不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,824 / 2,091
蛇足編

デュランダルに認められた男

しおりを挟む
「……馬鹿な、我が聖剣の一撃を受け止めただと」
「受け止めたんじゃない……弾き飛ばしたんだよ」
「戯言を!!」


ギランはデュランダルの攻撃を正面から受けて生き延びたレナに動揺するが、そんな彼にレナは不敵な笑みを浮かべる。それを見たギランは激しく憤り、彼に目掛けてデュランダルを繰り出す。

退魔刀を再現したレナはデュランダルの攻撃を正面から受けると、今度は弾かれる事もなく受け切れた。先ほどのようにギランは能力は使用せず、正面から切り合う。


「はあああっ!!」
「おりゃあっ!!」
「ギ、ギラン様!?これはいったい……」
「ちょっと、貴女はギランさんの恋人でしょ!?早く何とかして下さい!!」


ミズネは起きて早々にギランが見知らぬ少年と切り合う姿を見て動揺し、そんな彼女にホネミンは早く二人を止める様に頼む。しかし、二人の戦いは更に激化していく。


「ふんっ!!」
「おっと、何度も引っかかるか!!」
「何だと!?」


縮地を発動させて背後に回ろうとしたギランに対し、それを先読みしてレナも縮地を発動して移動を行う。縮地は瞬間移動の如く高速で場所を移動する事ができるが、大柄なギランよりも小柄なレナの方が扱いこなせる。

背後に回ろうとしたギランの更に背後にレナは移動を行い、彼の背中に目掛けて蹴りを喰らわせた。思わぬ一撃を受けたギランは地面に倒れそうになるが、咄嗟にデュランダルを地面に突き刺して阻止する。一方でレナは退魔刀の効果時間がもう少しで切れる事に気が付く。


(物質変換は長くは持たない……次の攻撃でどうにかしないと)


物質変換の能力はせいぜいが数十秒しか継続せず、効果が切れると退魔刀は元の大剣に戻ってしまう。しかし、アダマンタイトで構成されたデュランダルに対抗できるのは同じくアダマンタイト製の退魔刀以外にはあり得ない。


「おのれ小僧……今度こそ吹き飛ばしてやる!!」
「……またか」


ギランはデュランダルを構えると、刃を振動させてレナに向けた。デュランダルの能力を解放すると刃が振動し、その振動が早いほどに強烈な衝撃波を繰り出す。しかし、それならばどうしてギランは最初から能力を使用しなかったのか、それは場所の問題だった。


(ここは建物がたくさんあるから聖剣の力を完全に解放したら大勢の被害が生まれる。だから聖剣を自由に扱えないんだ)


最初からギランが聖剣の力を解放させていた場合、城下町には大きな被害が生まれる。下手をしたら大勢の住民が死んでしまうかもしれず、だからこそギランはデュランダルを扱えなかった。実際の所は理由はそれだけではなく、レナのような少年に対して聖剣の力を使うなど彼の武人としての誇りも傷つく。しかし、得体のしれない能力を見せたレナを警戒してギランも本気で戦う。

現在のレナは一本道の街道に立っており、彼の後方には数十メートル先までは建物は存在しない。だからこそ聖剣で攻撃する絶好の機会ではあったが、レナは聖剣が繰り出される前に自分の退魔刀に蒼炎を再び纏う。


「来いっ!!」
「ふんっ!!今度は止められんぞ!!」
「や、止めてください!!ギラン様!!」
「危ない!?離れてください!!」


ミズネは慌てて二人の間に割り込んで止めようとしたが、それを見たホネミンが彼女に抱きついて止めた。ここまで来たらもう二人は止める事はできず、ギランはデュランダルを振りかざす。


「はぁあああっ!!」
「……不動!!」


聖剣が振り下ろされた瞬間、強烈な衝撃波がレナに向けて放たれた。それを見たレナは正面から受けるために防御の戦技を発動させ、更に退魔刀を地面に深く突き刺す。そして衝撃波を受ける寸前に自分自身も魔鎧を纏う。

退魔刀をしっかりと掴んだ状態でレナは魔鎧を纏い、衝撃波を正面から受け止めた。彼の身体が10メートルほど後退したが、それでも衝撃波を耐え凌ぐ。


『ぐぎぎっ……耐えたぁっ!!』
「ば、馬鹿なっ!?」


正拳の攻撃を受けて尚も立っているレナを見てギランは衝撃の表情を浮かべ、一方でレナの方は魔鎧と魔刀術を解除して膝を着く。流石に聖剣の攻撃を受けた影響でかなり身体に無茶をしたが、それでも生き延びる事に成功した。



――聖剣デュランダルが繰り出す衝撃波は強烈だが、カラドボルグのような雷撃やエクスカリバーの光の衝撃波程の威力はない。厳密に言えばデュランダルの衝撃波はそもそもが遠距離用の攻撃ではなく、接近戦用の攻撃に適している。相手に接近して衝撃波を直に叩き込むのがデュランダルの正しい使い方であり、距離がある相手に衝撃波を繰り出したとしても本来の威力は発揮しない。



ギランは聖剣を扱えるまでの力量を持ち合わせながら、聖剣の使い道を誤ってしまった。だが、それも仕方がない話であり、彼の人生で聖剣の能力を解放して戦う相手など何人もいない。レナという規格外の力を持つ存在だからこそ彼は聖剣を使ったが、今までに何度も聖剣所有者と戦った事があるレナは全ての聖剣の性質を理解し、有利に戦う事ができた。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。