不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

ハルナとホムラとゴウライと……

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「てめえ、それはあたしの肉だ!!」
「黙れ!!お前は草でも食ってろ!!」
『こらこら、それは吾輩の肉だぞ!!』
「お、お客様!!暴れるのは止めてください!!」


冒険都市のとある酒場にてハルナ、ホムラ、ゴウライの三人が机の上に山盛りされた骨付き肉を奪い合っていた。ハルナはホムラが取り上げた一番大きな骨付き肉を奪おうとするが、それをホムラは抵抗する。そんな二人にゴウライは兜を外して肉に嚙り付く。


「がぶっ!!」
「あっ!?こいつ、食いやがった!!」
「焼き殺されたいのか貴様!?」
「もう止めてぇえええっ!?」


騒ぎ始めた3人に店員は悲鳴を上げ、他の客も3人に関わらないように視線を逸らす。しかし、ここで外から冒険者が駆けつけてきた。


「ここか!?騒ぎを起こしている馬鹿がいるのは!!」
「ええ、そうです!!どうか追い払ってください冒険者様!!」


冒険者を連れてきたのは酒場の主人であり、彼が連れ出したのは氷雨に所属するA級冒険者のガロだった。彼は騒ぎを起こしている者達の元へ向かい、堂々とした態度で注意を行う。


「おい、お前等!!人様に迷惑をかけてるんじゃ……あ、あれ?お前等、何処かで顔を見たような……」
「あん?」
「何だ貴様……」


ガロは三人が座る席に駆けつけると、肉の奪い合いを行うハルナとホムラに気付いて何処かで顔を見た事がある事に気付く。しかし、最後の一人は肉に嚙り付いているので顔は見えなかった。

肉に嚙り付いたまま顔を見せない相手にガロは苛立ちを抱き、とりあえずは肩を掴む。しかし、後に彼はこの時の行動を後悔する羽目になる事を知らない。


「おい、何を呑気に飯を食ってんだ!!とっとと顔を見せ……」
「んがぁっ?」


ゴウライが肉を引きちぎって振り返った途端、その顔を見たガロは硬直した。ガロはゴウライの素顔を見て固まり、一方でゴウライの方はガロの顔を見て親し気に語り掛ける。


「おおっ、ガロではないか。どうした?飯でも食いに来たのか?」
「そ、その声……ま、まさかゴウライ……さん?」
「ど、どうしたんですか冒険者様!?早くこの人達を追い払って下さい!!」
「ば、馬鹿野郎!!何て事を言うんだ!?」


店主の言葉にガロは慌てて彼の口元を塞ぐが、追い払うという言葉を聞いた途端に肉を食していた三人の目つきが鋭くなり、全員が椅子から立ち上がると肩や首の骨を鳴らす。


「へえ、追い払うだって……誰が誰を?」
「いい度胸だ……」
「はっはっはっ!!久しぶりに相手をしてやろうか!!」
「ま、ま、待て!!いや、待ってください!!」
「冒険者様?どうかされたんですか?」


ガロは近づいてくる3人に対して全身から冷や汗を流し、どうにか彼女達を説得しようと頭を回転させる。このままでは彼は数秒後には見るも無残な姿に化してしまう。炎と雷に黒焦げにされるか、あるいは全身複雑骨折になるのか二択である。

事情を知らない店主はガロの後ろに隠れてしまい、そのせいでガロは後退できなかった。考えている間にも拳を鳴らしながら三人が迫り、もう駄目かと思われた時に意外な人物が姿を現した。


「師匠、偶にはこういう場所で飯を食おうぜ。野菜ばっかりだと力が出ないだろ」
『……しょうがない奴だ』
「私も御一緒してもいいんですか?」
「気にするな、こいつの奢りだ」
「俺に払わせんのかよ!?まあいいけどよ……ん?何の騒ぎだこりゃ?」
「シュ、シュンさん!!」


酒場にシュンとハヤテとジャンヌとロウガが入ってくると、4人を見てガロは瞳を輝かせた。この三人は全員がゴウライと同じく剣聖であり、冒険都市内でも10本指に入る強者ばかりだった。4人は酒場にいるガロ達の姿を見て不思議に思い、何事かと問い質す。


「おい、お前等何してんだ?」
「シュ、シュンさん!!助けてください、この3人が酒場で暴れてるって苦情が……」
「何だと!?お前等、何をやっておる!!」
「おい、人聞き悪い事を言うなよ。別にちょっと喧嘩してただけだぞ」
「私達は飯を食っていただけだ」
「そうだぞ!!別に悪い事は何もしておらん!!」


堂々とハルナ、ホムラ、ゴウライは自分達が悪くないと説くが、そもそもこの3人が大人しく食事を行えるはずがない。一人一人が一騎当千の強者ばかりであるため、ちょっとした喧嘩だとしても大騒ぎになるのは明白だった。


「と、とにかく、店の連中が迷惑がっているからこれ以上に騒がないでくれよ」
「別に騒いでないって言ってんだろ!!ぶっとばすぞ!?」
「おい、騒がないと言ったばかりだろう!?」
『うるさい奴等だ……全員、斬るか?』
「ほう……そういえばお前とはまともに手合わせした事なかったな」
「だ、駄目ですよハヤテ様!?」
「ふはははっ!!ちょうどいい機会だ、ここで誰が氷雨のギルドの中で一番強いか決めようではないか!!」
「何を言い出すんだてめえ!?」
「ちょ、ちょっと!!ここでの喧嘩は止めてくださいよ!!冒険者様、早く何とかして下さい!?」
「無茶を言うんじゃねぇえええっ!?」


ガロの絶叫が店内に響き渡り、他の剣聖が訪れた事で更にややこしい事態に陥ってしまった。
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