目を覚ました。


「う、ううっ……ここは?」
「ふうっ、危ない所でしたね……大丈夫ですか?」
「あ、貴女は……誰ですか?」


目を覚ましたミズネはホネミンに抱きかかえられている事に驚き、彼女は何が起きたのか理解できなかった。だが、すぐに気絶する前の出来事を思い出し、自分は攫われそうになった事を思い出す。


「そうだ、私はお客様たちに囲まれて……!?」
「大丈夫ですよ、その人たちはもう捕まえています。それよりも問題なのは……あっちですよ」
「え?」


ミズネはホネミンの指し示す方向に視線を向けると、そこには大量の砂煙が舞い上がっていた。そして砂煙の中から金属音が何度も響き渡り、やがて土煙が晴れるとそこには傷だらけのレナとギランの姿があった。
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